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ラックライフ G./Cho.イコマ インタビュー

メジャーデビュー記念・全メンバー個別インタビュー #4:G./Cho.イコマ ソロインタビュー

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「一時期ずっとライブばっかりしていた20代前半があったので、最近はライブも少なくなってきたことでメンバー全員がうずうずしているんですよ。だからライブのときの開放感たるや、”やっと来たか!”みたいな感じはありますね」

●イコマくんは元々、ギターをやりたかったんですか?

イコマ:小学5年生くらいのときに仲のよかった友だちが、アコギでゆずのコピーとかをしていたのを見て面白そうだなと思ったんです。あと、うちの親父がアコギが好きで、家で弾きながら歌ったりしていたんですよ。「そういえば、親父がギターを持っていたな」と思って、家にあったギターをちょっと拝借して自分でもやってみようとしたんですけど指が痛くて、とてもじゃないけど弾けなくて1回挫折しました。

●最初は挫折したと。

イコマ:その後で中2か中3のときにもう一度挑戦したんですけど、やっぱり指が痛くて…。でも何とか頑張って乗り越えようと2ヶ月くらい我慢して練習したら、ちょっとずつコードが押えられるようになってきて「これは楽しいな」と。その流れで高校で軽音部に入ったんですよ。部室にエレキギターがあったので初めてだったけど弾いていたら、部室のドアがバンッとすごい勢いで開いて、そこに大石が立っていたんですよね。初対面でいきなり「自分、ギター弾けんの?」って馴れ馴れしく話しかけてきたんで、“こいつ留年生や”と思いました。

●ハハハ(笑)。

イコマ:髪の毛ツンツンでポケットに手を突っ込んで「ギター弾けんの?」みたいな感じで喋りかけて来たんですよ。まず初対面の人に対してそんな喋り方ができるヤツって、ヤンキーじゃないですか。

●確かに(笑)。

イコマ:僕が「コードくらいやったら押えられる」っていう話をしたら、「俺、バンドをやろうと思ってるんやけど、入ってくれへん?」って言ってきたんですよ。しかも「ベースで入ってほしい」と言われたんですけど、「俺が今弾いているのギターやんな? こいつ、ちょっと頭が悪いんかな?」と思って(笑)。でも僕もバンドをやりたいなという気持ちもあったので、何となく「いいよ」って返事をしてしまったというのが、このバンドに入ったキッカケですね。

●それが後のラックライフにもつながるとは…。

イコマ:そのときはまだPONじゃなくて、同級生の女の子がボーカルをやっていて。1回だけ文化祭でライブをしたんですけど、その後で僕が交通事故に遭ったんですよ。トラックに轢かれて、4〜5ヶ月入院することになったんです。

●えっ! 大事故じゃないですか!

イコマ:そうなんですよ。最初の1ヶ月は集中治療室に入っていて。意識はあるんですけど、朦朧としている状態だったんです。しかも僕、珍しい血液型なので輸血する血がなくて、本当に死んでもおかしくないという状況でした。

●そこから何とか復帰したわけですよね?

イコマ:事故があってしばらく学校に行けなくて、復帰した頃には元々のメンバーが僕と大石の2人になっていたんですよ。その頃にはPONも加わっていたんですけど、ギターが空いていたので「やっぱりギターをやるわ」と。そこからベースを探そうという話になって、軽音部の幽霊部員だったたくに訊いたら「うちにベースがある」っていう奇跡みたいなことが起きて、今の4人になりました。それが高校2年生なんで、本格的にギターを始めたのは高2のときですね。

●バンドを本気で続けていこうと思ったのはいつ頃?

イコマ:20歳くらいのときですね。やっぱり交通事故に遭ったことが大きくて。それまでは勉強も結構していたんですよ。大学に行って就職もしてという感じで、元々はちゃんとしたルートを歩もうと思っていたんです。でもその矢先に交通事故に遭って、“もう勉強も何にもわからない!”ってなったんです。

●半年間も学校を休んだら、他の生徒に追いつけないですよね。

イコマ:それを言い訳にしている面もあったんですけど、“もうあかんわ”と思っている時期があって。そんなに深く考えてもいなかったので、「将来はどうするの?」と訊かれても答えられなかったんです。でもいよいよ19歳くらいのときに“これはハッキリせなあかん!”と思って、そこでバンドをやると決めてからは徐々にやる気も出てきましたね。

●そこから本気でバンドに取り組み始めたと。ギターに関しては、誰か影響を受けた人はいるんですか?

