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YAZAWA’S BOOK

成りあがり 大好きだね この言葉 快感で鳥肌が立つよ

矢沢永吉激論集
成りあがり
How to be BIG

1978年7月15日 小学館
※写真は角川文庫版

28歳ですでにスーパースターと呼ばれ、所得番付にも登場するようになった矢沢永吉が78年に発表した、激論集『成りあがり』。今だに愛読書としてこの本を紹介する著名人も多いほどの有名本だ。

当時は、これだけのスターが赤裸々に全てを語り、さらけ出すのはタブーであり、衝撃的な事として社会現象ともなった。“この本に書いたことは、あくまでもオレ自身の背景だ。読者は、特殊な例だと感じるかもしれない。でも、オレは、だれもがBIGになれる“道”を持っていると信じている。”まさにこの本のメッセージはここにある。

目次

○広島 成りあがり 大好きだね この言葉 快感で鳥肌が立つよ/ なんで金がないんだろう どうして両親がいないんだろう 口癖はおばあちゃん おもしろくない/ おばあちゃんとの幼年時代 悲しみのヒーローだったけど いじけのヒーローにはならない/ 銭で買えないものがある? 冗談じゃない おまえ そんなこと言えるのか/ 愛読書は カーネギーの「人を動かす」 新聞はスミからスミまで目をとおす/ 方向を見失った時 人間はいちばん苦しい オレには音楽があった。

○横浜 最終の夜汽車で東京へ 夢と現実が半々の状態だった 広島がぐんぐん離れて行く/ オレには戻るところがなかった オレのバンドは オレの汗で始まり オレの匂いで終わった。

○キャロル 芸能界はミカン箱商売だ キャロルは最低の契約を結ばされていた 信頼した人に裏切られたんだ/ オレの職業は歌うことだ レコード ステージ ファミリー この三本柱だけは大切にする。

○E・YAZAWA キツイ旅だ おまえにわかるかい 山三つ越え乗り込んでいく ロックで超満員にしてやる/ 反撃しろ 攻撃しろ 戦いの前提は負い目がないこと 自分の手でメシを食って 誇りを持つこと/ ハートで汗をかいているかどうか そこが大事だ 芸能界でやっていない 自分のやり方でやる/ おまえは ほんとに何が歌いたいんだ その問いにオレは答えてる 十万の目の前で汗をふりしぼって答える。

※目次の一部をご紹介します。すべてが生きた言葉の連続です。少し乱暴な表現もありますが、28歳の矢沢がぶつけるストレートな感情と、その裏に潜む真実の心の叫びを感じ、読み取ってほしいと思います。

JUNGLE☆LIFE編集部 平井孝明(PJ)

矢沢は臆病だ。 これは、 マジで思う。

アー・ユー・ハッピー?

2001年2月15日 日経BP社
※写真は角川文庫版

『成りあがり』から20年以上の時間をかけて出版された『アー・ユー・ハッピー?』は、矢沢永吉の生き様にまつわる事情を時間軸で追いながら、心のヒダまでさらけ出してしまう臨場感あふれるノンフィクションとして仕上げられている。“大事なのは自立ですよ。自立なんですよ。自立ってのは何か。自立していれば、堂々としていられる。何でも言える。大事なのは自立だ。矢沢は自立してます。矢沢王国の王様として自立してる。”

○オーストラリア事件 身内に横領されていた。被害総額三十億円以上 ○裏切り 1980年、マネージャーの裏切りはきつかった ○マリアとの出会い 離婚と再婚 オレには前の女房と子どもがいた。「あなたは裸の王様よ」と言う女と出会って・・・思えば、ずっと女に育てられてきたんだ。 ○レコード会社移籍 移籍のエサは、「アメリカでのデビュー」だった。誰も本気じゃなかったし、成功するはずのない計画。そのあと、一からやり直しだ。ほんとに一から。 ○臆病について 矢沢は臆病だ。これは、マジで思う。臆病ってのは、ある種のレーダーなんだ。臆病だから考える。臆病だから、勝つために冒険する。 ○コンサートを仕切る いいステージをやりたい。 ○制作 招聘ライセンス だから自分の台所で自由にステージ制作やる。 ○興業 最初の一年、それをやってみて、驚いた。大赤字だ。 ○ドラマとCM 音楽一筋なんて、ふかして言っちゃいけない。 ○ビジネス ビートルズがお手本だった。 ○オーストラリア事件が教えてくれたこと 簡単なんだ、ルールってものは。 ○アメリカ 日本のスター矢沢、それがなんぼのもんでもない。 ○家族 最初の女房と子どもに、なにもしてやれなかった。 ○ファン でも、ファンが稼いでくれるんじゃない。マネーをつかみ取ったのはオレ自身だ。 ○音楽 オレは音楽を愛してる。 ○マスコミ 日本のマスコミには最低最悪な連中がいる。 ○カネと幸せ カネはたしかに便利だが、絶対的なものじゃない。 ○ウェンブリー 世界のトップアーティストとコンサート。でも扱いはひどかった。 ○オヤジのツッパリ サラリーマンをバカにしてたら痛い目にあうぞ。

矢沢永吉51歳の時に出版されたものだが、50代ってのはすごくいいもんだと語っている。それは、探し続ける20代、あがき続ける30代をちゃんと通ってきたから、言えることかもしれない。“20代、30代の矢沢はマジすぎるほどマジだった。一部の人間には迷惑なくらいだったと思う“と回想する。この書は、人生の「指南書」スーパースターは、傷つき、立ち上がり、成し遂げてきた。矢沢永吉と言う存在はあまりにも悲しくて、力強く、いとおしい存在だと感じる。

JUNGLE☆LIFE編集部 平井孝明(PJ)

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