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the pillows

盛大に祝福された、近道なき25年。

2014/10/04@TOKYO DOME CITY HALL
【the pillows 25th Anniversayr NEVER ENDING STORY “DON’T FORGET TODAY!”】

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the pillowsの25周年を祝うために、全国のバスターズが集った10/4。開演前の会場入口は、胸の高鳴りを抑えられないオーディエンス達で賑い、列をつくる。会場に入ると親交のあるバンドからの花束が飾られ、アニバーサリームード溢れる空間となっていた。

メンバーの入場とともに会場の温度は一気に上がる。緊張の中「スケアクロウ」が演奏され、いよいよ本編がスタートした。「I think I can」を終え、山中さわお(以下山中)が「今朝、眼を覚ましたら25年経ってました…と、アニバーサリーデイの決め台詞を言いたかったけれども、今日は10月4日です」と肩の力の抜けたMCで会場を和ませ「HAPPY BIVOUAC」、「アナザーモーニング」などを演奏。「思い返せば20周年は武道館というプレッシャーに、うっかり世の中に感謝してしまったり、感動しすぎてしまった。本来、俺はそんな人間ではない!」と言いつつ会場に感謝を告げる山中に、オーディエンスは気持ちよく答えていた。全く気負いを感じさせないステージは彼らの人間的な魅力を醸し出し、まるで音楽が体に染み付いているかのような佇まいだ。それを見る観客の温かい空気は家族に近いものを感じた。

「確かめに行こう」を終え、山中のギターをきっかけに25周年記念のシングルとして発表した「About A Rock'n'Roll Band」を奏で始める。シンプルでゾクゾクする楽曲がフロアを盛り上げ、色褪せることなく歌われる名曲があの頃の記憶も連れてくるかのようだ。その後に演奏された「Funny Bunny」で会場の温度はさらに上がり、オーディエンスの大合唱が空間を包みこんでいった。

続くMCで山中は「自分たちが納得の行く景色を見れるようになるために遠回りをしたようにも見える。でも、俺たちは遠回りしたんじゃない、近道をしなかっただけだ。もしもう一度人生をやり直せるとしても、俺達は必ず同じ道を選んでみせる。それが俺たちの25年間でした」と今までの活動を振り返り「Please Mr.Lostman」を披露。その後も新旧入り混じった名曲たちが演奏され、3時間に渡る濃厚なステージは「Advice」で締めくくられた。最後に「もう、速やかに帰れ!」と言いつつも「ありがとう、またね!」と愛ある言葉を送る山中。そんな彼らにオーディエンスは最大限の歓声を贈った。

「たとえば解散してから音楽をやらなくなったとしても、絶対に“the pillowsをやっていた”って言うと思うんですよ。“バンドをやっている人生だった。僕は音楽で生きていたんだ”って30年後も絶対にそう言うと思う」。今回の『ムーンダスト』のインタビューで山中はそう語った。一つのことに心血を注いで続けてきた人間にしか言えない勲章のような言葉を思い出し、ライブを見ていて胸が熱くなったのを覚えている。

当たり前のように続くことは、素晴らしいことだ。これからも彼らは、最高のステージを観せてくれる。バスターズの背中を見ながら、そう感じた一日だった。

TEXT:馬渡司

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