音楽表現には様々な幅や細分化が為されるなかで、どのジャンルも大きく分けて"歌もの"と"インスト"の2つに分かれています。あたしは長い月日を経て、ちょうど今は、歌ものとインストどちらの表現も自分でも納得のいく精度と質感で皆さんにお届けできるように仕上がってきました。
では演者からして、歌ものとインストの選択はどこで線引きされるのでしょうか。
視点や考え方はルーツや環境によって変わると思いますが、ひとつあたし的に考えているのは、メロディが印象的かつ歌ものでもインストでもいける場合、そのメインを張る演者の好みやキャラクター性、表現できる技術の向き不向きでも選択が変わってくることです。
R&Bやソウル、ジャズなんかも同じ選択肢が生まれ、歌ものとインストどちらの形でも演奏されることで、地域や世代を超えて広まっていっているのではないでしょうか。セッションスタンダードなどはその権化だと思います。
三味線音楽においてひとりで民謡コンサートを行う場合、「ソーラン節」をインストで演奏する場合は"独奏"という表現で区分されます。このように民族音楽でも歌っても楽器で弾いてもどちらで演奏しても、イカした形になりやすいものは割と自由なのです。
CHiLi GiRLのインスト曲は、デビュー頃のシングル「愛の罠」にカップリング収録した「horoyoi」という曲のみで、あとはすべて歌ものに仕上げています。しかしライヴでインスト曲をやりたい場合は、川嶋志乃舞時代の曲を今でも取り上げています。
よくやるものだとcity shakeやUKIYO FUNK、ここ最近はNHK FM「民謡をたずねて」のためにCHiLi GiRL解釈で編曲し放送されたISOBUSHI house remix(with 宮野弦士、MPC GIRL USAGI)などがあります。
才能巻き込み型プロジェクトたるCHiLi GiRLのステージに快く巻き込まれてくれているCLG BANDと共に、心ゆくまで楽器で遊びたくなりそうなタイミングで、これらインスト曲を持ち出すことがあります。
川嶋志乃舞からCHiLi GiRLになってからはソロパートが入った歌ものを演奏することの方が圧倒的に多いのですが、完全インスト曲がやりたくなる頃にも条件があるのかもしれないと自負しています。
それはCLG BANDが、まるでさっきまで遊んでたのとは違うゲームを持ってきてくれるように、楽器でもって楽しくて興味を引くアプローチをしてくれるタイミングです。それで必然的に経験も増えるし技術も上がってきました。
マリオカートに例えてみます。あれには様々なコースがあり、プレイヤーの多くにとって得意不得意が出てきます。コースは音楽で言えばジャンルです。
ダートコースのカーブが苦手だったり、レインボーロードでまっすぐ走れなかったりするのに、ココナッツモールではエスカレーターの登り下りがはっきり分かったり。
コースがあるのは音楽も同じで、極端に言えばシティーポップは得意でもデスメタルはなかなか難しい、ということです。(極端すぎるか)
作家として生きているなら、ある程度全コースを把握し、そこそこのスピードと正確さでゴールを決めていかなければいけない場面も必要かもしれませんが、アーティストである以上、器用すぎず自分らしさを極めていくことで良いとも思います。
得意なコースを走るには、圧勝するのもつまらないのが音楽だったりします。得意なコースではもちろん勝ちたいのだけど、できれば良い接戦の末に勝ちたいし、負けても楽しい、引き分けなら尚楽しい、そんなライヴや作品作りが良いのです。
おそらくあたしの得意なコースは、ご機嫌なココナッツモール的コース。ファンクにR&B、ポップス、ときどきHIP HOP、それから忘れちゃいけない日本民謡。
でもいつもコースで新記録を出し続けるのじゃ退屈だから、今年からは違うコースであるジャズとサンバもできるようになってみたい!ファインプレーもしたいから、真似事ではなく、真の芯から出来るようになってみたいとも思っています。
(余談ですが、マリオカートもマリオテニスもヨッシー一択です。ぺろん)
ではコースでファインプレーを出すにはどうするのか。
これがあたし的には最も大事なポイントで、自分の楽器の都合はもちろん、歌詞やメロディやブレスから為る歌のこと、一緒にアンサンブルしてくれる他楽器のことにも教養をつけることで、より研鑽を積むことができると考えています。
東京藝大の長唄三味線専攻は、主専攻の長唄三味線のほか、必修科目として副科に長唄(唄)、邦楽囃子(篠笛、小鼓、大鼓、太鼓のいずれか)を取らないとなりません。
洋楽器の場合、ヴァイオリンやフルートなどの子たちは副科でピアノを取らなければならないことが多く、邦楽にせよ洋楽にせよ、一緒にアンサンブルをする他の楽器を知ることが必須とされています。
歌を学び、楽しんで研鑽を積んできたお陰もあってか、楽器だけじゃ闘いきれない場合はスキャットを交えながら三味線を弾くなど、自分の闘い方でファインプレーを編み出せるようになりました。
セッションやソロバトルでかなりの数を闘ってきた中で見出した戦法。歌ものを超えて、楽器と共に活きる瞬間がここにあり!といった感じですね。
あたしのように飽き性で負けず嫌いの人間にとって、仲間のお陰で歌ものかインストかの表現をすんと切り替えられ、しかも質の良い状態で遊んでくれることは幸せなことです。これで一生、ストレスなく無邪気に心から音楽ができます。
ところで最近、身近なミュージシャンのうち、楽器が上手くて国内外で活躍しているのに、本人の次のチャレンジとして発表された歌ものアルバムが方向性がバラバラで、色んなものを歌いすぎて声質の良さも何を伝えたいのかも分からず質が良くなかったり、逆にめちゃくちゃ歌が上手いのにギターやキーボードの技術が10年前から全然変わってなかったりと、いろんな人がいることに気がつきました。
といいつつ矛盾するのですが、これで良いのかな?と思いながらリリースしたりSNSに投稿して、生の反応を受けて知ることもたっくさんあるので、水面下で温め続けて研鑽を積まなければならないものかどうかの選択も、センスと勇気が要ると思うのです。
30歳になってもまだ、悔しいという気持ちはかなり頻繁に湧いてきます。笑 でも少し自分の位置が上がったのか、素晴らしい相手のファインプレーを体感した時に、ただ悔しいという気持ちだけでなく、すんげえ…!という感動も持てています。まさに爽快!クリエイティブにずんずん刺激されます。
先に例を出した方向性や技術が曖昧になるのは、おそらく自分の世界だけで悔しい気持ちを留めてしまっているから、というのがひとつ理由な気もしています。
素晴らしい仲間にどんどん出会う事で新たな手法や技術、そして一番つらいことだけど、今現在の自分ととことん向き合いまくって、最後には一番自分に似合うもの、そして楽しめているものに出会えることが最高だと思うのです。
あたしはそれが、歌と楽器です。
◆リリース情報◆
2025.5.21(水)リリース
NewSingle「Recalculate」CHiLi GiRL
M1 Recalculate
M2 Recalculate(English ver.)
作詞(日・英)/作曲/編曲:Shinobu Kawashima
編曲/演奏:友重悠
英語詞添削:Michael Potter
アートワーク:亀井桃
https://CHiLi-GiRL.lnk.to/Recalculate
◆イベント情報◆
チケット情報▶︎https://clg-tokyo.bitfan.id/schedules/menu/34068
2025.6.10
川嶋志乃舞( CHiLi GiRL ) 著
あたしの考える楽曲制作における大切なポイントは、「好き」「似合う」「作れる」「やりたい」。これを理解することで、一番フィットする曲を作ることができ、企画やステージ、アーティスト自身をコーディネートできると考えています。
まず、「好き」。これは活動を永く、健康的に続けていくために最も重要なポイントかもしれないです。
好きな気持ちがあれば自然と興味が湧き、自分に血潮(ルーツ)にその音楽を宿すことで再現性やマナー、更には新しい調合(組み合わせ)の発見までつながる可能性があります。
CHiLi GiRLにとっての「好き」は、渋谷系(渋谷派)、R&B、アシッドジャズ、HIP HOP、ソウル、サンバ、映画音楽から派生するイージーリスニングオーケストラおよびサウンドトラック。これら全てが少しずつ、好きゆえにCHiLi GiRLの曲に宿り、調合され、完成されています。
次に「似合う」。これはセルフプロデュースの上での最重要ポイント。これを理解するためには、自分の性格、声質、言葉のチョイス、顔付きや体型、服装、考え方、ステージでの振る舞い方など、内外問わず自分を形成するもの全てとのフィット感を考えることにもなります。
先に紹介した「好き」がしっかりしていれば、言葉や声量、ファッション、振る舞い、総じての雰囲気が自分の中に根付き身にまとうことができ、「似合う」に近付いていくのもそう難しくはないはずです。それなりの時間や研究、トライアンドエラーは伴いますが。
ただし、趣味はあるけど別にこれといって自分を形容する何かがあるわけではない人も当然いるわけで、「これといって好きなものはない」人でも、「似合う」は第三者の力を借りて見つけることだってできるわけです。キャラクター付けしてもらって活動するアイドルや、ほかにも「美人すぎる〇〇」として得意なものに形容を加えてもらって個性を強くしていくアーティストなんかもそれではないでしょうか。
続いては「作れる」。これはまさに作家向きなポイント。「作れる」から「好き」でも「似合う」でもないので、自分のプロジェクトというよりは、職業作家として必要そうなポイントに見えるかもしれませんが実はそうでもないのです。
特に日頃から好んで積極的に聴くわけではないのだけれど、良いものだということは判るし、構造も理解できる、よって「作れる」というわけです。
長く活動していれば、自分の作曲の癖が見えてきて、作るのも聴くのも、時にマンネリ化する場合があります。こういう場合に「作れる」音楽が多いと役に立つことがあります。
例えば、元気で明るい曲ばかり「好き」だし「似合う」からといってたくさん作ってくると、90分のワンマンライブでは展開に変化がなくなってしまいます。そこで、メロウでスウィートな曲を「作れる」という実績が少しでもあれば、普段の「好き」で「似合う」ものに少々掛け算し調合してみて、新しい音楽を生み出すこともできるのです。 更にその調合がうまくいくと、全くのオリジナルカラーになります。「作れる」とは、その作り手の知識の深さと調合センスをも意味しています。
川嶋志乃舞時代の楽曲では、かなりこの「作れる」を実践してきました。今でこそ「作れる」曲の中から「似合う」をセレクトできるようになってきたのですが、三味線を持ってポップスシーンの土俵に立っていた初期、「作れる」曲が多かったからこそ、ブッキング難民にならずに食い下がってこれたと振り返ります。
そして最後に「やりたい」。「好き」でも「似合う」でも「作れる」とも違う、自分自身の強い意思。これぞアーティストの醍醐味!重要ポイントですね。
「好き」だし「作れる」のに「似合わない」、こんな寂しいことで曲を諦めるのは自分の可能性を自分で潰してしまうことにもなります。さんざん「好き」「似合う」「作れる」と紹介してきましたが、何よりもこの「やりたい」が大事なはずです…!
「やりたい」から「似合う」ように努力するし、「作れる」ようになったり、「作れる」人にお願いしたりして、自分の意思を叶えていく。何よりこれが永く音楽を楽しむために必要なことではないでしょうか。
CHiLi GiRLは音楽制作においては、とんとんと自分の「好き」で「似合って」「作れる」、つまり「やりたい」と言わなくても叶えてきてしまったと自負しています。間違いなく、お願い事を叶えてくれる素晴らしい仲間たちのお陰です。
しかし、いざライヴとなると今まで別に「やりたい」と強く思わなくても叶ってきたこととは変わり、「この人と”やりたい”!!」「この編成で面白いことを”やりたい”!!」という気持ちが前に出てくるのです。
「やりたい」という意思はそれだけ、自分を含めて人を動かす力を秘めていると思います。しかし「やりたい」に出逢うには、じっとしていては見つからないし、湧いてこないのです。外に出たり、調べたり、とにかく見聞を得て初めて見るものに刺激を受けた時に「やりたい!」が湧いてくるのではないでしょうか。「好き」で「似合う」をサラリとこなしてきているだけでは、「やりたい」と思わなくても「できちゃう」ものです。それも刺激的ではないのも事実。
でも、この衝動的で機動力抜群の「やりたい」と思う感情をサイクルしていければ、この先いくつになっても、どんな職業でも、豊かで楽しく過ごしていけると思うのです。
それで今回、ライヴ以外でも「やりたい」な感情が久しぶりに湧いてきた新曲が5/21(水)にリリースになります。
今年は、昨年大変お世話になったCHiLi GiRL×MPC GIRL USAGIの共同アメリカツアーは作品をもっと温めてからより良いものにしようという話し合いの元、2026年内への延期にて現在ふたりとも、制作を鋭意進行することにいたしました。
ただ、やっぱりこのところ世界中の人がCHiLi GiRLを楽しみにしてくれている、わからない日本語も理解しようと歩み寄ってくれているのを日々実感します。
でもどうしても、歌詞に英訳を全てつけているわけじゃないから、本当の意味まで理解するのが難しいという声もあり、私ももどかしい気持ちになります。
そんなわけで、だったら英詞ver.を作っちゃおう!世界中にもっと届く形でレコーディングを「やりたい」と湧いてきて、同曲ながら日本語ver./英語ver.でリリースしちゃおう!と決めました。
「Recalculate」、日本語で”確かめ算”という意味の新曲。あと10日と少しです。どうぞお楽しみに♡
◆リリース情報◆
2025.5.21(水)リリース
NewSingle「Recalculate」CHiLi GiRL
M1 Recalculate
M2 Recalculate(English ver.)
