音楽メディア・フリーマガジン

KIDS presents “Give and Take”

LIVE_KIDS2013/2/16@渋谷O-Crest GUEST:BARICANG / HEADLAMP / CROMARTY

昨年11月に2ndミニアルバム『奇跡の軌跡』をリリースし、3/7の大阪BIGCATワンマン公演を控えたKIDS。地元・奈良を拠点に活動を重ねてきた若きロックバンドが東京で開催する自主企画イベント“Give and Take”には、たくさんの観客が集まっていた。

HEADLAMP、CROMARTY、BARICANGが熱いステージを繰り広げ、O-Crestのフロアは熱気に溢れていた。ステージに4人が登場し、いよいよKIDSのライブがスタートした。

彼らのライブを観るたびに思うのは、短期間でそのライブがどんどん動的になってきていて、更にバンドの一体感がぐんぐんと増しているということ。4人が一体となり、攻めるところはガンガン攻め、聴かせどころは全員が楽器で歌う。Vo./G.奥野が紡ぐ楽曲を全員が自分のものとして、自分の想いとして奏でるKIDSのステージは観ていて本当に気持ちいい。

1曲目は軽快かつキャッチーなメロディが残像のように記憶に残る「それなら僕は」。一気に会場の空気が塗り替わるのを肌で感じつつ、壮大なメロディが染みる「光へ」と続く。エモーショナルな雰囲気をまとった奥野の歌は、言葉のひとつひとつが心に突き刺さる。身体全体を使ってギターを奏でるG./Cho.植田、歌を噛み締めるようにベースを鳴らすBa./Cho.藤村、フロント3人の背中を見ながら感情を露わにして、口を大きく開けて楽しそうにリズムを刻むDr./Cho.片貝。4人の信頼関係の強さが、彼らの表情1つ1つ、アンサンブルの1つ1つから伝わってくる。

片貝がMCで会場を沸かせたあと、軽快なリズムと耳に残るギターリフ、ドラマチックなベースが絡み合って「流星群」が始まる。徐々に加速するメロディとビート、それに引っ張られるように会場全体の感情が動いていく。サビで一気に爆発するメロディに気持ちを乗せ、どんどん感情を疾走させていくオーディエンス。4人が音と呼吸と気持ちを合わせ、会場全体を楽曲の世界へと巻き込んでいく。

奥野は何度も感謝の気持ちを告げた。そして声高くフロアを煽り、「日頃の鬱憤でもなんでもいいから、全部出して最高に楽しみましょう!」と叫んだ後、「1、2!」と掛け声を合わせて強力なビートを生み出していく。ライブチューン「ミラーボール」だ。植田、藤村、片貝の3人が作り出す軽快かつ太いビートは回転速度を上げ、奥野が両手を拡げて一気に会場は最高のボルテージ。オーディエンスが腕を振り上げて4人に応えながら身体を存分に揺らす。奥野がニッコリと笑いながら会場を見る。

この1年間たくさんのライブを重ね、きっとこのバンドはいい意味でのラフさを手に入れたのだろう。4人はそれぞれ想い想いに楽曲を楽しんでいるように見えるが、要所要所で息を合わせる瞬間がたまらない。間奏に差し込まれる植田の合図でバンドのテンションがヒートアップし、会場の熱も更に上昇する。ステージとフロアが、音で繋がっていることを実感する。

東京で自主企画イベントを開催できた喜びを告げる奥野。MCの彼は何も飾ることなく、その場で生じた気持ちを観客に伝える。おもむろにギターを奏で、「これだけは忘れたらあかんとおもうことがある。あなたの人生はあなたが主人公で、あなたがヒーローです」と言って新曲が披露される。太くて力強いグルーヴ、どこまでも響き渡るようなエモーショナルなギター。会場からは自然に手拍子が起こり、奥野がシンプルかつ美しいメロディを歌う。メリハリのあるアンサンブルと突き刺さる言葉に観客はグッと惹き込まれ、曲が終わったときには大きな拍手。

本編最後は「愛してるよ」。KIDSの曲の中で最も一体感を生む同曲は、歌を聴かせるだけではなく、観客を巻き込む彼らのバイタリティを象徴している。奥野はギターを置き、植田と藤村は身体を乗り出してフロアを煽り、会場にたくさんの笑顔を作っていく。そしてアンコールはキャッチーなギターリフが聴く者の気持ちをグッと高揚させる「film」。疾走感のあるバンドサウンドが再び会場の温度を上げ、奥野が「約束する。音楽で繋がった手は絶対に離さへんから!」と感情を露わに叫ぶ。一体感と力強い言葉、彼らのキャラクターが詰まった同曲は、彼らがこれからもずっと音楽を奏で続けていくことの宣言でもある。頼もしいほどに成長した姿を見せつけたKIDS。3/7の大阪BIGCATワンマンへの期待が更に高まった。

TEXT:Takeshi.Yamanaka

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj