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T.C SPEAKER × 5exit

SPECIAL SPLIT INTERVIEW T.C SPEAKER × 5exit[Vol.1]

2006年結成、キャッチーな楽曲を武器にして大阪を拠点に活動を続け、昨年6月に1stミニアルバム『Good-bye My World』をリリースして全国ツアーを大成功させたT.C SPEAKER。同じく2006年に大阪にて結成し、ツインヴォーカルから繰り出されるエモーショナルかつエネルギッシュなライブを重ねてきた3ピース・メロディックバンド、5exit。活動拠点は同じながらもあまり絡みのなかったこの2バンドが再会を果たし、この度スプリットCDをリリースする。同作のリリースを記念して、今月号ではT.C SPEAKERからDAISUKEとIcchy、5exitからはUKとSHOGOを招き、2ヶ月連続企画第一弾となるSPECIAL SPLIT INTERVIEW[Vol.1]を敢行した。

Interview

「いつもと同じように、自分がやるべきことを追求していこうと思います。それが5exitに対していちばん見せたいところだし」

「この2バンドのジャンルの違いとかもいろんなところで出てくると思うんですけど、そういうところをぶっ壊していきたい」

●5exitはT.C SPEAKERが所属するレーベル・Sensory records第二弾アーティストということですが、結成6年目なんですよね?

UK:そうです。僕は入って3年目なんですけど、最初はメンバーが5人いたんです。

SHOGO:最初の3年は暗黒時代で…。

Icchy:暗黒時代って(笑)。

SHOGO:今の3人になるまではメンバーチェンジで苦労しまくったんです。

●T.C SPEAKERとの出会いは?

SHOGO:最初に出会ったのはUKが入る前で、大阪のライブハウスで対バンしたんやったっけ?

Icchy:はい。そのときは僕らも前任のヴォーカルでした。

DAISUKE:僕はUKさんが入ってからの印象があまりないんですよね。UKさんが入ってからは対バンもほとんどなかったので。

SHOGO:そうやな。お互い今のメンバーになってからは年1回対バンすればいい方やったよね。

●5exitは今回のスプリットが初の全国流通音源ということですが、このスプリットはどういうきっかけで決まったんでしょうか?

UK:T.C SPEAKERが所属しているSensory recordsに僕らも入ることが決まって、最初はシングルを出そうという話だったんです。でもそれだとありきたりだから、だったらレーベルメイトのT.C SPEAKERと一緒にスプリットを出そうと。お互い新曲も入れつつ、デモ盤にしか入ってない曲を再録して入れたら作品としてもおもしろくなるだろうと思って。

SHOGO:それから対バンする機会が増えて、よく話すようになったよね。

DAISUKE:今年、長野でめっちゃ久々に対バンしたんですけど、思っていた5exitと全然印象が違ったんですよ。"めっちゃかっこええ!"と。なんか黒かった。

●黒かった?

DAISUKE:尖ってたというか、黒いオーラが出てた。

SHOGO:ギラついていたんです(笑)。

UK:同じレーベルになるということが決まった直後で、レーベルメイトの前で変なライブをやるのは嫌やっていう気持ちがものすごく強くて。

SHOGO:俺らの方が年上やし、まず最初にシバいとかなあかんと。だから気合しかなかったです。

UK:「今日は絶対T.C SPEAKERに負けんとこうな」とか言って。

●そういうのいいですね(笑)。

DAISUKE:僕らは先にライブが終わって機材を搬出しなあかんくて、5exitのライブはちゃんと観れなかったんですよ。でも少しでも観ときたかったので、機材を他のメンバーに任せて僕は1人で戻ったんです。で、ライブがすごくかっこいいなと思って。僕の後でIcchyも観に行ったんですけど、Icchyに「かっこよかったやろ?」と訊いても「いや、そんなに」って言うんですよ。

●あ、そうなんですか。

DAISUKE:でもその日の打ち上げで、最後まで残って人も少なくなってきた頃に、ベロベロに酔っ払ったIcchyが「本当は5exitかっこよかったんだよ。でも、なんか悔しくってさ」って言ってました。

一同:アハハハハハ(笑)。

Icchy:その日のライブを観て"ヤバい!"と思ったんです。

UK:僕ら絶対にナメられてると思ってたんですよ。だから認めさせたかったんです。一緒のレーベルでやっていくということで、下に見られたくなかった。

●そのスプリット『REVERSIBLE』ですが、それぞれデモ音源の再録を3曲ずつと、新曲が1曲ずつ、合計8曲収録ですよね。ちなみに新曲はどれとどれなんですか?

SHOGO:5exitの新曲はM-3「All my hate」で、T.C SPEAKERの新曲はM-4「Dog on the Street」です。

●あ、それはすごく意外です。「All my hate」と「Dog on the Street」は、今作の中でも結構インパクトのある楽曲じゃないですか。バンドの最も得意とする音楽性の芯の部分を出したというより、2曲とも振り切れている印象があって。

Icchy:「Dog on the Street」はスプリットが決まってから作った曲で、KAZUKIが作ったんですけど、いっぱい候補がある中で、僕が今いちばん歌いたいと思ったのでスプリットに入れようと。

●その時点でのいちばんいい曲で挑もうと。

DAISUKE:そうですね。

SHOGO:俺らの「All my hate」はスプリットに入れようと思って作ったわけじゃないんですけど、新曲をたくさん作っている中でスプリットが決まって、じゃあこの曲にしようと選んだんです。

●「All my hate」はものすごく攻撃的な曲ですよね。歌詞とか読むと"なにか嫌なことあったんか?"と心配になるくらいなんですけど。

UK:アハハハハハ(笑)。

●曲はどうやって書いてるんですか?

