音楽メディア・フリーマガジン

Neat’s

窮屈な世の中に向けて鳴らされる ベッドルーム発のポップミュージック

PHOTO_Neats01シンガーソングライター・新津由衣が2011年7月にソロプロジェクトとしてスタートさせたNeat's。絶妙なポピュラリティと記号的なキャッチーさ、中毒性、等身大のメッセージ性を携えた1stフルアルバム『Wonders』を昨年1月に発表した後、ライブの経験とベッドルームの実験を重ねてきた彼女が、約1年を経て完成させた2ndアルバム『MODERN TIMES』。ベッドルームから窮屈な世の中に向けて鳴らされるその音楽は、彼女の感性と創作欲と好奇心と情熱が戸高賢史(ART-SCHOOL)らのバンドサウンドと融合し、どこにもないポップミュージックへと昇華した。

 

 

INTERVIEW #1
「“あっ、これおもしろそう!”とか“これワクワクする!”っていう感覚はものすごく信じているんです。それが今の私を動かしてるもの」

●1年前に1stアルバム『Wonders』を出したときの取材で泣かれましたけど、他の取材でも泣いていたらしいですね。

Neat's:毎回泣いてました。

●自分自身を振り返ってみると、あのときの自分はどうなんですか?

Neat's:よくわかんない(笑)。

●は?

Neat's:インタビューしてもらった記事を自分で読み直して“変な人だなあ”って思って見てたから。

●他人事か!

Neat's:本当に記憶がなくて覚えてないんです。なんで泣いたのか。みなさんに迷惑をかけてすみませんって感じです。

●はぁ、そうですか。

Neat's:でもなんかすごく悲しいことはあったんだと思います。それは今思い返しても、泣いてる理由はわかるんですけど。今まで信じてたものが激崩れしたっていう瞬間だったから。子供のころから守っていた世界ががバーンとなくなっちゃったから、「何を元に進んでいけばいいんだろう?」っていう風になっちゃってたんだと思う。今から考えたら“そんなところで深刻に考えてもしょうがないよ”っていう感じかな。当時の当の本人にしてみたらものすごく辛いことだし、だから涙も出ちゃったしっていうのもわかるんですけど。

●今から考えたら取るに足らないことだったと。

Neat's:そうそう、少し角度が変わればすべて変わるよって。

●ところで、ライブが少しずつ変わってきている印象があるんですけど、そういう自覚はありますか?

Neat's:どんどん変わっていったり、積み重なってるなっていう実感は実はあまりなくて。

●ないんですか?

Neat's:ないんです。でもそのときどきで変わってるなっていうのはわかるから、順々に上に積み重なってるっていうよりも、ふわっふわっと泳いでるみたいな感じ。上に行ったり下に行ったり右行ったり左行ったり、みたいな。

●相対的には上がっているんですか?

Neat's:うーん、何が基準なのかはわからないけど、毎回変わるし毎回変化はあるし発見があるしっていう印象。進歩という面では、“失敗したことを次は失敗しないようにしよう”とか、そういうものすごく基本的なことはありますけど、やっぱりライブはそのときそのときだから。昔録ったライブの音源とか聴くと“あれ? このときのこれがいいな”みたいなこともあるし。

●単純に進歩だけではないと。

Neat's:そうそう。何も考えずにやってたときの方が全然聴きやすいとか。小さいことでも数を重ねると失っちゃうものとかもあるから。慣れちゃうとか。だから常にすべてが1が終わったら2にいきました、みたいなそういう順調な感じではないです。むしろ今は、もうちょっと土台固めをしなくちゃっていう感じのほうが強くて。『Wonders』を出してバーッと泣いてデトックスしたみたいになって、本当にフラットな感じの自分になっちゃったんです。前まで欲しいと思ってたものの価値観でさえも変わっちゃったから。

●変わりすぎですね。

Neat's:変わりすぎなんです、本当に。人間が変わっちゃったような感じだから。

●ライブの変化については、簡単にいえば自然になった気がするんです。1年前は気負ってた部分もあるだろうし、本人の自覚があるかどうかは別にして女の子を武器にしてる部分も感じたんです。でもそれは最近のライブではまったく感じなくて。

Neat's:うんうん、なるほど。おもしろいですね。

●おもしろい?

Neat's:アハハ(笑)。客観的に言ってしまったけどおもしろい意見だなと思います。私も端からNeat'sさんを見てたらそういう風な気持ちになるのかもしれない。

●他人事か!

