音楽メディア・フリーマガジン

CULTURES’ BackPacker vol.14「音楽稼業七変化番外編〜番組タイアップ編〜」

 桜も例年よりも遅く開花というニュースを受けましたが、4月8日から日本は新学期や入学入園という今日この頃、満開の桜をくぐりながら新しい1年を迎えられた方も多いかと思います。みなさん、お目出度う御座います!

 "音楽稼業七変化"というシリーズ、今回はアカデミックな内容から少し外れて、番外編として"タイアップ編"をお送りします。

 その中でも今回は特に直近の話題で、大宮から全国に発信しているFM NACK5の朝の顔でもある帯番組「NACK5時ラジ(読:ナックゴジラジ)」のテーマソングとして、まずはこの番組のために「MAGIC HOUR」という新しい作品を発表し、起用がスタートいたしました。

 4月1日で36周年目を迎えたNACK5は、「No.1 HOT STATION」というステーションキャッチコピーに改まり、深夜番組から翌日へと切り替わる早朝5時台の番組のテーマソングを、CHiLi GiRLに任せていただく運びとなりました。

詳細▶︎https://clg-tokyo.bitfan.id/contents/160424

 

CM▶︎https://x.com/shinobu_clg/status/1774723557744164891?s=46

 

 茨城県育ちのあたしと、あたしの故パパのお気に入りのラジオは県内FMのLuckyFMとFMぱるるんのほか、よく電波が入るし愉快で楽しい番組が連なるFM NACK5でした。中学の頃から学校や塾の送り迎えはもちろん、テレビに飽きて月が明るい田舎の空を窓辺で眺める夜にパワープレイされていた山下達郎「僕らの夏の夢」(2009年)や植村花菜「トイレの神様」(2010年)なんかも、NACK5からの出会いでした。2009年はあたしが中学3年生の頃だったので、そこから数えれば、まさに青春の1ページの最中に毎日流れていた曲名やメロディを今でもはっきり覚えているわけで、ラジオの力は凄いなと間違いなく気が付きます。

 

 今回、朝の顔として暫くの間はこの「MAGIC HOUR」がリスナーの皆さんに届き、それがたとえばあたしのように、仕事柄不規則な生活をしている社会人がたまたま朝の出張で空港に向かいながら聴いたときに一発ドカンと刺さるのか、日々の早起きのお供としてこびりついてゆくのか、はたまた明け方まで頑張った人たちのお疲れ様ソングとなるのか、いつか皆さんの生活のことを知りたい気もしますが、それはともかく、誰かの生活の曲になるチャンスを頂いたことを嬉しく思います。

 

 radikoタイムフリーでも聴けますので、ぜひ時間に問わず聴いてみてください。

 

CHiLi GiRL「MAGIC HOUR」

作詞作曲:Shinobu Kawashima

編曲、Dr.、Key.、Programing:渡邊シン

El.Gt.:カワコウ

Rec.Mix.&Mastaring:友重悠

 

ーーーlyric

 

秘密の特効薬はfrom my ears

 

それゆけ!やかましいアラームよりも

先に目を覚ませ真剣勝負!everyday

太陽は似たもの同士気分屋で

寒い朝は苦手なのはdraw yet

 

秘密の特効薬は from my ears

背伸びひとつドラマティックな目覚めを

何気ない日々はいつもここから

( turn on the radio! )

 

good mornig sunshine

薄明の空をめくれば

changing my twilight

歌で夜が明けてくの

いつでも!

ーーー2番以降の歌詞はリリースまでのお楽しみにて!

 

 そして先月末にリリースとMVを発表した「Secret Secret」も大好評で本当に嬉しいです!

MV▶︎https://youtu.be/-1YYlGlxuZI?si=jW3MuL5ZJD5w_WS0

三味線をストリングスピチカートに潜ませながら、芯のある音色で弾んでいるのも気に入っています。

 Secret SecretとMAGIC HOUR、どちらも同じ制作チームで手掛けました。表情豊かなCLG Creativesのきらめくサウンドをどちらも引き続きお楽しみください。

 

2024.4.10

Shinobu Kawashima著

 

♡  ♡  ♡

LIVE INFOMATION

ご予約不要です!ジャムセッションとは何かもサイト内でご紹介しておりますので、ぜひお気軽に!

https://clg-tokyo.bitfan.id/schedules/41201



CULTURES’ BackPacker vol.13「音楽稼業七変化〜CHiLi GiRL編〜」

 本連載、新しい一年の幕開けです。先に詫びると、なんだかんだ締め切りぎりぎりになってしまうのをいつも申し訳なく思っている上、JUNGLE★LIFE編集の皆様には、いつも丁寧に記事を迎えていただき感謝しています。

 そして読者の皆様におかれましても、少しでも記事の内容や運びが成長したなあと感じていただけるように、果敢に多感に、文化間バックパッカーとしての見聞録を更新し続けて参りますので、懲りずにページを開いていただけたら幸いです。

 "音楽稼業七変化"というシリーズで、プロローグから始まり5回書き連ねてきましたが、七変化と行っておきながら、毎度毎度自分の稼業について「他に、あたしには何があったっけか…」と思い出し振り返りしている状態です。笑

 ディレクション、大会指導、海外公演、民謡演奏家と4つを紹介し、残り3つ。おそらくそれは、CHiLi GiRL、音楽作家、アナライズや開発サポートといったところで収まりが効くのではと、未来の自分のためにここで残りの手札を明かしておくことにします。

 もしこれ以上増えたら、それはそれでお楽しみください!そのくらい音楽家という職業は、柔軟であり、考え方が様々あるのだと自分でも知っておきたいつもりなので。

 

 そんなわけで今回は、CHiLi GiRLという音楽稼業についてです。

 CHiLi GiRLは、あたしには無くてはならない、アーティストとして自分の本質を秘めた顔なのです。

 血潮に流れる民謡人としてのあたしとは違う顔。違うけれど、どちらも本質的なあたしであり、好きなものをたっくさん詰めて表現することができる、絶対的必要不可欠の姿なのです。

 CHiLi GiRLは自由でなければなりません。川嶋志乃舞として生きてきた葛藤から解き放たれた、2023年12月シンガポールでの出来事をきっかけに、さらにその自由さと必要性に拍車がかかった気すらします。

▶︎vol.11 「音楽稼業七変化〜使命感の要らない海外公演編〜」https://www.jungle.ne.jp/serial_post/cultures-backpacker_11/

 

川嶋志乃舞時代から、ルーツカラーが溢れる好きな曲を作り続けているのは変わりません。その証拠に、いまだに19、20歳頃に作った曲をCHiLi GiRLとして演奏しているのですから。ひとつひとつの音楽に心を込めて、長持ちする良い曲を、というのも変わっていないのです。

 でも、川嶋志乃舞には使命感が付きまとうのです。

 vol.11が公開された時、アメリカのファンがXでこのように引用ポストしてくれました。

ーーーー

 This is not just a travelogue or tour report, but provides some inside-baseball regarding how the shows are organized and the purpose of creating the “CHiLi GiRL” alter-ego.

 I made a joke about how she could be the “shamisen idol” and should just add a lot of shamisen to every pop song, but the reality is some of her performances are as a “cultural ambassador” and they expect traditional songs, so she can’t fit her original songs into the set.

 これは単なる旅行記やツアーレポートではなく、ショーの開催方法や「CHiLi GiRL」の分身制作の目的などについての秘話をまとめています。

 私は、彼女は "三味線アイドル "になれるのだから、すべてのポップソングに三味線をたくさん入れればいいのではと冗談を言ったのですが、現実には、彼女の公演のいくつかは "文化大使 "として伝統的な曲を期待されているので、ポップソング、ましてや彼女らしさのあるオリジナルソングをセットリストに入れることができないようなのです。

ーーーー

 このポストを受けて、理解してくれるリスナーや読者が世界中にいることを知り、本当に励まされました。だからこそ、CHiLi GiRLは自由で自分らしく、スパイシーでチャーミングでいたいのです。

 

 時々「川嶋志乃舞とCHiLi GiRLはどちらも三味線を弾いていてポップスを作っては演奏しているわけだけど、どのように違うの?」と問われます。

 あたしははっきりと

「川嶋志乃舞は何でもやります。CHiLi GiRLは音楽ジャンルや作品テーマは勿論、三味線を使うかどうかすらも自由に決められる、あたしの音楽人生で不可欠の癒やしどころなのです。少しでも相手からの要望、たとえば民謡や津軽じょんがら節を三味線奏者として求められれば、CHiLi GiRLではなく川嶋志乃舞が動きます。CHiLi GiRLは、誰にも何も言わせない、あたしが我儘してもいい居場所であり、姿なのです。」

と答えます。

 

 加えて、ここ最近はお陰様で新作歌舞伎「流白浪燦星(ルパン3世)」の編曲とレコーディングに携わらせて頂いたこともあり、川嶋志乃舞は伝統芸能ベースのしっかり万屋、CHiLi GiRLはお転婆なチャレンジャーであることを世間にもようやく、これまでよりも明瞭に区分を伝えられるようになりました。

 川嶋志乃舞でも恋に纏わる作品はたくさん書いてきたものの、どこか古の作品や感情とリンクさせなければならない課題があったのです。それが"伝統芸能ポップアーティスト"の条件だったから。

