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近藤智洋

誰もが持っている特別な物語を紡ぐ僕らの歌。その歌はこれからも旅を続けていく

PH_kondo2015近藤智洋がオリジナルアルバムとしては、実に7年ぶりとなる3rdアルバム『GO!』を完成させた。前作の2ndアルバム『二つの鼓動』を発表後、自分の中に足りないものを感じて模索していたというこの7年。その間もソロでの弾き語りを中心に、近藤智洋&ザ・バンディッツ・リベレーション、GHEEE、The Everything Breaksと積極的に全国各地でライヴ活動を展開してきた。そして遂に結実した今回のアルバムは近藤自らも納得のいく言葉と確信に満ち溢れ、次なる次元に突入したことをも指し示している。

 

「次のところに辿り着けたかなという感覚は、自分の中にあります」

●2006年に1stソロアルバム『近藤智洋』を出してからの数年はコンスタントにリリースされていたわけですが、2008年に2ndアルバムの『二つの鼓動』を発表してから今作までに7年も空いたというのはどういう理由があったんでしょうか?

近藤:それぞれの弾き語り盤も含めてアルバムを計4枚作った時に、自分の中でちょっと思うところがあって。作品の出来には満足していたんだけど、自分にはまだ足りないものがあるなと感じていたんです。

●足りないものというのは?

近藤:それは歌詞についてなんですけど、そう思うようになったのはずっと色んなところでライブをやるようになってからで。(PEALOUT解散後に)ソロになって、今までとは比べ物にならないくらい数多くのライブをやるようになったんですよ。そういう中で、自分の歌は初めて聴いた人にはとっつきにくいみたいだなというのを感じて。実際「2〜3回聴くと、すごくハマってくる」ということをよく言われるんですよ。

●じわじわくる感じというか。

近藤:たとえば対バンの人はライブ後にCDがすごく売れていたりするのを見て、自分の曲にはそういう即効性がないのかなと。それで「自分に足りないものは何だろう?」と考えたんです。俺はライブで色んな人のカバーもするんですけど、その曲を選ぶ時にキモになるものって“言葉”なんですよね。歌詞がすごく良いと、歌いたいなという気持ちになる部分は大きいから。そういった意味で2ndを出して以降は、次は自分の歌詞をもうちょっと見つめ直してみようかなというのがあって。それで納得するものができたらアルバムを作ろうと思っていたら、7年も経ってしまったという(笑)。

●でも歌詞自体はもちろんPEALOUT時代からも追求していたわけですよね?

近藤:そうですね。でもソロで“近藤智洋”という名前でやっていく上では、もうちょっと自分が見える歌詞を書いてみたいなという気持ちがあったんです。「“近藤智洋”とはどういう人間か?」というのを表すような歌詞を書いたほうが(リスナーにも)もうちょっと伝わるんじゃないかなと思って。

●それ以前の歌詞には、自分自身がそこまで出てはいなかった?

近藤:もうちょっと抽象的な表現が多かったのかなと思っていて。色んな意味に取れるような言葉を使って、何通りにも解釈できるような歌詞を書いていたんです。そこからたとえば「自分はこういう人間です」みたいなことを具体的な言葉で書いてみたらどうなるかなというチャレンジをソロではしていた感じですね。

●その間もGHEEEやThe Everything Breaksでの活動も平行してされていたわけですよね。

近藤:そっちはそっちで、歌詞もまた違う面を追求していて。GHEEEだったら英語の歌詞の書き方だったり、The Everything Breaksだったらもう少しロック的な歌詞を日本語でやるといったことに取り組んでいたので、そうなるとソロでは余計にもっと自分にフォーカスしたものを書きたいなっていう。

●ソロだからこそ、より自分にフォーカスしたものを書くというか。

近藤:そういうことを意識して書き始めた時に、最初にできたのがM-12「Everyday & Every night」で。この歌詞を書けた時に「あ、ちょっと次に進めたかな」という感覚が自分の中であったので、これを基軸に歌詞を書いていきたいなということで色々と旅しながら曲を書いていったんですよね。

●「Everyday & Every night」が基軸になったと。

近藤:でもなかなかアルバムを作るというところにまでは至らなくて、「これでもう大丈夫だ」と思えたのがM-10「独白のブルーズ」の歌詞を書けた時だった。この歌詞が書けた時に「もうこれで自分の思っていたところがクリアできたかな」と思って。といってもそれが3年前くらいのことなんだけど、そこからアルバムを作ろうかなというモードになってきたというか。

●この歌詞を書けた時に自分の中で達成感があったのは、どういう部分なんでしょうか?

近藤:「自分を全部さらけ出せたかな」と思えたのが一番大きいかな。やっぱり、この曲をやるとライブでも一番反応があったんですよ。自分が昔できなかったこと…たとえば1回ライブで歌っただけで誰かの気に留まるみたいなことが、この曲ではできたという手応えがすごくあったんですよね。

●「独白のブルーズ」では、本当に独白のような感じで自分の内面にある想いを歌っている?

近藤:ライブで歌っていて気付いたんですけど、1番の歌詞が小学生くらいの頃に思っていたことで、2番は10代の思春期の頃に感じていたことで、3番は30歳くらいのまだバイトをしていた頃のこと、4番は今40代になって感じたこと…という流れになっているんですよ。意識はしていなかったんですけど、今回のCDを作り終えてライブで歌っている時に「ああ、そうだな」と思って。

●結果的に、ここまでの人生を振り返るような内容になっている。

近藤:ここまでの人生で感じたことを織り交ぜて歌っている感じですね。

●M-5「僕の町、きみの風景」なんかは特に近藤さんの人生が見える曲というか。

近藤:これは(地元の福岡県)柳川に1回戻って、帰ってきてから作った曲かな。

●こうやって地元の方言で歌詞を書いたことは今までにもあった?

