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10-FEET “シエラのように” TOUR 2020-2021 レポート 2020/10/21@浜松窓枠 ライブ終演後インタビュー

10-FEET “シエラのように” TOUR 2020-2021 レポート 2020/10/21@浜松窓枠 ライブ終演後インタビュー


 
 
 
 
10-FEETの19枚目のシングル『シエラのように』。今作がリリースされた10/14より始まった“シエラのように” TOUR 2020-2021は、2部制という今までにない形で開催されることになった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2/26に政府からイベント自粛要請が出されて以来、多くのライブ/イベントが中止及び延期になっていく中、晩夏から秋にかけて少しずつ動き出してきたライブハウスシーン。その中で10-FEETの今回のツアーは大きなきっかけになるに違いない。少しずつ動き始めてきたライブハウスシーンを後押しするものになるに違いない。10/21の浜松窓枠でのライブ終演後、3人にインタビューを行った。
 
 
 
 
●ライブお疲れ様でした!
 
 
お疲れ様でした〜!

 
 
●京都と浜松が終わりましたが、ツアーの感触はどうですか?
 
 
 
この環境の中でのより良いやり方みたいなものは少しづつ見えてきそうです。

 
 
●見えてきそう?
 
 
 
うん、そんな気がしましたね。やっぱり場数もいるなと思った。2日間、実質ライブを4本演って“見えてきそう”と感じた。これはいいことなんですけどね。これから先、プラスしかないので。

 
 
●“見えてきそう”というのは「ライブの引き出し」みたいなものではなくて、その場の空気や呼吸に合わせて瞬発的に出てくるようなもの?
 
 
 
それも含めてですね。ライブを2会場分演って、次のライブまでの間にどれだけ観ている人の感覚をイメージできるかという事と、自分がその条件で観ていた場合を考えて考えて…そしてライブのときには考えずにやる。

 
 
●うんうん。
 
 
 
その「考えずにやる」ときに、普段考えていたおかげでそこに形成される心意気とか勢いとか自信が出てくる気がするんですよ。

 
 
●そういう作業というか積み重ねは…きっと種類は違いますけど…普段のツアーでもやっていることではありますよね?
 
 
 
そうですね。けれど全然違う。そう思わなければいけないと思います。みんなが声を出せない事とかジェスチャーでしか応えられないことに対してライブ中に触れてもいいんだけど、それが自分にとっては全然重要じゃないこととして触れるくらいの精神状態じゃないと非常によくない。

 
 
●ああ〜。
 
 
 
今までの2会場分のライブでそれが出ているなと思ったところもありました。すごく簡単に言うと、ライブに負けそうになったというか。

 
 
●ほう。
 
 
 
そういう風に見えやすいから、ライブをしていないときによく考えておかないとあかんなと思いました。ライブ中になんとかできるものでもないし、よほどこっちがノリにノッていないといいライブにはならないなと。

 
 
●もしくは、無神経じゃないとできない。
 
 
 
そういうことですよね。めちゃくちゃ無神経かノリノリじゃないと。もうゾーンに入っているくらい。少なくともそれを分かり始めていたから、常に軸足をそこに置いていました。そういう意味での場数ですね。事前に散々想像して、本番は無神経になる。ようわからん未知なことがあるとやっていて感じました。

 
 
 
 
 

 
 
 
 
●なるほど。NAOKIくんはどうでした?
 
 
 
いつも通りではないので、気を遣う部分もありました。そこでやり方を変えるというか、変わっていくものではあるなと思います。その中で場数を踏みながら、今のこの状況でどういった熱量を出すのかというところが大切かなと。

 
 
●こういう形式のライブはなかなか熱量が伝えにくいし、お客さんからも伝わりにくいと思っていましたけど、今日のライブはすごく熱量があったと感じたんです。
 
 
 
そうですね。お客さんも少しずつライブに対する取り組み方というか、俺らがステージでやっているのと一緒で、お客さんも考えていると思うんです。

 
 
●はい。
 
 
 
それはこれからもお互い自然に考えていくんじゃないかなと。そういう意味で場数は必要だし、今までとは別物という感覚ですね。

 
 
 
 
 

 
 
 
 
●なるほど。KOUICHIくんは?
 
 
 
ライブをやる前から違うものだなと思っていたけれど、こんなに違うのかと思いましたね。

 
 
●音の返しとか、そういう話ではなく?
 
 
 
そういう話ではないんです。空気感とか自分のテンションとか、すべてに於いて。

 
 
●会場の規模は違いますけど、コロナ禍でのライブは“OSAKA MUSIC DAYS!!!”や“GR8 FEST.”などで経験しているじゃないですか。
 
 
 
あのときはそんなに感じなかったけど、ライブハウスでやったらお客さんとの距離感をすごく感じたんです。

 
 
●距離感を感じた?
 
 
 
2人が言うように本当に場数が必要だなと思いましたね。経験して色々見つけての繰り返しだろうなと。

 
 
●バンドはツアーで色々と発見や気付きがあって変わっていくものじゃないですか。そういう意味では、今回は今までにない経験だけど、いい方向に変わっていけるという手応えを感じている?
 
 
 
うん。それはセットリストを変えるみたいな感じですね。曲を入れ替えただけでライブ全体の雰囲気が変わるじゃないですか。それと同じように、気持ちも会場によって変えていく必要があるなと。

 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
●あと新曲のことを聞きたいんですが、「シエラのように」は他の2曲の新曲も含めて…これは悪い意味ではないんですが…全然新曲という印象が無いんですよね。すごく馴染んでいる。
 
 
 
確かに馴染んでますね。

 
 
●なぜですかね?
 