 

 しかし作品は、コンセプトはあれど束縛を設けては絶対にいけないと思うのです。

 あたしはいつしか、伝統芸能ポップというコンセプトを束縛だと感じてしまったのです。

 使命感や束縛の無い自由な音楽制作。憧れてたまらなかったそれをCHiLi GiRLとして体現しています。

 それに嬉しいのが、仲間の顔触れは概ね川嶋志乃舞時代から変わらないのです。

 メンバーは増えはするものの、昔からの盟友であり親友たちは変わらずそばにいてくれていることが誇らしくて、ついつい甘えてしまうことばかり。

 だからこそ、パッと思い付いたアプローチや構成を、にこにこと無遠慮に共有しては一緒に音を鳴らしてもらうというリハーサルやステージ本番が、より楽しくて仕方がないのです。

 音楽を作るコンセプトや歌い方、衣装や客層や共演する界隈がたとえ変わったとしても、音楽に向かう姿勢自体は昔から変わらないからなのでしょうか。

 でもそれは、そばにいてくれる仲間にも同じようにあたしも思うのです。何も変わらない、むしろ丸くなって大人になって、知識も増えて、お酒でヘマをすることがぐんと減ったくらい。笑

 CHiLi GiRLが自由でいられるから、川嶋志乃舞はしっかり万屋でいられるのです。川嶋志乃舞が万屋として頑張るから、CHiLi GiRLはよりクリエイティブでいられるのです。

 頭の中にある音楽や絵や、映像のニュアンスや、セリフや言葉を、思いのままに自分色に表現していいのです。

 

 このサイクルのお陰で伝統芸能ポップを、今は全く束縛だとは思わなくなるほど、CHiLi GiRLは表現のリハビリを助けてくれた、自分自身の中にいるヒロインなのかもしれません。(民謡アレンジや、より日本的アプローチでの作品を作るのも対照的で楽しくなってきたので、川嶋志乃舞としての作品集が出る日も近いかも!)

 そんなお転婆CHiLi GiRLは、来たる3/20に「Secret Secret」をニューリリースします。

 アートワークはお馴染み亀井桃ちゃん。「恋のドキドキとクールを装ってるつもりの、頑張り屋で働き者のシティーガール。ほんでレディースコミック感」というのも、漏れなくバランスよく一枚の絵に書き下ろしてくれました。素晴らしすぎます。現代と90年代がミックスされた、あたしの好み大爆発のアートワークになりました。桃ちゃん、いつもドンピシャをありがとう!

 

 楽曲制作期間を共に過ごしてくれたのは、渡邊シンくん。川嶋志乃舞時代にも「ショコラトーク」「おしゃれなふたり」で編曲に入ってくれており、今作は5年ぶりに編曲をお願いしたものになります。Rec,Mix,Masteringは友重悠くんにお願いしました。良いチームです。

 シンちゃんは、「都会の森」MV撮影監督および1st album「MEBAE」ジャケット撮影、キツネを被り始めた頃のアー写撮影、ファンブックvol.1のポートレート撮影など、実はCHiLi GiRLに携わってくれていました。

 シンちゃんとの制作の日々は本当にノンストレス。あたしたちは昔から変わらずツーカーの仲で、好きなものや見て育ってきたものがドンピシャゆえに、スムーズに曲が完成したのです。

 

 MV撮影もしたのでその公開も間も無く。そしてもうひとつ、まもなく追加で発表する、シンちゃんと作ったもうひとつのビッグニュースも間も無くです。みんな喜んでくれたら嬉しいな。

 

 編曲に携わってくれている友重くんや宮野、ほかfeat.アーティストらは、CHiLi GiRLにおいてスパイシー&チャーミングをバランス良く引き出してくれるのですが、今作はおそらく、チャーミング&キュート、時々サワーといった、そんな作品になった気がします。

 新しい味にまた出会えた予感。どうぞリリースまでお楽しみに。

 中四国ツアーも間も無くです、元気にお会いできたら嬉しいです!

 

2024.3.10

Shinobu Kawashima著

 

♡  ♡  ♡

LIVE INFOMATION

2024.3.22〜25 四国中国ツアー、チケット好評発売中!

ご予約はこちらから 

https://clg-tokyo.bitfan.id/schedules/menu/34068?_gl=1*p2e5*_gcl_au*MTIwOTYyNzgzNy4xNjg5NTA3NjE3



CULTURES’ BackPacker vol.12「音楽稼業七変化〜民謡演奏家編〜」

 早いもので、この連載も12回目を迎えました。ご愛読頂いている皆様は、私と共に文化間を旅してくださるクルーの一員です。まる一年を通じて自分の拙い文章が、少しずつでも説得力がついたものになっていれば幸いです。次の新たな一年も、どうぞ共に旅してくださいませ。簡素なご挨拶ではありますが、御礼申し上げます。

 

 「新春」という言葉を耳にしたり目にしたりしますと、大抵は日本伝統芸能にまつわる演芸で新年のお祝いを彩るケースが多いものです。

 

 CHiLi GiRLの中身である川嶋志乃舞も、原点回帰新春民謡ショーにて、セットリスト全編を民謡一色でお届けするコンサートを開催いたしました。

 

 連載vol.10では、あたしが主宰する佐々木光儀流光櫻会(みつさくらかい)の門弟を津軽三味線全国コンクールに送り出す稼業について書きましたが、今回は津軽三味線一本ではなく民謡演奏家としてのコンサートを開催しました。

川嶋志乃舞新春民謡ショー2024 ダイジェスト映像

https://youtu.be/UAG9qZBKOsI?si=I5rtUCnOpMgM5WI9

 

 津軽三味線奏者民謡演奏家、同一人物の演者でも少々演ることが異なります。

 

 津軽三味線奏者は、その名の通り津軽三味線を演奏する者を指します。

 

 メジャーどころで例を上げると、吉田兄弟や蜷川べにさん(和楽器バンド)、我が兄弟子である上妻宏光さんなどです。津軽三味線を用いて作曲したり、ポップスに津軽三味線を乗せて演奏し、民謡はやれど、曲弾きにて披露するケースが多くなります。

注釈)曲弾き(きょくびき)は、本来民謡歌手が歌う前に独奏を演奏する前弾き(まえびき)が独立したものになります。津軽ものや秋田ものに多くみられる独奏曲です。

 

 

 昨今では、大学の津軽三味線サークルの増加や、SNSの発達によって師匠無しでも津軽三味線を演奏する環境を手にいれるビギナー増加など、1970年頃の民謡ブームまでとはいかないものの、津軽三味線が一般化してきているのは間違いないでしょう。とはいえ、あくまで津軽三味線を演奏する”プレイヤー”であって、スタンダードな民謡、例えばソーラン節や花笠音頭、九州炭坑節などはバリエーションとして弾けても、”伴奏家”とは別物になるのです。

 

 あたしも大学在学中にリリースした1st AL「紅梅センセーション」は、民謡演奏家ではなく津軽三味線奏者としての初の作品になりました。

https://shinobu-shamisen.bitfan.id/contents/68657 (川嶋志乃舞HP ディスコグラフィーより)

 

 しかしながら津軽三味線奏者によるパフォーマンスや作品集は、曲のバリエーションや賛助出演ゲストとのコラボレーション、お客様が飽きない構成にしていく必要があります。さらにはステージに立つ際には、加えてMC上手であるとか人柄もズバリ必要な要素です。

 

 

 ここで上を目指し自分のフィールドを拡げていく者は、津軽三味線だけに留まらず、自然と各地域の民謡を勉強していくことになります。正調津軽民謡を専門とする演奏家も存在しますが、様々な民謡と出会うことは、自分らしさと向き合った時に必然的に起こるものなのかもしれません。

 

 あたしはポップスの魅力に取り憑かれたのと同じくらい、民謡の魅力に取り憑かれた演奏家のひとりです。ただ実は、うちの佐々木光儀流は、宗家佐々木光儀が様々な民謡を達者に演奏はすれど、弟子に教えるのは宗家作曲の津軽三味線合奏曲や華やかなパフォーマンス向きであり独奏しても映える民謡を多く教える流派であったため、民謡により詳しくなったのは大学の後半頃からでした。(もちろんある程度の民謡レパートリー、それから唄や太鼓などの三味線以外の楽器を、民謡を演奏する上でのスキルは幼少期より指導をいただいてきましたので決して少なくはありません。)

 

 東京藝大で専攻していた長唄三味線の勉学に一区切りつく頃、幼少期からうちの流派にゲスト歌手としてご助力頂いていた民謡歌手・石川きよ美に改めて師事したのが2016年9月頃。私事ながら、いつも何かが終わりそうになると、終わる少し手前で次のものに目をつけて勉強をし始める癖があり、その時もそのような感じで門を叩きました。

 少々余談ですが高校の頃も、まだ実技入試が残っていたにも関わらず、センター試験帰りに本屋に寄って父にTOEIC参考書を買ってもらいました。常に自分に暇が出来ないようにしていたと思っていたのですが、いや、おそらく新しいものに出会う刺激が常にないと退屈してしまう性分なのだと思います。

 

 それから7年半、月に1度の民謡歌唱と伴奏修行は今尚続けており、昨年CHiLi GiRLの自主企画「ラブスパイス」シリーズの原点回帰編として、年明けに完全民謡ショーを企画しました。

 

 津軽三味線奏者である側らポップスを作曲し披露していたあたしは、過去完全民謡ショーを自主企画したことが無かったと、開催当日にふと気づいてしまいました。

 

 完全民謡ショーの伴奏は、もちろん石川きよ美師匠の助演を務めるなどして経験してきましたが、光儀流では、CHiLi GiRLとして皆様に当たり前に見て頂く”立ち三味線スタイル”を取り入れた演目など民謡以外にも魅せる曲が多く在ったし、自分がソロアーティストになってからも民謡とポップスを取り入れたスタイルでのスタートだったので、気がつけば初挑戦ということに…!

