音楽メディア・フリーマガジン

橋爪もも

心の深淵をなぞる七色の歌声が誘うロリータ弾き語りの世界

OLYMPUS DIGITAL CAMERA“ロリータ弾き語り”という独自のスタイルで活動するシンガーソングライター、橋爪ももが初の全国流通盤シングル『青のワルツ』をリリースした。そのヴィジュアルからは想像できないダークな側面も見せる彼女が、現在の表現方法に辿り着いた経緯に迫る初インタビュー。また、バンドサウンドで録音された今作とは異なり、特徴的なMCも交えて弾き語りで行われるライブも必見だ。一度見れば、彼女の不思議な魅力にハマるかも…?

 

 

 

 

 

●“ロリータ弾き語り”というスタイルで活動されているわけですが、元々そういう服装が好きだった?

橋爪:私服もロリータです。単純に自分の好きな服装でライブをやり始めた結果、このスタイルが定着しちゃったっていう…。

●ロリータ・ファッションが好きになったのはいつ頃?

橋爪:やっぱり思春期です。中学生の頃にはもうドップリでした。でも思春期の中学生って、そういう仲間を見つけるのが大変じゃないですか。みんな隠し持っているというか(笑)。おおっぴらにアニメの話をしたりできるようになったのは、高校生になってからです。

●アニメも好きなんですね。

橋爪:秋葉原とかのメイド文化もちょっとかじっていたんです。メイド喫茶で働いていたこともあったので、否応なしにその影響を受けたというか(笑)。

●音楽はいつ頃から好きだったんですか?

橋爪:音楽はずっと好きでした。中学の頃にバンドが組みたくて、インターネットのメンバー募集に応募したりもして。その時は結局バンドをやれなかったんですけど、高校は音楽の設備が充実している学校だったので月に1回くらいライブがあったんです。そこでバンドを初めてやった時に楽しくて、卒業してからも音楽をやりたいという意識が芽生えました。

●出発点は弾き語りじゃなく、バンドだったんですね。

橋爪:その後でバンドに参加したりもしたんですけど、色々と上手くいかなくて。「しばらくは弾き語りでいいや」と思って、今もそのまま続いている感じです(笑)。

●初めてソロでライブをしたのは?

橋爪:メイド喫茶で働いている時、カラオケがお店にあったんです。そこでお客さんにリクエストされたので歌ってみたら、「僕の主催しているライブに出ない?」と誘って頂いて。それが2週間後だったのでギターを必死で練習して、初めてライブをしました。

●そこがキッカケになったわけですね。

橋爪:「“一歩”って、こんなに軽いものだったんだ」と思いました。それまでは学校とかの“外”でライブをするのは怖かったんですけど、1人でふらっと出てみたら「こんなに簡単にできるんだな」と実感したんです。

●人前で歌ってみたいという気持ちは元々あった?

橋爪:「何かが光って欲しい」という気持ちはありましたね。歌でも服でも何でも良かったんです。何も持っていないのに「何かあるんじゃないか?」という希望を持って外に出たので、「何か認めて欲しい」っていう。学校で青春ができなかった分、意識が外に行っていたというか。

●学校では青春ができなかったと。

橋爪:学校では友だち同士のグループみたいなのにも属していなくて、昼休みもずっと1人で本を読んでいたんです。卒業式の日に先生から頂いたお手紙に「橋爪さんは読書が好きな方でしたね」と書いてあったので、「すいません。本が好きだったんじゃなくて、あの空間では本を読むことしかできなかったんです!」と言いました(笑)。

●それ以外できなかった。

橋爪:“親友”はいたので2人だけでずっと思春期を過ごし、大勢と遊ぶことには無縁でした(笑)。他人と合わせられなかったというか。学校で静かに本を読んでいるだけだったからこそ、「何か認めて欲しい」という気持ちがあったんでしょうね。

●思春期に感じた想いも曲に反映されている?

橋爪:今回のM-1「青のワルツ」は、青春の歌なんです。主人公が思春期に立てた目標のために頑張っていたけど、ちょっと疲れちゃって。そんな時に「昔は周りが色々と言ってくれた言葉を無下にしていたけど、今ならその言葉の意味も理解できる。だからもう一度、みんなと会って話したい」っていう。「1回休憩をしたいな」っていう歌です。

●実体験に基づいているんでしょうか?

橋爪:いや、私の場合は会って話したいという友人がたくさんはいないので(笑)。でも「疲れた」と思う瞬間はきっと、みんなにあるだろうから。疲れている時って周りが親切で言ってくれた言葉も変に勘ぐって、悪意に感じてしまったりするんですよね。そういう経験を元にして生まれた曲です。

●タイトルから見ると、M-2「屋上と制服」も思春期の歌?

橋爪:これも歌詞は、青春です。恋人が夢に向かって地元を出て行ったのを見て、主人公が「私もこんなんじゃダメだ!」ということで追いかけて出て行く歌です。

●“絶対的な孤独を育てる”というフレーズが耳に残りました。

橋爪:人に合わせて生きていくと妥協するところも出てくるじゃないですか。でも「孤独になってもいいから自分の確固たるものを持って出て行けよ」ということですね。私はずっと東京にいるからわからないけど、地方から東京に出てくるのって相当な勇気が要ると思うんです。だから「確固たる意思を持って頑張ってね」というメッセージも込めています。

●今回は1曲1曲歌い方が違っていて、M-3「浮遊」は一番ナチュラルな感じがしました。

橋爪:個人的には「浮遊」が一番好きなんです。自分が「こうなりたかった」と思う男性バンドが歌っていそうな曲ですね。自分が男性でベースとドラムがいて3ピースバンドだったら、こういう曲をやりたかったという願望が入っています(笑)。

●ある意味で1つの理想像というか。

橋爪:今作の中でも、色々とひしめき合っているんです。「青のワルツ」はCoccoさんとかに憧れていた感じが出ているし、「屋上と制服」も女の子だけでバンドが組みたかったという憧れが出ていたりして。憧れの人が多かったというか…何にでもなりたかったんです(笑)。

●色んな“なりたかった自分”が今作には入っている。

橋爪:“橋爪ももが歌っている”というよりは曲ごとに憧れている人のイメージがあって、その人になりきって歌っているというか。

●それが合わさって、“橋爪もも”になっているのでは?

橋爪:結局、何者にもなれていないんですけど、歌詞は自分の中から出てきたものだから。とにかく私は思春期に、誰かと何かをしたかったんです(笑)。だから自分の歌は、できれば若い子たちにも届いて欲しいと思っているんですよ。私の歌を聴いて共感してもらって、…こんなふうになって欲しくないなって(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

Interview:IMAI

ミニアルバム『終わりよければ』リリース時のインタビューはこちら!

 
 
 
 

橋爪ももの近作をAmazonでチェック!!




  • new_umbro
  • banner-umbloi•ÒW—pj