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開催から2週間「感染者なし」 RUSH BALL 2020スペシャルライブレポート

開催から2週間「感染者なし」 RUSH BALL 2020、2日間のレポート。

 
 
 
 

 8/29(土)と8/30に大阪府泉大津市で開催された野外音楽イベント“RUSH BALL 2020”。開催から2週間経った9/14に主催者より、イベント開催によるクラスターもなく、また参加者が実行した大阪コロナ追跡システム導入による関係機関からの問い合わせもなかったことが発表された。以下はその2日間のスペシャルライブレポート。熱い2日間、どのようなライブが繰り広げられたのかをレポートする。

 
 
 
 
2020/8/29@泉大津フェニックス
 
 
 2020年の春以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により全国各地でライブ・フェス・イベントが次々と中止になっていく中、開催を決断した“RUSH BALL 2020”。RUSH BALLオフィシャルサイトにて
 
 

「国や行政が指し示すガイドラインを遵守すべく様々な方法論を提示して、今までとは全く違う状況の中、ここ関西・大阪で日本の新しい野外イベントを2020年の夏、参加者とスタッフで作り上げたいと思います。まずは屋外イベントガイドラインの構築です。自然の換気の中ですが、日々変わる状況に準じてその都度更新していきたいと思います。8月末、泉大津フェニックスでお会いしましょう」

 
 
とプロデューサーのグリーンズ・力竹氏が発表したその言葉通り、感染防止ガイドラインを設置し、様々な努力の結実として8/29、8/30の2日間にわたって開催された。
 
 
 
 





 
 マスク着用やソーシャルディスタンス徹底のアナウンスはもちろんのこと、入場前にWEB問診票と大阪コロナ追跡システムへの登録、入場ゲートにて検温と消毒、そして会場内の至るところに施された感染防止対策。物販エリアでは列を区切った柵のコーンを目安に並ぶように促し、スタンディングエリア・シートエリア・日傘使用可能シートエリア・日除けエリアのすべてのライブ観賞エリアでソーシャルディスタンスを徹底。更に当イベントのクリーンパートナー・ダスキン社による抗菌・除菌対策や巡回衛生清掃と、会場の隅々にまで、様々なことにまで細やかな配慮がされていることが伺える。
 
 


 
 
 “RUSH BALL 2020”の徹底ぶりは会場内だけではなく、バックヤードでも様々な感染予防対策がとられていたらしく、そのことを出演者がステージ上でたびたび口にしていたことも印象的だった。各出演者の持ち時間は30分、そして転換は余裕をもって30分。ガイドラインを共有し、主催者、スタッフ、出演者・関係者、観客が一丸となって「絶対に“RUSH BALL 2020”を成功させる」という気持ちが溢れていた。
 
 
 
 

 Opening Actのハンブレッダーズがコロナ禍の中で発表した「ライブハウスで会おうぜ」を高らかに歌った後、プロデューサー・力竹氏とFM802 DJ大抜卓人氏がステージに登場し、開演の挨拶と注意事項を説明。待ちに待った今年初の野外音楽イベントがスタートした。
 
 
 
 

 トップバッターのcinema staff、Vo./G.飯田は「これがとてつもなく貴重な時間だったということを、この場に居るみんながわかってる。すごくないですか?」とライブが出来る喜びをステージで爆発させる。
 
 

 Dr./Cho.せとが「自分たちにとっては今年最初で最後の夏フェスなので、全部吐き出したい」と想いを告げ、野外で披露するのは初となる「結」でそのステージを締め括ったSaucy Dog。Vo./G.石原が最後に「来年の夏は…来年の夏は絶対にここで再開しましょう!」と叫ぶ。
 
 

 リハーサルの段階からVo./G.ヤマサキが思わず「にやけてしまうな(笑)」とこぼすほど、ライブが出来る喜びが溢れ出していたキュウソネコカミ。「音楽業界の居場所を、そして自分たちの居場所を一緒に守っていきましょう!」と「冷めない夢」でオーディエンスの気持ちを沸騰させ、最後は「The band」で大暴れ。
 
 

 「なんでもねだり」でスタンディングエリアに居るオーディエンスを、距離を保った状態のまま存分に踊らせたKANA-BOONは、そのステージを「春を待って」で締め括る。想いが溢れるパフォーマンスに胸が熱くなる。
 
 
 
 
 
 
 
 

 この日はほとんど雲が無い晴天。真夏の太陽に照りつけられ、海から届く清々しい風に頬を撫でられながら、バンドが鳴らす爆音を全身で浴びる。思えばライブハウスでさえ半年以上行けておらず、野外イベントともなるとまさに1年ぶり。“今年もここに帰って来た”という喜びを全力で噛みしめる。
 