 

 とはいえ、このような企画をやるからと急いで付け焼き刃でレパートリーを増やしたのではなく、知らず知らずのうちに選べるほどに45分2部制で自分らしく、唄も三味線も民謡のみでお届けできるようになった程には、修行の成果が出たのではないでしょうか。全国大会で優勝をした津軽三味線合奏曲も取り入れつつ、自分らしい選りすぐりの民謡をお届けいたしました。

 

▶︎SET LIST

秋田大黒舞

津軽あいや節

常磐炭鉱節

磯節

猿島豊年音頭

六段(光櫻会門弟も一緒に)

佐々木光儀流合奏曲「天音」

秋田荷方節

南部茶屋ふくし

宮津節

おてもやん(with カワコウ、CHiLi GiRL arr.)

九州炭坑節(with カワコウ、CHiLi GiRL arr.)

秋田甚句太鼓踊り

佐々木光儀流合奏曲「弦遊Ⅱ」

津軽じょんがら節曲弾き掛け合い

en)東北民謡メドレー(ソーラン節〜りんご節〜ドンパン節〜花笠音頭〜津軽甚句

 

 今をときめくアーティストが作曲に躓いた時、ルーツミュージックたちが自分にとって新たな糧になるように、伝統芸能や民謡もまた、未来の自分を助け、さらに輝く自分になる糧となると信じています。

 

 どこから民謡を聴いていいかわからない方は、手始めに美空ひばりや江利チエミが歌うビッグバンド共に魅せられる”ポップス民謡”から入るのがお勧めですよ。

 

2024.2.10

Shinobu Kawashima著

 

♡  ♡  ♡

LIVE INFOMATION

2024.3.22〜25 四国中国ツアー決定!

ご予約はこちらから https://form1ssl.fc2.com/form/?id=fe9fe1f77e0ad53b

CULTURES’ BackPacker vol.11「音楽稼業七変化〜使命感の要らない海外公演編〜」

 人の面倒を見るのも好きなのですが、人の面倒を見れば見るほど自分のステップアップの糧になっていくのもまた然りなのです。

 

 CHiLi GiRLとして先月12月、シンガポールはセントーサ島という素晴らしい場所で行われた国営音楽フェス「JAZZ BY THE COVE(以下JBTC)」へ出演してきました。才能巻き込み型プロジェクトことCHiLi GiRLとして、今回パートナーに迎えたMPC GIRL USAGIと旅をしてきました。素晴らしい女です、彼女は。

 

 

 さて、今回は海外公演編です。津軽三味線というスペシャルな楽器をやっている線の上では、海外文化交流、日本文化伝承という役目を負うのはしばしば。

 

 その役目を果たすべくこれまで行った国は、イタリア、オーストラリア、スペイン、スリランカ、台湾、ロシア、アメリカ、そして今回のシンガポール。

 

 各国一度きりではなく、数度訪れたこともある国もあり、その場合は現地のファンが駆けつけてくれたりと嬉しいことも重なりました。

 

 ただ、いくら自分らしい活動が元で選ばれたと言っても、自分の力で海外公演を掴んだわけではなく、やはりいずれも"日本文化を伝承するタレント"というカテゴリありきで恵まれた公演だとも思っています。

 

 その場合、たとえば30分の出演時間のうち、運営のオーダーとしては「ポップス×民謡=7:3」であるとか、完全に自分の好きなように構成することは難しいのです。

 

 民謡を挟むために、そして津軽じょんがら節を挟むために、前後の自作ポップスを流れ良く検討しなければなりません。そんなとき、せっかくリリースした例えばスウィートな曲を、披露したくても流れが悪くて披露すら諦めなければならないとか、流れを良くするために、自分らしさよりも利便性に傾いた新曲を作らなければならないとか、それなりに葛藤がありました。それを大胆ながらもお利口に請け負ったのは"川嶋志乃舞"名義でした。

 

 どの公演も本当に本当に楽しかった。それは間違いないのです。ただ、どこかで必ず使命感というものはついて回っていたのだと思います。

 

 ここまで読んでいただければCHiLi GiRLを創った理由もちょっぴりお察しいただけるはず。スパイシーでチャーミングで、無責任で大胆で、和風ではない自分の好きな衣裳が着られて、思い付きだらけの自由で、どうしようもなく友達が大好きで、そんな才能あるおバカでかっこいい仲間たちと演奏して、そんでもっていくつになっても新しい発見をして、また思い付きを体現していく。

 

 そんなものに憧れた、あたしの夢そのものなのです。

 

 

 夢を持てば必ず叶うわけではないと、酸いも甘いも生きてきた人は思うかもしれません。あたしもそうです。

 

 しかし、夢を持たなければ動くことすら出来ないのです。夢を語れば人に伝わり、"実現"させようという見栄ではなく、"実行"せねばという感覚を持てる人が、夢を叶えるのではないでしょうか。

 

 今回旅を共にしたソエジマくんと本連載vol.2で、世界にどう出て行くかを、記事では簡素ながらも芯を持って対談したのを振り返ります。

 

▶︎連載vol.2 ソエジマトシキと語る https://www.jungle.ne.jp/serial_post/cultures-backpacker_2/

 

 

 そして自分たちのフィールドは世界であると、早々ターゲットを明確にして業を磨いてきたTOKYO GROOVE JYOSHIとの台湾フェスも忘れてはいけません。彼女らも今回再びシンガポールを共演しました。

 

▶︎連載vol.3 自分らしく、海を越えるには

https://www.jungle.ne.jp/serial_post/cultures-backpacker_3/

 

 このJBTCでは、川嶋志乃舞ではなく、ソエジマバンドやTGJのゲストミュージシャンでもなく、CHiLi GiRLとして呼んでいただきました。そして一番聴きたかった言葉が。

 

「あなたらしいライヴパフォーマンスを」

 

 本当に本当に、懲りずに続けてきて良かったと心が満たされ、愛いっぱいのパフォーマンスに全力を尽くすことができました。

 そして、寂しがりな私にパワーと勇気をくれて、いっしょにステージで音の会話やバトルを楽しんでくれた最高の仲間、USAGIがいたからこそ、新曲strawberry chocolate nightや世界を踊らせるパフォーマンスが叶いました。

 

 彼女は一生の友達です。

 

 

 もうひとつ気がついたこと。それは、CHiLi GiRLは音楽だけを届けていたのではないということです。シンガポールの国営無料フェスということで、連日CHiLi GiRLを観に通ってくれた女の子が、最終日に似顔絵をプレゼントしてくれました。

 

 このプレゼントがなければ、あたしはまた迷う日が増えていたかもしれません。

 

 このイラストはいま、iPadの後ろに挟めて毎日持ち歩いています。彼女はあたしの、もっと素直な部分を見てくれていたんだということを忘れたくないから。

 

 

 本当の意味で、自分らしい自由でスペシャルな海外公演を成功させることができました。

 

 さあ、次はどこへ行けるのだろう。それもこれも、日々のあたしの歩幅次第なのかも。みなさん、楽しみにしていてくださいね。

 

 本年も謹んで大胆に、宜しくお願い申し上げます。

 

2024.1.10

Shinobu Kawashima著

 

♡  ♡  ♡

LIVE INFOMATION

 

来場超満員完売御礼、YouTubeより当日配信をリアルタイム/アーカイブからご覧いただけます(応援金制)

▶︎https://shinobu-shamisen.bitfan.id/schedules/29845?r=s76hm0


CULTURES’ BackPacker vol.10「音楽稼業七変化〜大会指導編〜」

 前回ディレクション業についての紹介の中で、人と何かをやることにものすごく喜びややり甲斐を感じるタイプだということを書きましたが、今回はそれと似たようなところで、指導業について触れていきます。やはりこちらも、誰かと共に達成するという点では同じなのです。

 

 先月末、滋賀県で行われた津軽三味線・津軽民謡全国大会inびわ湖が開催され、出場する弟子たちの引率に行ってきました。

◆大会HP:https://npo-japan-traditional-art.com/?page_id=461

 そもそも津軽三味線の世界には地区大会というものが存在せず全国各地からその大会に出場するということで、誰もがいきなり”全国大会”に出場することになります。ただしプロアマ様々な方が出場するので、レベルや性別、年齢などで部門が区分されています。

 

 今回うちの門弟は、

ーーー

初級の部:初めて、あるいはまだ出場回数が少ない方におすすめの部門。年齢性別問わず、師事年数なども問いません。とにかく”大会”というものにあまり出たことがない人向けの部門になります。課題曲は津軽じょんから節曲弾き(または津軽五大民謡の中から得意なもの)で2分以内。