近藤:なかったですね。ちょうどその頃に高校の同窓会みたいなのがあって。自分たちの代が卒業30年後に仕切る大同窓会みたいなもので、昔の卒業生も含めて1,000人くらい集まるんですけど、そこで歌って欲しいと同級生に頼まれたんですよ。そういう場所って70〜80歳くらいの人まで来るし、田舎の方言(※筑後弁)で歌えば興味を持ってもらえるんじゃないかなと思って、この曲を書いてみたんです。

●歌詞に出てくるお店も実在したもの?

近藤:子どもの頃にあったお店で、今はもうないようなものですね。でも地元の人が聴けばわかるっていう。

●M-3「8月15日のブルーズ」の歌詞に出てくる内容も実際にあったことですよね?

近藤:これは2013年にThe Everything Breaksで、wilberryの企画に出してもらった時のことだったりしますね。ホームページに「WORD」という日記的なページがあって。言葉を書いて毎回更新していくんですけど、文章を書くのって時間がかかるんですよ。この時間をせっかくなら音楽に費やしたほうが良いんじゃないかと思って、作った曲をその日の内に録音してアップするというのを週に1回やっていた時期があったんです。

●そういう中でできた曲ということ?

近藤:ライブをやると、その日の感想みたいなものを翌日に曲にしてアップしたりしていて。その時に作っていた曲で元々はすごく短かったんだけど、なかなか良い感じだったのでバンドでやってみようかなということで膨らませたのがこれなんですよ。歌詞もそのままが良いかなと思ったので、あまり変えずに使っていますね。

●歌詞はリアルとフィクションが織り交ぜられている感じでしょうか?

近藤:そうですね。M-4「夕闇と少年」なんかはフィクションだから。でも、そこに子どもの頃に思ったことや感じたことを混ぜつつ書いていたりもして。

●フィクションの中にも、自分の本当の想いが込められていたりする。

近藤:たとえば2ndまでの自分だったら、「僕の町、きみの風景」や「独白のブルーズ」みたいに自分のことを歌詞にして歌わなかったと思うんですよね。そういうものが今回は増えたかなと思います。

●自分に近い言葉を書くようになったことで、それぞれの歌詞に関連性も今まで以上に出たのかなと。

近藤:それは今まで以上にあるかもしれない。(今作は)たとえば自分の右手や左手だったり一部分みたいな曲が集まって、全部で1つの身体になっているという感じかもしれないですね。

●今まで出してきたアルバムとは、感覚的にも違ったりする?

近藤:やっぱり違いますね。次のところに辿り着けたかなという感覚は、自分の中にあります。

●そのアルバムタイトルを『GO!』にした理由とは?

近藤:タイトルをずっと考えていたんですけど、なかなか良いものが浮かばなくて。「どうしようかな?」と思っていた時に、ちょうど去年の年末にツアーがあったんですよ。そこで新しいバンディッツ・リベレーションでツアーをした時に、やっとアルバムを作れる状況になったかなと思ったんです。その時にホームページの「WORD」のページに“これでGO!”みたいなことを書いたんですよね。

●そこから来ていると。

近藤:自分で後からそういうものを読み返している時に、『GO!』って良いなと思って。シンプルだし、今の気分を表しているし、誰でもわかる言葉じゃないですか。

●M-8「Yeah Yeah You」にもこの言葉が出てきますし、近藤さんの今の心境を象徴しているのかなと。

近藤:この曲の歌詞は今作で一番最後に書いたものなんですよ。タイトルも決まっている時期だったから、一番それに近いのかもしれないですね。

●今作を作り終えてみて、今はどういう心境なんでしょうか?

近藤:やっとスッキリした部分はあるかもしれないですね。この7年は、基本的に新しい曲ができたらライブでもそればかりやっていたので、お客さんから物販で「あの曲が入っている作品はどれですか?」と訊かれても「いや、まだないんですよ」というやりとりをずっとしていたから(笑)。

●ライブのセットリストが音源化されていない曲ばかりという(笑)。

近藤:特にここ何年かはイベントの40分くらいのステージだと昔の曲はやらないから、その日にやった曲が物販で売っているCDに1曲も入っていないという状況が続いていたんです。今ライブでやっているものは今作に大体入っているので、自分の気持ち的にちょっとスッキリしたというか(笑)。

●ライブで磨いてきた曲たちが今作には入っている。

近藤:だから、レコーディングも速かったんですよ。みんな演奏し慣れた曲ばかりだったから。

●雰囲気としてバンディッツ・リベレーションのライブは、GHEEEやThe Everything Breaksよりもピースフルな感じがします。

近藤:ソロのバンドは楽しい感じというか、グルーヴィーというか。GHEEEやThe Everything Breaksのロック的な“陰”の部分を排除した、ちょっと開放的な感じにしたいなということは意識していますね。リズムの部分だったりで、ダンサブルな感じにしたいなと。

●M-6「バンディッツのテーマ」は、まさにそういう感じがします。

近藤:これはライブに向けて作った曲なんですよ。踊れる感じの曲が欲しいなと思って。

●ライブが楽しみですね。東名阪のワンマンツアーは、この7年間の集大成的な意味合いもあるのでは?

近藤:この3本のツアーで、バンディッツ・リベレーションのメンバーと一緒に7年間のものを見せるという感じですね。

●ちなみに、次作はまた7年後ということにはならないですよね…?

近藤:そうならないようにしないと(笑)。次はせめて2年後くらいに出したいですね。でもその前にまた弾き語り盤を出したいなと思っているので、次はそれを出してからかな。

Interview:IMAI

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