 
 
 
 
 
 
 

 「やることやって元通りになるまでがんばりましょう!」と、声は出せないオーディエンスを踊らせ、飛び跳ねさせ、極上のパーティーサウンドで思う存分楽しませたthe telephones。「We are DISCO!!」のコール&レスポンスでは打ち込みで用意してきた観客の声を鳴らし、痛快なライブで一気に駆け抜けた。
 
 

 「こんなときだからどうしようか迷ったんだけど…」とVo./G.尾崎が迷いを語ったのは「HE IS MINE」のコール&レスポンス。しかし「(レスポンスは)無言にして、家に帰ったらひとりでしてください」と言い、全力で披露。尾崎は「いつもフェスに出るときは“どうやってお客さんの予想を裏切ろうか?”と考えるんだけど、最近予想がつかないことばかり起こっているので、今日のライブはお客さんの思っている通り出来ればいいなと思ってました」とラストは「栞」で締め括る。
 
 

 アッパーなロックンロールでのっけからオーディエンスを狂喜乱舞させたgo!go!vanillas。「ガンガン暴れてほしいけど、今日は自分たちが鬱憤を晴らす」とコロナ禍で作ったという新曲も披露しつつ、「未来に賭けてみよう!」とVo./G.牧が叫んで「アメイジング・グレース」。最高にゴキゲンなアンサンブルで魅了した。
 
 

 「おい! 久しぶりやな! みなさん、ロックから離れないでいてくれて本当にありがとう」とVo./G.山中がストレートに喜びを爆発させたTHE ORAL CIGARETTES。「いつもと違うかもしれませんが、僕らは変わりません」との宣言通り、1曲目の「起死回生STORY」から最後の「BLACK MEMORY」までブレないロックを貫き通した彼ら。「絶対にまた会おうな! 約束やぞ!」と言ってステージを後にした。
 
 

 “RUSH BALL 2020” 1日目のトリ、何度も何度も「ありがとう」と告げ、ライブが出来る喜びをステージ上であらわにした[Alexandros]。彼らのライブは、いろいろな制約がある中で開催されたこの“RUSH BALL 2020”でも普段通り、いや普段以上に熱が入ったものだった。Vo./G.川上は、観客が声を出せないことを理解しつつ、「ライブ最高!」「また会えるときは本当に笑いあえたらいい」「愛してるぜ大阪!」とたくさんの言葉を投げかけ、ステージから放つ渾身のロックサウンドで夜に包まれた会場を熱く揺らした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2020/8/30@泉大津フェニックス
 
 

 炎天下の中で1日中ロックサウンドを浴びまくった昨日の疲れが心地いい。“RUSH BALL 2020”の2日目。Opening Actのkoboreの幕開け「爆音の鳴る場所で」と最後の「ボクタチノアシタ」という選曲は、オーディエンス全員の気持ちを代弁しているようだった。プロデューサー・力竹氏とFM802 DJ大抜卓人氏が挨拶と注意事項を説明し、2年間出演が叶わなかったトップバッター・The BONEZへの想いを語る。“RUSH BALL 2020” 2日目がスタートした。
 
 
 
 

 ステージ中央で4人が気合一閃、The BONEZは「Until you wake up」でライブスタート。音を出す喜び、ライブが出来る喜びが充満する熱いステージに、オーディエンスも心から楽しそう。Vo./G.JESSEは「いろいろあるけど大丈夫だと思う人?」と質問を投げかけてたくさんの手が挙がると「その気持ちを忘れんな。いろいろあるけど大丈夫だという気持ちがあれば、道は拓けると思います」と告げ、「Thread & Needle」で無言のコール&レスポンス。「またどこかで、ライブハウスや外の会場で会いましょう」と「SUNTOWN」でライブを締め括る。
 
 

 Vo./Ba.Shunの「いつもの100倍の手拍子お願いします!」という声に応えるクラップの嵐の中で始まったTOTALFAT。タオルまわしにジャンプ、その場でぐるぐるとまわらせるなど、「PARTY PARTY」や「DA NA NA」のハイテンションなステージでオーディエンスを存分に楽しませた。
 
 

 Vo./G.TOSHI-LOWが「Keep safe, keep fun. Thank you so much.」と言って「Thank you」で始まったOAU。彼らが繰り出す極上のサウンドに心を震わせる中、「今年はフェス元年ですから、ここからみなさんでいいフェスを作っていってください」という言葉に改めて気づかせられる。フェスは全員で作り上げるもの…本当にそうだ。
 