SHOGO:このメンバーになってからは俺とUKの2人で曲を書いていたんですけど、最近はUKが曲を書いて俺が歌詞を書く感じです。UKが作ってきた曲からイメージを膨らませて歌詞を書くんですけど、「All my hate」はUKも「歌詞は殺す系でよろしく!」みたいな感じで。さっきT.C SPEAKERに対して「最初のライブではシバいとかなあかんと思った」と言ってましたけど、僕らは基本的にいつもお客さんをシバくくらいのつもりでライブをやっているんです。そのいちばん攻撃的な感情を歌詞にしようとしたら"hate"という言葉が出てきて、そこから膨らませた感じです。

UK:作っている中でいちばんパンチのある曲を入れたかったんです。そこに加えて、これからの5exitも感じさせるような楽曲がいいなと。

Icchy:「All my hate」は最近の5exitのライブっぽいですよね。UKくんっぽい曲。

DAISUKE:この曲も黒いですよね。それに加えて、何か刃物的なイメージがあります。

●T.C SPEAKERの「Dog on the Street」を聴いて、どう思いました?

SHOGO:今までのT.C SPEAKERにはなかったよね。こんなリズムパターンもあるんやって。めっちゃポップというわけではないんですけど、クールさもありつつキャッチーで。ちょっとハネてるイメージもあって、聴いててめっちゃノリやすい曲だと思う。

UK:この曲はKAZUKIっぽいよね。他にこんなの作る奴おらんのちゃうか? と思うくらいKAZUKIっぽい曲。昔からT.C SPEAKERの曲は展開が読めないんやけど、今回も展開が読めない感じがありつつ、ダークな雰囲気もあって。

●今回2バンドの曲を並べて聴いたから余計にそう感じたんですけど、T.C SPEAKERはポップだし、5exitは全体的に感情の濃度が高いですよね。

Icchy:そうですね。

SHOGO:UKも俺も哀愁感が好きというか、そういう意味でメロディに対するこだわりが強いです。ポップ過ぎる曲はウチには作れないと思う。

UK:うん、作れない。ポップ過ぎると"それ嘘やん"となるんです。基本的に俺は病んでるので(笑)、作ってたら自然にエモい感じになるんです。1人でおるときとかめっちゃエモい人です。

一同:ハハハハハ(笑)。

Icchy:UKくんが入る前の5exitはもうちょっとポップだし、クールなイメージだったんですよ。でもUKくんが入ってから、感情が曲にしてもライブにしても爆発的になったと感じていて。今、「1人でおるときとかめっちゃエモい」と聞いて納得できました(笑)。UKくんは普段一緒にいるときはポップな人なんですよ。社交性があるというか。

UK:そうやね(笑)。でも初めて会う人とかだと緊張するし、そういう性格だからライブとかもストレスになったりするんです。それは仕事でもプライベートでも全部そうなんですけど、そういうので疲れて、家に帰って1人でギター弾いて作るから感情的な曲が多いのかもしれない(笑)。

●そしてリリース後は2バンドでツアーをまわるんですよね。単純に考えて、比べて観られることも多いと思うんですが。

DAISUKE:そうですね、フフフ(笑)。

UK:笑うな(笑)。

Icchy:でも、幸い今まであまり対バンしていなかったということもあって、お互いのお客さんがカブってないんですよ。だからそれだけでもこのツアーは意味がすごくあると思っていて。

SHOGO:ジャンルも違いますからね。3ピースと4ピースという畑の違いもあるし、T.C SPEAKERはどっちかというと洋楽寄りのバンドと仲が良かったりするけど、ウチは3ピースのメロコアと仲が良かったりする。このツアーではこの2バンドのジャンルの違いとかもいろんなところで出てくると思うんですけど、そういうところをぶっ壊していきたいですね。お互いのバンドの色も違うし、お客さんにはそういうところも楽しんでほしいですね。

Icchy:去年の6月にミニアルバム『Good-bye My World』を出したとき、THE NINTH APOLLOというレーベルのツアーに参加させてもらったんですけど、そのときと近いんですよね。そのツアーはお客さんから対バンから全然違うので僕らめっちゃ苦労したんですよ。メロコアっぽい人たちが多かったので、最初は僕らもモッシュを起こそうとしていたんですけど、途中から"そこじゃないな"と気づいたんですよね。"T.C SPEAKERらしさ"を考えるきっかけになって、すごく自分たちのためになって。

SHOGO:うんうん。

Icchy:最近5exitと対バンしても、あからさまに5exitのときの方がお客さんが暴れているんですよね。でも僕らの場合はお客さんが暴れていたらいいという話ではなくて、自分たちらしさを大切にしてツアーをまわりたいですね。

UK:これだけ一緒にまわったら喧嘩にもなるかもわからへんし。

SHOGO:おもしろいな(笑)。絶対に喧嘩するやろうな。

Icchy:僕とSHOGOさんとは絶対するでしょうね(笑)。でも、僕らの方が年下ですけど、先にCDをリリースしている分、言えることは言っていこうと思ってます。

●切磋琢磨していこうと。では最後にDAISUKEくんツアーの意気込みを教えてください。

DAISUKE:カップリングツアーですけど、僕はいつもと同じように、自分がやるべきことを追求していこうと思います。それが5exitに対していちばん見せたいところだし。

●相変わらずスター的な発言ですね。

一同:アハハハハハハハハ(笑)。

Interview:Takeshi.Yamanaka

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