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BLUE ENCOUNT

信じるものを守るため、全身全霊懸けて戦う4人が明日を塗り替えていく

PH_BE_mainメジャーデビューを果たした2014年9月から、その勢いを加速度的に増し続けているBLUE ENCOUNT。昨年末に全国7ヶ所で開催された“TOUR2014 ROOKIE’S HIGH”はいずれも即日完売し、追加公演として発表された1/28の恵比寿LIQUIDROOM公演でも超満員の観客を熱狂の渦へと巻き込んだ。同日にリリースされた1stシングル『もっと光を』は過去最高級に開けた歌詞とサウンドがさらなる広がりを生み、その認知度は確実に日本全国へと拡大しつつあると言えるだろう。ツアー終了後も各地の春フェスに出演するなど、相変わらずバンドの核となる“ライブ”も精力的に継続する中、2ndシングル『DAY×DAY』が5/20にリリースされる。表題曲は人気アニメ『銀魂゜』のオープニングテーマに起用され、彼らにとって初のタイアップとなるが、楽曲の芯にあるものと熱量は全く揺るぎない。どんなに泥臭くとも自らの信じるものを全身全霊を懸けて守り、戦い続ける4人の生き様が映し出された名曲は数知れない人々の心を撃ち抜くはずだ。限界のその先を常に目指すBLUE ENCOUNTが、明日を塗り替えていく。

 

Special Interview #1

「全く息切れすることなく、ちゃんと一発目の衝動を保ちつつ、さらに沸点を上げることができたんです。本当に追加公演ならではというか、1回ツアーでお客さんと一緒に作り上げたからこそ、さらに上の世界を見ることができた」

●まずは1/28に恵比寿LIQUIDROOMで開催された“TOUR2014 ROOKIE’S HIGH”追加公演についてお訊きしたいんですが、自分たち的にあの日のライブはいかがでしたか?

田邊:安心しましたね。追加公演をやること自体が初めてだったので不安もあって、「頑張って全公演をSOLD OUTしたのに追加公演なんて大丈夫ですか?」とスタッフさんにも言ったんですよ。

●最初は不安だったんですね。

田邊:当日までは不安でしたね。ツアーが1回終わってからまだ1ヶ月ということで、「本当にお客さんが来てくれるのかな?」と思っていたんです。でもフタを開けてみたら、もう満員御礼でギュウギュウにお客さんが詰まっていて。しかもステージに上がってみたらビックリするくらい1人1人の顔がちゃんと見えて、後ろのほうの人の顔まで見えるくらい本当に見通しが良かった。その景色を見た時に「ワンマンって、やっぱりすごいな」と思ったし、その時初めてスタッフの皆さんに「すいませんでした」と心から思ったというか。「やっぱりどうなろうともBLUE ENCOUNTのワンマンを観て欲しかった」という気持ちがその時になって、ようやく噛み締められたんですよね。

高村:本当にやって良かったなと思いました。

●初の追加公演というところで、余計な不安を感じてしまっていた。

田邊:これまでの流れを考えるとBLUE ENCOUNTは不安ばかりを背負ってきたバンドだから、「ワンマンライブなんかやっても人が来ないんじゃないか」とか考えてしまうところがあって。そうやって目先のことしか考えていなかった自分たちを悔いた部分もありましたね。だから1曲目から「そんな自分たちへの1パンチだ」というくらいの気持ちで始めたら、今までにないくらいトップギア全開だったんです。でも1曲目から全開でやると、これまではだいたい途中でダメなライブになっていたんですよ。

●途中で息切れしちゃいますからね。

田邊:でもこの日は全く息切れすることなく、ちゃんと一発目の衝動を保ちつつ、さらに沸点を上げることができたんです。本当に追加公演ならではというか、1回ツアーでお客さんと一緒に作り上げたからこそ、さらに上の世界を見ることができた。最初は、そこも怖いところではあったんですよ。ツアーの1本1本で最高の景色を見てきたわけで、ファイナルのO-EASTの景色を超えられるのかという懸念があって…。O-EASTの打ち上げでも全然お酒が飲めないくらい思い詰めていましたね。

●そんなに思い詰めていたんだ(笑)。でも実際はちゃんとO-EASTを超えられた実感はあったのでは?