作詞(日・英)/作曲/編曲:Shinobu Kawashima
編曲/演奏:友重悠
英語詞添削:Michael Potter
アートワーク:亀井桃
https://CHiLi-GiRL.lnk.to/Recalculate
2025.5.10
川嶋志乃舞( CHiLi GiRL ) 著
曲はファッション同様、コーディネート(以下、コーデ)するものだというのが自論です。TPOに合わせて自分に一番似合う曲を選び奏でるといったイメージ。
決まったコーデの上にアクセサリーや靴下、帯や衿芯をどう挿してお洒落しようか、ということもあると思います。たとえば、民謡人がどんな現場にも自分のコンセプトや役割に相応しく着物で行くようなケースです。
しかしあたしはCHiLi GiRL。才能巻き込み型プロジェクトの長なのです。衣装は勿論、曲もその時々に合わせてコーデしていくことが多い線にいます。
それに、いろんな世界を見たいから、CHiLi GiRLは本コラムタイトルでもある"文化間バックパッカー"としての好奇心を持っている以上、その場その時の環境を柔軟かつ大胆に楽しむこと、そして新しい友達が増えることが活動の本意であり、前進の種なのです。
前回記事にあるように、ジャズクラブデビューをした際に、いつも通りの編成でいつも通りの曲をやることも楽しかった。とはいえ、楽しいだけで曲や衣装を決めているだけではプロとは言えません。
その場を守ってきた店長やオーナー、通い慣れているお客様には筋違いというものです。
せっかくジャズクラブに招かれ演奏させていただく機会をもらったからには、きっとなんらか、あたしに期待や可能性を持ってくださっていたんだと思います。嬉しくもあるこのプレッシャーを払拭するには、まずは相手の環境を知ることがいちばん。
マナーを知り作法を司り、そしてその中に必ずある朗らかでチャーミングな隙を見つけて狙い、自分らしさで突く。
これぞCHiLi GiRL志乃舞流、相手の懐や環境に入る、文化間バックパッカーとして歩んできたコツなのであります。
▶︎1/8 川嶋志乃舞 meets Jazz Feels' @赤坂Verela, ジャズクラブ
▶︎1.19 LOVE SPiCE LAB vol.0 新春トークショー @王子music lounge
▶︎1.22 LOVE SPiCE JAM vol.7 @下北沢rpm, セッションバー
▶︎3/24 LOVE SPiCE LAB vol.1 三軒茶屋grapefruit moon
▶︎3/7 はらみ生誕祭,楽曲提供発表日 @水戸電脳秘密基地 ,コンセプトカフェ&バー
▶︎3/29 LOVE SPiCE 神社 @六本木Electrik神社,ミュージックバー
今年に入ってまだ4月とはいえ、振り返れば多種多様な仲間や環境で自分のショーを演ってきたなと、我ながらよく頑張った…と少しここでほっと一息。
さらに私のお客様の他にも、店の常連のお客様もいらっしゃる環境が多いのも再発見。
みんなそれぞれの店が好きなんですよね。めちゃくちゃ分かります。あたしも各お店だいすき!
再三ですが、心から仲間入りさせて頂いて自分らしさを最大限出すために、そしてCHiLi GiRLが一番求めている「また会おうね、大好きだよ!」を相手から貰うには、相手の愛する環境を何よりよく知ることが大切なのではないでしょうか。
自分の連れてくるお客さんだけでいいなら、自主企画LOVE SPiCEシリーズで好きなことを好きなだけやるのは絶対大事。それこそミュージシャンシップであり、ファンの期待に応えることでもあります。
だけど、機会があって出会いがある音楽人生だからこそ、国内外問わず、これは永遠に課題だと思うのです。
日本で大きなフェスに出ても、海外の小さなカフェで初めましての環境でやるときはきっと、このことを振り返るべきだと思うので、今回は自戒と備忘録として纏めました。
次回は、懐に入るためのTPOにあった音楽コーディネートについてご紹介します。
テーマは「好き、似合う、作れる、やりたい」を区分すること!
★おまけ★
毎月企画してたらメンバーの誰かが誕生日で、毎回ケーキを用意してはびっくりさせ続けてきたのもなんだか楽しかった!みんなが嬉しいのがあたしも嬉しいのです。おめでとう♡
▶︎北川アツトくん(ArTact始動もおめでとう!)
▶︎宮野弦士くん、きたいくにとくん、片山士駿くん(みんな立派な名前なのでとにかく間違いなく慎重にチョコペンしてもらった)
▶︎MPC GIRL うさぎぃ!マイバディ!
◆アルバム情報
<リリース情報>
◆CHiLi GiRL『CARAI』 2024年9月4日(水)好評発売中!
収録曲:
1.FLY
2.サマーロマンス計画
3.Secret Secret
4.Scrolling Girl
5.strawberry chocolate night feat. MPC GIRL USAGI
6.Summer Sniper
7.One Q feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
8.Make You, Make Me
<CD限定 Bonus Track>
Live at Shibuya WWW(2022.7.10)
9.都会の森
10.Bitter Young
11.泣き虫の星 feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
◆CHiLi GiRL『MAGIC HOUR』(NACK5平日帯番組 NACK5時ラジテーマソングタイアップ) 2024.11.1デジタルリリース
https://clg-tokyo.bitfan.id/contents/209324
2025.4.10
川嶋志乃舞( CHiLi GiRL ) 著
2025年、本年もよろしくお願い申し上げます。
2nd Album「CARAI」リリース日米ツアーを無事に終え、たくさんの意味で世界が広がる日々でした。
自分の信じる文化とはなにか。
自分の好きな文化の共通点とはなにか。
考えてみると尽きないし、新たな答えにいつも出会うからコラムを書き続けて言語化することで備忘録をつけているつもりでいます。
ただひとつ、共通することの現段階での答えがあります。それは、大小や長短を問わず伝統があることです。
たとえば渋谷系という音楽もそうではないでしょうか。サンプリング文化から始まり、以降新たなリズムやコード、楽器の選択が成されたとしても、大切にしているロマンの部分が継承されているからジャンルの名前が付いて確立されているのではないかと思うのです。
純粋にジャンルを変えずに継いでいくことこそが伝統と思われがちですが、実はそうでもないと思うのです。
先日ブルーノート東京で見たincognitoも、acid jazzというジャンルの祖でありながら、彼らの中にはジャズをはじめ、ファンクやソウルの伝統も生きています。
CHiLi GiRLも謂わばそれで、三味線という伝統楽器を使っているから伝統音楽というわけではなく、あたしの中にある伝統は民謡など日本音楽のほかに、渋谷系、acid jazz、シティーポップ、イージーリスニングオーケストラを含む映画音楽、ゲーム音楽…先人から受け継がれてきたロマンたる伝統が詰まったニュージャンルなのかもしれません。それを今、名前を付けるには難しいのですが。
川嶋志乃舞作品時代から「ジャンルの境を果敢に攻め続けるアーティスト」として紹介していただいてきました。
アメリカツアー中は、キリスト教会でのゴスペルバンドとのコラボのためにゴスペルが5曲歌えるようになったことを振り返ります。
今年2025年の初ライブでは、小曽根真リーダーバンドTRiNFiNiTYのメンバーとして国内外の大舞台で活躍しているDr.きたいくにとくんとの縁で、赤坂のジャズクラブVeleraに出演させてもらいました。それもあって、One Note SambaやMoody's Mood For Loveなどのジャズナンバーも用意し、自分の挑戦心はこれでもかとくすぐられました。
▶︎三味線 vs Drumsのバトルムービー
Ba.北川アツト、Pf.吉田ナミト
https://www.instagram.com/reel/DEmg3P_JtWr/?igsh=MXUwMjBrdTVubG5sNw==
いつどこで、残りの人生において自分の伝統となるものに出会うのかも未知数だからこそ、好奇心が止まらないのかもしれません。
ジャズも渋谷系も映画音楽も、幼い頃からふとしたタイミングで、知らぬうちに自分の血潮に流れていたものの、しっかり掘って聴くぞとなったのは20歳前後だったと思います。それまでは世代や環境的に、やはり邦ロックやアニソンがなにより身近でしたから。
その中でも、ジャズルーツやファンクルーツ、渋谷系ルーツのものに惹かれていたのは間違いないと思うのです。アニソンも、アキシブ系ばかり好んで聴いていました。
そういった自分の中にある伝統を、サブスクやライブで聴きながら調べ究めて、自分の音楽に落とし込んできました。
しかし最近は、まさにその伝統の核となる場で演奏する機会にも縁があったので、ここで伝統に触れずにやり過ごすわけにはいかないと思うのは、あたしがそうやって民謡や日本音楽を研究してきたからだとも自負しています。そうしないと気持ちが悪いのです。
やるならちゃんとやりたい。マナーや作法を知りたい。取ってつけた完成ではなく、リスペクトを持って本当の完璧(完成+自分らしさ)で披露したい。あたしの性分ですね。
幼い頃は自然と何度も聴くだけで血潮に流し込めていたものもありますが、大人になった今、というかプロになった今、それだけでは足りないのです。
自分が本気を出して取り組んだ時に血潮に流れはじめて、寝ても覚めてもその伝統が溢れて自分の個性や作品となり、ホンモノになるのだと思います。
CHiLi GiRLは文化に触れることで、ホンモノになるのです。
2025年は更に、好奇心旺盛で、更にクオリティの高い音楽をお届けすることをお約束します。
そんなあたしに先ほど、まさにこれぞ、あたしの伝統と言っても過言ではないゲームが届きました。
この中から数曲、2/24のCHiLi GiRL企画「LOVE SPiCE LAB」で生演奏披露します。本気でね。おたのしみに!