★野田涼平/準優勝(各地大会含む※以下同じ 出場2度目)、有賀大晃/入賞(初出場)

 

一般男子の部:高校生以上の男性なら誰でも出場できる部門。大会出場自体が初めての場合でも、初級の部を飛び級して出場も可能です。出場者はアマチュアからプロまでと経歴も幅広いです。課題曲は津軽じょんから節曲弾き(または津軽五大民謡の中から得意なもの)で2分30秒以内。

★榎本空也/第3位(出場5度目)、日吉泰佑/12位入賞(出場3度目、夏の名古屋全国大会初級部門で優勝)

 

津軽三味線甲子園:現在学生である方は年齢性別問わず誰でも出場できる部門。少年少女(=小中学生)の部や一般の部との併願も可能です。年齢による体格差などを均等にする狙いか、高年者はハンデ減点ありで審査スタートとなります。課題曲は津軽じょんから節曲弾き(または津軽五大民謡の中から得意なもの)で2分30秒以内。

 

ーーー

 

 このように様々な部門に出場するにあたって、全員もちろん優勝〜10位以内を狙っていきたいという気持ちは、あたしも弟子たちも同じ方向を向いているのですが、いくらスパルタとはいえ(笑)、短期間で改善していくにはなかなか難しい部分もあります。

 

 やはり弟子たちの多くは社会人であり学生であり、プロでない限り三味線に全ての時間を捧げることは難しいのです。だからこそ的確に苦手なポイントを押さえつつ、得意なところをより伸ばし、だらだらと丸々1曲を弾くばかりにならないように、効率重視で指導をしています。

 

 それは今の各位のレベルで、出場部門の中でより印象に残るためには満遍なく上手いのは大前提として、苦手を減らし自分らしさや得意な部分をより伸ばしていくことで、曲全体にメリハリを出していくのが素敵だと思うからです。

 

 それにどんな音楽ジャンルでもそうですが、やはり毎日同じ曲ばかりを一生懸命練習するだけでは飽きてしまうのは仕方のないことですよね。(あたしもそう…笑)

 

 うちではフル尺で稽古するのは1、2度だけにキメ撃ちして、このように指導しています。

ーーーー

・苦手あるいは得意なセクションやフレーズは練習を何度も音を出して精度を上げていく

 

・課題曲以外の曲を弾いたり唄ったりして知識経験を増やし、自分の肥やしにしていくことで課題曲に昇華していく(津軽民謡以外ももちろんやります!)

ーーーー

 

 これは謂わば、ファンクギターにおけるカッティングを反復練習して体にグルーヴを染み込ませてより精度、そして柔軟さを上げていくのと似ています。そして課題曲で沼にハマることなんてしょっちゅうですから、他の曲で楽しく肥やしをつけていくのは、あたしとしては最も大事なポイントとも思います。

 

 やはり優勝クラスの方の演奏を見ると、「あ、おそらく唄付けが得意なんだろうな。曲弾きだけの知識量ではないぞ」と、曲を聴いただけでその為人がよく見えるのです。今回優勝者を出せなかったのは、そこが大きいことを全員で反省しました。

 

 効率重視は体力面も考慮しています。

 メリハリがしっかり存在する丸々一曲を全力で心をこめて演奏練習するともなると、案の定体力を消耗してしまいます。肩の力を抜いてショートフレーズの反復練習をする方が長く三味線と向き合う時間が取れるとも思うのです。

 

 そうして門弟がライバル、そして自分自身との闘いで結果を出してきたのは、指導者としてとても誇らしいのです。

 

 どこかでお話ししたかもしれませんが、競技音楽とパフォーマンス音楽は全く異なります。今回は競技音楽です。されどもどちらも音楽なのです。

 

 弟子たちが自分らしく演奏するための指導でありディレクションは、よりかっこいい魅力的な音楽を作るのと同義です。これからもこのお仕事も心を込めて務め上げていくつもりです。

 

 弟子たちが勝つためには指導者もなんらかで勝ち続けて、弟子より先の世界を知り指導をする必要があると思います。なのであたしは、弟子の先導を常に走り続けるために自分自身と闘い続けているのです。

 

 大学2年で大会出場を引退し、プロ奏者として振り切ることにしました。それは先にも言った競技音楽とパフォーマンス音楽とを両立するのでは、津軽三味線の域を超えてミクストしていく自分らしい音楽づくりには合わないと思ったからです。とはいえ自己紹介していくのに胸を張れるだけの経歴は、師匠である宗家佐々木光儀の指導ありきです。

 

 弟子たちの未来や展望を広げていくためのキャリアを間違いなく掴むために、あたし自身も変わらず精進して、「光櫻会は優勝入賞常連!」という会としての実績も間違いないものにしていきたいのです。

 

 あたしたちの、それぞれの夢に向かって。

 

◆BIG NEWS◆

12月15日にデジタルニューリリース「strawberry chocolate night feat. MPC GIRL USAGI」

 

12月16〜17日シンガポールセントーサ島ジャズフェス「JAZZ BY THE COVE」CHiLi GiRL feat. MPC GIRL USAGI出演決定!日本からはソエジマトシキ&nahokimama、TokyoGrooveJyoshiも出演!

2023.12.10

Shinobu Kawashima著

 

♡  ♡  ♡

LIVE INFOMATION

・2023年12月8日〜12月11日 桜花浪漫堂主催/株式会社ブシロード協力「朗読劇 人間失格・紅」全公演生演奏劇伴

 

・2023年12月5日〜12月25日 新作歌舞伎 #流白浪燦星 津軽三味線収録/一部編曲

 

CHiLi GiRL pre. LOVE SPiCEシリーズ番外編

2024年1月13日(土)「川嶋志乃舞新春民謡コンサート」

10/9~10/10 先行予約受付  10/12~一般予約受付開始

https://clg-tokyo.bitfan.id/schedules/29846

 

 

 

 



CULTURES’ BackPacker vol.9「音楽稼業七変化〜ディレクション編〜」

 前回のプロローグに続いて、さらに細かく各稼業を紹介していきます。今回はディレクション業。三味線弾きとしての人生で全く伝統芸能に関係ない、なんなら三味線も現場に持っていかない、脳みそと明るさで支えていくお仕事です

 

 さてまずはどんな内容か。

・アーティストディレクション

・作品制作ディレクション

現在は主にこの二つです。

写真)よく一緒に制作をする友重悠(はるか)くん。編曲はもちろん、レコーディング、ミックス、マスタリングも素晴らしいハイスペックな頼りになる友人。ほんとうにほんとうにいつもありがとう!

 

 アーティストディレクションは、そのアーティストのやりたい音楽や活動を叶えるために指揮をとっていくお仕事。たとえば、過去に服部奈緒やBoobie Goonなどをディレクションしましたが、彼女たちがシンガーソングライターとして歩んでいくために必要な仲間を集めたり、相性の良いライブハウスを紹介したり、リリース作品の方向性を整えてスケジュールを決めて舵取りをし、そのリリースキャンペーン(イベント企画制作を含む)などを支えていきます。

 それっていわゆるプロデューサーってことじゃないの?と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。プロデューサーとディレクターとは業務が異なります。

 

ーーー

プロデューサーはディレクターの上司といったポジションで、企画全ての責任を負う立場にあり、企画の立案やスケジュールなどを行います。 一方、ディレクターはプロデューサーの部下というポジションで、プロジェクトの詳細な管理やクライアントとの直接交渉、そして現場の総指揮を行うといった現場の責任者です。(出典:https://www.geekly.co.jp/column/cat-position/1906_023/)

ーーー

 

 なので、「こんなアーティストになりたい!こんな歌を歌いたい!」をそもそも立案している彼女たちはセルフプロデュースであり、そのために必要なことを揃えて進めていく舵取りをするのがディレクターの勤めということです。よく聞く”アイドルプロデューサー”というのは、アイドルたちの多くは「どんな歌でも衣装でも構わないから、とにかくアイドルになって舞台に上がりたい」という気持ちでオーディションに参加し、プロデューサーの思い描くアイドルコンセプトの元で活動していきます。あたしが面倒を見ているアーティストの多くは、歌やステージパフォーマンス像、衣装やキャラクター性など、自分らしく活動したい子達が多いです。しかし、本人自身でも分からないことがあります。そこで、客観意見でその子の魅力を引き出し、さらにフィットするものを提案しながら、スケジュールを組んで足を止めないように扇動していくのです。

 

◆服部奈緒「部屋着はグレー」ほか

M1,2作曲、M2編曲、トータルディレクション

https://music.apple.com/jp/album/%E9%83%A8%E5%B1%8B%E7%9D%80%E3%81%AF%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC-single/1599013959

 

◆Boobie Goon「Many Men, Many Minds」

M1編曲、M2共作曲、編曲、トータルディレクション

https://music.apple.com/jp/album/many-men-many-minds-single/1708864008

◆Cheek Eee「Doragonista」

リリースまでのトータルディレクション

https://music.apple.com/jp/album/doragonista-single/1700373438

◆M78「M78」

M1,2 共作曲、トータルディレクション

https://music.apple.com/jp/album/m78-single/1609030307

もちろんこれは長期的なものもあれば、1年ディレクションをしてみて巣立っていくもの、1作品だけのものもあります。

 