イコマ:誰からというものではないような気がします。パンクとかをよく聴いていた頃もコピーしていたわけではないし、ルーツと言われたら難しいんですよね。逆に今の方がギターヒーローの曲を聴いたりしています。

●言ってみれば、独学というか。

イコマ:そうですね。ちょっとずつ覚えていったという感じです。

●PONくんは「イコマは、自分からは絶対に出てこないようなアプローチを出してくるからビックリする」と言っていたんですが、どういうところから湧き出てくるんですか?

イコマ:たとえば今回の「名前を呼ぶよ」だったら、サビのメロディがすごくキャッチーで歌いやすくてシンプルなのがすごくいいなと思って。「もうできているやん」っていうくらい、弾き語りの時点で完成された曲だったんですよ。だから、あんまり余計なことはしたくないというか。他の食材を持ってくるんじゃなくて、ほんのちょっと塩こしょうで味付けするくらいの感じで。天ぷらを塩で食べるみたいなイメージで、あんまり主張しないようなギターにしたいと思ったんです。

●素材のよさを活かそうと思った。

イコマ:逆に「ブレイバー」や「ストレンジマン」では、元々やったことがないことをやってみようという考えがあったんですよ。まず「ブレイバー」はロックテイストにしてみて。「ストレンジマン」は、僕が元々JUDY AND MARYのTAKUYAさんのギターがカッコいいなと思っていた影響もあって、遊び心のあるテーマパークみたいなポップロックにしてみたんです。

●「ストレンジマン」は、いい意味での軽さがありますよね。

イコマ:そうですね。遊園地みたいな曲にしたかったので、スペーシーなワーミーの音を入れてみたりして。最終的には歌詞やメロディをちゃんと聴いてから詰めていくんですけど、作業を始める段階では歌詞がまだなかったりするんですよ。そういう中で「この曲はこういうふうにしたいな」というイメージが、たとえば「宇宙っぽい」とか「火山っぽい」というものだったりするんです。

●抽象的というか視覚的なイメージをギターに落とし込む場合が多い?

イコマ:そうですね。色を想像したりします。だから、曲を持ってきたPONとは違うものを想像しているかもしれないです。

●PONくんが持ってきた曲に対して、イコマくんなりに“この曲は赤やな”みたいなイメージがある?

イコマ:「何色?」って訊かれたら、答えられる感じはありますね。

●たとえば「名前を呼ぶよ」は何色?

イコマ:完全に白です。「ブレイバー」は赤で、「ストレンジマン」は黄色ですね。

●言われてみれば、そういう感じがしますね。

イコマ:「ブレイバー」は、火山をイメージしました。溶岩があるようなところで、ドラゴンクエストのダンジョンみたいな…。それが反映されているかと言われたら、わからないですけどね(笑)。

●ハハハ(笑)。そういうイメージをメンバーに伝えたりもするんですか?

イコマ:たぶん言ったことはないと思います(笑)。(自分のギターは)上ものだから、あとでどうにでもできるというか。だから他の3人でベーシックを録ってもらって、それをパッと聴いたときにどんなイメージかを最初に考えるという感じですね。

●ちなみに、イコマくんから見た他のメンバーの印象は?

イコマ:大石は一言で言ったら完全に“ガサツ”ですよね(笑)。でも“不器用”っていうのがいちばん似合う感じですね。伝えるのも下手やし頑固なところもあるけど、ただ想いはあるから。それがブッキングにも活かされていると思うんですよ。

●アツい男ですよね。

イコマ:伝えるのが下手やし、何をするのにもフリが大きい。緩急の付け方を知らなくて、常に100パーセントなタイプだから、ちょっとしんどいときもあります(笑)。でも、いちばんアツいヤツですね。

●たくくんは?

イコマ:たくは、いちばん優しいですね。たく以外の3人は我が強くて、嫌なもんは嫌っていうタイプやから。僕らが言い合いになったりしたときに、たくは中間的な立場に立ってくれるんです。そこで反発してこないし、嫌な役回りを担ってくれるというか。みんなが嫌がる部分をカバーしてくれる、いちばん重要な人物やと思います。

●それ、他のメンバーも言っていましたね。

イコマ:あいつがいなかったら崩壊してますよ。

●それもみんな言っていました(笑)。

イコマ:いちばん宙ぶらりんというか、ちゃらんぽらんなヤツなので、それが逆に功を奏したのかな。ダメになれるんですよね。可愛がられるタイプだと思います。

●PONくんはどんなイメージですか?