◆ライブ情報
◆アルバム情報
<リリース情報>
◆CHiLi GiRL『CARAI』 2024年9月4日(水)好評発売中!
収録曲:
1.FLY
2.サマーロマンス計画
3.Secret Secret
4.Scrolling Girl
5.strawberry chocolate night feat. MPC GIRL USAGI
6.Summer Sniper
7.One Q feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
8.Make You, Make Me
<CD限定 Bonus Track>
Live at Shibuya WWW(2022.7.10)
9.都会の森
10.Bitter Young
11.泣き虫の星 feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
◆CHiLi GiRL『MAGIC HOUR』(NACK5平日帯番組 NACK5時ラジテーマソングタイアップ) 2024.11.1デジタルリリース
https://clg-tokyo.bitfan.id/contents/209324
2025.1.10
川嶋志乃舞( CHiLi GiRL ) 著
先月10月回はお休みを頂き、楽しみにしてくださっている皆様にはお待たせしてしまいました。
アメリカツアーから帰国後、自分の心身に大きな変化があったようで、どうしてもその反動というか、馴らしが必要な時期に当たってしまいました。先月の帰国後の期間を大きい視野で振り返ると、あたしの人生において、大袈裟かもしれないのですが間違いなく大変化の時期だったと思います。
その間、あたしは30歳になりました。
20代までにやってきたあらゆる踏ん張りや頑張りの多くは、自分の作品を作るという主軸に乗っかりながらも、いつも誰かのために動いていたことが殆どだったかもしれません。
ーーーこれを作ったら、これを企画したら、こんなチャレンジをするぞと提案してみたら、きっとあの子もこの子もその人も楽しんでくれるに違いない。楽しんでくれるならどんな努力も惜しまないし、むしろ任せてほしいかも!
基本的には、パッケージこそ川嶋志乃舞やCHiLi GiRLとして表に出るものであっても、いつもその気概で活動をしていたようです。(だいぶ他人事の語り口ですが、俯瞰してみた結果こんなオチ。笑)
アメリカツアー帰国後に色んな新しい友人と知り合ったり、馴染みの仲間と合ったりする中で、「志乃舞ちゃん、わがまま言っても良いんだよ!もっとわがまま聞かせてよ!」とか、「志乃舞ちゃん自身は本当はどう思ってるの?もし何かあれば遠慮しないで本音言って良いんだよ」と言葉をかけてもらう日が多いなあと感じるようになりました。
当のあたしといえば、割と三歩先の事まで考える癖があって、目の前の感情で揺さぶられない訓練が日々成されてしまったおかげなのか、せいなのか、自分の感情を第一優先することよりも、結果この状況や仲間がハッピーになれば何でもいいやと落ち着くことがあるので、我慢しているとも違うのです。
それよりも、誰かが悲しんでまで自分のわがままを押し通す方が、あたしも辛いのです。
もちろん、どうしても自分のこだわりを曲げられないことはあります。たとえばそれは、作品に対してもプライベートに対してもですが、ダサいとか、具合が悪いとか、イケてないとか、自分の感覚がボキャ貧になるくらい説明するに至らないような、ただただ素直な感情が湧き出てきたとき。
それを通すためには、相手にもちゃんと納得してもらったり、本当に嫌な時はちゃんと意思表示してみたり、やはりそれに関わる人がハッピーに落ち着くように提案をするようにしています。
あたしがご機嫌でいることを喜んでくれる友達がいるのもちゃんと自負しているので、幼稚にわがままや好き嫌いを言ってみることも、"ときどき"はあります。
ただ、多くの場合はどこかオトナになってしまう割合が高いようでした。それをみんな、実は気にしてくれていたのです。
人は皆、惹き寄せられてそこに集まるのかもしれません。オトナになり過ぎず、でも今まで気にかけてきた伝統芸能的な気遣いや所作も自分らしさと思っているので、バランスを見ながら過ごすことで、まわりも気張らず、背筋を丸めてほんわりと優しい空気を作れるのかもと気がつきました。
そして、ここまできてそんじょそこらの失態じゃあ、お互いに嫌いになるわけがないという強い信頼も同時に得られるのかもしれないとも気がつきました。むしろ、駄目なことや苦手なことがある方が、人間らしくてお互いにもっと愛し合えるかもしれません。
愛する仲間と過ごすこと、新しい出逢いがやってきたときの穏やかで聡明な振る舞いや距離感。これが出来たら素敵だなと思うのです。
人に気を遣ってわがままを言っていいと言われているものの、人との距離感がいつも近過ぎておかしいとも言われ、何かあれば猛省することも少なくないあたしです。それでも湧いてくる愛の形を、年齢とともに少しずつ変化させながら、言葉にしなくても信頼し合っていると感じる心もこれから更に育んでいきたいです。
MBTIはENFP(運動家)としてそのまんまの性格のあたしの、特に喜怒哀楽をよく知るCLG BANDとともにお送りするツアーファイナルは間も無く!
お気をつけてお越しください♡きっと最高の日になります。
<リリース情報>
◆CHiLi GiRL『CARAI』 2024年9月4日(水)好評発売中!
収録曲:
1.FLY
2.サマーロマンス計画
3.Secret Secret
4.Scrolling Girl
5.strawberry chocolate night feat. MPC GIRL USAGI
6.Summer Sniper
7.One Q feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
8.Make You, Make Me
<CD限定 Bonus Track>
Live at Shibuya WWW(2022.7.10)
9.都会の森
10.Bitter Young
11.泣き虫の星 feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
◆CHiLi GiRL『MAGIC HOUR』(NACK5平日帯番組 NACK5時ラジテーマソングタイアップ) 2024.11.1デジタルリリース
https://clg-tokyo.bitfan.id/contents/209324
<リリースツアー情報>
2024年11月17日(日)東京・青山月見ル君想フ
Key. 宮野弦士、Dr. 油布郁、Gt. カワコウ(GET BILL MONKEYS)、Ba. 川渕浩太(GET BILL MONKEYS)、Sax. 今井晴萌、Per.吉羽一星、Special Guest 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
チケット購入はこちら
https://clg-tokyo.bitfan.id/events/7622
2024.11.10
川嶋志乃舞( CHiLi GiRL ) 著
先月の胃潰瘍では大変ご心配をお掛けいたしました。お陰様で少しずつ療養して、今ではすっかり、通常程度には食べられるようになりました!そして、カリフォルニアに来てからはさらに、ホストファミリーの手作りご飯を食べ、近所のプールへ毎日通っては泳ぎ、英語をひたすら喋っては学びの日々で、制作と調整ばかりで吸収が枯渇していた日本での日々がゼロリセットされて、穏やかでありながら刺激的な日々を過ごしています。
2nd Album「CARAI」のリリース&全国流通発売、そして同日に日米ツアーが始まりました!
