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MASTER COLISEUM ’11

2011/9/23@大阪城野外音楽堂 SABOTEN / PAN / GARLICBOYS / GOOD4NOTHING / NUBO / HEY-SMITH / 花団 / dustbox

 かつて“夏フェスに一切呼ばれないバンド(自称)”だったSABOTENとPANが「自分らで企画したら夏フェス出れるやん!」との安直な考え(SABOTEN / キヨシ談)を元に勢いでスタートしたイベント、“MASTER COLISEUM(以下マスコロ)”。

たった2バンドが企画したこのイベントは、いまや関西のキッズ達にとっては夏の風物詩と化している。

前売りチケット\999! アットホームかつ自由な空間で心から音楽を楽しみ、そして関西から音楽シーンを盛り上げるため、SABOTENとPANは赤字覚悟で開催し続ける!! 第6回目となる今回も初めから終わりまでノンストップで突き進む展開に、盛り上がり過ぎて酸欠です!

Interview

まさに“夏フェス日和”と言えるほど気持良く晴れ渡った、9/23の大阪。清々しい太陽の光を全身に浴び、私は開演の時を待っていた。開場までまだ時間があるにも関わらず、入り口付近にはいかにも“音楽大好きだぜ!”といったオーラを放つキッズ達がひしめき合い、ライブ前独特の緊張感と高揚感がおり混ざったあの空気感を醸し出している。今年は例年以上の早さでSOLD OUTとなった事もあり、如何にマスコロへの期待度が高いか見て取れた。あえてタイムテーブルをシークレットにしているのも“誰がどの順番に来たとしても楽しませまっせ!”という自信のあらわれだろうか。なかなか心憎い演出だ。最高のライブというのは始まる前から何となくそれを予感させるものだが、この日私はまさにそのヴァイブスを感じていた。食べ物・飲み物の用意は万全、楽しむ準備は万事オーケー。さぁ、誰からでもかかって来い!

dustbox

「誰からでも~」とは言ったものの、まさかトップバッターが彼らとは思わなかった。dustboxがステージに現れた瞬間、いたるところから「いきなりdustboxかよ!」という声があがり、会場後部で座視していた人々が一気に前へと押し寄せる。まだ曲が始まっていないというのに、中にはいつでもダイブできるよう肩車をして準備をしている人もいた。そして音が鳴った瞬間、前列では早速モッシュが巻き起こる。頭では“早すぎるだろっ!”と思いながらも、体は本当に正直だ。最初からクライマックスだと言わんばかりの盛り上がり様に頬がゆるむのを押えきれないうえ、そのあまりに爆発的な勢いに鳥肌が立った。全員がタイミングよく腕を上げ、要所ではシンガロングの嵐。“まんまと彼らの術中にハマっているな”と自覚しながらも、私たちに思う存分楽しむ以外の道はないのだ。
「どうせ後からやるんだろうけど、俺は今ウェーブがやりたいの」。Ba./Cho.JOJIの要望に応え、オーディエンスは左から右へ美しく波打ってみせる。元の位地に戻って来た瞬間、JOJIの美しいクリアボイスで「Sun which never sets」が始まれば、客席から歓声が上がる。曲といい演出といい、どアタマから最高の盛り上がりを彼らに、私はこのイベントの成功を確信した。

花団

本日の出演者の中で、ある意味最も特異な存在である花団。バンドによってその魅せ方は様々だが、彼らの魅力は全員参加型のライブ形式だ。まず一曲目の「先輩はところてん」では全員に振り付けを踊ってもらうべく、Vo. 塚原が客席に特攻! 中盤では「今日の出演バンドのボーカルでぽっちゃりなのは僕だけです…」と自虐ネタで笑わせつつ、ぽっちゃり男子のリブロース…もといラブソング「ミート♥プリンセス」を披露。さらに後半にはSABOTENのG./Vo.キヨシが尾崎豊に扮して登場!! 花団のG.森はと言えば、ステージのセットによじ登り、しがみつきながら尾崎豊の「Freeze Moon」を熱唱し始めた。「怒られるから止めなさい!」と制する塚原の言葉も、スイッチの入った森を止める事はできない。
おそらく花団は初見だという人も多かったのだろうが、陽気なリズムと覚えやすい振り付け、そして“ぷっ”と吹き出し笑いを誘う歌詞で、彼らは観客の心をしっかりとつかんだようだ。その証拠を見せつけるように、ラストの「俺のブーメラン」ではオーディエンスと共に数多くの笑顔の花を咲かせたのだった。