 1作品だけの場合は、例の二つ目に挙げた作品制作ディレクションのケース。この場合、あたしが関わるのは作曲や作詞で携わっている延長線上でディレクションする運びがほとんどです。歌入れ、コーラスワークのアドバイス、より深みのある作品にするために必要な音素材を引き出すために、レコーディングスタジオやエンジニアを紹介するところからディレクションしていくことが多いです。その紹介までするのは、心許せる慣れたエンジニアとの制作によって現場を和ませ、少ない言葉でスムーズに進行する連携が取れるのもメリットだからですね。こちら側の意図を汲んでくれ易いので相談も持ち掛け易いですし、チャレンジングなレコーディングにも積極的にトライしてくれることもあります。

写真)友重くんのほか、お世話になっている二大信頼エンジニアの三軒茶屋クロスロードスタジオ井上勇司さん。CHiLi GiRLのRecはもちろん、いろんな作品でよくお願いしている父のようなひと!と、母のような奥様♡(ママと呼んでいます)

 

◆和楽器プロジェクト「千響万来」

サウンドディレクション、レコーディングディレクション

https://youtu.be/u9bdozQ3XZU?si=zCl_7TLM6VKYWMRD

 

ーーーではなぜディレクション業をするようになったのか。

 

各回できっかけは様々ありましたが、先ほども言ったように作詞作曲、時に編曲で提供する機会があって、そこの延長線で携わらせていただくのが多かったです。それは三味線は関係なく、作家としての川嶋志乃舞/Shinobu Kawashimaを求めてくれた皆さんのお陰でもあります。しかしそもそも三味線に関係ないジャンルに踏み込めるようになった大元を振り返ってみると、伝統的ではない作品を自分自身が作り続けていたことに限ります。そこで気に入ってくださったから音楽的信頼感が芽生えてのことだと思います。

 

 さらに振り返ってみると、CLG BANDでも一緒にやってくれているような頼もしい仲間たちがそばにたくさんいることや、その仲間たちともっと何かを作りたいと思う気持ち、そして作っていく音楽に誰が最もマッチするかをセレクトしていく”愛とドライさ”が自分の中にあるからでしょう。その人に何が必要で、誰が最もその完成を祝ってくれるまで関わってくれるのか、我ながらその分析も得意だと自負しています。

 

 それにあたしは、自分が指揮をとって良い作品づくりを導くことも、その結果人がたくさん関わって完成をみんなで喜び合えることも大好きだから。これが間違いなく一番のきっかけかもしれません。

 

 CHiLi GiRLはそれらの集大成みたいなもので、セルフプロデュース&ディレクションはあたしがやっていますが、自分の音楽でみんなと笑い合いたいしメラメラ燃えたいという気持ちでメキメキと成長しています。

 

 これを読んでくれているCHiLi KiDSのみんなはもちろんですが、演奏家や作家だけではなくディレクターにもチャレンジしてみたい皆さんへ。自分の可能性を信じて、相手にその可能性を持ちかけてみるのが第一歩です。待つより動く。楽しい、美しい、素晴らしい音楽や才能ある人のそばにいたいと思うのは当たり前のことで、服部奈緒もBoobie Goonもあたしから「一緒にやろう」と声をかけました。

 

 自分の実績のスタートは自分自身なのです。

 

2023.11.10

Shinobu Kawashima著

 

♡  ♡  ♡

LIVE INFOMATION

・2023年12月3日(日)日立シビックセンター主催「CIVIC CROSSOVER LIVE」※バンド出演

 

 

・CHiLi GiRL pre. LOVE SPiCEシリーズ番外編

2024年1月13日(土)「川嶋志乃舞新春民謡コンサート」

10/9~10/10 先行予約受付  10/12~一般予約受付開始

https://clg-tokyo.bitfan.id/schedules/29846

 

 

 

 

 

CULTURES’ BackPacker vol.8「音楽稼業七変化〜プロローグ・稼業分類紹介〜」

 三味線を持っている日、持っていない日。着物を着る日、キツネをかぶって好きな服を着る日。表に出る日、裏でせっせと準備をする日、誰かの手助けをする日。伝統を紡ぐ日、未来を創る日、誰かを彩る日。あたしの生業である音楽稼業は日々、人よりも様々な形に変化(へんげ)しています。それ故にこの頃は、CHiLi GiRLを演りながら毎日いろんなことをしているけど詳しくは何をしているの?と聞かれることが多いので、改めて自分でも振り返ってみようと思います。

 前置きとして、あたしが責任を持ってやる仕事のルールである

・出来るもの/見極められるものならなんでもやりたい

・アーティストブランドを守るために名義を分ける必要性がある

を貫いています。今回はやっている音楽稼業の区分だけの紹介ですが、一つ一つこだわりや信念を持って取り組んでいることは間違い無いので、詳しくは折を見てシリーズで紹介していこうと考えています。

 

◆伝統芸能家/津軽三味線演奏家の川嶋志乃舞として

・津軽三味線の演奏(主に民謡演奏および伴奏、川嶋志乃舞作品の演奏)

・アーティスト活動(~2020年にCHiLi GiRLへポップス制作の主軸を移行。)

・佐々木光儀流師範佐々木光櫻として光櫻会への育成指導(2015年〜。全国コンクール入賞者多数輩出)

・レコーディング参加

・制作ディレクションや和楽器監修(和楽器をよくわからないけど楽曲に入れてみたい製作陣に対して、楽曲の方向性を考慮しながらその楽器の出来ることや魅力的に映えるようにアシスト/ディレクションを行うなど。それに伴うメンバー選定。)

詳しくは川嶋志乃舞HP▶︎https://shinobu-shamisen.bitfan.id

 

◆CHiLi GiRLとして

・アーティスト活動(音源制作、ライブ活動など)

・feat.参加

・制作ディレクション(三味線に関係なくポップスシーンを軸とするものに限定)

・コラム執筆(当コラム)

 

feat.作品参考▶︎Beautiful in Tokyo - Toshiki Soejima & Shinobu Kawashima (Guitar × Shamisen)(kimama session)

https://youtu.be/rH58m2BJIpQ?si=oxVt1JXjlhBN4QZc

 

ディレクション作品参考▶︎Boobie Goon 1st single「Many Men, Many Minds」

https://boobie-goon.lnk.to/Many-Men-Many-Minds

アーティストディレクション、編曲、一部作曲などに携わっています。

◆総じて”川嶋志乃舞”として

・大学での特別講義やワークショップ(東京藝術大学、静岡文芸大学、名城大学ほか)

・楽曲提供

・楽器開発サポート(Ainoco撥)

・水戸市みとの魅力宣伝部長(2015年〜)

・笠間市笠間特別観光大使(2016年〜)

 …と、自分で見ても色々手広くやってるなあと思います。笑 が、CHiLi GiRLを始める前はこれを全部川嶋志乃舞名義で行っていたため、よりごちゃごちゃしていたのです。同じ名義でアーティスト活動も、三味線教室の会主も、楽曲提供やディレクションもやっていると、しかもそれらが多岐に渡ると、たとえ一つ一つは質の良いとしてもボヤけて見えてしまうことは気づいていました。その頃、自分はアーティストのはずなのに”色々頑張っている優秀な女の子”だったし、それを地元が大きく応援してくれていたので、音楽家というよりスポーツ選手のようだなと自分を俯瞰していました。プロフェッショナルは自分の存在の輪郭がぼやけずくっきりしていないとならないようです。

 

 それに、地元や伝統芸能界、ましては日本を背負ってるような気さえしてきて、自分らしい音楽が書けなくなってきてしまったのです。期待に応え続けて結果を出していく、そう、いよいよスポーツ選手から抜け出せなくなってしまったのです。結果を残して次の期待を背負うのは、職業作家ならそれでも良かったかもしれないし、自分の表現したいものが”誰かに求められるものを作ること”であればそれでも良かったかもしれません。でもあたしには、好きな音楽だけじゃなく、自分に似合うものを知り、その先にあるまだ身に纏ったことのないそれを着こなしてみせると意気込むほどのこだわりがたくさんあったので、お利口にしてられなかったのです。

 

 時期の相性が幸か不幸か、2020年にCHiLi GiRLを発足して再スタートを切ったことはあたしにとって大正解でした。不謹慎と承知で、幸でした。正直、人生のほとんどの時間を津軽三味線に捧げてきたあたしにとって、期待に応え続けてきた自分に”もう好きにしていいんだよ”と赦してあげるような、ある種リハビリのような、心のリフレッシュ期間は必ず必要だったからです。

 

 名義を分けたことでより好きで得意な活動に恵まれたと感じています。萬屋はこの世に必要だけど、自分は萬屋でありながらブランドを全く変えることでバランスを取りやすくなりました。その分HPやSNSの更新も全く内容が分かれるので、まさに二足の草鞋ではありますが、マルチタスクが心地よい自分の性格にとっては、このくらい毎日、毎時間、変化していくのが楽しいし、スッキリ取り組めます。「そんなにやって大変じゃないの?」と労っていただくことも多いのですが、逆に一つの仕事を長時間やるのは他のことが気になって気が散ってしまう性分なので、むしろこのくらいぐるぐるしてたいのです。

 

 幸いにも、走り回ってあれこれ仕事はしていません。笑顔を忘れない程度にはセーブしています。

 

 今回はまず、自己紹介として経緯を踏まえてまとめてみましたが、三味線奏者なのにどうやって他の音楽での信頼を得られるようになったかや、三味線要らずで仕事をするようになったきっかけ、詳しい稼業内容をご紹介していくつもりです。皆さんからの質問もお待ちしています。

 

 ご質問は下記メールまたはファンクラブ会員が使えるグループチャットなどから受け付けます!