まずはアメリカへ来ています。カリフォルニアを拠点に、9/13にシアトルへ飛び、またカリフォルニアへ戻ってくるというスケジュールです。
この旅が成せるのも、ご支援いただいたクラウドファンディングの達成があってこそです。改めてほんとうにありがとうございました!
さて、どんなところでライブをしているかというと、まず今年は何にせよ種蒔き回になるので、ご縁のあるところへ私たちを知ってもらおうということで、ゴスペルクワイア&バンドとのコラボや、来週のシアトルでは地元で名を馳せるミュージシャンとのファンク&ソウルをベーシックにライブを行います。
自分たちの曲ももちろん演奏しますが、やはり土地や年齢層、会場の雰囲気など、オーナーやオーガナイザーからの注文もあれこれあるのは事実。いきなり自分たちの好きなことだけを演奏するというのもまだまだ難しいのも今回の学びです。
昔の、ブッキングを選べない武者修行時代を思い出します。
頭を悩ませることも多くて、チャレンジングで、どアウェー戦をどう突破して自分たちの芯や存在を見せつけるのか、知識とセンス、度胸と愛嬌がまさにものを言うのです。
キャリアを日本でどれだけ積んだとて、国を越えればそんなことより"良い音楽かどうか" "あいつら(私たち)をイケてると感じるか"が要なのです。SNSのフォロワー数なんて関係なくて、結果パフォーマンスが良ければ声をかけてアカウントはどれだと尋ねてくれるし、そうでなければその場でサヨナラの環境。
そんな正直な環境でたくさんの人とハグをできたということは、これは大成功だったのではないかと噛み締めています。そんな今、カリフォルニアは9/9 0:08。日本は9/9 16:09。
ちなみに、ゴスペルライブではなんと…CHiLi GiRLのトラックをベーシックに、メロディと歌詞をまるまるゴスペルスタンダードに差し替えるという荒業を成して乗り込んだわけでして。笑
どのようなことになったかは、ぜひこちらのアーカイブをご覧ください!(21:30〜36:00) https://www.youtube.com/live/gUzEgn6UFBg?si=ZBeHzd9YQgDUSoxw
1 . Introduction Jam
2 . 都会の森×Amazing Grace
3 . One Q×God's Got a Blessing
4 . strawberry chocolate night×I Will Bless the Load
原曲を知ってくれているCHiLi KiDSの面々は、不思議な気持ちにもなるし、案外ビタッとハマってるのも面白がってくれるはず!
かなりの大実験でしたが、おかげさまで会場からのレスポンスも溢れてきている様子も残っています。
あたしが大事にしているのは、どのジャンルへ入り込んでも曲をリスペクトする気持ちと、それを表現するための所作です。
民謡なら民謡の手揉み拍子があり、それからお囃子詞を客席から出す言葉の種類やタイミングがあるように、今回のゴスペルにも、先日乗ったルパン歌舞伎コンサートでも、クラシックの世界でも、マナーやルールではなく所作が大事だと考えています。
自由に表現はすれども、乱れず心を共にするためには、音楽という世界線では、マナーやルールではなくとにかく、所作なのです。
それを確かめられたことがなにより第一収穫!さあ、来週はどんなことが待っているだろう。
無理せず、元々頭をリセットして次の制作に向けての吸収をしまくることも目的においているアメリカツアーなので、バディであるMPC GIRL USAGIと共に無事故で日本に帰ります!
日本でのツアーは関西と東京。みなさん、CARAIを熟聴してね!
<リリース情報>
CHiLi GiRL『CARAI』 2024年9月4日(水)好評発売中!
https://dobeatu.lnk.to/carai ★各店舗予約特典別で受付中!
収録曲:
1.FLY
2.サマーロマンス計画
3.Secret Secret
4.Scrolling Girl
5.strawberry chocolate night feat. MPC GIRL USAGI
6.Summer Sniper
7.One Q feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
8.Make You, Make Me
<CD限定 Bonus Track>
Live at Shibuya WWW(2022.7.10)
9.都会の森
10.Bitter Young
11.泣き虫の星 feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
<リリースツアー情報>
2024年9月8,13,15日アメリカ
with MPC GIRL USAGI ★カリフォルニア、ロサンゼルス、シアトル
2024年10月19日(土) 神戸元町
with Sara Wakui
2024年11月17日(日)東京
Key. 宮野弦士、Dr. 油布郁、Gt. カワコウ(GET BILL MONKEYS)、Ba. 川渕浩太(GET BILL MONKEYS)、Sax. 今井晴萌、Special Guest 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
2024.9.10
川嶋志乃舞( CHiLi GiRL ) 著
大切な読者の皆さまへ今月号のご報告
毎月楽しみに読んでくださり、大変励みになっております。いつもありがとうございます。CHiLi GiRLの川嶋志乃舞です。
今月の執筆は、大変残念ではございますが下記リリース情報を中心として、タイトルともなっております"文化間バックパッカー"としての見聞執筆をお休みさせねいただきます。
7/31明方より突然の胃の不調があり、やむを得ず救急車で病院へ向かい、翌日の内視鏡診察結果にて胃潰瘍であることが解りました。
詳しい要因までの診断は下されませんでしたが、私生活と仕事の状況から考えて、日々の過労によるものではないかとのことでした。
皆様に第一にお伝えしたいこととして、自分にとって天職とも言えるアーティスト活動の全てに、心的ストレスを自覚するような辛いことは一切ありません。
しかしそうは言うものの、全てに抜かりなく全力で制作し、良いチームづくりをしながら作品やプロジェクトを遂行したいという、我慢強さが売りで、真面目すぎる性格がいつしか胃を蝕み、知らず知らずのうちにダメージが積み重なっていたのだと振り返っています。
まさに来月からはじまる日米ツアーについては、日々現地のスタッフや協力者と密に連絡を取りながら計画するのと同時に、ツアー開始と共にリリースされる2nd Album「CARAI」がなるべく広く広く知っていただけたらと、念入りに準備やキャンペーンを努めていた次第です。
さらに、ありがたいことに7月28日に開催された全日本津軽三味線競技会名古屋大会では、当佐々木光儀流光櫻会から「櫻響(榎本空也・日吉泰佑ペア)」がデュオ部門5位入賞の成績を残すことができました。
嬉しいこと、刺激的なことはもちろん、今頑張れば未来が明るくなると分かって懸命に物事を進めていたこと、そんなさまざまなことが重なり、間違いなく全てに夢中になって全力で取り組んでいたことで、心のSOSを察知できていませんでした。
なぜ身体ではなく心のSOSなのか。
私はあまり心のバランスを崩すことは無いのですが、とはいえ時々、やはりぐらつくことはあります。
だいたいそういう時にあたしは、目の前の課題に対してたとえば、心が泣きたくなるほど辛いことがあったとしても、脳みそでは冷静に捉え、風邪も拗らせず身体(器)は元気に動いている、という三点分離で常に過ごす癖であり特技があります。
人によってこの三点のどこが弱点かというのは全く持って変わってきます。だからこそ、いろんな人がいて面白いのです。
本来あたしは、心は大変に弱いのです。自信が極端に無い日もあるし、だから友達がそばにいつもいてくれないと萎れてしまいます。
脳みそが心と共鳴してわがまま放題だった二十代前半を思い返すと、経験値もだいぶ上がり、心のダメージを脳みそが冷静にカバーして、前向きに前向きにと言い聞かせていることはしばしば。
しかし今回の件は、そんな心のSOSが身体と、特に胃と共鳴してしまい、脳みそが誤魔化し続けてきた心的ストレスが胃に直結してしまいました。
実は私の家系で、母方は特に胃潰瘍に十二指腸潰瘍に、経験者ばかりです。
