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LIGHT BRINGER

ジャパニーズ・メタルシーンに新たな創世記を築きあげる LIGHT BRINGERのデビューアルバムが遂にリリース!!

 女性メンバーをフィーチャーしたバンドが席巻する現在のジャパニーズ・メタルシーンにおいて、LIGHT BRINGERは一際の存在感を放っている。

平均年齢20代前半というメンバーの若さとは裏腹の、圧倒的な演奏力から繰り出されるプログレッシブかつメタリックなサウンド。緻密かつドラマティックな構成の楽曲を表情豊かに歌いこなす絶対的歌唱力を持った、Fuki(Vo.)のキュートなルックスもこのバンドを比類なき存在にしているのだろう。

いよいよ完成した渾身のデビューアルバム『genesis』は、シーンに新たな時代を創り出す彼らの記念すべき第一歩だ。

Interview

●今回の『genesis』はメジャー初のアルバムとなるわけですが、そこで何か意識したことはありましたか?

Hibiki:キャッチーな部分とマニアックな部分を、今までよりもハッキリさせたかな。たとえば歌を前に出すべき部分と、逆にインストパートでガッチリ攻めるべき部分とかのメリハリを付けて。ハードでプログレッシブな部分も残してあるし、インディーズ時代の延長線上で好き勝手にやらせてもらいつつ、さらに磨きをかけた感じです。

Fuki:メジャーだからということはあまり意識せず、今までのいいとこ取りでやりましたね。3作目のアルバムにして、"これぞLIGHT BRINGER"というものが作れたと思います。

●『創世記』という意味を持つタイトルなので、何かコンセプトがあるのかなと思ったんですが。

Fuki:今作は特にコンセプトを決めて作ったわけではないんです。でもメジャーデビューシングル『noah』に続くアルバムということで、そことのつながりは持たせたいと思っていて。ちなみに聖書で『創世記』を表す"Genesis"は頭が大文字なんですけど、今回はそこまで厳密にコンセプトを打ち出したいわけじゃなかったので、あえてタイトルは小文字にしてみたんですよ。いわゆる『創世記』的な意味よりも、新生LIGHT BRINGERの始まりを暗示している感じですね。

●収録曲は今作に向けて作ったんでしょうか?

Hibiki:自分たちは曲をストックしておくのが、あまり好きではないんです。それぞれの楽曲をアルバムの中でどういう位置づけにするかというところまで考えて作っているので、アレンジするときもそれを踏まえていて。たとえばM-2「ark」はライブでもおそらく最初にやる曲なので、一発でグッとくるようなアレンジを意識して作りました。アルバム全体の中で見て、その曲にハマる役割を与えてあげるように作っていく感じですね。

Fuki:何曲目に入れるかを決めてから、歌詞も書いているんです。最近はMP3プレイヤーとかでランダムに聴く人が多いのかもしれないですけど、曲順にはかなりこだわっているので、なるべくその通りに聴いてみてほしいですね。

●収録曲が全て出揃ったのはいつ頃?

Hibiki:基本的にそういうやり方なので後からの変更は少ないんですけど、今回はアルバムのイメージに合わなくて直前でボツになった曲もあって。

Fuki:『noah』を作っている頃から、徐々にアルバムに向けた楽曲制作も始めていたんです。かなり悩んだ曲もあったりして、全てが出揃ったのは11月に入ってからでしたね。そこからほぼ曲順通りに歌詞を書いていきました。流れがあるので最初から順にじゃないと書きにくくて、特に「ark」は一番最初に書きたかったんですよ。

●「ark」は"方舟"という意味なので、これも『noah』につながるイメージがありますよね。

Fuki:「ark」とM-11「Love you♡」は、『noah』からの流れを引き継いで"舟"をテーマに書いてみました。実は"LIGHT BRINGER号に乗って一緒に行こうぜ!"という秘めた想いもあったりして、この2曲は自分たちからファンへ向けた曲なんです。

●序盤は『noah』からの流れを感じさせる曲が続きますが、M-4「merrymaker」で雰囲気が一気に変わります。

Fuki:電子音も入っていてライブでノレる感じで、今までのLIGHT BRINGERにはなかったタイプの曲ですね。チャラい感じにするために、あえて歌詞に英語を入れてみたりして(笑)。『創世記』的なコンセプトはいったん置いて、ここではライブのことを考えて作りました。

●『noah』に収録されていた「Continue!?」と系統は近いですよね。

Hibiki:「Continue!?」は"ライブでお客さんがノレる"ことをテーマにメンバーそれぞれが曲を出し合った中からコンペで選ばれた曲なんですけど、実はその時に自分が提出したのがこの「merrymaker」なんです。

●「Continue!?」同様に、良い意味でチャラい感じというか。

Fuki:ポップでノリノリな曲は歌詞にそこまでメッセージ性がいらないので、歌詞が曲に寄るんですよね。

Hibiki:チャラメタルで~す。

一同:(笑)。

●新しい方向性を見せた曲という面もあるのかなと感じたんですが。

Fuki:"こういう曲をやると、みんなビックリするのかな?"とは思っていましたね。とはいえ、ちゃんとLIGHT BRINGERらしさは出ているんですけど。

●「merrymaker」のエフェクトをかけた声もそうですが、Fukiさんのボーカルが色んな表情を見せるのも今作の聴きどころかなと。

Fuki:今回のボーカルは、かなり振り幅が大きいですね。M-8「光の王女」は声優さんみたいな声だし(笑)。この曲はMao(Key.)が元々ツインボーカルの設定で書いていた曲をそのままやりたくて、男性パートと女性パートをあえて私1人で表現してみました。「merrymaker」はロックボーカリスト風なのに対してM-7「Just kidding!」や「Love you♡」は可愛らしくてポップな感じだったり、曲に合わせてバリエーションに富んだ歌い方をしているのは聴きどころですね。

●「光の王女」は物語性を感じさせるタイトルですが、どういうイメージで書いた曲なんですか?