▶︎chiligirl.house@gmail.com

▶︎https://clg-tokyo.bitfan.id/contents/73744

 

 ところで、ダイエットでよく「20:00以降は食べないこと。夜22:00までには就寝しないとお肌は生まれ変わらない。」などの世の中の定番的規則に準ずるダイエット法ばかりが取り上げられて、自分は付き合いが多く食事に出かけるし、就寝時間もまちまちな自分は一体どうやったら痩せられるんだと悩み続けていたことがあります。

 おそらくこれは誰しもが自分にあったダイエットメニューを日々探しているものだと思いますが、自分の生活リズムや体のこと、しいては得意なこと、性格のこと、自分に合った環境を理解して選択するのには人一倍かかったからこそ、輝けるものを手に入れていけるのだと信じています。仕事も同じかもしれません。

 

 知識は血となり肉となり、人を結び愛となる。

 

 次回以降の記事のヒントとして、三味線要らずで音楽を生業にできている最大の武器が「好奇心」であることは、先にお伝えしたいと思います。

 

★昨日10/9で29歳になりました!今後ともよろしくご愛顧下さいませ。

 

2023.10.10

執筆:Shinobu Kawashima

 

♡  ♡  ♡

LIVE INFOMATION

・CHiLi GiRL pre. LOVE SPiCEシリーズ番外編

2024年1月13日(土)「川嶋志乃舞新春民謡コンサート」

10/9~10/10 先行予約受付  10/12~一般予約受付開始

https://clg-tokyo.bitfan.id/schedules/29846



CULTURES’ BackPacker vol.7「歌は感情なのです。」

歌手ってなんだろう、と考えます。

あたしは三味線奏者である人生が圧倒的に長い、というか人生のほとんどを三味線や民謡と共に過ごしていて、そこでの賞賛や葛藤があって評価を頂くことが多かったためか、歌手として褒められることが未だに、ちっとも慣れません。慣れないけれど、いろんなところで確かに、自分はもう立派に歌手の一人として思って頂いていることを噛み締めて演奏しています。

自分自身の感覚はともかく、良い歌かそうでない歌かは、自分が声を吹き込んだ曲であろうと他人の曲であろうと分かるし、なぜ素晴らしいのか、なぜメロディが良いのに心に刺さらないのか、ジャンルを問わずに概ね自分の中に答えがあります。

 

歌は感情なのです。楽器とは違う感情表現機関。楽器を扱うからこそ分かるところがあります。楽器は、歌では伝わりにくい音のニュアンス、たとえばハーモニーやアタック感、伸び感や華やかさをそれぞれの楽器の特性を活かして奏でることはもちろん、声ではない音の成分を奏でて雰囲気や土地柄、歴史背景までも伝えることが出来るのです。耳で聴いているだけなのに、瞼の奥には景色が広がり、フィルムやセピアになったり、ピンクが強くなったりもするのです。とても面白くて、表現は世界中にある、まだ知らないものもたくさん。

 

だけど歌にしか出来ないこともあります。楽器で背景や情景は伝えられたとしても、直接的に"言葉"を訴えかけることができません。歌は感情そのもので、歌手はストーリーテラーであり、役者なのです。演じるのは架空の誰かでもいいし、自分自身でもいい。それは自由そのものなのですが、楽器がそれを訴えかけられない時があったり、聴き手に委ねることしか出来ない生々しい部分であったり、ロマンを具体的でも抽象的でも表現できる。それは、歌だからこその魅力だと思います。

 

楽器はその時の自分の年齢や感情、テンションによっても演じる役は変わります。仲間が違えば、また変わるのです。

 

歌はその時の自分の年齢や感情が在ったとしても、ある時にタイムワープしたり、特定の誰かになったり、それこそ過去の自分に戻れたり、そんな時間の旅を出来たりもする。変身だって出来るのです。

 

さて、ここのところ歌の上手い人が増えてきた理由の一つとして、ピッチ修正精度が上がってお手本となる楽曲の完成度が上がり、一般リスナーはそれを真似ようとするので、必然的に歌唱力の高い人が増えてきたと考えます。

 

もちろん過去の名曲が完成度が低いわけでは決してありません。ただ、過去の曲はより人間らしい状態で歌が遺されているので、歌手の人間像や生まれ持った声質の細かなところまではコピーできない、というのが現実でしょう。

 

仲間がこんなことを言っていました。

ーーー

篠原涼子の「愛しさと せつなさと 心強さと」が去年末にリニューアルリリースされて、確かに歌唱力も良くなっただろうけど、オリジナルには、ピッチの当たらないところにグッと来ていた人も多かったはず。

ーーー

それを聴いてなるほどなと感心する他ありませんでした。聴き直してみましたが、確かに良くなっています。ただあたしはこの曲に強い思い入れが無かったため、そんな風に思う余地もなく、この曲を好きだった人は若き篠原涼子に恋焦がれていたからこその感情だと思います。

 

歌は感情なのです。感情が見えず、ただ高得点や良いレコーディング録れ高を狙う人も多い。とはいえ、感情を込めているつもりでも技術に偏った努力をしてしまうと、本質が埋もれてしまうのではないでしょうか。ただし、得点がついてこその競技は存在し、競い合った事で生まれるキャリアもあり、それで仕事を獲得している仲間が何人もいます。

 

たとえばそれを思い切り楽しむには、歌い手の後ろに得点が変動するのが見てわかるパネルや、審査員の表情が分かるワイプで映し出されたらフル尺分を聴くのに退屈しませんし、むしろ盛り上がります。パーティーの余興でソロプレーで歌った時、感情が動かないものを1コーラスも聴けば、たとえば残り約3分、何を期待して何を楽しめば良いか分からなくなる。これが感情が動かないものの欠点です。

 

得点化される音楽とフィギュアスケートのショートプログラムは似て非なるもの、といつも考えています。

 

フィギュアスケートはあくまでスポーツの側面が大きく、テレビではアイスショーよりも試合の方を観る機会が多いのではないでしょうか。観る機会が増えればその試合のファンも増え、国民的認知度も上がる。そうすると、どんなものが難しい技で、それを成功させるにはきっと血の滲む努力をしているはずだと想像し、成功する瞬間を見逃すわけにはいかない、と多くの人は感情が動かされていきます。

 

歌唱の得点は、原曲が分からなければどこで難しいポイントがやってくるかも分からないし、難しいと感じる部分は人それぞれかもしれません。どのくらい練習したのかよりも、天性の才能に期待をするひとが多いはずです。それはあくまでオリジナルではなく、誰かが既に感情でもってヒットを出してきた歌のおけるメロディラインを、電子的に得点化きれる小技を随所に置きながら、変に感情を出してミス減点されるよりも、練習通りに"まっすぐに"歌い上げるから。

 

それら競技歌唱と、パフォーマンス歌唱の違いを区分しないと本当の良い歌を届けることはできないと思うのです。

 

あたしは三味線弾きとして、得点や技術の世界に長らくいました。自分のキャリアが上がれば上がるほど、違う畑の高得点技術者に出会う事も増えます。

 

テレビで放映されるカラオケ選手権で優勝した子は、感情の源に気がついた頃には、オリジナルを出すよりも"誰に似てる"ということでモノマネ歌手として価値を見出され、そのプロの道を歩んでいくことになりました。

 

「歌うま」だとあたし自身が言葉をかけられたら、悔しくなる気がします。「君の歌が好きだ」。これがいちばんの褒め言葉です。

そんなあたしは時々、スーパーアイドル松浦亜弥のミュージックビデオやライブ映像を見て、画面越しながら心を震わせています。

 

2023.9.10掲載

執筆:Shinobu Kawashima

 

♡  ♡  ♡

PICK UP LIVE INFORMATION

9月27日(水)下北沢rpm CHiLi GiRL pre. ジャムセッション

10月9日(月祝)CHiLi GiRL&川嶋志乃舞 mixed one-man show「LOVE SPiCE BIRTHDAY」

 

YouTube INFORMATION

7月22日開催CHiLi GiRL&川嶋志乃舞 mixed one-man show「LOVE SPiCE HARVOR」上演曲を続々フルムービー公開中!チャンネル登録お願いします。約12本アップ予定。

CHiLi GiRL - サマーロマンス計画 Summer Romance Plan 【LIVE MOVIE】

川嶋志乃舞(CHiLi GiRL) - 花千鳥 Hana-Chidori【LIVE MOVIE】

 

CULTURES’ BackPacker vol.6「CHiLi GiRL×宮野弦士対談〜川嶋志乃舞時代から知る親友同士のサマーロマンス計画制作秘話〜」

 あたしには二つの顔があります。川嶋志乃舞とCHiLi GiRL、それぞれあたしのアイデンティティを保つのに必要不可欠な顔であり、そして表現の場です。元々は川嶋志乃舞として 2014年「紅梅センセーション」をきっかけにアーティストデビューし、ポップスの表現の場を2020年にCHiLi GiRLに切り替えました。

 

 川嶋志乃舞時代にほとんどの編曲をお願いしていたのが、若き才溢れる作編曲家・宮野弦士くん。そして2019年に最後のアルバム「SUKEROKU GIRL」をリリースしてから約4年ぶりに編曲をお願いしたのが最新シングル「サマーロマンス計画」です。

2023.7.19リリース。アートワークは亀井桃ちゃん。

リンク:https://clg-tokyo.bitfan.id/contents/109279

 

 今月は、そんな思い入れある作品について対談を特集しているCHiLi GiRL公式ファンブック「What's LOVE SPiCE?2023.summer」の中から一部、ご紹介いたします。

 

ーーーー

◆最新シングル「サマーロマンス計画」について、作曲家目線と編曲家目線でそれぞれこの曲どんな曲でしょう?