母は電話で「大丈夫ー?うちはみんなそうだから、働き者で優しい家系なのよ。気遣い屋で我慢強いのもね。頑張りすぎないでね〜」と、過度な心配の言葉ではなく、遂にしのちゃんもか、という落ち着いたトーンで励ましてくれました。
「身体が資本」と脳で解っているから、風邪を引きそうな現場や繁忙シーズンになると、身体を守るために、つまり楽しみにしてくれているお客様のために、脳みそではやはり最適な対策をジャッジしているお陰でら体調不良で現場に穴を開けることなんて過去10年で1度あったかな、という具合です。
鍛え上げられた脳みその冷静さが、無自覚のうちに心がだしていたSOSを慰め、誤魔化していたようです。
大変、物分かりの良い我慢強い、自慢の脳みそです。この脳みあったおかげで、辿り着けた世界はたくさんあったし、メジャーデビューとは異なるものの、ある世界線では前へ進むスピードも人より早かったと思います。
とはいえ、今こうして三点のうちの、脳みそ以外の二点を痛めつけてしまっていたことを改めて、今月はこのようなご報告を添えつつ、いつも通りの執筆をお休みさせていただきます。
胃潰瘍から10日、心はもうとっくに元気だと、未だ脳みそが思い込んでいます。
しかし、それもそのはずなのです。
胃潰瘍になったことで、たくさんの方から誕生日のお祝いの3倍近くご連絡をいただきました。
いつも仲良しのあの子から、遠い存在だった素晴らしい先輩、久しぶりのあの人まで。
そりゃあ、心が痛いどころか、あったかくてあったかくてたまりません。
みなさま、どうかご心配はそこそこに、私がこの胃をかけて準備してきた9月からの作品たちを、どうぞ思い切りお楽しみにしていただくことが何よりの薬です。
そして、暑い夏に加え感染病も潜んでおりますので、みなさんもご自愛いただき、元気に会場でお会いしましょう!
<リリース情報>
CHiLi GiRL『CARAI』 2024年9月4日(水)発売
https://dobeatu.lnk.to/carai ★各店舗予約特典別で受付中!
収録曲:
1.FLY
2.サマーロマンス計画
3.Secret Secret
4.Scrolling Girl
5.strawberry chocolate night feat. MPC GIRL USAGI
6.Summer Sniper
7.One Q feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
8.Make You, Make Me
<CD限定 Bonus Track>
Live at Shibuya WWW(2022.7.10)
9.都会の森
10.Bitter Young
11.泣き虫の星 feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
<リリースツアー情報>
2024年9月8,13,15日アメリカ
with MPC GIRL USAGI ★カリフォルニア、ロサンゼルス、シアトル
2024年10月19日(土) 神戸元町
with Sara Wakui
2024年11月17日(日)東京
Key. 宮野弦士、Dr. 油布郁、Gt. カワコウ(GET BILL MONKEYS)、Ba. 川渕浩太(GET BILL MONKEYS)、Sax. 今井晴萌、Special Guest 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
<ライブ情報>
2024年8月12日(月祝)北海道・札幌SOUND CRUE
2024年8月17日(土)東京・渋谷JZ Brat 「ジャンク フジヤマ with island etc. “真夏のLIVE 2024”」ゲスト出演
2024年8月27日(火)DOBEATU pre. 「歌ロマンJUNCTION」
2024.8.10
川嶋志乃舞( CHiLi GiRL ) 著
おそらく"夏の記憶"の原点は、多くの人にとって小中学生の頃の記憶ではないでしょうか。ともすれば、40°近い気温を叩き出す昨今の夏は、記憶にない気温だなあと感じ、狭い東京の家、クーラーには当たりすぎたくない、そんな窮屈さに加えての猛暑に辟易する日々です。
自分の機嫌を取ることが上手い方だとは思いますが、敵わないことも多く、大好きな日本から一度飛び出してゼロリセットしたいなと自分の中で思い募ってから早5ヶ月。
わたしは、そしてわたしたちは、自主アメリカツアーを充実したものにするためのクラウドファンディングに挑戦しています。
昨年12月にシンガポール国営ジャズフェス「SENTOSA JAZZ BY THE COVE」にともに出演したバディ、MPC GIRL USAGIと共に決断したアメリカ共同自主ツアー。更なる飛躍を胸に、7月22日までの期間で最大300万円を目指して挑戦しています。
表向き100万円をゴールとしていますが、それはあくまで1stゴール。300万円以上の支援が募ったら、別の国への海外企画や、EP作品の制作費として大切に昇華していく予定です。
なぜ私たちが海外へ、さらには今回のアメリカへ行くことになったのか。その経緯とサイトの紹介も兼ねて、ぜひ下記リンクからご覧ください。https://wefan.jp/crowdfunding/projects/CHiLiUSA
ふたりでよく「やりたいことを実現するには、どんなことにせよお金がかかるものだよね」と話しています。
海外へ行くための資金を貯めようとすれば、作品制作が停滞してしまう。作品をより良いものにしようと磨きをかければ、自主では海外へ行けなくなる。
じゃあ呼ばれるまで、見つかるまでじっと待ってるのかと言われれば、それも待ちきれない。
そこで、皆さんのお力をお借りしながら、自信を持って聴いてほしい作品を携えて旅に出ることにもなっています。
それが、CHiLi GiRL 2nd Album「CARAI」です。
CARAIについての詳しいお話は、来月号にてまた。ただ、これまでCHiLi GiRLの作品ジャケットに多く登場してきたチューリップをメインビジュアルとして世に放ちます。
あたためてきた作品をこれまで日本でリリースイベントをするだけだった私は、MPC GIRL USAGIというベストバディと共にアメリカへ行ってリリースツアーをするなんて、以前の私には考えつかないスペシャルなことです。
思い立ったが吉日。今年2月のある日に急にひらめいたアメリカへ行く決断は、先にも書いたようにゼロリセットをするためのものでした。もちろんそれは兼ねています。
日本でたっくさん頑張ってきた自分に、未知なるインプットをしてあげたいし、そこから新たな作品へのヒントや風を入れたい。
ツアーだからといって毎日ライブをするわけではなく、しっかり現地のみんなと仲良くなりながら、ひとつひとつのライヴに全力を出していく。
そして何より、ミュージシャンとして様々なところで音を出すわけではなく、アーティストとして私たちを見てほしい、愛してほしいのがもう一つの大きな理由です。
どうか残りの期間、みなさんの力を貸してください。そして、私たちが胸を張ってアメリカへ、そして全世界で花を咲かせられるように、この花蕾に水や肥料を与えてください。
クラファンリターンでは、CHiLi GiRLメイキングチームの亀井桃ちゃんの書き下ろしイラストや、衣装制作でお世話になっているシングウ夏海ちゃん(SHINPIN)のぬいぐるみ、さらに楽曲制作やメッセージムービーなど、わくわくが詰まったものをご用意しています。
どうぞ応援のほどお願いいたします。
《作品紹介》
CHiLi GiRLが自身初となる全国流通盤フルアルバム『CARAI』を9月4日にリリースすることを発表した。
日本一を4回獲得し世界で活躍する伝統芸能家/三味線奏者でありポップ・ソングライターによる次世代の才能巻き込み型プロジェクトとして2020年に始動し、スパイシーでチャーミングなNEW SPICE GiRLPOPをテーマに活動中。
今作には彼女が深い影響を受けたと公言する90s・渋谷系の音楽、そして時代を牽引してきたポップ・マエストロの沖井礼二(ex.Cymbals,TWEEDEES)が編曲とベースで参加した「FLY」などが新録されているほか、ネオ・ニューミュージックバンドとして活躍するGOOD BYE APRILの倉品翔(Vo)を編曲・歌唱フィーチャーした「One Q feat. 倉品翔」、気鋭の作編曲家・宮野弦士とタッグを組んだ「サマーロマンス計画」など話題の先行シングルも収録され、総勢15名のアーティストが参加。才能と才能のぶつかり合い、突き抜けたポップ・エッセンスにより七変化を魅せる作品となっている。
