音楽メディア・フリーマガジン

THE SLUT BANKS / 『ロマンス』

“ロマンスの断片”

あの時も、こんな暑い季節だった。
まだ昭和の香りが抜けきらないあの頃、私はある女の子に恋をした。彼女と仲良くなりたい一心でいろいろ探りだしてみたところ、彼女はどうやらその夏に行われる予定の、遊園地を会場としたレゲエフェスティバルを観たいという。私は八方手を尽くし、コネ入場を取り付けることに成功。彼女を誘い出す。

「うっそー!? 嬉しい! あ、友達もひとり連れてきていいかな?」

で、当日。彼女が連れてきた友達は自分と同い年ぐらいの男の子でした。しかも、もうすっかりネンゴロになってる感じなの。ライブが終わって、帰りの電車でイチャイチャする二人を横目で見送りながら電車を降りようとすると、彼女がたったったっと寄ってきて、上目づかいで私に一言。

「ごめんね!」

とどめの一撃。そりゃないぜと思いました。

このアルバムは、そんな木っ端みじんに砕け散ったロマンスのかけらを、かき集めて繋ぎ合わせたもので創られています。

G.石井ヒトシ

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