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ラックライフ 全メンバーインタビュー メジャーでの軌跡と現在の4人の想い

●昨年5月にメジャーデビューして、今回アルバム『Life is beautiful』がリリースになりますが、実際にメジャーで活動してきたこの9ヶ月間の実感というか感想をお訊きしたいんですが。

イコマ:周りからは「メジャーデビューしたら忙しくなったでしょ?」とかめっちゃ色々言われるんですけど、やっていることは特に変わっているわけでもなく。確かにちょっと環境は良くなりましたけど、“変わったな”という感覚は僕は無いですかね。

●やっていることはあくまでも今までの延長線上で。

イコマ:そうですね。ラジオとかの機会は増えたりして、色々とやらせてもらっていますけど、ガラッと変わったというより幅が拡がった感じというか。

●なるほど。大石くんは?

大石:俺は変わったという印象が強くて。デビューした頃から去年の秋くらいまではあまり実感がなかったんです。もちろん色んな人が力を貸してくれるようになって、環境がどんどん良くなったというのはわかっていたんですけど、秋のツアーの頃から来てくれる人が増えたということもあって。

●ほう。

大石:明らかに、メジャーデビューしてなかったら出会えなかった人がたぶんめちゃくちゃ来てくれているんですよ。あとはスタッフサイドのテンション感というか、ラックライフに対する熱量みたいなものもどんどん強く伝わってきて。そういうのがあって、俺らももっともっとがんばらなあかんのかなって。具体的に言うと、ライブハウスのキャパとかももっと上げていかなあかんとか…そういうことを思うようになってから、年明けから毎日筋トレしてます。

●メジャーデビューの実感から急に筋トレに繋がるんですか? なんかおかしくない?

一同:アハハハ(笑)。

大石:いや、ツアーを一旦終えて、改めて考えたんですよ。“今年はもっと上に行かないといけない”と。それでランニングとかしたり、ドラムのセッティングを変えたり、筋トレをしたり。とりあえず自分がもっと良くならないと上に行けないなと思ったんですよ。

●ああ〜。

イコマ:確かにプレッシャーみたいなものはめっちゃ大きくなっていて。

●変わってるやん(笑)。

PON:「あまり変わってない」とさっき言うてたやん(笑)。

イコマ:ライブ前とかに緊張する度合いが増すようになりました。今まではライブ1本するのも、自分らでブッキングを組んで、物販も自分らでやっていましたけど、今はブッキングこそ自分らでもしますけど、全部スタッフがやってくれて、何やったらご飯まで買いに行ってくれるようになって。そしたらもう、ライブくらいしかやることがないんですよ。

●なるほど。

イコマ:これトチったら俺がいる意味ないやん、と。

●本当だ!

イコマ:そういう意味でのプレッシャーがすごく増えたというか。

●たくくんはどうですか?

たく:変わってきたなという実感は少しずつありますね。それこそ前のツアーで、ソールドアウトした箇所が結構多かったんですけど、来てくれるお客さんが増えているということはラックライフのことを認識してくれている人が増えているということで。そういう部分で、“もっとがんばらなあかんな”という気持ちは強くなっていますね。

●ライブに関する変化というか成長の実感はありますか?

PON:最近は、以前と比べて全然違う見せ方になっていると思います。勢いというか熱量みたいなものはラックライフの1つの武器として認識していますけど、それ以外の繊細なところも出していくようなライブを研究しているし、今チャレンジしていますね。

●そういうことはメンバー間で話したりするんですか?

大石:セットリストを決める段階で少しだけ話して、ライブが終わった後に「あそこはもうちょっとこうやったな」みたいなことを少し。基本的に発信源はPONなので、そういうところは任せている部分が大きいですね。

たく:だから「今日のライブはこうしよう」みたいな話し合いは特に無いんです。話すとすれば、「この曲のこの部分ももうちょっと盛り上げよう」みたいなところくらいかな。後は各々に任せているというか。

●ライブが変わってきているという実感はあるんですか?