Fuki:これは私の大好きな『ガラスの仮面』という漫画に出てくる劇中劇の『ふたりの王女』をイメージして書きました。異母姉妹の2人がいて、姉は無実の罪で牢獄に入れられてしまう一方、妹は国民からも愛されながら王宮で育つんです。境遇は正反対だけど、2人とも王位継承権を持っていて。その"光の王女"と"影の王女"という2人の内、妹の方をイメージして作りました。作品の中で貴族の男性と一緒に逃げるシーンをイメージして作ったファンタジックな曲です。

●M-6「カルンシュタインの系譜」もタイトルが気になるので調べてみたんですけど、カルンシュタインというのは吸血鬼なんですよね?

Fuki:そうなんですよ! 気になった人が調べられるように、あえてこの言葉をタイトルに残しておいて良かったです(笑)。『吸血鬼カーミラ』という作品を題材にして、この曲だけは完全に起承転結のある歌詞を書きました。曲自体が割とドラマティックな展開でストーリー性を感じさせるものだったので、歌詞もそれに合わせて物語調にして。カーミラの視点になって書きましたね。

●これはどんなストーリーなんですか?

Fuki:吸血鬼カーミラとそれに狙われた女の子が登場するんですけど、実は2人ともカルンシュタイン家の子孫で血がつながっていて。カーミラは手当り次第に女の子を食い物にしていたんですけど、最後にその女の子を標的に選ぶんです。原作には描かれていない部分だけど、そこには何か特別な感情があったんじゃないかと自分なりに解釈して書きました。

●この曲もドラマティックな展開ですが、今回は曲中でテンポや雰囲気がガラッと変わる展開の楽曲が多い気がします。

Hibiki:自分自身が聴いていて飽きないものを作りたいと常に思っているので、アルバム全体の構成だけじゃなくて1曲の中でもメリハリを付けるということを意識していますね。

●ライブでの盛り上がりも想定している?

Hibiki:今までの曲にはなかったようなパートを足してみたり、全員のソロまわしを作ってみたりとか、お客さんが"おおっ!"と思うようなセクションを取り入れたいとは常に考えていて。毎回、新しいチャレンジを盛り込むようにしています。例えばM-9「espoir」は、今までで一番速い曲なんですよ。

Fuki:キーもすごく低いので、この曲は歌い方もグッと激しい感じにしてみました。

●特にメタリックな要素が強い曲になっている。

Hibiki:この曲とは逆に、今回はそこまで超ポップな曲がなかったので作ったのが「Just kidding!」ですね。原曲はマイナーコードで暗めの展開だったんですけど、そのまま今作の中に入れると「espoir」あたりと近い雰囲気になってしまう。だから思い切って色を変えて、一番ポップに振り切った曲に仕上げました。

●曲ごとのメリハリや起伏も計算されているので、ライブもこのままの曲順で演奏できちゃいそうですよね。

Hibiki:まさにそういうイメージなんです。今までも新しいアルバムが出た後のライブでは、1~3曲目くらいまでの流れは作品から崩さずにやっていて。やっぱり、それだけ完成された曲順だと思っているから。

●「Love you♡」のラストがフェードアウトして、最後にピアノの音へ切り替わるのはどういうイメージで?

Hibiki:最初はギターの音からのフェードアウトを予定していたんですけど、よりドラマティックに仕上げたくて急遽変えたんです。バッキングとして入っていたピアノの音を徐々に大きくして、その他のオケは全てフェードアウトさせて。最後にM-1「創世(Instrumental)」のイントロをピアノだけで弾くことで、よりコンセプチュアルなつながりを感じさせる終わり方にしました。

●これを聴いていると、またアルバムを最初から聴きたくなるというか。

Fuki:そう! また1曲目から聴きたくなるんです。

Hibiki:しかも今回のアルバムは色々と凝っている割には、トータルタイムがあまり長くないんですよ。だから意外にサクサクと何度も聴けちゃうし、次の曲を聴くのが楽しみになるような構成になっていますね。

●自分たちでも楽しんで聴ける作品になった?

Fuki:聴いていて楽しいです! 次の曲を聴くのが楽しみだし、自分でも飽きないんです。

Hibiki:本当に何度聴いても飽きないですね。いつもは作り終えた作品を聴くと、嫌なところばかりが耳に付いちゃうんです。でも今作は楽器も充実しているし、かなり歌い込んでもいるし、聴きどころがたくさんあって純粋にリスナーとして聴きたくなるんですよ。

●このアルバムを引っさげてのワンマンツアーも予定されていますが。

Hibiki:せっかくのワンマンですから、今作の曲はほとんどやると思います。ということは、このエグいアルバムからいっぱい演奏しなきゃいけないわけです…(笑)。

●自分たちにとっても、ライブでの再現を考えるとエグい部分もある(笑)。どうなるのか楽しみですね。

Fuki:年明けからきっちり健康祈願はしておきたいです。ワンマン自体もまだ2回しかやったことがないのに、今回のツアーではそれ以上の回数のワンマンを一気にやらなくてはならないので。体力作りはしっかりしておこうと思います。あと、大阪と名古屋では初のワンマンになるので、初めて観てくれる人にも大きなインパクトを与えられるようなライブにしたいですね。今からかなり気合いが入っています!

Hibiki:アンサンブルをガッチリと固めて、お客さんを持っていけるようなライブにしたいです。盛り上げるためのライブアレンジも練っておくので、ぜひ一緒に盛り上がりましょう!

Interview:IMAI
Assistant:Hirase.M / HiGUMA

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