更にCD限定のボーナストラックには、2022年7月10日に渋谷WWWで開催されたライブより、初音源化となる三味線ジャズ・フュージョン「Bitter Young」や、日本テレビ系「バズリズム02」でのパフォーマンスや女性誌「non-no」掲載・ヒャダイン氏連載コラム「この歌詞がすげえ!」選出で熱い注目を浴びた代表曲「都会の森」ライブ音源を含む3曲収録。日本人離れしたスウィングとグルーヴに心躍るライヴ・アンセムも必聴だ。
合わせて新アー写も公開された。
9月にはアルバムに参加するMPCプレイヤー・MPC GIRL USAGIとアメリカ・カリフォルニアでのリリースツアーも決定。
国内では、11月17日(日)東京・月見ル君想フでリリース記念ワンマンの開催を発表。CLG BANDでの豪華バンド演奏が聴ける。スペシャルゲストは後日発表予定。
テクニカルなオリエンタルポップとソウルフルな歌声で、国内・海外を問わずに活躍の場を広げているCHiLi GiRL。これまで世界の音楽ファンと繋がり温めてきた花蕾の開花を予感させ、満を持して世に放つ最新アルバムにぜひ注目してみては。
<リリース情報>
CHiLi GiRL『CARAI』 2024年9月4日(水)発売
収録曲:
1.FLY
2.サマーロマンス計画
3.Secret Secret
4.Scrolling Girl
5.strawberry chocolate night feat. MPC GIRL USAGI
6.Summer Sniper
7.One Q feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
8.Make You, Make Me
<CD限定 Bonus Track>
Live at Shibuya WWW(2022.7.10)
9.都会の森
10.Bitter Young
11.泣き虫の星 feat. 倉品翔(GOOD BYE APRIL)
<リリースツアー情報>
2024年9月8日(日)15日(日)
初アメリカ・カリフォルニア Release Tour with MPC GIRL USAGI
2024年11月17日(日)
CHiLi GiRL ONE-MAN SHOW
「LOVE SPiCE CLUB ~for 2nd Album "CARAI" Release~」
会場:東京・青山月見ル君想フ
出演:CHiLi GiRL
<CLG BAND>
Key. 宮野弦士、Dr. 油布郁、Gt. カワコウ(GET BILL MONKEYS)、Ba. 川渕浩太(GET BILL MONKEYS)、Sax. 今井晴萌、Special Guestは後日発表
開場 18:00 / 開演 18:30
チケット料金: 前売り ¥5,000 / 当日 ¥5,500 / 学割 ¥3,000
チケット発売スケジュール:
・ファンクラブ先行 : 7/4(木)18:00~7/14(日)23:59
https://clg-tokyo.bitfan.id/events/7620
・一般 :7/15(月祝)12:00~ https://clg-tokyo.bitfan.id/events/7622
※学生割引は学生書提示
※整理番号順入場
<ライブ情報>
2024年7月15日(月祝)東京・ 学芸大学メイプルハウス「Great Hunting Night VOL.87」
2024年8月12日(月祝)北海道・札幌SOUND CRUE
2024年8月17日(土)東京・渋谷JZ Brat 「ジャンク フジヤマ with island etc. “真夏のLIVE 2024”」ゲスト出演
2024.7.10
川嶋志乃舞( CHiLi GiRL ) 著
※読者の皆様へ。前回の正式タイトルがCULTURES' BackPacker vol.15「音楽稼業七変化番外編〜音楽作家編〜」と記載がありましたが、正しくはCULTURES' BackPacker vol.15「音楽稼業七変化〜音楽作家編〜」 です。(*編集部注:訂正済)
すっかり6月らしい空模様と空気になりました。イギリスからやってきた三味線の弟子に「今日はじめじめするね〜」と言うと、「jime jime?どう言う意味?」と聞かれたので、湿気がすごいってことだよ〜と教えてあげました。日本には独特のオノマトペがたくさんあって、普段何気なく使ってるそれらに疑問を持たれることで、音や表現が本当に豊かな文化圏であることを思い知らされます。
楽器が表す効果音や雰囲気を彩る音の膜/幕とはまた異なる、言葉や音声、それらを束ねて織りなす"歌"は、やはり楽器では奏でることのできない何かを宿していると考えます。
今月はそんな"歌"の楽しさを噛み締めたあたしの、音楽稼業七変化をご紹介です。
もちろん、歌や音声などを発する人間の肉体的限界を超えてあらゆる音を奏でることができる楽器は世の中にたくさん存在します。それらは日々アップデートされ、さらには新たな楽器の誕生に向けて各国の精鋭たちが熱を注がれており、その魅力を発信するミュージシャンたちが軽やかで大胆、艶やかでスマート、などそんな心ときめく演奏をすることでユーザー、リスナーが広がっていくのではないでしょうか。
津軽三味線という楽器に出会い、入門から数年後に本格的に触り始めてから25年が経とうとするあたしですが、楽器やミュージシャンの魅力に取り憑かれ、様々な音表現の可能性やロマンを信じ、CHiLi GiRLは展開豊かな音楽を作れているのだと自負しています。
楽器というものの魅力は十二分に知っているからこそ、歌の凄さも解るのです。
歌は、リスナーへダイレクトに情景や心情、パワーや勇気を与えます。それから泣きたい時に寄り添ってもくれるし、開き直って前進するために背中を押してくれる、悪いことを教えてくれることだってあります。
シンプルに描写する歌も好きです。無理に訴えかけようとはせず、その言葉やメロディ、音声の質感が油画の絵の具のように、ビートやコードのキャンバスに乗っていく様もとても心地が良いのです。
あたしは元々歌は上手い方でしたが、よりプロ思考に視点を変えて、自然と勉強し始めたのはおそらく20歳を過ぎた頃。
東京藝大で長唄三味線専攻の副科目として「長唄(歌唱)」や能楽の「謡(うたい)」を勉強していた頃に、発声法の他にも、きちんと単語や文章を届けるための息継ぎや発音、メロディラインとは異なるニュアンスの付け方などを勉強しました。
それを学ぶと好きな音楽をより明瞭に、深く深く感じることが出来、ジャズやソウル、R&B、大好きな渋谷系を歌うにも、はたまた提供する楽曲としてアイドル歌唱や演歌、ロックなどの考察しディレクションするにも役立っているのは間違いありません。
あたしはボイトレに通ったことはなく、東京藝大時代の科目と、今でも石川きよ美師匠に習っている民謡歌唱をベースに、言葉を届けることに注力しながらポップス歌唱は独学で知見を得てきました。
これは今後のコラムや何らかインタビューにも登場すると思いますが、いつもあたしは、大成功例と大失敗例を比較する癖があります。素晴らしい歌には言葉で表現できない何かがあり、でもその理由を探る眼を養ってきましたし、逆に大失敗、すなわち歯に絹着せず言えば他人に届きにくい自己陶酔した酷い歌は明らかに何が悪いかは分析ができるので、良し悪しを常に観察、分析し続けてきたことで独学が成立したのだと思います。
そのことを最近友人に伝えたら、野村克也監督の言葉に「勝ちに不思議の勝ちあれど、負けに不思議の負け無し」という言葉があることを、つい最近教えてもらいました。
そうやって歌が大好きで、楽器と同じくらいの分量でパフォーマンスをしたくて、観察、分析、そして修正を繰り返してきて、かつて20歳頃に言われた
「三味線は日本一の実力だろうけど、歌は(それに追いついておらず)微妙」
の言葉を、今なら打ち返せる気がします。笑
CHiLi GiRLになってから、より自分の歌唱や歌詞について見つめることが多くなりました。今では「声が好き」「歌がうまい」「逆に何で、どんな経緯で三味線を持っているの?」と、プレイヤーからシンガーソングライターへと完全に逆転する場も増え、今にも浮かれてしまいそうな言葉をかけて頂くことが増えました。
とはいえ、分析癖は趣味であり武器なので、今後もあたしの歌に乞うご期待のほど、お願いいたします。
そこで、最近のシンガーワークスとしてぜひ紹介したいプロジェクトがあります!