大石:ありますね。フロント3人とお客さんを見ることができるのは俺しかいないですけど、ライブ全体のテンション感によって自分を押し引きできるようになったというか。

イコマ:俺の場合は、それこそプレッシャーが大きくなってきているので、ステージに上がるのが怖いくらいになるときがあるんです。例えば前回のライブでミスしてしまったこととかをフラッシュバックしてしまって…そんなに繊細ではなかったはずなんですけど(笑)…だから冷静さを保てるようにする必要があるし、あまりがむしゃらに演奏するというより、静と動をうまく使い分けることが出来るようになれたらなと思って、最近はそういうところに挑戦しています。

たく:それは僕も同意見ですね。

●あ、乗っかった。

たく:冷静にライブをやろうという意識は以前より強くなりました。勢いだけじゃないっていう。

●みんなの発言は共通しているような気がするんですが、逆に言えば今までは気持ちが高ぶるままにライブで爆発させていた。

イコマ:そうですね。何も考えずに“楽しい!”というライブだったんですけど、考えるようになりましたね。音楽的にもパフォーマンス的にも質を上げていかないと、ライブがもっと良くならないだろうなと思って。

●“もっと良くしたい”と思うからこそ、ライブが変わってきたんですね。

4人:そうですね。

●ちなみに、それぞれが考える“いいライブ”とはどういう定義ですか?

4人:うーん。

たく:難しいですね。

大石:なんとなく“いいライブ”が何なのかは、わかってきていると思うんですよね。

●自分の中でのポイントはどういうところですか?

大石:うーん、ライブ中に“素”の瞬間があったときは、良くないライブだったのかなと思うんです。自分が“こうなるやろ”と思ってやってても会場全体のテンションがそうならなくて、“ヤバい”と焦って空回りするというか。

●逆に、“素”になる瞬間がなかったときがいいライブだと。

たく:僕の場合はベタですけど、やっぱりお客さんと僕らの一体感…盛り上がる曲はお客さんも盛り上がってて、聴かせる曲はめっちゃ入り込むというか突き刺さるというか。それが出来ているときはめっちゃいいライブやと思うんですけど、出来ないときもあって。でも僕らだけが“良かったな”と感じてるんちゃうかな? と思うときもあるし、“あかんな”と思ってても周りから「めっちゃ良かったで」と言われるときもあるし。そこはまだ基準がはっきりわからないですね。まあでも、いちばんのポイントは一体感かなと思いますね。

●なるほど。

イコマ:個人的に考える“いいライブ”は“俺かっこいい!”と思える瞬間が何個あるか。それがポイントというか基準になっていて、バンド全体の“いいライブ”というのは、ライブが終わった後の3人の表情というか、雰囲気でなんとなくわかるような気がするんです。

●顔を見たらわかるということ?

イコマ:それこそライブが終わった後に話し合ってて、よくなかった日というのは「あそこもっとこうした方が良かった」とか「ここはこうするべきだった」みたいな意見が飛び交うんです。基本的にはPONと大石の発言が多いんですけど、それを聞いていて“そうやんな”と自分も思うところが多くて。

●へぇ〜。

イコマ:逆にいいライブのときは、「あそこ良かったよな」みたいなメンバー全員に共通している感覚があるというか、そこの食い違いはあまりないんです。だから“いいライブ”の認識はメンバーみんな同じような気がするんですよね。

●感覚的な部分で。

イコマ:そうですね。言葉で表現するのは難しいんですけど、エモーショナルな日もあるし、楽しい日もあるし、泣く日もあるし、いろんなライブがあると思うんですけど、「どれがいいライブか?」と問われたら…ライブ後の話し合いの話題があまり無い日(笑)。

PON:いい箇所はあまり言わないんですよ(笑)。僕らそういうタイプで、お互いのことは褒めへんけど、あかんことは言う。みんな褒めないんですよ。

●ラックライフがそういうメンバーだということは有名な話ですよね。

PON:何なんですかね。それが出来てて当たり前、みたいな感覚があるんでしょうね。会社員の人って仕事して当たり前じゃないですか。そういう感覚と近いかもしれないですね。

●ちなみにPONくんが思う“いいライブ”は?