 

S:サマーロマンス計画はこの夏に向けて、ハウスとかサンバとか、何かちょっとトロピカルな風が吹く曲を作ろう!ってことをきっかけに、作曲自体は春前から長らく 準備してた曲です!詞先だった川嶋志乃舞曲と違って CHiLi GiRL曲は、”これをみんなでやりたいからそこに合う歌詞をつけよう”ってい曲先制作になってるものもあるんですよ。だから夏らしく、元気で、みんなで楽しく、っていう三拍子揃った曲を作りました。ただ、それだけ!

 

ーーーコンセプトや曲のイメージが先とはいえ、歌詞もすごく印象的だよね!

 

S:後発とはいえ、相変わらずこだわってます!自分がふんふん口ずさんだり、みんなが飲み会とかで何となく口ずさめるようなパワーのあるワードがいいなと思ったら、「サマーローマンス!計画!」になっていました。

 

ーーー曲の背景や主人公のキャライメージみたいなのはある?

 

S:等身大アラサーの自分にとって、何がロマンスだろう、逆にティーンエイジャーなウキウキ感になりすぎないで済むには?など考えて、スパイシーでチャーミングな要素を残しながら整えていきました。

 ーーー宮野くんはどうでした?

 

宮:元のライブのイメージとかもあるから、こんなにがっつりクラブっぽくなると想像してなかったし、むしろいいのかな?って当初は思ってたんですけど、とはいえ生演奏想定を無理にしない方がいいだろうなとも思いましたね。ライブとか関係なく編曲をやってみてもいいかなと。

 

ーーーdemoを聴いて編曲イメージはすぐに湧いてきましたか?

 

宮:そうですね、もうなんか頭ん中でBirdなどリファレンスはいくつかすぐ出てきて。単純に俺がハウスめっちゃ好きだからってのもあるんですけど。あとはインコグニートなどのACIDJazzっぽさも。今までちょうどやってなかったラインかなって思いました。

ーーーイントロが印象的ですが、それには何かリファレンスがありましたか?

 

宮:いや、特に何か意識してしてたわけじゃないですね。イントロアイデアは、demoの段階からすげえ不安だってことを電話で川嶋が言っていて、

 

S:なんか、なんか長いしぬるいしどうしよう~~って相談はしてました…

 

宮:だったらもうアカペラから始まったら!ってことで提案しました。ラテン系音楽の中ではこんな始まり方も珍しくないにしろ、冒頭で楽器の抜くのってもしかしたら今は斬新かもね、と。

 

S:だからこの曲に関しては方向性だけ決まってて、本当に自由にあれこれ試しながら作れたので、ちょっと難しいパートも、メンバーもお客さんも多分燃える楽しさが備わった曲になったんじゃないかなと思います。

 

ーーー生で聴くのが楽しみな一曲ですね!

 

◆約6年の川嶋志乃舞による伝統芸能ポップの制作が一旦終わって、新生CHiLi GiRLができましたが、宮野くんは CHiLi GiRLをどんなアーティストだと思いますか?

S:おお、聞きたーい

 

宮:そうだねえ、より”歌の人”になったと思いますね。

 

S:おおお!嬉

 

宮:本人もすげえ言うんですよ、「あたし歌うまくなったかなあ」みたいな。笑 歌声は本質的に芯も抜け感もあるし。あとはいわゆる、キャッチコピーみたいなものを自分でブランディングとしてプロモーションしていくムーブは元々彼女に備わってるセンスもあるんだけど、自分で決めずとも後からそういう肩書きやキャッチコピーがついてきそうだなっていうというか、そういう自由さやオープンマインドさもありますね、今の CHiLi GiRLには。

 

S:(沁みてる)

 

 宮:全然作り込まなくていいと思う。とはいえ伝統芸能ポップっていうのは、そういう意味では必要なワードだったと思うんだけど、自由になった結果、更に奥行きが出てたんじゃないかな。それに今は自分で、「 CHiLi GiRLってこういうものなんです~」言って回らなくても見ればすぐに魅力がわかる。

 

ーーーちなみに、 CHiLi GiRL曲だと宮野くんはどれが好きですか?

 

宮:あ~~、そうだなあ。でもやっぱ俺は分かりやすいものが好きだから「Make You, Make Me」ですかね!

S:そう言ってくれると思った。いい曲だよね!

 

ーーーこれには三味線が入ってないよね?

 

S:そう!でも三味線が無くても、みんなが良い!って言ってくれた曲。だし、メディアとかの反応も著しくて、”あたしちゃんとアーティストになった!三味線弾きのついでじゃなくてちゃんと CHiLi GiRLになれた~!”って思えた曲。だけど、三味線弾きなんです実は~、っていうとみんな三味線を聴きたそうにしてくれるから、この曲以降はだんだんScrolling GirlもOne Qも、今回のサマロマも、三味線はちょこちょこ入れるようにはしてるかな。ライブもあくまでライブだから、最近Scrolling Girlは三味線を置いて、エッセンスとしてマニピュレーションから三味線の音素材が流れるようにしてます!ハンドマイクパフォーマンスもそのおかげで幅も出てきたし、Bedroom Meeting やMake Youは良いきっかけだったのかも。

 

宮:あとねー、mogittaが好きだなあ。あれをライブで見た時に俺すげえべた褒めした気がする。

 

S:「お前マジですげえ!」って楽屋に乗り込んできたもんね!笑

宮:ライブで聞いてる印象もあるからさ、音源も良いけど油布くんのドラムの感じとかでよりグルーヴィーなノリになるじゃん。ライブ感があるのも良かったんだよな。

 

S:mogittaこそね、何にも考えないで作ってみた曲ナンバーワンかも。自分の思い出の一部をヒントに題材が出てきたけどそのほかには、チューリップに陽が射したらいいなと思って、ジャズスタンダード「SUNNY」のコード入れてみたりとかしてみたけど、とにかく何も考えないで作ってみた。それもあってこの曲が実はメンバーと一緒にやるのが一番楽しい曲かもしれない。

 

ーーーシンプルな曲だからこそメンバーの個性も出てくる曲?

 

S:出ますね!たとえばギターだとピッキングの個性とか。おファン(小林ファンキ風格)は当初テーマフレーズをほとんどダウンで弾いてたけど、作曲も一緒にいてくれたカワコウはアップやゴーストを味わい持って混ぜていたり。それをギタリスト同士で話してる姿を見るのもなんだか嬉しかったり。同じ曲を同じスタジオ内で、同じ楽器の人が話すってあんまり無いんですよね。スタジオじゃなくても、飲み会で、同じ曲を経験したドラマーやベース同士がそういうので和気藹々としてたり、CHiLi GiRL現場はそういう意味ではかなりアカデミックだしハッピー。

 

宮:確かに。一つの曲をいろんな人が演奏してるのって面白くて、例えばそれこそBank Bandとか。年によっては山木秀夫さんだったり、河村“カースケ”智康さんだったり、原曲は佐野康夫さんなんだけどこのときは…とか、そういうのって結構面白いし。

 

S:だからそれこそね、民謡的なのかも。津軽じょんがら節って一口に言っても全然違くて、”この人のじょんがら節が好き”とか、

 

宮:ジャズスタンダードもそうだし落語もそうだよね、”この人の芝浜は~”とか

 

S:そうそう!だからこの人じゃなきゃこのバンドじゃない!っていうことはないのよね、 CHiLi GiRLは。逆にそういう伝統芸能に触れてきてたからこそ、同じ曲をみんなが練習して、”俺の芝浜”みたいに、”俺のmogitta”っていうのができるのは、うちの魅力かも知れないなって思いました、今。

 

宮:メンバーの組み合わせ違いで同じ曲何回でも録っても良いかもね笑 RECを4、5回やってさ。

 

S:いいねwおそらくメンバーによってあたしの歌のフェイクとか三味線フレーズも変わってくる。 

 

宮:コストカットでせーのの一発録りでも良いしね笑

 

S:あれ、その時は何で参加する???