Neat's:先程おっしゃってた「女の子を武器にして」っていうのとは全然違う意味で、女の人の発想力とか柔軟さとか、そういうものが強さに変わっていくっていうことにすごく支えられてるというか。ステージに立っているときもそうだし、今の私が“まぁいいか”とか“こんなことどうでもいいや”と思えてるいのも、そういう柔軟さに助けられてるなって思うところがすごくあって。

●それは前のインタビューでも言ってましたよね、「最初は"女性"というものに対してネガティブな印象しかなかったけど、いいところがあると気づいた」と。

Neat's:私はもともとがすごく男性っぽい頭の思考回路で、すごい理屈っぽいし、完璧主義なところもあるし、そういうのに自分が縛られてることがたくさんあったんですよ。そういう理屈っぽい思考回路がグニャグニャグニャッとなったときに、いろいろやわらかく考えられるようになったし、“そのときはそのときで”という感じになれたのは大きな違いですね。変な話、改めて私はどちらかというとやはり女性の部類なんだなと思いました。

●同じく前のインタビューで「生き方がわかんない」とか「わかんないまま生きるのは大変だ」と言って泣いてましたけど、最後に「わからないけどとにかく日々をしっかり生きようと思ってる」と言っていましたよね。その件に関してはどうですか?

Neat's:変な人だね(笑)、今ひとつも共感出来るところがない(笑)。

●マジか!

Neat's:アハハハ(笑)。

●いろんなところで泣いたりとかして、本当に全部空っぽになったんですね。膿が出きったというか。

Neat's:そうそう。

●感情をそこまで表に出すことがそれまでの音楽人生でなかったから、感情をドバーッと出してリセットしたというか。

Neat's:すごい迷惑ですよね(笑)。デトックス期間に出会った人は本当に迷惑だと思います。今は“これやりたいなぁ、以上”っていうのをいちばんの原動力にしたいし、それでものができたとしても“それはそれ。じゃあ次”っていうイメージで、自由なものをぴょんぴょんと自分でその場所を用意してあげたいかな。

●いちばん最初、なにかを生み出すときの衝動を素直にそのまま動かしてあげるというか。

Neat's:そこがいちばん楽しいからね。楽しいことを続けるってすごく難しいから。すぐ苦しくなるし、難しくなるから、そんなのはもったいないと思って。私が楽しむ方法はそこだと気づいたので、次から次へと自分を放り投げていく。今でもわかんないことだらけだし、でもワクワクする気持ちはわからなくないから。「あっ、これおもしろそう!」とか「これワクワクする!」っていう感覚はものすごく信じているんです。それが今の私を動かしてるものかな。

 

INTERVIEW #2
「もしそれが成功した場合、本当に音楽のメロディは人の心を動かすんだと思えるというか。それは個人的な嬉しさですけど、確信にも繋がる」

●前作は“こんな感じ聴いたことない”という感覚や、トリッキーさを含めたキャッチーさだったりが印象に強く残っているんです。対して今回の2ndアルバム『MODERN TIMES』の10曲を聴いた印象としては、隙間というか音が鳴ってないところが印象的で。力があまり入ってないというか、自然な感じで作ってるからこそ、空白も自然に出せたのかなと。

Neat's:私、毎日同じ実験してるんですよ。今おっしゃていた音の隙間、音楽に隙間があることがすごく大事ってことも、何かちょっとトリッキーであるということも、それがポップであるということも、1枚目からずっと考えてた実験テーマなんです。

●音楽の必要な要素として。

Neat's:そうそう。そういうことを表現したいなと考えて、“こうしてみたらどうかな?”とか“ああしてみたらどうかな?”と、色々とひねくれてやってみてできあがったのが1枚目なんです。まったく同じように実験をして違う方法で試してみたのが2枚目っていう感じ。

●そういうことか。

Neat's:だからその部分に関しての実験は成功したんでしょうね。そう感じてもらえたんだったら。でもまだ完成型ではないから、また同じ実験を次でもすると思うし、答えが出ない実験をひたすらずっとしてるような感じです。

●Neat'sさんの場合、それは単純にメロディやアレンジだけの話じゃなくて、歌詞もそうだし、音楽が持つ要素が全部合わさったときにおそらく成功するもんなんでしょうね。

Neat's:そうですね。でも本当に成功するのかな?

●でも、その実験を成功させたいという創作欲みたいなものが原動力になってるんですよね?