PON:すごく抽象的なんですけど、キラキラが見えるときがいいライブなんです。

●うわ、ヤバいこと言い始めた。

一同:ハハハ(笑)。

PON:演っているときもそうだし、他のバンドを観ているときもそうなんですけど、いい瞬間っていうのはすごくキラキラして見える。ステージから何かが出ているような、客席を飛び交っているような、その場所がすごくキラキラしているように見える瞬間が、いいライブには絶対にあって。いつもより世界が輝いて見えるというか、その感覚は昔からあるんですけど。

●でも言ってることはなんとなくわかります。僕の場合は、客席で観ていて“うわ! なにかヤバいことが今起きてる!”と感じるときがあるんですけど。

PON:そうそう! ライブを観ているときとかだと、身体がドン! と押されている感覚があるというか。すごく抽象的な話ですけど、あの瞬間はすごくドキドキするし、そういうものを見たいためにバンドをやっていると言っても過言ではない。そういう日はやっぱりメンバーみんないい顔しているし、お客さんも楽しそうな顔してるし。確かなものではないけど、共通認識としてはあるかもしれないですね。

●なるほど。そして4/29にはなんばHatchでの開催が4回目となる“GOOD LUCK 2017”がありますが、楽しみですね。

4人:楽しみです!

●今年はどんな感じになりそうですか?

大石:去年から決めていたことなんですけど、出演者の数がいつもより少しだけ少ないんですよね。各バンドしっかり観てもらおうと思って、各バンドのライブの時間を少し増やしたんです。

PON:今年出演してもらうバンドは、いつもと同じくメンバーで「あーだこーだ」と相談しながら声をかけさせていただいて。いいメンツが揃いました。今年も地元バンドが少し多めなんですよ。

●そうなんですね。今年はどういう感じでやろうと思っていますか?

PON:いつもと一緒ですね。どこでやるのも同じ気持ちで。そりゃあ仲間のバンドのライブを観たり、憧れている先輩のライブを観たりしたら、当然のことながら感じることは山ほどあると思うんです。でも、その日までにどれだけ自分たちが積み重ねていくことが出来るかが勝負、というようなところがあるので、気合いが入らないわけはないし、“いつもと同じようにしっかりやりましょうか〜”くらいに思っているくらいがちょうどいいかなと。

イコマ:ただ、今回はメジャーデビューして初めてのなんばHatchでもあるので、後輩や地元の人たちに、成長した姿を見せることが出来たらいいなと思いますね。

●うんうん。

大石:このイベントが徐々に知られてきているということは少しずつ感じているんですけど、だからこそ、当日は自分たちがぶっちぎりでいちばんいいライブを演らなくちゃいけないなとは思っています。後輩のバンドもたくさん観に来てくれるだろうし、“やっぱりすごかったな”とか“このイベントに出たいな”と思ってもらえるような日にしたいですね。

●主催イベントですけど、ラックライフだけのものではなくなっているというか。

大石:だから来年以降も続けたいですし、なんばHatchももちろんいい会場ですけど、ゆくゆくはもっと大きな会場でやれるようにしたいです。

PON:そういう夢のような話がいいですよね。最終的には万博記念公園で出来たらいいな。

●いいですね。“GOOD LUCK 2017”の後は、5/12から7/21までツアーがありますね。

たく:今回のツアーは久々に行くところもあるので、久々に会える人もいるだろうなって。楽しみですね。

●まだ発表になっていないですけど、対バンツアーはどういうメンツなんでしょうか?

PON:知っていたけどあまり一緒にやったことがなかった人たちとかが多いんですけど、改めてこのツアーをきっかけに新たな繋がりが生まれそうな感じもしているんです。

●お。

PON:崇拝している先輩もいれば、同世代でがんばっている人たちもいたり。

●やっぱり対バンとワンマンだと心持ちも違いますよね?

PON:違いますね。対バンの方が余裕で燃えちゃいますよね。

●でしょうね。ワンマンは、言ってみれば全員が自分のこと好きという状況だし。

PON:そうそう。だから甘えが出ますよね(笑)。

●甘えんのかい(笑)。

PON:対バンは直前にいろんなことを感じることが出来るからいいですよね。自分がステージに立つ直前に、対バン相手のライブを観てめちゃくちゃ刺激を受けるというか。だから心が爆発しそうになるんです。

●おお。

PON:さっきまで“今日はこうしよう”と思っていたけど、対バンの人たちがステージでこういうこと言って、ああいうライブをして、感動して、考えていたこと全部入れ替えてしまうとか、思っていたことと真逆のことをステージで言ってしまうこともあったりして。それがおもしろいです。対バンならではの刺激のもらい方っていうか。

●それにこれだけの本数の対バンツアーを経た上でのワンマンは、バンドがめちゃくちゃ成長しているでしょうね。たぶんキレキレですよ。

大石:ムキムキになってますかね。

●いや、筋肉の話じゃなくて。

PON:その中でどう甘えたライブをするかっていう(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

interview:Takeshi.Yamanaka

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