 
 
わかんない(笑)。

 
 
 
こんなこと今までなかったよな。

 
 
●新曲はやっぱり聴く側も「新曲」として聴いてしまうと思うんですけど、制約がある状況の中でもお客さんはすごく反応していたし、3曲とも新曲という感じがしなかった。
 
 
 
少々ミスったり間違えたりしているんですけど、それも昔の曲で間違えているような間違え方というか。前からあったかのように馴染んでいるんですよね。

 
 
●なんでだろう?
 
 
 
僕もやってて思いますもん。“この新鮮さの無さはなんだろう?”って(笑)。

 
いつもだったらセットリストの中で浮くと思うんですよね。

 
でも全然浮かへんよな。

 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
●今回のセットリストを見て「新曲3曲とも入ってるやん!」とびっくりしたんです。2部制にして時間が短いライブになるから新曲は「シエラのように」だけかなと思っていたので。
 
 
 
新曲が3曲も入っていたら、そのセットリストのライブは稼働していない瞬間が何箇所か出てくるんですよ。それが今回は無いですね。

 
 
●それがなぜかは自分たちでもわからないと(笑)。
 
 
 
わからない(笑)。結構手癖に任せて作ったからかな?

 
思い切りできるからじゃないかな? 今まで新曲は多少考える部分もあったけど、今回の3曲はそういうの無しでできている部分が大きいかも。

 
僕ら今まで手癖が出ないようにこだわって曲を作ってきたんですよ。いつも通りというか、ありきたりなことをするのが嫌だったから。

 
 
●はい。
 
 
 
でもコロナ禍になって、ありきたりな生活とか当たり前にあったものが全くできなくなった。だから「手癖カモン」だったんでしょうね(笑)。

 
 
●ふふふ(笑)。なるほど。
 
 
 
いつもは嫌がるけど、いつも通りのことができないというストレスをあらゆるところから感じていて。

 
 
●それが逆に良かった?
 
 
 
結果的に。

 
いちばんややこしいはずの「シエラのように」が今のところいちばん馴染んでいるんですよね。俺は逆に「彗星」とか「あなたは今どこで誰ですか?」とか、シンプルな方がちょっと身体が強ばる部分もある。シンプルすぎて注意力が必要なんですよね。

 
 
 
 
 

 
 
 
 
●おもしろいですね。さっき少し言いましたけど、今日のライブを観て思ったのは、こういう形式でのライブは普段のような熱さが出ないのかな? と思っていたんです。でも例えば…いちばん顕著だったのが2部の「ヒトリセカイ」のとき、3人のテンションが一気に上がった気がして。その瞬間に“こういう熱いライブが観たかった!”と思ったんですよね。熱いライブはコロナ禍では観れないのかな? と思っていたんだけど、観れたのが嬉しかった。
 
 
 
なんでそれって火が点いたんでしょう? MCからの流れ?

 
 
●MCの内容で、もしかしたらTAKUMAくんが自分の言葉に火を点けさせられたのかもしれないですね。
 
 
 
どんなMCでしたっけ? くだらない系?

 
 
●いや、色々と話した後で「俺はまたみんなとライブがしたいなと思っています」と。「色々なことがあるかもしれないけど…」という前段があったんですけど、その流れから「でも僕はみんなとライブがしたい」という言葉で火が点いたような。
 
 
 
なるほどね。

 
 
●ライブができる喜びは感じていますか?
 
 
 
うーん、俺はまだそこまでいっていないかもしれない。「ありがたい」という感じにはなっていないですね。

 
 
●あ、そうなんですか。
 
 
 
なんか違うものが始まったというか…。ラグビーとアメフトは似ているけど全然違うものじゃないですか。そういうライブが始まった感じがする。

 
 
●ほう。
 
 
 
でもやっぱりライブはライブだと思うんです。乱暴な言い方をすると、お客さんは声を出せなくて前に来れなくてモッシュやダイブができないだけなんですよね。あとは全部一緒なんですよ。でも違うものが始まったと思っていて、その違うものが始まったのであればそこでの100点のライブはどういうものか? ということをずっと考えているんです。

 
 
●なるほど。
 
 
 
それ故に「ありがたい」というところまで到達できていない。“楽しいな”とは思いますけどね。でも本当に“楽しい”と思うには、今のこの“楽しい”に浸っていたらいけないと思う。だからすごく燃えています。

 
 
●すごく燃えているっていいですね。
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
僕も同じ感覚ですね。ラグビーとアメフトの違いという話はすごく共感するし、似ているんだけど別物なんですよね。僕も“楽しい”というより、この状況の中でより良い感じに持っていくには、単純に激しくやればいいというわけでもない…そういうことを考えながらやってますね。

 
 
 
●うんうん。KOUICHIくんはどうですか?
 
 
 
ありがたさというのは10/14の京都MUSEのときに思って、今日は思わなかったな。

 
あ、そうやな。

 
もっと言うと“OSAKA MUSIC DAYS!!!”の方がありがたさは感じましたね。久しぶりにライブをしている感覚というか。

 
うんうん。

 
その後、ライブハウスでやったのが10/14の京都MUSEで。それで“ありがたい”と思ったけど、“それだけで喜んでいたらあかん”とも思った。色々気付かされる部分があったから。ライブができるのは嬉しいですけど、京都MUSEのときと気持ちは違ったかな。

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
●まだツアーは始まったばかりですが、色々と発見や気付きもありつつ、今後に向けてすごく燃えていると。これからが更に楽しみですね。
 
 
 
楽しみです!

 
 
 

interview:Takeshi.Yamanka

 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
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