HEY-SMITH

花団がぽろっとこぼした「次はヘイスミ」という情報により、転換と同時にファン達がモッシュピットを埋め尽くし、スタンバイ&ウォームアップを開始していた。例えるならばそれは花火のように、火種を与えた瞬間爆発しそうなくらい張りつめた、それでいて弾ける時を心待ちにしているような…そんな空気がひしひしと伝わって来る。そして「Endless Sorrow」のイントロが流れ出せば予感的中、待ってましたとばかりに暴れ出したオーディエンスの勢いは留まるところを知らない。ヘドバン、スカダンス、oiコール、ハンドクラップ、サークルモッシュ、ダイブ…おおよそ盛り上がる全てのアクションが組み込まれたHEY-SMITHのステージは、まさにライブアクトのデパートだ。
5月にリリースツアーが始まってからというもの、演奏もパフォーマンスもさらに磨きが掛かっているように思う。なんせ彼らの出番中は、通路という通路はすべてダンスフロアに変わり、歩く人すらステップを踏みながら通り過ぎていくのだ。G./Vo.猪狩は言った。「男も女もじじぃもばばぁも大統領もテロリストも、全員遊ぼうぜ!」と。この空間で、HEY-SMITHは見事にその偉業を成し遂げたのである。

NUBO

ファンキーでジャジーでR&Bでグルーヴィー…多種多様な音楽要素を取り込んだハイセンスなSEで登場したのは、毎年100本以上のライブを行っているという生粋のライブバンド、NUBO。弾けんばかりの笑顔でしきりに「遊ぼうぜ!!」話しかける彼らは、きっとこのイベントを誰よりも楽しむべくステージに立ったのだろう。「咲く花」「Go on foot」「Circle」などダンサブルなナンバーを次々と繰り出せば、オーディエンスも自然と体を揺らし、おのおのが自由に楽しんでいるようだった。
心地の良いリズムに身を委ねながらも、じっくりと聴いてみると時々ドキッとするような言葉選びがあったりする。そのうえツインボーカルのアツく、そして人間臭い歌声は、放たれたリアルな歌詞と相まって胸に刺さるような鋭さを持っているのだ。“きっと人生の支えになる曲って、こういう曲なんだろうな”と思うくらい、グッと来るものがある。最後に披露した突き抜けるようなハイテンションハッピーナンバー「Colored」が、爽やかな夏の風とともにどこまでも響いていく中、私は思った。“本当に、良いバンドに出会った”と。アルバム『Warmth』のリリースツアーを絶賛開催中のNUBO。ライブバンドにふさわしい膨大なライブ数を行う予定の彼らの動向から目が離せない。

GOOD4NOTHING

「軽く音出しします」。そういって演奏を始めたのは、SABOTEN・PANを除いての唯一の皆勤賞として共にマスコロの歴史を刻んできたGOOD4NOTHING。だが開始して10秒足らずで、私たちは彼らの嘘に気付く事となる。何か“軽く”だ! 音出しの時点で本番と何ら遜色のないクオリティを披露する。いや、「BLAST OFF!!」「MxSxN」「HELLO 61」と、7/27にリリースされた『It’s shoooort time!!』の曲順通りに畳み掛けるセットリストを鑑みると、「音出し」という言葉はあくまで演出だったのだろう。策士である。“モッシュするには短すぎる!”というアルバムコピーとは裏腹に、私の目の前にいたオーディエンスは何の問題も解さない様子でモッシュしまくっていた。その勢いたるや、付近に設営されたテントが揺れ動くほど。音楽キッズのパワーおそるべし。
冒頭部分で会場のハートをガッチリと掴む事に成功した彼らは、間髪入れず次々と曲を披露。30分という限られた時の中で13曲もの衝撃と感動を残していった。

GARLICBOYS

「この声が枯れるまで行きます!」。GARLICBOYSは登場した瞬間から圧倒的な存在感を放っていた。メンバー全員がボーカルという希有なスタイルで「DQ69」のサビのような激しいデスヴォイスや、「荒野のさびしん棒」の導入部分のように大人の色香につつまれた妖艶な声など、その多彩な歌声を遺憾なく発揮し華麗に歌い上げる。プリンのかぶりものというファンシーなアイテム着用しているにも関わらず、雄叫びをあげるVo./Ba.PETAの姿は理屈抜きにカッコよかった。
「失恋モッシュ」から間髪入れず「あんた飛ばし過ぎ」へ繋いだ時は、“本当に飛ばし過ぎだよ!”全力でツッコミを入れてしまったくらい、すべてがアッパーチューンの最高速なセットリスト。立ち止まる事なく突っ走っていた彼らの汗は、夕闇のライトに照らされ輝いていた。