田邊:やっぱりお客さんが支えてくれたから良かったんだなと改めて思ったし、本当に自分たちの力だけでは何もできないんだなと。自分たちにはまだこんなにも伸びしろがあるんだなとも感じられたし、そういう意味ではBLUE ENCOUNTだから超えられたのかなとも思います。O-EASTのワンマンから1ヶ月足らずなのにちゃんとツアーでの経験も飲み込んで成長できたんだなというのも実感できたので、すごく意味合いの強い新年1発目のライブになりましたね。

●結果的にすごく意味深いものになったと。

田邊:だから、追加公演があって良かったんだと思います。あれがあったことで5月からのワンマンツアーに向けての意思表示もできたし、各々に克服しなきゃいけない壁も見えたから。本当に“意味”しかなかったですね。未だにあの日のことを思い出すくらいなんです。

高村:自分の中でもあの日のライブは生涯忘れないんじゃないかというくらい、思い出に残っていて。自分の中にあったものが全部出せたというか、最初から最後まで純粋な気持ちでステージにいられたんですよ。だからこそ田邊のMCが自分にも響いたし、「この空間にいられて幸せだ」と本気で思えたというか。あのワンマンを忘れないように、これからのツアーやライブに経験を活かせていけたらなと思っています。

●メンバーそれぞれにとっても重要なライブだった。

江口:ワンマンライブに対する意識が変わったというか。これまでのワンマンライブでは緊張してしまって、100%や120%を出せたことがなかったんですよ。もちろん全力でやっているんですけど、普通では120%が出せないのでもうワンマンライブというのはそういうものなんだなと思っていた自分もいて。でもLIQUIDROOMでは「あれっ? 今日はすごく自然体でいられる」と初めて思って、ワンマンでもこういうモチベーションでやれるんだなと改めて実感できた1日だったんです。それが今年1発目のライブだったというのもあって、あの日をキッカケに次のワンマンがもっと楽しみになりましたね。

●固くならずにやれたと。辻村くんは?

辻村:お客さんとの距離感が今までで一番良いなと感じましたね。今までは俺らが少し前を走って引っ張らなきゃと思っていたんですけど、あの日は最初の一歩目からお客さんと足並みが一緒だったというか。お客さんも最初から俺らに足並みを揃えてくれて、一緒に歩いているんだなという感じがしたんです。そこで俺らはもっとお客さんのことを信用して良いんだなと思えたし、これからやるワンマンでもそういう気持ち的な部分が変わるんじゃないかなという気がしています。

●いきなり全力疾走しても、お客さんがついてきてくれる感じがする。

辻村:そうなんですよ。でも前回のツアー初日の段階ではまだそれがわからなくて、こっちが引っ張ってあげようと思っていたんです。次のツアーでは最初から良い心構えでできるんじゃないかなと思いますね。

●次にもつながるものになったと。

田邊:これがまだ何も成し遂げられていないままでのLIQUIDROOMだったら、ライブのやり方も全然違ったと思うんですよ。不安はあったものの、その裏に隠れている自信をしっかり鍛えてくれたのが前回のツアーだったんです。不安や悩みに打ち勝ってきたツアーだったから。昔は「何で今、ツアーをまわっているんだろう?」と思っていた時期もあったけど、今になって1本1本のライブが自分たちの血となり肉となっているんだなというのを感じられたというか。

●昔も今もライブを通じて成長してきている。

田邊:ライブをやってみないと、自分たちのやってきたことが正しかったのかどうか答えがわからないんですよね。でも「やってきたことは正しかったんだ」と思える1年を去年は過ごせて。去年もすごく悩みはしたんですけど「もっと光を」という曲が生まれてからさらに変われたように、「ライブ大好きバンドで良かったんだな」と思えるLIQUIDROOMワンマンになったので本当に良かったですね。

●LIQUIDROOMと言えばバンドにとって1つの登竜門的な場所でもあるので、そこでワンマンができたというのも大きかったのでは?

