音楽メディア・フリーマガジン

UNDERLAND

この5人でしか見ることのできない景色がある

結成5年、ラウドシーンで精力的にライブを重ねてきたUNDERLAND。

メンバー個々の個性を昇華させたダイナミックなアレンジと、感情を揺さぶるメロディ、自身の内面に照射した視点から説得力のあるメッセージを紡ぐ彼ら。

バンドとしての強さを深みと貫通力を増したニュー・ミニアルバム『SAIL AWAY』は、その名をよりシーンに知らしめることになるだろう。UNDERLANDは新しい一歩を踏み出したのだ。

Interview

●このメンバーが集まったのは2007年で、バンドとしては結成5年になるわけですが、曲はどのように作っているんですか?

小倉:僕か清都が1コーラス程度作ったものをスタジオに持っていって、みんなでアレンジしています。ジャムりながら作ることもありますけど。

●基本的にラウドでバンド感のあるロックサウンドですけど、全員が同じベクトルに向いているというか、アレンジ全体がメロディに寄っている印象が強かったんですよね。

小倉:メロディは僕が全部作っているんです。それにドラムアレンジは僕とひかり(佐藤)で一緒に作っているし、ギターとベースは僕と各パートのメンバーが弦3本のラインを相談して作っていて。清都が曲を作ってきた場合は凝ったギターのものが多いんですけど、それをよりキャッチーにして、歌がギターに食われないようなアレンジを心がけているというか。

●信哉さんは以前やっていたKILLING SKILL48を脱退し、バンド人生を一度リセットしたわけじゃないですか。その後メンバーを見つけてこのバンドが始まって。この5人が出すグルーヴのどこに魅力を感じているんですか?

小倉:このバンドでは自分が歌っていていちばん気持ちいい曲やアレンジになるし、メンバー同士の仲がいいので、この5人でやれていること自体がすごく幸せなんです。小野と佐藤と僕の3人で一緒に住んでるし。

●同棲してるんですか?

小倉:はい。

●肉体関係は…?

小倉:まだないです。

●今作はどういうイメージで作られたんですか?

小倉:新曲のM-2「SAIL AWAY」を中心に作品を作りたいと考えたんです。作品として、やっぱり前向きな感情を伝えたかった。ライブハウスとかは、けっこう後ろ向きな子が多い気がしていて。日本全体のことになると僕は分からないですけど、前よりも将来が暗くなっているように感じていて。僕もそうなんですけど、前向きにならないとやってられないというか。だから今作は、前向きになれるような歌詞と、そう思えるようなアレンジで。

●サビで解放するようなニュアンスがどの曲にもありますよね。

小倉:そうですね。全曲サビで明るくなることは意識しました。前作『STADIUM e.p.』(2010年10月)はライブを想定して作ったので勢いのある6曲だったんです。でも今作は勢い系とか雰囲気が出せるものとかちょっとラウド寄りのものも入れて、"前向きな力がある"という共通テーマはありつついい意味でバラエティに富んだものにしたかった。

●ふむふむ。

小倉:今まではガッツリと全力で攻めるイメージがあったんですが、そうじゃなくて、ちょっと引いた歌声とかグルーヴを出すような曲とか。そういう曲は、今まではお客さんの反応が少し怖くて、ライブで自信満々には表現できなかったんです。でも、そういう曲も僕たちの表現の一部だと気づいたので、今作で自信を持ってやろうと。

●「SAIL AWAY」は聴いてくれる人の背中を押すようなメッセージ性もありつつ、自分自身に歌っているような気もしたんですが。

小倉:自分に言ってますね。もちろん聴いている人に呼びかけてはいるんですが、自分にあったことや自分が思ったことを書いているので。まあ受け取った人が好きに解釈してくれればいいんです。僕は僕で自分を曝け出して「こう思うんだけど、どう?」というメッセージを書いたつもり。バンドを始めて10年ちょっとになるんですが、バンドを始めた頃は、単に得意だからとか楽しいからとか、ちょっとモテたいからとかでやっていたんですが。だんだんいろんな人と話したりいろんな音楽を聴いたりするうちに、"曲を作るということはこういうことなのかな"と少しずつ分かってきて。今はまだ途中の段階だけど、自分が伝えたいと思えるようなことが出てくるようになりました。別に歌詞をまったく知らなくても聴いたらテンションが上がるとかでもいいし、このアルバムの中の一言だけでも考えが変わるとかでもいい。リスナーというか日本中の人の何かしらのきっかけになればいいなと思います。

●信哉さんはなぜこのバンドをやっているんでしょうか?

小倉:もともと音楽しかないというか、"音楽がなくなったら俺って何になるんだろう?"という想いが根底にはあるんです。映画とか、他のアーティストの音楽で僕自身がすごく変わってきたという実感があるので、僕もそういうことができるんじゃないかと信じていて。自分の存在証明を残したいという想いもきっとあるでしょうし、何かが変わってくれたらベストだと思っているからバンドをやっているんでしょうね。

●なるほど。

小倉:なぜそう思うかというと、前のバンドでELLEGARDENのツアーサポートをさせてもらったとき、僕たちのCDを買ってライブにも来てくれて、まったく知らない人たちが一緒に歌ってくれたり、「この曲好きです」とかすごく嬉しいことを言ってくれたりして。"音楽が伝わっているんだな"という実感がすごくあったんですよ。あれをもう一度体感したいというか、もっともっとという欲も出てきていますね。

●記憶が身体に残っているんですね。

小倉:そうなんです。"やっぱり音楽は伝わるな"と。

Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:Hirase.M

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