PAN

“♪井の中の蛙 大海を知らず~”とPANおなじみのSEが流れれば、本日の主役バンドを待ちわびたファン達が黙っているはずがない。Dr.よこしんがステージへ登場し、続いてBa.ダイスケ、G.ゴッチ、そして最後にVo.川さんが現れ、全員が現れたところで1曲目「今夜はバーベキュー」が始まれば、会場の全員が手を突き上げて全力のコール&レスポンス。ここからはもうPANの独壇場だ。「人生の湯」、「ムサンソ」、新曲「ザンシング」と最強にポップなナンバーを惜しみなくぶつけた後の「そこに光る」。“形のない 無欲的な 想いだけが そう遠くはない 近い未来に憧れてた”。川さんがアカペラで響かせた言葉は、どこまでも等身大で胸が熱くなる。ふと客席を見れば、目頭を押さえながらも、決してステージから目を離そうとしない人達の姿がとても美しかった。
ダイスケとゴッチが1つのマイクで歌い、川さんが跳ね回り、時には3000人を黙らせる(ダダ滑り的な意味で)ギャグを放つ。PANというバンドを形成するすべてのものが、この会場の暖かい空間を作り上げていた。「ここにはまだ酸素が残ってるぞ! 行こかマスコロ!!」。川さんが煽れば、オーディエンスは残された酸素を奪い尽くすかのような大騒ぎで応えてみせる。「笑っていこう。音楽は最高や!」と残し去っていたPAN。まったくもって音楽は、そしてPANは最高だ。

SABOTEN

「俺達は金じゃ量れねぇよな!!」。いきなり名言とともに飛びだしたSABOTENから、早々にBPM異常注意報発生! 「Hi Rock Hi」からの「BUBBLY'S part.1」で一気に加速し、「アバンチュール」「Good-bye Anny」などライブの定番曲でそのスピード感を持続しフルスピードで駆け抜ける。あまりの暴れように、野外にも関わらず会場の酸素が徐々に薄くなっているような気さえした。脳に酸素が回らなくなったところでキヨシが「夢の世界へ連れてってやるぜ!」と言葉をかけるものだから、現実離れしたような感覚に相まって夢見心地になる。彼が語る「大阪にDUSH村を作りたい!」という壮大な夢物語も、今のSABOTENなら本当にできそうな気さえした。
新曲「Treasure Island」では前半のゆったりとしたテンポに驚かされたが、突如のBPMが急上昇。いつものSABOTENらしさを感じさせつつも新しい試みにチャレンジする彼らの真骨頂を見た。そして、いよいよ最後の時がきてしまう。「ルールは破れ! マナーは守れ! 最大級のサークルを!!」またもやキヨシから名言が飛び出し、キヨシ自身もギターを投げ置き客席へ飛び出る。会場全体を最高かつ最大級の「サークルコースター」に仕立て上げたSABOTENを讃えるかのように全力で回るオーディエンス。“願わくばもう少しだけ、この楽しい時間が続きますよう”。一体感という言葉の意味を全身で体現している彼らの絆と輝きを観て、私は切にそう願った。

SABOTEN×PAN

まさか本当に願いが叶うとは! 正装のアロハシャツに着替えたSABOTEN×PAN(以下SABOPAN)一曲目はスプリットアルバム『TROPICAL PARK』より、ライブ初披露の「インタレスター」! SABOTENのBa./Cho.ヤッソーのソロラップやPANのDr.よこしんのキーボードなど、コラボ曲だからこその演出に始終テンションは上がりっ放し。体内のアドレナ指数が振り切れそうだ。お互いが尊重し合うからこそ生まれるアットホームな空気の中、SABOTENがPANの「人生の湯」を、PANがSABOTENの「Hi Rock Hi」を互いにカバーしあい、“面白がる人達”の共演によって実現した祭典は幕を閉じた。

「1バンドだけでもお腹いっぱいなのに、この値段でこれだけのメンツを観られるなんてヤバいよね」、「来年も絶対来よう」。すれ違ったお客さん達がふとつぶやいた言葉は、この会場にいる全員の心の声に違いない。もはや関西の音楽好きにとってなくてはならない存在となったマスコロは、これからもずっと愛され続けていくだろう。

TEXT:森下恭子
PHOTO:JON...

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