ELECTRIC FOUNDATION
日立の名門Studio CHAPTER H[aus]のオーナー兼エンジニア・樫村治延と川嶋志乃舞(CHiLi GiRL)のエレクトロプロジェクト。樫村がエンジニア業務を手がける傍ら作り続けている"自分の好きな音楽"の数あるストックから、川嶋による牧歌的ながらも無機質な世界観を纏った英詞が乗り、幻想的かつ電子的、浮遊感と心身に響くサウンドが魅力のユニット。
間も無く、初となるリリースはシューゲイザーの名門企画「Total Feedback 2024」に収録される「Neo Suburbia」。(2024.6.26 発売)
◆公式トレーラームービー https://youtu.be/s9E88q3TMBY?si=V4Z3LjevUctCqgx4
◆購入予約
https://diskunion.net/jp/ct/detail/1008838718
また当楽曲のほか、FM川越にて第2,4水曜日 23:30-24:00放送「MUSIC TRANSLATION」にて、
・cinema template
・peel feel
の、表情の異なる軽やかでエキサイティングな楽曲も放送中。現在これら未リリース曲を聴けるのはこの番組だけ!要チェック!
FM川越 公式HP https://radiokawagoe.com/program/
【樫村治延 - かしむら はるのぶ】
STUDIO CHAPTER H[aus](スタジオチャプターハウス)代表
レコーディングエンジニア・サウンドクリエーター
Whirlpool Records/brittford主宰
専門学校非常勤講師、音楽雑誌ライターとしても活動
全国流通レベルのレコーディング、ミックス、マスタリング、楽曲制作を年間平均250曲以上手掛ける
スタジオについての詳細は http://www.chapter-trax.com/ をご覧ください
▶︎ CHAPTER H[aus]エンジニア 樫村治延の セルフRECはプロRECを越えられるか?
https://www.jungle.ne.jp/serial_post/chapter-haus-75/
2024.6.10
川嶋志乃舞( CHiLi GiRL ) 著
世間はGWを明けて、春を馴らし、夏へと屈伸しているように見受けられます。あたしは夏や秋の作品をせっせとこしらえている今日この頃です。これまでの作品からまた飛躍して、いよいよ直近の集大成を出しますので、どうぞお楽しみにしていてくださいませ。
"音楽稼業七変化"シリーズ、前回の番外編""タイアップ編"からの今回は、第5段"音楽作家編"と題してお送りします。
自身の音楽活動とは異なる、作家スイッチを入れたこの顔は、伝統芸能家でありポップスアーティストとしての知見に期待をしてくださる方が多いお陰で、これまで実は、多種多様な作品を書き下ろし提供してきました。
【作品一覧※YouTubeに投稿されているもののみ】
https://youtube.com/playlist?list=PLE7hBiVpvMrybIx70mejmuGM7a20m8mbr&si=kQIkwTVJnS5FdPbr
アイドル、エレクトロスウィング、ミュージカル劇伴、演歌、ソウルフルなポップユニット、フォーキーなシンガーソングライターなど、自身が歌うタイアップソングとも違う、まさにクライアントに向けて書き下ろす世界に一つだけの作品たち。
また最近は、シューゲイザーアイドル×津軽民謡をミクスチャーした楽曲の作品制作およびディレクションも行い、巷で大好評いただき嬉しい限りです。
https://youtu.be/fiL6zw7A2Dw?si=K02jLqRfa0rIj0-N
たとえば仲の良いポップスシーンだと、宮野弦士くんや沖井礼二さんら作編曲家としても活躍しているこの二人は、カラーはさまざまに、しかしどこを切り取っても彼らの音楽の魔法がかかって、作家の顔がはっきり見えると日々感じています。
作家カラーを出そうとせずとも、否が応にも作品にそのカラーが色鮮やかに出ているのは、聴いてきた音楽への敬意や、良い意味での好き嫌いがはっきりしているからではないでしょうか。
もちろんカラーを出すまでのボーダーラインというものは少なからず存在しているはずで、そのボーダーを超えることを赦されるには、自分を信じて作り続けてきた作曲数も ものを言うと思うのです。
反対にカメレオン作家として、何でも作ります!という作家も多い中、どちらが作家人生において幸せかなんて人それぞれですが、個性を売るか、畑をあまり問わず従順な柔軟性を売るか、という悩みは売上と共に誰もが一度は悩んでいると思います。(とはいえ、後者は相当な実力と音楽的知見が無ければ生き残っていけないでしょう。)
あたしは間違いなく前者ですが、得意分野がいくつかあるという自負があります。
あたしが作家として求められるタイミングは、その畑に信頼し合える知人がいて、彼ら彼女らが作りたいものにただただピュアに応え続けていたら、このようなごった煮な作品リストになっていました。
アイドルオタク仲間からであったり、共演相手からであったり、東京藝大邦楽科や民謡界隈などの伝統芸能まわり、そこから派生してミュージカルシーンや自治体関連であったり、とにかくあたしの作品の根幹には素晴らしい知人が居るのです。
忘れてはいけないのは、そんな知人がいるからこそ、居心地の良い界隈や好きで追いかけ聴いていた音楽があることで、スイッチを無理やり捻り変えずとも、根底には既にルーツとしてアイドルやエレクトロスウィング、演歌にソウルにフォーク、そしてサントラ含む劇伴への興味と知見があるから、毎度楽しく音楽を産むことができてきたということです。
しかし、信頼や可能性を見出されないことにはこのチャンスは、あたしのようなポップメーカーにはなかなか出会いの無いことなのです。
ポップメーカーの作る多種多様な作品たち、どこかしらに川嶋志乃舞/CHiLi GiRLのカラーがじんわりでも顕れていたら、大変嬉しく思います。
2024.5.10
Shinobu Kawashima著