音楽メディア・フリーマガジン

amenoto

バンドとしての進化と変わらない心性が響き合い、広がっていく

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2014/6/15@新宿Motion
amenoto「すべて、憂鬱な夜のために」release party

思えばamenotoのライブを観るのは、昨年11月にここ新宿Motionで開催された『amenoto ep』 のリリースパーティ以来だったかもしれない。インタビュー取材に加えて、今年1月から“徹底的にネガティヴ”と題したグラビア連載の撮影で毎月のようにVo./G.石井翠と会っていたこともあってか、すっかり忘れていたのだが。そんな久しぶりのライブで見た彼女には、変化もあれば変わらない部分も感じられた。

4月にリリースしたデビューミニアルバム『すべて、憂鬱な夜のために』のレコ発ライブとなった、この日。「ハロー」のイントロが轟音で鳴り響き、ライブが始まっていく。バックを支える3人のメンバーと共に、重厚なグルーヴを生み出していく様はまさに“バンド”らしい。ライブを重ねることでしか得られないメンバー間の信頼関係や“呼吸“のようなものが、着実に育まれていることを感じ取ることができる。それが1つ明確な“変化”と言えるだろう。

逆に変わらないものは、垣間見せる彼女の“心性”だろう。どんなにバンドとのグルーヴを増し、轟音でサウンドを鳴り響かせようともその表情にはどこか寂しげな雰囲気が消えない。凛とした佇まいを見せながらも、時に苦しそうに悲しそうに彼女は歌う。それは無理に愛想笑いを作らず、集団に溶けて混ざっていくことを選ばなかった人間が紡ぐ歌として、当然とも言えることではないだろうか。

彼女の言葉には嘘がない。だからこそ、同じ“暗さ”を持った人間の心に突き刺さるのだ。そして、それは誰もが本当は奥底に秘めているようなものだったりもする。“ひとりでも、いいよ”と言い切ってしまう「仲間はずれ」で本編を締めくくった後に、アンコールで出てきた彼女は主役のはずなのにどこか所在なさげだった。ただ、その姿こそが彼女らしさであり、変わらない部分でもあるだろう。

最後に奏でられた「雨を待つ」の“生きているだけで泣きたくなる日々を”という歌詞を、いつまでも聴く者の心に響かせるように歌っていて欲しいと願う。その歌は世に潜むように日々を生きている人々のもとに届き、いつの間にか反響して必ず広がっていくはずだから。

TEXT:IMAI

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