田邊:LIQUIDROOMという会場は、絶対にいつかワンマンをやりたい場所だったんです。上京して初めて観に行った大きな会場がLIQUIDROOMだったので、自分たちがそこをお客さんで埋める景色を見たかったというのはあります。でも最初はキャパシティを気にしすぎちゃっていたのかなと思うんですよ。規模がどうであろうとそこにいる全員に伝わったという感覚のライブをしないと、キャパシティは大きくなってもバンドが成長しないんですよね。そこはあの日のライブでしっかりと理解できました。

●ライブの根本を見直すキッカケにもなった。

田邊:どんな場所であろうと自分たちの歌と人間味と伝えたいことが伝わりさえすれば、みんなが笑って盛り上がってくれるというのがわかったというか。追加公演後に今年の春フェスにも何本か出させて頂いて、さらに自分たちのライブの精度が上がったんですよ。それと同時にダメなライブはとことんダメという振り幅が生まれたんですよね。「0か120」っていう。

●「0%か120%」のどちらかしかないということ?

田邊:「0%を出さない」ということはこれからも大事なんですけど、それよりも80%で止まっちゃう時が一番良くないライブなんですよ。何が悪いかもわからないライブが「80%」なんです。

辻村:まだ「0」だった時のほうが気持ち良いんですよ。「今日はダメだったね。次、頑張ろう」となるんですけど、「80」の時は自分たちでもどうだったのかよくわからないから…。

●「0」だったら何が悪いかわかる。

田邊:ライブが終わった後ですぐわかるので、すぐに反省会ができるんです。「俺のここが悪かった」と自己申告もできるし、「お前のここが悪かった」とも言えるんですよ。そして「120」の時は最後の曲を歌っている時にもう(自分たちでも)わかって。お客さんも「すげぇ、キタ!」となっている感じがする。

高村:明らかにお客さんの反応が違うんですよね。拳1つ上げるにしても、そこに気持ちがこもっているんです。

●ライブ中にお客さんの反応を見ていると、よくわかるわけですね。

田邊:曲を知っているから「ここで拳を上げよう」というわけじゃなくて、「何かわからないけど、すげぇ!」っていう拳の上げ方になっているっていう。そういう時ほど僕らにもお客さんの気持ちが伝わるんですよね。逆に僕らの気持ちもお客さんに伝わっているから。そこが不思議と連動できているのが、BLUE ENCOUNTが特に強いところかな。逆にダメなライブをした時もお客さんはわかっていて…。

●良い時も悪い時も伝わってしまう。

田邊:そういうことを思わせてしまったとしても、次にやるライブで全部忘れてもらえるようなことを僕らはしていかないといけないんです。「次はこうなるんだろうな」と読む人もいる中で「やっぱりBLUE ENCOUNTだな」と思わせることをしないといけないんだというのが、今年に入ってまだ4ヶ月なんですけどわかってきたというか。LIQUIDROOMワンマン後のライブも、その1本1本がさらに自分たちを加速させた感じがします。

●今もライブで進化を続けている。

田邊:5月からのワンマンツアーに関しては、のっけからLIQUIDROOMを超える気持ちでいきたいんです。ワンマンだからこそ「この人たちは俺らのライブを初めて観るんだ」というくらいの気持ちでやらないといけないんだなと。初めて観るという人も増えてくるだろうし、その人たちをそこで離してしまうわけにはいかないので、バンドとして前のめりになって頑張らないといけないなと思います。

●今作『DAY×DAY』の初回生産限定盤に付いているDVDは1/28のLIQUIDROOMワンマンの模様も収録しているわけですが、これを観て初めてライブに来るという人もいるでしょうからね。

田邊:LIQUIDROOMが本当に楽しかったんです。高校の時に初めてライブハウスのステージに上がった時の感覚というか。友だちがいっぱい見に来てくれている前で自分たちが輝いていて、輝いていることが自分自身でもわかるようなライブだった。「今日のライブ、すごく楽しかったよね」とガムシャラに自信満々になっていたあの頃の感覚が、最近はなかったから。やっぱり色んな人に「ライブって楽しいんだな」と感じてもらうためには、僕らが先陣を切ってライブをしっかり楽しまないといけないんだなと思いました。

●DVDではそういうところも伝わる?

