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ROCKBERY RECORDS

新進気鋭のレーベル、ロックベリーレコーズより、今ライブハウスで話題沸騰中のアーティスト3組が同時期にリリース! 今ならまだ遅くない! 必聴!

ハイファイコーヒーズ

摩訶不思議サウンドと、卓越した言葉遊びの究極コラボ

2005年、大阪の堺で結成し地味に活動していた彼等が2009年ROCKBERY RECORDSに所属したとたん、自他ともに認めるライブバンドへと変貌を遂げることとなる。現在ツアー真っ最中でもある彼等のツアータイトルは“ツアーバンドみたいなツアー2011”と題され、2ヶ月で40カ所以上という超過密スケジュール。ツアースケジュールもさることながら、タイトルも大胆不敵。しかし、その勢いこそが彼女等の武器であり、知名度とその演奏力を爆発的に高めた起爆剤であることは間違いないだろう。
もちろん、その行動力だけが彼等の強みであるわけではない。彼女等の楽曲の持つ世界観は一言で言い表せない程の振り幅があり、予測不可能。その中毒性の高い摩訶不思議な世界観こそが彼等の最大の魅力なのだ。昨年からリリースされている『Hi!』、『Fi!』、『co』という3枚のミニアルバムと、『ffee』というライブDVDに続き、ミニアルバム『'S』がタワーレコード限定で9月にリリースされた。セルフタイトル5部作のラストを飾る今作も、その奇才っぷりが遺憾なく発揮されている。M-1「アロウズ9」の“和”を感じさせるギターリフ、いっきに畳み掛ける攻撃的なサビのメロディーから、メロディアスなブリッジパートへの流れは、一言でいうとドラマティック。目まぐるしく展開する楽曲の中、ストレートで力強いVo.マリの声がその存在感を一層強めている。彼女はロック向けのシンガーであることは間違い無いが、『'S』でも特に異彩を放つジャジーな名曲M-2「犯人」では声色を使い分け、ジャズシンガーさながらの歌唱力でその存在感をアピールしている。
文学的な歌詞と、雅なメロディがノスタルジーを感じさせるM-3「さつき」や、ガレージサウンド全開のM-4「天狗」は楽曲のもつ世界観もさることながら、人間が作り出した物質社会へのアンチテーゼかのような歌詞が秀逸。続くM-5「コクドーニゴー」はメロディアスなベースラインがボーカルラインを引き立て、ギターの美しいアルペジオが見事に融合するロックバラードなのだが、『'S』の中では逆に異彩を放っている(ように感じてしまう)。
ラストを飾る「太郎じゃないん」は、冒頭のロックオペラ調のギターリフからは想像もできない極上ポップネスなサビへと繋がるいい意味で“カオス”な展開で、グルグルと頭を掻き回される。アウトロの少年隊の仮面舞踏会のフレーズ(オフマイクでマリが叫んでいるだけ)まで楽曲の一部だと錯覚してしまうのだ。年間150本というライブを経て、未だ成長し続けている彼女等の魅力が詰まった最新作『'S』で、ハイファイコーヒーズは形容不可能な新ジャンルを作り上げてしまったのかもしれない。

the whisper

男女3Vo.が縦横無尽に駆け回るPOPサウンド


2003年5月にお酒の勢いに任せ、福岡県久留米市にて結成されたthe whisper。男女トリプルボーカルという珍しい構成を武器に、極上のポップサウンドが持ち味である彼等が会場限定のニューシングル 『Rainbow!』をリリースした。“次世代のポップミクスチャー”と形容される彼等の楽曲は底抜けにポップで、中でも女性Vo.hihoの甘い声が印 象的。今作『Rainbow!』は、思わず飛び跳ねたくなる軽快なリズムの「30!!」からスタート。途中、サンバホイッスルが鳴らされたとか思えば、タ テノリ必至のラップパートへと展開。後半の転調もライブでの盛り上がりを予感させる。
M-2「baby dip」は3ボーカルの魅力が最大限に発揮された、切ないラブソング。音域も、歌い方も違う3人がそれぞれバランスよくパート分けされていて、リフレイン も耳に残りやすい。爽やかなギターのカッティングが小気味よく、彼等がただ勢いだけに任せているバンドではなく、確かな演奏力と楽曲センスを兼ね揃えてい るということが伺える。
ラストに収録されている「レインボーレインボー」は、ブリティッシュなサウンドを全面に押し出したロックナンバー。サビでは確実にシンガロングがまき起 こるであろう「ヘイユー!」のかけ声とともに、体をシェイクするオーディエンスが容易に想像できる。この曲が、the whisperとお客さんとの文字通り“虹の架け橋”となることは間違い無いだろう。『Rainbow!』を引っさげて、全国のポップミクスチャーファン 達を紡ぐ大きな虹を描く日はもう目の前だ。

ロマンチスト

全世界に訴えかける愛と平和のメッセージ


“なんて温かいんだろう”、「世界一のラブソング」を初めて聴いたとき、直感的に感じた感想である。シンプルなエイトビートのリズムにのせて、語りかけるように温かく、そして力強く歌うVo./G.トヨの声は素直にかっこいい。
パンク・フォーク・ソウル・ロックンロールミュージックを独自の“パンカソウルミュージック”というジャンルで解釈し、引き継ぎ発展させるロマンチス ト。バンド名とは裏腹にがっつり骨太なパンクサウンドが信条だが、ニューアルバム『P.S.M』発売前にリリースされたシングル『世界一のラブソング』で は文字通り最高のウォームフルなロックバラードを聴かせてくれる。
11月リリースの『P.S.M』は実はまだ完成しておらず、アルバムのサブリード曲となる「世界一のラブソング」を聴きながら、まだ聴かぬアルバムに想 いを馳せながらこの原稿を執筆させてもらっている。シングル収録曲の「歌と楽器で世界を笑え」や「四六時中」では、思わず拳を突き上げたくなるようなパン クサウンドを聴かせてくれる。中でも「歌と楽器で世界を笑え」は、ポリティカルでアナーキーな冒頭の歌詞と、疾走感のあるサウンドが印象的。“救え”では なく、“笑え”と言い放つロマンチストはとにかく気持ちがいいし、彼等らしい。これほどまでストレートに愛と平和のメッセージをぶつけられると、考えさせ られると言うより、自分がいかに平和ボケしていているのかが恥ずかしくなってくる。と、こう考えてしまっている時点でロマンチストの策略にはまっているの かもしれない。
震災や台風の被害を受けた日本列島で、今必要なのはロマンチストなんだ! 今からアルバムがこれほど待ち遠しいのは、きっと僕が彼等を必要としていたからだろう。

摩訶不思議サウンドと、卓越した言葉遊びの究極コラボ

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