 

 ステージから放たれる爆音に合わせたクラップの嵐、振り上げられた無数の拳、飛び跳ねるオーディエンス。1曲目「My Instant Song」からライブ定番の様々な光景を作り出したMONOEYES。バンドの醍醐味、フェスの醍醐味を存分に味わえるステージに魅了される中、MCでVo./G.細美は「俺らのライブで人がバーッと集まったらそこで音を止めてステージを降りようと思ってた」と胸の内を打ち明けた。「ステージに上がってみるまでどんな感じかわからなかったけど、去年と同じくらい楽しい。結局俺はね、お前らの楽しそうな顔を見られたらそれでいいんだ」と続け、TOSHI-LOWを交えた「Two Little Fishes」、そして「グラニート」で終演。
 
 

 「こんな形でライブなんて誰も演りたくないし、誰も観たくないけど、ロックフェスの無い世界の方が俺は嫌だからね。いつものように、ゲートをくぐって来たときよりいい顔でゲートをくぐって帰って欲しいから。Dragon Ash、誠心誠意やらせてもらいます」というVo./G.Kjの言葉で5人体制のDragon Ashのライブがスタート。「A Hundred Emotions」「Fly Over feat. T$UYO$HI」という重厚でスケールの大きなサウンドが胸を焦がしていく。「いつかライブハウスで会おう」と言って最後は「Viva la revolution」。
 
 

 「生きてるー? 死ねーーー!!」と登場して早々にVo.MAHがヒールっぷりを炸裂させたSiM。ネットで仕切られたスタンディングエリアを指差して「虫かごみたい(笑)」と茶化したり、ステージ袖で観ていたHEY-SMITHのG./Vo.猪狩に「“HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2020”が開催出来なかった今の心境は?」とマイクを向けようとして「興味ありませーん!」と曲に戻るなどやりたい放題だが、「KiLLiNG ME」から始まりバラード無し、キラーチューン満載のセットリストは期待に120%応えたいという彼らの真摯な姿勢の現れ。「ライブハウス! あそこが俺たちの目指すべき目的地。みんな一緒にライブハウスに帰ろう!」と言い放った言葉が胸に突き刺さる。
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 

 どんどん空が暗くなっていく中、迫力ある音像を作り出して魅了したBIGMAMA。「荒狂曲"シンセカイ"」でオーディエンスの感情を震わせ、「秘密」「Sweet Dreams」とキラキラした幻想的な世界観で魅せる。Vo./G.金井が「あなたの意志で、あなたの心で未来は必ず変えていけるんです」と言った「神様も言う通りに」で終演。全出演者が口にした、ライブが出来ることの喜びと、これからの未来に対する想いに胸が何度も熱くなる。
 
 

 “RUSH BALL 2020”もいよいよ大詰め、2日目のトリはCreepy Nuts。これまで2日間ずっと晴天だったが、残り1組になった時点で雷雨予報を受け、急遽開演を早めるアナウンス。早々とサウンドチェックを終え、2人がステージに登場。屈強なライブバンドが並ぶ中、マイクとターンテーブルを武器にステージに立った2人は「ヘルレイザー」で幕を開ける。グサグサと胸に突き刺さるリリックとサウンドが小気味よい。R-指定が「こんな中、怖かったし、不安やったと思うけど、それでも来てよかったと思ってもらえるように精一杯やらせてもらいます」と頭を下げ、「紙様」「サントラ」「かつて天才だった俺たちへ」と2日間音楽を遊び尽くしたオーディエンスを更に興奮させる。「音楽が出来ることの喜びとHIPHOPがどれだけ自分にとって必要か実感した。俺たちじゃなくて全部のアーティストと、このイベントを支えてくれたスタッフさんたちへの愛を届けてください」と最後は「日曜日よりの使者」を全員で(心の中で)大合唱。客席後方に花火が打ち上がり、“RUSH BALL 2020”は幕を閉じた。
 
 
 
 
 全国各地でライブ・フェス・イベントが次々と中止になっていく中、“RUSH BALL 2020”が開催を決断し、徹底した感染対策のもと見事実現したことで、今後何かが大きく変わっていくだろう。8/8、8/9に大阪城ホールで開催された“Osaka Music DAYS!!!”と共に、大阪のシーンで蓄積されたノウハウは、今後様々なフェスやイベントに活かされることだろう。ずっと先が見えない中、日本の音楽シーンに見えた一筋の光。またいつかきっと、ライブハウスで会いましょう。
 
 

TEXT:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:田浦ボン、瀧本JON...行秀、河上良