Neat's:そうですね。さっき言った“ワクワクするかどうか”ということしかないんです。色々と写真集を見たりとか、映画を観たりとかして、ある1点のポイントでワクワクしたら“あっ、これ何かになるな?”と自分の引き出しにしまっておいて、また違うものに触れてワクワクしたら貯めて。そういうやり方をしているので、自分が作っている音楽でワクワクと自分の心が動きますようにって。

●ワクワクを追い求めてるわけですね。色んな形のワクワクを。

Neat's:そうですね。“ワクワクする”っていうのは私が感じていることで、でもそれをポップなものにしたいんですよ。そうするともうひとりの司令官が必要だから、その司令官を自分で立てて作っているかな。ひとりで活動してると「好きなことやれていいよね」っていう意見をもらったりするんですけど。

●そういうこと言われるんですね。

Neat's:好きなことをやってるのは間違いないんですけど、そういうニュアンスで言われるとちょっとしゃくだなと。

●しゃくですね。

Neat's:好きと思うことを大衆音楽としてみんなで共有するのが目標だから、ひとりよがりの欲求を満たすためにやってるのとは全然わけが違う。だけど原動力は自分の欲求から始まらないと嫌だから。

●そこが重要ですもんね。

Neat's:そうなんですよね。自分の感じたワクワクを、やっぱりみんなに伝わるように活動したいし。難しいですよね、そのバランスは。大衆的なものだけを求めてやってるわけでもないっていうのも事実だから、ちゃんとNeat'sの味が実験を日々重ねて“よし! これで行ける!”と思ったものをデパ地下に投入、みたいな感じで。

●どこにもないものですと。

Neat's:そうそうそう。本当に。

●特産品ですと。

Neat's:特産品ですと。でも直売だけだとあまり広がらないから、デパ地下に置きたいっていうのが夢なんです。そういうことがNeat'sとして活動する意味としてやってるから。楽しいですし、ワクワクするし。

●ところで、2枚のアルバムでなんとなくNeat'sさんが作るメロディの特徴みたいなものがわかってきたというか。メロディ自体をゆっくりとビブラートさせて…例えばM-2「Hello,Alone」とかそうなんですけど…聴いた人の感情を動かそうとしているというか。それは和音だけじゃなくてコーラスやアレンジも含めてのケースもある。要するに、言葉を乗せるためにメロディを流してるのではなく、感覚に作用するメロディという指向性が強いと思うんです。

Neat's:あぁ、すごい! 確かにそうです。私はメロディから作るんですよ。言葉ありきの音楽じゃないんですよね。

●最初、言葉は乗ってないんですか?

Neat's:乗ってないです。一緒のこともあるけど、まずは言葉がない状態。メロディはすごく大事で、私自身が好きなんですよね。メロディで心を動かされる感じというのが。

●俗にいうエモーショナルな感じというか。

Neat's:そうそうそう。例えば久石譲さんのストリングスのメロディラインとか。オーケストラで鳴ってるんだけど、オーボエのラインとかストリングスのラインとかが、なにも言葉が乗ってないのにドキドキさせられたり感動させられたりする魔法がある。私、ジブリとかディズニーとかも大好きだったから、そういう歌詞のない音楽で心がぐるぐるぐるって動くのがすごく好きなんです。だから自分でメロディを作っていても、メロディだけで自分が泣きそうになるかとか、自分が楽しくなるっていうのがまず基準としてあって。意外に言葉を乗せてないデモのほうが自分的には好きだったりする場合もあるんですよね。

●それほど重要だと。

Neat's:それほど重要ですね。

●そこまでの感覚だと、逆に言葉を乗せたときにメロディの鮮度が損なわれるようなこともあるんじゃないですか?

Neat's:そうですね。そこに気をつけながら歌詞を書くくらいメロディがすごく大切なんです。逆にそこがしっかりしていれば、後ろの背景はどれだけぐちゃぐちゃでもいいと思ってるんですよ。それは実験の1つでもあって、日本の大衆音楽として成立するメロディがあって、普通だったら後ろにすごく綺麗な青空の背景を描くところを、ものすごく深い森の誰も知らない汚いところを背景にしてもメロディが人の心に届くかどうか? という実験中でもあるんです。私的にはできるだけギャップが必要で。

●うんうん。

Neat's:もしそれが成功した場合、本当に音楽のメロディは人の心を動かすんだと思えるというか。それは個人的な嬉しさですけど、確信にも繋がるから。メロディはすごく重要ですね。すっごく研究してると思います。Neat'sのいちばんの軸だとすら思ってる。

●なるほど。

Neat's:そこがあるから、他でおもしろい実験していいよっていう感じなんです。大衆音楽でポップスとしてというところでいちばん重要なところだから、背景は全然いいよポップじゃなくて。だけどメロディは共有できるポップさがあってほしい。

 

INTERVIEW #3
「あっというまに60歳とか70歳になって死んでいく人生もおもしろいなと思っているんです。別に答えが出なくてもね(笑)」

PHOTO_Neats02
●前回のインタビューでも「大衆音楽を作りたい」とおっしゃってましたけど、2ndアルバムはもっとマニアックというか、俗にいう実験的な方向に進んでいくと想像してたんですね。Neat'sさんと話した感じ、そういうタイプの人なんじゃないかなと勝手に想像していたんです。でも今作は実験的なこともしてるんですけど、でも全体的にはポップになった印象があるし、凝って作ったというよりは、自然に出てきたもののような手触りがあるんです。

Neat's:そのままポンって生み出たような感じがするんですね。

●そうそうそう。聴いてるとそう思う。力の入った試行錯誤がないというか、無理がない。

Neat's:そうかもしれないですね。いっぱい練り込んだっていうよりは、いちばんはじめの第一の衝動で「この音がいい」「この音がいい」「いいね!」「いいね!」「いいね!」って積み上げた感じがするかもしれない。

●今作ができたことによって、次にやりたいことは見えてきてるんですか?

Neat's:あるんです。

●それはまた今までと違うんですか?

Neat's:違います(笑)。でも同じことなんですけどね。

●実験の繰り返しということ?

Neat's:うん。ただ、背景がちがうだけなんです。さっき言ってたメロディありきで背景がハチャメチャであるっていうのは変わりがないんですけど、色んな景色を見たいんですよね。

●そう考えていくと、音楽のフォーマットに当てはまらないようなものもやりたくなったりしないんですか?

Neat's:しますします。

●例えば歌が中心で、Aメロ〜Bメロ〜サビという基本的な構成がある音楽じゃなくても、極端に言えば音が鳴っていて、それが人の感覚に何かしら影響を与えれば音楽としては成功したと言えると思うんです。色々とやり方はあると思いますし。

Neat's:そう考えると無限にありますよね。それでワクワクしちゃうのは私だけ?

●いや、わからないですけど(笑)。

Neat's:「まだこれもある」とか「これもやってなかった」とワクワクして、次に重要なのはそれをどうやってポップにするか? というところなんです。そこはもう1つ今までとは違うアイディアが必要なんだろうなと思っていて。

●実験では終わらせたくない。

Neat's:どうしたらポップにできるかの実験ですよね。「この音楽ってちょっと変だね」と思われるようなものなんて簡単に作れると思っていて。自分がいいと思えばいいだけだから。

●うんうん。

Neat's:でもそれを1ステップ上げたくて、その温度をどうやったら人と共有できるかなって。うちのお母さんとかあまり音楽とか詳しくないんですけど、「なんかいいねこれ」と言ってくれるその言葉がいつも私のヒントになっているんです。

●なるほど。

Neat's:日本人って保守的だから、新しいものを聴かせたときに先入観だけで判断して「これ結構ポップ系だね」とか「ひとりよがり系だね」とかってなっちゃうのがすごくもったいないと思うんですよ。「ひとりよがり系に見えるかもだけどちょっと聴いてみ! 3回聴いてみ!ちょっと違うくない?」って言いたい。そうするとその人の先入観が少しずつ取れていって「なんかいいかも?」「なんか違うかも?」と思うかもしれない。私はそのきっかけになりたいんですよね。

●日本というか一般的なポップ観みたいなものって、純粋に音楽だけを評価しているわけではないような気がするんです。

Neat's:そうですね。

●そこに対する失望感とか諦めという感情はないんですか?

Neat's:それはもちろん。残念だなと思います。もっと感性が豊かに過ごせるような環境を与えてあげたいなっていうのはなんとなく思ったりするけど、でも失望というかそれはそれだから、私はそうじゃないやり方でやろうと思っていて。それこそ大きな実験ですよ。自分ひとりの力ではやっていけないし、すぐにできることじゃない。時間もかかるだろうし。

●そうですね。

Neat's:ルールが変わらなきゃいけないから。でも同じように思って活動している人が周りにはたくさんいるから、最近は時代の温度がそういう風になっているのも私の支えになっていて。

●作業は孤独かもしれないけど、志は孤独じゃない。

Neat's:そうですね。これが続けば何かになるんじゃないかなっていうのを時代の温度から感じることができるから。ネットとかしてても、まだ間違ってないかなと思いながら一歩ずつ進めるんです。答えはわかんないけど。

●いいですね。戦っていますね。

Neat's:それで時間が過ぎていくわけじゃないですか。だからあっというまに60歳とか70歳になって死んでいく人生もおもしろいなと思っているんです。別に答えが出なくてもね(笑)。新しいルールを作るっていうのがいちばんの目標じゃなくても、その実験過程で人生を終えてもいいなって思ってるくらい楽しいから。音楽もそうだし、私は何かをずっと作っていると思います。基本的に友達と遊んだりとかそういうことに楽しさを見い出せるタイプじゃないから。

●それはなんとなく気づいてました(笑)。

Neat's:楽しく過ごしたい。できるだけ。ずっと家にいたいもん。

●マジですか。

Neat's:うん、ずっと家にいたい。楽しすぎて、頭の中がサーカスになっていく感覚がたまらない。

●それが幸せなんですか?

Neat's:幸せ。「ワァーッ!」てなる。

●1年前のNeat'sさんと比べたら本当に別人ですね。

Neat's:そうですか?

●今から考えたら1年前のNeat'sさんややこしかったです(笑)。

Neat's:アハハハ(笑)。でしょ?

●今日のNeat'sさんは自分の思ったことをしゃべれているし、自分がわかってるし、やりたいこともわかってるし、きっとしんどいことなんでしょうけど、それを「楽しい」と言えていることが尊敬できる。

Neat's:友達とかでワイワイやってるのにジェラシーを抱いたことは一度もないですけど、女の子がひとりでお店を立ち上げて、それがものすごい素敵だったりとか、ネットショップで手作りの何かを売ってたりっていうのがすごいクオリティだったりとかすると、ものすごいジェラシーを感じてしまうんです(笑)。

●自分と同じ方向性でがんばっている人を見つけたりするとジェラシーを抱くと。

Neat's:そうそう。「うわっ! この人、このワクワクを知ってんのか!」って。なんか負けてられないって思う。

●なるほどね。ところで春にはツアーが控えていますが、ライブに対してはどのような心境なんですか?

Neat's:うーん、ライブはね、結構苦手なんですよ。

●苦手なんですか?

Neat's:うん。

●デビュー当時のライブのMCで「メロンパンを食べようと思って買ってきたけど、緊張して食べられない」とか言ってましたけど。

Neat's:怖い怖い。

●怖い?

Neat's:すごく怖い。すごく緊張するし。

●でも最初にも言いましたけど、最近のライブはあまり緊張しているようには見えないんですよね。もちろん経験にもよるんでしょうけど、以前とくらべてステージのNeat'さんはかなり自然な感じになってきたと思うんですよね。

Neat's:そうですね。でもまだ100%ではないんです。そういう風に自然になれるときが10%くらいあるんだけど、それをまだコントロールできないんです。緊張に飲まれて失敗するときとかあるんですよね。

●印象的だったのが、1年前の『Wonders』リリースパーティーのMCで「今日ここまで来るのにすごく怖かった」と言っていたじゃないですか。

Neat's:それ覚えてます。

●そのMCの後のライブがすごく良くて。それまではなんか緊張しているというか、浮き足立っているような印象を受けたんですけど、MCで気持ちを全部さらけ出して、その後のライブは曲に入り込めていた。そういう様子を見て、すごくセンシティブな人だと思ったんです。だからこそ、曲に上手く入り込めたらすごくいい表現に繋がる。

Neat's:そうなんですよ。それももうわかってるんです。

●自分でもわかってるのか(笑)。

Neat's:私も、なにも考えずにシャッと曲に入ったらすっごく良くなれるということがわかってるんですけど、それは1年前にデトックスしたときと同じで、色々と自分にロックがかかってるんですよ。

●ああ〜、なるほど。

Neat's:それに打ちのめされちゃってダメになるときも多くて。そういうのが全部外れるバンドのリハーサルのときとか、何も考えてなくてリラックスしてるときとかがいちばんよく歌えちゃうんです。

●余計なこと考えちゃうとダメになるのか。

Neat's:“かっこつけよう”とか“うまくやろう”とか思っちゃうとダメですね。

●そういうことを思うのは当然ですからね。

Neat's:そういうことを考えたくないから「考えるな」と自分に言ってるんですけど、それ自体も余計なことですよね。その余計な気持ちとかをどうやって落ち着かせたらいいかまだよくわからないんです。サービス精神だったんですよ、みんなを楽しませたいっていう。せっかくのライブなんだからって。

●サービス精神というのはわかりますが、“表現”という部分でいうとそういう気持ちは余計なのかもしれないですね。ショーじゃなくてライブなので。

Neat's:そういうのも本当にめんどくさいんですよね。変なサービス精神と、生真面目さと。そういうものを全部「パンッ!」と消せたらいいのになって。そういうのがさっき言ってくださったMCだったんです。ものすごい失敗をしたライブの次とか。そういうときは逆にそういった余計な気持が全部外れるんですよね。

●もう開き直るというか、やるしかない、みたいな。

Neat's:開き直りですね。きっとそうなってるんだ。

Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:Kaori.T

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