音楽メディア・フリーマガジン

MONGOL800

身近なものへの愛と、メッセージと、彼らの強い想いが詰まった6thアルバム完成

MONGOL800今年バンド結成15週年を迎えたMONGOL800が約4年ぶりにリリースするアルバム『GOOD MORNING OKINAWA』は、そのタイトル通り、自分の身近なものへの愛が詰め込まれた作品となった。ずっと変わらぬスタンスで活動を続けてきた3人が到達した現在地、今のMONGOL800の想いや心境がリアルに伝わってくる、温かくて力強いアルバムだ。

2011年3月11日、誰もが忘れることのできない東日本大震災が起き、続いて福島第一原発事故が日本を震撼させ、それまで当たり前だと思っていた価値観や常識が根底から覆された。あの日以降、日本全体が“自分は何ができるか?”と考え、溢れる情報を取捨選択し、自分にとって何がいちばん大切なのかを考えた。その結果、多くの人が選んだ答えはとてもシンプルだったように思う。それは地元愛や身近な人への愛。震災という体験を経て、MONGOL800が自らの原点である沖縄をテーマにした作品を作ったのは当然の流れだったのだろう。

デビュー以来、MONGOL800は日本のインディーズシーンを象徴する存在として、長きに渡り第一線で活動を続けてきた。彼らが音楽シーンに与えた影響は数えきれないが、2001年9月にリリースした2ndアルバム『MESSAGE』でインディーズ史上初のオリコンチャート1位を獲得してからも、3人はライブを活動の中心に据え、そのスタンスをブレさせずに走り続けてきた。15年という数多くの経験を経て、何のフィルターも通さずまっすぐに物事を見つめる彼らの純粋性は、タフなサウンドと絡み合ってより力強いメッセージへと昇華した。

MONGOL800の6thアルバム『GOOD MORNING OKINAWA』は琉球舞踊「かぎやで風」を全面的にフィーチャーしたインストM-1「KAGIYADE-FUU」で幕を開ける。彼らなりの愛を歌った楽曲は、15年という経験を経たからこその説得力を帯びており、そのメロディと言葉はますます研ぎ澄まされ、聴く者の胸の奥底まで深く響くだろう。自分の日常や身の周りに当たり前のようにあるものやことに対する感謝の気持ちを綴った歌詞と、まるで沖縄の晴れ渡る空のように快活に鳴らされるサウンドは、MONGOL800というバンドが持つプリミティブな生命力に満ち溢れている。

彼らの真骨頂と言える、パワフルなパンクサウンドに乗せたキャッチーなメロディ、そして真っ直ぐで力強い歌詞が突き刺さるM-2「Love song」。どこまでも突き抜けるテンションでアッパーに歌われたM-4「Pork Tango」は一聴しただけで踊り出したくなるだろうし、日常の何気ない一コマを切り取って沖縄サウンドへと昇華させたM-8「カマドー小」は聴けば思わずニンマリとしてしまう。

沖縄で生まれたバンドだからこそ、彼らにしか歌えない強い想いも込められている。インディーズで活動を続けてきたからこそ、何のしがらみもフィルターも通さずに綴った彼らのメッセージ。アルバムタイトルにもなっている“GOOD MORNING OKINAWA”というフレーズを軽快なサウンドに乗せ、シニカルな視点を込めて歌われるM-7「Bougainbilly」。淡々としたリズムの上に、哀しみをも感じさせる歌を乗せたM-9「明日から印象派」。

アルバムタイトルと同名のM-3「GOOD MORNING OKINAWA」は、今作を象徴する楽曲であり、そして結成15年を迎えたMONGOL800の代表曲になるであろうアッパーな楽曲だ。キャッチーなメロディにのせた“GOOD MORNING OKINAWA/新しい風が吹く/時代は変わる/悲しみに暮れる暇はないぜ”というメッセージは、沖縄に生まれた人だけではなく、2013年を生きるすべての人々への彼らならではの力強いメッセージだ。

そしてもう1つ、今作には彼らの強い想いが込められている。その想いとは、彼らが今までと変わらぬ純粋な視点と真っ直ぐなスタンスで、これからも歌い続けるということ。時代がどのように変わろうと、MONGOL800の3人は夢を味方にして、希望を胸に抱き、楽器を手に、きっとこれからもずっと歌い続けていくだろう。

身近なものへの愛と、意志と、メッセージと、そして結成15年周年を迎えたMONGOL800の強い想いが詰まった6thアルバム『GOOD MORNING OKINAWA』。3/8からスタートする全国ツアーで、彼らのリアルな想いと最高の音楽を思う存分味わいたい。

TEXT:Takeshi.Yamanaka

  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj