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The Black Light Junkys

仙台発のRUDE SAD ROCK'N'ROLL。10年目の新たなフィールドへ

The Black Light Jukys_アー写“RUDE SAD ROCK'N'ROLL”を標榜するThe Black Light Junkysは2004年に結成し、仙台を拠点に活動してきた。Vo./G.庄司愛のギターは鋭さを光らせるブルージーかつロックなフレーズをかき鳴らし、Dr./Cho.太田幸平が重厚かつ繊細なドラムで支える。10年という長い年月をかけ磨き上げられてきた彼らのサウンドは、作られた上っ面の意味ではなく、詞も曲も純度の高い、悲哀に満ちた真に“ブルース”な内容となっている。そんな彼らが初の全国流通盤『悲壮の海』をリリース。決意も新たに、次のフィールドを走り出す。

 

●The Black Light Junkysは2004年に結成されたんですよね。

庄司:はい。元々、ドラムとベースの3ピースだったんです。でも前のメンバーが辞めて、しばらくメンバーを探している時に太田くんと出会って、バンドに誘ったんですよ。

太田:僕は違うバンドでギターを弾いていました。ドラムを叩き始めたのは高校生の時からなんですけど、大学に入ってからはギター1本でやっていたんですよ。でも、何か限界を感じてしまって…(笑)。そもそもドラムって、プレイヤー人口が少なくて「ドラムができるなら叩いてよ!」って頼まれることが多かったんですよね。

●ギタリストにドラムを頼むっていうのもすごい話ですよね(笑)。今は2ピースでやっているんですか?

庄司:サポートベーシストも入れて3ピースでやっています。1月から正式に、今までサポートで参加してもらっていたオオイシサチコちゃんがメンバーとして加入することになりました。

●作品を聴いた印象として、ルーツに60〜70年代のロックやブルースがある気がするんですが。

庄司:実はそういうところは意識していないんです。THE YOUTHという仙台のバンドが好きなんですけど、ギターの三井律郎さんをすごく尊敬していて。律郎さんがブルージーなスタイルでギターを弾く方なので、それに影響されているというのはあるかもしれません。

●THE YOUTHを経由してそこに辿り着いたんですね。こだわって掘り下げるというタイプではない?

庄司:これを言うとビックリされるんですけど、機材に対してもあまり興味がないんですよね。ギタリストってよく機材にこだわるじゃないですか、私はそういうところがなくて、機材も本当に安いものしか使っていないんです。実はギター本体も、始めようと思った時にリサイクルショップで買って以来、新たに買っていないんですよね。その後ギターが壊れたりしたら何故かタイミングよく貰えたりして、そのギターをそのまま使い続けるんです。

●ギター本体にもこだわりはないと。

庄司:高いギターを使ったら良い音が出るのは当たり前じゃないですか。だから、安いギターで如何に自分らしい音にするかっていうのはあります。

●10/20にリリースされた『悲壮の海』ですが、まずタイトルはどういう意味合いでつけられたんですか?

庄司:“悲壮”は「悲しいことだけじゃない」っていう意味があるんです。“海”の部分は、悲しいことも楽しいことも嬉しいことも全部含んでいて。「悲しみもあるけど、それを元に生ていこう」という意味合いでこのタイトルを付けました。

太田:ポジティブなバンドが同じ意味合いで付けたら「You Are Not Alone」みたいなタイトルになると思うんです。それを僕ら的な言い方にすると『悲壮の海』と(笑)。

●バンドとしては、最大限のポジティブさが詰まっていると。

庄司:『悲壮の海』って言ってますけど、ポジティブさは詰まっていますね(笑)。

●今作は3年前にリリースされた『記憶の残骸』に収録された曲も入っていますよね。自身で歌っていく中で、何か新作との違いはありますか?

庄司:歌っている心境は違います。でも、その時々の感情にリンクしているので、今の心境にも合わせて歌えるような内容になっていますね。

太田:全部の曲が喜怒哀楽じゃないんですよね。どれにもハマらないとか、どれかを足したり割ったりしているので。根っこがあったとしても、あとは聴く人にお任せする感じです。

●じゃあその根っこにある部分は何ですか?

太田:根っこは…“哀”かな。

●たしかに。どの曲も一貫して哀しみを帯びていますね。

庄司:自分が本当に心から音楽を聴く時って、悲しい時なんですよね。楽しい時って音楽はBGM程度にしか聴いていなくて、歌詞じゃなくてノリで聴いちゃうから。そういう悲しいときに聴いてもらえるような曲を書きたいと思っているんです。

●自分の体験として悲しい所を引き出している感じ?

庄司:そうですね。基本的にそういう人生だったので。喜びの感情を無理矢理出そうとしても出ないし、ありきたりなものになってしまう。だから歌詞を作る時は、自分がどん底にいた方がすらすら書けますね。部屋で1人ロウソク付けて、お香を焚いてウィスキーを飲んで…。みたいな(笑)。メロディは歌詞ができてから作るんです。

●歌詞を先に書かれるんですね。

庄司:メロディラインも歌詞によって変わると思うんです。だから最初に音を作っちゃうと歌詞とリンクしなくなるというか。後から乗せるものじゃない気がしているんです。それぐらい歌詞を大事にしていて。悲しいときに聴いて、何かを感じ取ってもらうような歌詞にしているつもりです。

●そうやって作られた今回の『悲壮の海』がリリースされて少し経ちますが、実感はありますか?

庄司:活動の内容はいろいろ変わってきていますね。ラジオに出演したりとか、雑誌の取材を受けたりとか。今までできなかったようなことができるようになったので、いろいろ選択肢も増えてきていますね。

●1月に活動10周年のアニバーサリーイベントをやられて、その後もツアーなどが予定されていますが、これからどんな活動をしていきたい?

庄司:まずは、聴いてもらったり観てもらわないと話は進まないので、できるだけいろんなところに活動を広げていきたいと思っています。続けるって大事なことだと思うので、そういう所を重視している人とやっていきたいです。

●活動の幅を広げていきたいと。

庄司:音楽だけじゃなくクリエイティブなことをしている人と何かをやっていきたいですね。1つに固執することがあまり好きではないので、ジャンルに関係なくいろいろやりたいと思っているんです。もちろん県外の人ともやりたいんですけど、仙台を拠点にしている人たちと何かをやっていきたいです。

Interview:馬渡司

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