 

宮:別に何でもいいけど、ギターかキーボードか。でもベース弾きたいな!そういや俺、川嶋サポートでベースだった時あるんすよ!笑 

 

ーーーえええ!

 

S:ほんと、サポートをお願いし出した2016、7年あたりまでずっとベースだったよね笑 良いベーシストが見つからなくて、「悪いんだけどベース弾いて」って言って、半年か1年ぐらいお願いしていて。

 

宮:別に俺、本職ベーシストでもないしベースでライブしたことなかったのになぜかベースで呼ばれるっていうw

 

S:そのあとしばらくしてはるくんと出逢って、宮野はギターに戻りました笑

 

宮:ちなみにさ、俺さ、サマーロマンスですげえいいベース弾いてるよね!?

 

S:弾いてる弾いてる!笑

 

ーーーー

ファンブックvol.3は、川嶋志乃舞〜CHiLi GiRLまでのリリース作品+限定発表曲の全曲レビューに加えて、「サマーロマンス計画」編曲を担当したShinobuの親友でもある宮野弦士氏をお迎えしての大ボリューム特集!趣味が高じてクオリティが本格的になっていくShinobu総編集の渾身の一冊。

 

◆限定発表曲およびボイスコンテンツQRコード

・LUCKY IN THE HOUSE

・Bedroom Meeting(web store限定ver)

・うん、慣性。

他、宮野弦士氏との対談中の一部など。

 

◆なぜあの作品は生まれた?天国へ行った父とのエピソードや、東京芸大時代の葛藤の中で生まれた曲など、その時のShinobuの環境下も踏まえて本人が本気レビュー!ファン必見の1冊です。

 

◆ #適切な譜面指示 でお馴染みの宮野弦士氏書き下ろしリードスコア。明るいのにどこか憂いてる、Shinobuと宮野氏とのダッグで生まれた夏の優勝曲も網羅。サマーロマンス計画を完璧にこなせたら、あなたもCLG BAND!?

 

本書内容詳細(画像付き)やお買い求めは会場物販またはCHiLi GiRL web storeから▶︎https://shinobuclg.thebase.in/

亀井桃ちゃんによるファンブックへのファンアート。嬉しい!

 

2023.8.10掲載

執筆:Shinobu Kawashima

 

♡  ♡  ♡

PICK UP LIVE INFORMATION

8月24日(木)CHiLi GiRL×オノマトペル 2man live「月に願いを」@青山月見ル君思フ

10月9日(月祝)CHiLi GiRL&川嶋志乃舞 mixed one-man show「LOVE SPiCE BIRTHDAY」

YouTube INFORMATION

7月22日開催CHiLi GiRL&川嶋志乃舞 mixed one-man show「LOVE SPiCE HARVOR」上演曲を続々フルムービー公開中!チャンネル登録お願いします。

CHiLi GiRL - サマーロマンス計画 Summer Romance Plan 【LIVE MOVIE】

川嶋志乃舞(CHiLi GiRL) - 花千鳥 Hana-Chidori【LIVE MOVIE】

 

CULTURES’ BackPacker vol.5「文化間バックパッカー紀行~民謡コンサート、大衆演劇編~」

文化間バックパッカーとしておすすめしたい、ぜひ読者の皆さんにも一緒に冒険していただきたいシーズンがやってきました。6月は芸事を始める時期であり、夏が始まった7月に突入してさらに拍車がかかる頃合いです。

 

さて、その中でもここ直近のうち、ライブハウス以外の2文化を紀行を写真と合わせてご紹介します。

 

◆民謡コンサート

▶︎6月18日石川きよ美コンサート@小田原三の丸ホール小ホール、神奈川県

 

役割:

例)一般的な総称→関係者内の呼称や略称

民謡歌手→歌い手

三味線演奏家→三味線弾き、地方(じかた)

舞踊家→踊り手、立ち方(たちかた)

囃子奏者(太鼓など)→鳴り物

 

主な会場:コンサート規模の場合、市民ホールや老舗の小屋。

 

衣装:女性は振袖や留袖。男性は紋付袴、必ず黒である必要はなし。演目によって軽装が相応しい場合は、黒上下インナーに柄羽織や作務衣などを重ねる。

楽屋まわり:コンサートホールだったため楽屋数多め。今回は女子部屋、男子部屋とで分かれていたが、階級別に分けられることもある。民謡の場合は、歌舞伎やミュージカルのように大役一人:一部屋というのはほとんどなく、会主級のお偉い先生でも一番弟子らを同室に居させたり、すぐに何かもてなせるようになのかゲストの先生と同室かなど、複数人で使うことが多い印象。マネージャーが必ずつく世界ではないからこそ、隅々の配慮を自分たちで企画しもてなす世界ならではだからかもしれない。

 

スタッフ:大道具、照明、音響など上演中に操作が困難な役割以外の企画や主催、進行や裏方については出演者で行うことが多い。そのため、弟子や若手がスタッフ兼任で動く。裏方業務を下積みしながら修行していく。

 

演奏曲目:民謡、津軽三味線の独奏や合奏、主催の民謡歌手が演歌デビューしている場合はオリジナル演歌

 

チケット料金:コンサート規模の場合、¥4000~5000

 

来場者ドレスコード:特になし

 

観覧の楽しみ方:演奏中に良いフレーズが来たら拍手で盛り上げる。程よい大向こうもあり!

 

◆大衆演劇

 ▶︎6月24日劇団心6周年記念月間および大川龍介生誕祭スペシャルコラボショー@羅い舞座堺東点、大阪府

 

役割:

例)役職名→主な役割

座長/座頭(ざがしら)→劇団の代表

若座長→副代表

 

主な会場:大衆演劇専用劇場や温泉センター

 

衣装:絢爛な衣装、カツラ、ドーランベースの舞台メイク。衣装はお客様や役者仲間からの贈り物であることが多い。舞踊ショーは毎日昼夜で上演されるため、たくさんあって困ることはないようだ。着物の見た目に反して、早着替えによる「変わるステージ」を続々進めるため、なるべく着替えやすい仕組みになっている。

楽屋まわり:劇団員全員同じ。役者に幼い子供がいる場合、ベビーフェンスを設置して配偶者や劇団員で面倒を見たりすることもある。小屋にもよるが、基本的には舞台脇に楽屋があり、素早い進行に支障のない導線が確保されている。

 

スタッフ:企画や主催、進行などは座長および役者が行うことが多い。進行補助や衣装替えには修行中の役者のほか、専門スタッフ、役者の家族や身内が行う。照明スタッフのみ舞台外で行うため別スタッフがいるが、音響や舞台セット転換などは手隙の出演役者が交代で行う。機材は照明、スモーク、音響全て劇団の持ち込み。

 

演奏曲目:芝居、舞踊ショー(変わるステージ)、グランドショー(中国雑伎、マジック、獅子舞、など大道具を使う場合や、三味線やダンス、和太鼓など、役者の特技を披露する場合もある。)※曲調は演歌、ポップス、流行歌など役者によるのでジャンルレス。

▶︎碧月心哉座長は日頃三味線ショーも演られており、コラボショー開催をきっかけに川嶋志乃舞に師事。バンド×舞踊ショーのほか、津軽三味線共演も上演した。

 

料金:1800円程度

 

来場者ドレスコード:特になし

 

観覧の楽しみ方:舞踊ショーでは、応援している役者の着物におひねりを挟んで応援。またおひねりを渡し易いように、煌びやかなコンコルドピンが会場受付に売っており、衣装や演目に差し支えることなく素早く渡せるようになっている。

ちなみに、大入り(満員御礼)ではない場合も例えば「大入り3つ」と座長が1日の終わりに報告をした場合、おひねり含めて客席満員分のチケット×3倍の売り上げがあったことを指す。常連さんは会場受付で「(大入りまで)あと何人?」と聞いて、自分で補える分だけチケットを買う人もいる。(※ただし、劇団や地方によって解釈が異なる場合もある)

 

ーーー

 

まだまだこれから、夏祭りやCHiLi GiRLのワンマンライブ、ジャムセッション、古民家カフェライブ、楽曲提供したアーティストの舞台へのご招待先での視点など、冒険の紀行をこれからもお楽しみに!

 

2023.7.10掲載

執筆:Shinobu Kawashima

 

♡  ♡  ♡

LIVE INFOMATION

7月12日(水)下北沢rpm「Summer Jam Session(川嶋ジャム)」

7月15日(土)北千住rojicoya「ろじこやライブ」12:00民謡ショー/15:00 CHiLi GiRL アコースティックデュオセット

7月20日(木)渋谷eggman「otobacco vol.3」w/一寸先闇バンド、ボタニカルな暮らし。

7月22日(土)CHiLi GiRL&川嶋志乃舞 mixed one-man show「LOVE SPiCE HARVOR」

※来場チケットSOLD OUT/配信チケット発売

7月23日(日)茨城県東海文化センター「佐々木光儀流おさらい会&スペシャルコンサート」(15:00以降CHiLi GiRL with 花柳貴伊那)

8月3日(木)新宿LOFT「LOFT RECCOMEND〜真夏の夜の音楽編〜」

8月6日(日)日立市おんもさ祭り※詳細は後日掲載

チケット詳細はこちら▷https://clg-tokyo.bitfan.id/schedules/menu/34068

 

♡  ♡  ♡