田邊:にじみ出ていますね。今回(映像チェック用に)オフラインの段階で部屋で1人で観てみたんですけど、本当に良いライブなんですよ。自分のMCを聴いて、泣きましたからね。その時のMCって、全く(事前に)何も考えていないんですよ。草稿みたいなものも何もなくて。

●考えてきたことを話したわけではない。

田邊:だから、より自然体というか。その映像を改めて見てみた時に、何もフィルタを通さずに聴けたんですよね。余計なことは考えずに、「こういうことを言っているんだな」というのがスッと入ってきた。1つ1つのライブシーンに対しても、そういう感じだったんですよ。「こんなに楽しい顔をしていたんだ!」とか「あれっ、この時ってこんな感じだったの?」っていう発見があって。今だから冷静に見れたという部分もあるし、その時とにかく僕は手放しで楽しんでいたんだなというのがわかりましたね。

●それはメンバーも同じ?

田邊:ドキュメンタリー映像でのメンバーの顔もすごく穏やかなんですよ。もちろん緊張はしているんですけど、それでいてアットホームな感じというか。何かに押しつぶされそうにはなっていなくて、BLUE ENCOUNTの良い意味でバカで不器用な部分が出ていて。何もカットすることなく「全部出して下さい」と言えたのは、初めてでしたね。でもDVDとしてはその中から厳選しつつ、あの日の様子を何のフィルタも通さず見せるようなものになっています。

辻村:お客さんもすごく良い顔をしていて、楽しそうなんですよね。映像を見た人が「BLUE ENCOUNTのお客さんって、こんなに良い顔をしているんだ」と思って、自分も同じ空間に行ってみたいと思ってくれたらすごく嬉しいですね。

●BLUE ENCOUNTのライブが観たくなるDVDになっている。

江口:自分たちのライブも含めて、お客さんの景色も見て欲しいなと思えるライブDVDになったと思います。これまでの中で一番、自信を持てるライブ映像なので本当にこのタイミングで出せて良かったなと。たぶん今回の『DAY×DAY』という作品は今までで一番色んな人たちに聴いてもらえる作品だと思うんですよ。そこに今回の映像を付けられるというのが、自分たちとしても嬉しいですね。

 

BLUE ENCOUNT:Special Interview #2

「絶対にライブで育つ曲だろうなというのはもう間違いないから。ライブの新しい武器として僕らが提示できるものであるのは間違いない。これからもっと大きな存在になっていくと期待していますし、僕らがそうさせます」

●今回はタイトル曲がアニメ『銀魂゜』のオープニングテーマに起用されていることもあって、今まで以上に多くの人に聴いてもらえるキッカケになる作品かなと。

田邊:「DAY×DAY」は初めてのタイアップということで、お話を頂いた当初は自分の中で葛藤と戦っていたんです。より多くの人に聴いて頂ける機会ということで、「やっぱり万人受けを狙わないといけないのかな?」というところで悩んでしまって。何曲か作ってみたんですけど、自分の中でも何か面白くないなと…。

●余計なことを考えるあまり、納得のいく曲ができなかった。

田邊:そういうところで、考え方を転換させてくれたのがライブだったんです。ちょうどSiMのツアーに誘って頂いた新潟のライブで、その日は大先輩のRIZEも一緒だったんですよ。大先輩の雄姿とか意志を目の当たりにして、「俺はなぜBLUE ENCOUNTというものを自信を持って、万人に知らしめようとしなかったんだろう」と思って。その日の打ち上げ前に一度ホテルにチェックインした時の玄関で浮かんだのが、「DAY×DAY」のサビだったんですよね。

●自分たちらしいものを自信を持って押し出そうという考えになれたことで、サビが浮かんだ。

田邊:本当に邪念がなく、スッと浮かんできて。一応、他にも候補はあったほうが良いということで自分の中で万人受けを意識したような曲も作って一緒に提出したんですけど、そしたらもう満場一致で「DAY×DAY」に決まったんです。「DAY×DAY」は僕が「これがBLUE ENCOUNTだ!」と思って作った曲なのでチームのみんながこれを選んでくれるのも当然なんですけど、本当に良かったなと。

●それが『銀魂゜』の制作側にも受け入れられた?

田邊:『銀魂゜』のスタッフ側がどう思うかという不安はあったんですけど、先方からは「これでお願いします」という返事を頂いて。歌詞に関してもすごく賛同して頂けたので、やっぱり貫いて良かったなと思いました。

●自分たちらしさを貫いたからこそ、後悔も生まれなかったというか。

田邊:(自分たちらしさを)貫いたその先にも、納得して頂ける方々がいて良かったなと。最初のタイアップをさせて頂ける相手が『銀魂゜』で良かったなと、今は心から思えています。制作スタッフの方たちにはワンマンライブを観て頂いていました。自分たちのライブ感を隠さずにさらけ出せて良かったなと思いますね。本当にBLUE ENCOUNTの良さを詰め込んだものを受け入れて頂けたことで、大きな葛藤をちゃんと自分らしく超えられたなと思います。

●タイアップとはいえ、純粋なBLUE ENCOUNTの新曲としても聴けるものになっていると思いました。

辻村:そう言ってもらえると嬉しいですね。「タイアップだからこそ」というものではないから。

田邊:僕らもちゃんと自分たちらしさをぶつけることができたというか。タイアップがどうこうじゃなく、ちゃんとBLUE ENCOUNTの新曲として自信を持ってやれているというのも大きいですね。本当に色んな歯車が噛み合った上で回っているので、無理して回っているものが何1つないんです。だからこそ今まで以上に歌も大変だし、フレーズも大変だし…。

●歌や演奏の面でもさらにレベルの高いものになっていると。

田邊:やっぱり新曲を出すごとにBLUE ENCOUNTは1つ上の限界を目指して作っているんだなと思いました。これが違う感覚の下で作っていたらもっと簡単なことをやろうとしていたと思いますし、もっとみんながわかりやすいものをやっていたかもしれない。そういう意味で、今回もまたすごく挑戦した作品ができたなと思いますね。

●毎回ちゃんと前回の自分たちを超えていくことに挑んでいるわけですね。

田邊:そうですね。だから前作の『もっと光を』もそうでしたけど、未だに成長期のまっただ中というか。まだまだ仕上がっていないですし、今回のワンマンツアーでまたどれだけの光を放てるのかというところになってくるのかなと。

●そこは実際にライブでやってみないとわからない。

田邊:そればっかりはどんなにリハーサルして、どんなに想定していても、その時のライブになったら全然もう別物なんですよね。

辻村:一応、みんな仕上げてくるんですよ。でも完璧に仕上げて「よし頑張ろう!」となっても、やっぱりライブになるとパワーのなさを感じたりして。逆にパワーが付いた時もよくわかりますし、ライブでやらないと曲の良さが自分たちでもまだまだわかっていないんだろうなって。自分たちでも気付いていないところがいっぱいあるし、だからこそライブでやる意味は大きいんだろうなと思います。

江口:でも絶対にライブで育つ曲だろうなというのはもう間違いないから。タイアップというだけの曲じゃなくて、ライブの新しい武器として僕らが提示できるものであるのは間違いない。これからもっと大きな存在になっていくと期待していますし、僕らがそうさせます。

●ちなみに歌詞の内容に関して、『銀魂゜』のイメージに近付けたりもしていない?

田邊:もちろん高校生の時に原作は読んでいましたし、そう考えると深層心理の中ではあるのかな。『銀魂゜』の世界観は、BLUE ENCOUNTのライブのやり方とすごく共通点が多いんです。最初は「何、この人たち?」という感じで笑わせる部分やシュールな部分もあったりする中で、後半に進むにつれてその時に言いたいメッセージを伝えるというところが共通点としてあって。

●共通点があるからこそ、自分たちらしく書けたんでしょうね。

田邊:だから、あえて考えすぎることはしなかったです。もちろんオープニングテーマをやらせて頂くからにはその世界観を広げなくてはいけないという気持ちはありましたけど、まずは等身大のBLUE ENCOUNTが今伝えたいメッセージというものをしっかり明記したかった。それはサビに一番出ていて、“全身全霊懸けて”(あなたを)僕らの音楽で守りたいんです。聴いてくれる人たちにも守りたい存在が絶対にあって、それをバカにされても大事にして欲しいっていう。僕らがライブでずっと言っているメッセージを過不足なく入れることができたので無理なくBLUE ENCOUNTが出せつつ、『銀魂゜』への愛もしっかり込められたんだと思います。

●原作への愛も込めつつ、ちゃんとBLUE ENCOUNTらしい歌詞になっている。

田邊:“BLUE ENCOUNTから、あなたに”というものも入っているし、色んなものがちゃんと膨らんで、良い方向に行っているというか。“灯せ! その個性”とか今まで言えていたようで言えていなかった言葉も使えたんですよね。

●“「我が物顔」がはびこるこの世界で”という部分は風刺的で、ちょっと攻撃的な歌詞かなと。

田邊:常に自分たちが何かを“ライバル”や“敵”だと思ってしまうところがあって。やっぱり戦わないと仲良くなれないですし、勝てないわけで。“敵”だと思っていたものと戦って仲良くなったり、“ライバル”と戦っている中で自分にはないものを相手が持っていることに気付いたりする。何ごとも決め付けで終わっちゃうと面白くないというのは、今までのBLUE ENCOUNTの生き方でもそうだったから。意外と対バンしてみると良いヤツだったり、怖そうな先輩が僕らの曲を聴いていてくれたりといったことも多かったんです。そういう生き様の部分でも『銀魂゜』の世界とリンクするところがあったので、本当に背伸びせずにできたというのはありますね。

●等身大の自分たちと『銀魂゜』の世界が自然にリンクした。

田邊:しっかりとマッチしたものができましたね。僕らが寄せにいったわけではないし、逆にアニメが寄ってきてくれたわけでもなくて。不思議とお互いの真ん中にある芯に集まれたというところがあるので、我ながらすごく恵まれていたなと。何かちょっとでも違っていたら僕らがすごい傷を負っていたかもしれないし、後悔も残ったかもしれない。そういった意味で、真っ向からぶつかり合える存在だったなと思います。本当に良いチャンスを頂けたなという感じですね。

●この曲でブルエンを知った人が他の曲を聴いても、イメージがちゃんと一致するというか。

田邊:そこをさらに加速させられたのが1月にリリースした「もっと光を」で。あれを僕らがしっかりとアウトプットできたからこそ、この曲も何の言い訳もなく出せるというのはあるんです。

江口:俺らの中で「もっと光を」ができたことが大きいというか。それをお客さんも受け入れてくれたことで、作れる曲のバリエーションが広がったので。本当にあの曲のおかげで、今回の「DAY×DAY」ができたというのはありますね。

●カップリングの「AI」もリード曲になってもおかしくないくらいのクオリティというか。

田邊:本当はアルバムを出すことになったら、そのリード曲にしようかと思っていたくらいなんですよ。これは2年前くらいからサビはあった曲で、前から「どこで出そうか?」という話はしていたんです。

●それをこのタイミングで出したのは?

田邊:最初は別の曲をカップリングに持ってこようとしていたんですけど、「DAY×DAY」と並べて聴いてみた時にもう一方の曲が“カップリング”になっちゃうなと思ったんです。これはBLUE ENCOUNTを組んだ高校生の頃に「俺らはどんな作品を作ろうとも全曲がシングル曲じゃないとダメだよね」と言っていた自分たちにツバを吐いていることになるなと。そこで急遽その曲をやめようとなった時に、「これしかないでしょう」ということで「AI」の制作を始めて。

●急に収録が決まったと。

田邊:ちょうど合宿中で当初予定していた曲は既にできていたので「最終日は焼肉パーティーだね」とか言っていたのに(笑)、そこから全ての時間をこの曲の制作に当てることになって。ギリギリまで考え抜いた結果、BLUE ENCOUNT史上で最もきれいなサビになったんです。その上でさらにエッジの利いた鋭角なロックが表現できたので、そこのギャップも楽しめる1曲になりましたね。Aメロ〜Bメロがこんなにもロックなのに、サビがこんなにもスッと入ってくるというところで、自分たちの中では(代表曲の)「HALO」を超える作品ができたかなと思っています。

●それくらいの名曲ができた実感がある。

田邊:この曲をこのタイミングで出してしまうというのは正直、ちょっと悔しいです。もしかしたら今後のアルバムでキーになったかもしれないのにな…という気持ちはぶっちゃけありました(笑)。「今出しちゃうのは早いんじゃないのか?」とは思いましたけど、どう考えても今回の「DAY×DAY」で僕らがアウトプットするメッセージや音楽に対して戦えるのはこの曲しかなくて。だから、今この曲を出せて良かったなとすごく思います。

●結果的にはこのタイミングで正解だったというか。

田邊:この2曲をスッと聴かれてしまったら、終わりだと思っていて。アルバムでもシングルでもスッと聴き終わるようではBLUE ENCOUNTらしくもないし、全曲が「何、これ!? 統一感が全然ないわ」って言われるくらいのものじゃないといけないというか。それくらいじゃないと「ジャンルはBLUE ENCOUNT」と言えないんじゃないかと思っているので、「AI」をここで出したのは必然だったんですよね。この曲は今回のツアーから披露しようと思っているので、その時にみんながどう受け止めてくれるのかなと…。

江口:絶対にライブ映えする曲だと思うので、楽しみですね。

●今回のツアーでまわる会場は過去最大規模?

江口:各地ともにダントツで最大です(笑)。

田邊:自分たちがやりたかった場所というか。全会場、夢に描いていた場所なんですよね。2〜3年前は「僕らには天地がひっくり返らないと無理だよ」と思っていた場所でやる日が現実になってきて、観に来てくれた人たちに1月のLIQUIDROOMで見せた以上の世界を見せられるかというところでまた不安が出てきた部分はあります…。でも曲がさらに増えたことでセットリストも変わってくるだろうし、そういう意味でもドキドキ感をさらに見せられるツアーになるかなと。今まで以上にどんな景色になるのかがまだ見えない感じはありますね。

辻村:でもお客さんは自分たちを観に来てくれるわけなので、LIQUIDROOM以上の雰囲気にしてこそだと思うんですよ。最初からトップギアで行きつつも、ステージの広さとかを考えたらメンタル面や体力面も強くしていかないといけないことばかりで。そういったところを乗り越えた上で、ファイナルのZepp DiverCityが終わった時に自分たちがどう思っているんだろうというところのワクワク感はありますね。

●Zepp DiverCityを終えた時に、また1つの壁を超えるんでしょうね。

辻村:しっかりと超えたいですね。

田邊:今回のツアーでは、そこから先の景色を見せたいんですよね。「ここがゴールじゃないよ」ということもちゃんと見せたいなと。そこでゴールとなってしまった時が、80%のライブなんですよ。いかに“120”から先のものを見せられるかというのは、キーになるんじゃないかな。

江口:どんなワンマンになるのか、自分でもまだわからないんです。でも「何かやらかしてやりたいな」という気持ちはずっと変わらずにあるので、ここでも「0か120か」の気持ちを忘れずにやりたいですね。そこを忘れたらつまらないワンマンになってしまうので、本当に振り切ったことをやりたいなと思っています。

Interview:IMAI

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