イコマ:PONはいちばん気分屋です。「今日は機嫌が悪いな」っていうときは1日中ずっと機嫌が悪いし、機嫌がいい日はずっといい。ちょっと嫌なことがあるとすごくヘコむし、ちょっとオモロいことがあるとすごくアガるっていう。

●ストレートなんですね。

イコマ:純粋というか。心許せる仲とか周りに気を遣う相手がいない現場だと、空気を関係なくぶった切ったりしますね。空気を読めないわけじゃないけど、読まないときがあるというか。

●空気を読まなくていいと考えているということは、実際は読んでいるんでしょうね。

イコマ:結構考えているとは思うんですけど、自由ですね。でも内には、いろいろ溜め込んでいるというか…。だからスタジオでもいい雰囲気のときと、すごく険悪なときがあったりします。

●スタジオの空気がPONくんに左右されている部分も大きい?

イコマ:僕と大石のときもあるんでしょうけど、PONの時が多いですね。スパッと言えるというか。スタジオでこっちが「こういうのをやってみようと思うんだけど…」と言ったときにも「嫌。っていうか、さっきのほうがよかったのに」とかスパッと言たりする。それが納得いかないときは、モメるんですけどね。

●自分の感覚にいちばん素直というか。

イコマ:当然いいものを作りたいと思っているからだと思うんですけど、そこまでズバッと言える人もなかなかいないですからね。いちばん光も闇もあるような人間だと思います。

●それが曲作りにも活かされているんですよね?

イコマ:だから、いろんな曲を書けるんやろうなと思います。ボーカリストっぽいですよね。

●では最後に、ラックライフというバンドをやっていていちばん幸せを感じる瞬間は?

イコマ:やっぱりライブですよね。一時期ずっとライブばっかりしていた20代前半があったので、最近はライブも少なくなってきたことでメンバー全員がうずうずしているんですよ。だからライブのときの開放感たるや、「やっと来たか!」みたいな感じはありますね。

●ある意味、爆発させているんだ。

イコマ:そうですね。“バンドをやっていてよかった”と思う瞬間は、やっぱりライブですね。

●ライブのどういうところが楽しいんですか?

イコマ:空気感というか…、ちっちゃなことから大きなことまですべてですね。大きい音を出せるというのがまず気持ちいいんですよ。それがいちばんデカいです。ほどよい緊張感もあるし、MCに関しても楽しいし…。

●お客さんの方を見たりする?

イコマ:しますね。でもあんまり見られたくないんです。目が合うと恥ずかしいタイプだから。

●は?

イコマ:だから前髪で隠すことが多いですね。

●じゃあ、前髪で顔が隠れているときは…。

イコマ:みなさんのことを見ているときが多いです。

●キモッ!

イコマ:ハハハ(笑)。でもあんまりウワァ〜ってなっている状態のときに見られたら、恥ずかしいじゃないですか。

●自分を曝け出すのが恥ずかしいということ?

イコマ:いや、そういうわけじゃないですね。単純に顔を見られるのがあんまり好きじゃなくて。髪の毛は、だから伸ばしているだけなんですけど。たぶんバンドをやっていなかったら、バサッと切っています。ファッションではないんですよ。

●てっきりファッションかと思っていました。ちょっと陰のあるミュージシャンっぽいじゃないですか。

イコマ:あ、そういうのはちょっと意識しています(笑)。でもいちばんの理由は、純粋に恥ずかしいからです。

●人見知りっていうことですか?

イコマ:昔はかなりの人見知りでしたけど、今はだんだんなくなってきたかなという感じです。11年目にしてお客さんと目が合うのもだんだん慣れてきたんですけど、「めっちゃ笑ってるやん」とか思われたりしたくないなっていう(笑)。

●でもそうやってメンバーの感情を出している姿を見られるのは、ライブに来た人からすると嬉しいですよ。

イコマ:ちらっと見える分にはいいんですけど、全部は出したくないんですよね。恥ずかしさが勝っちゃうんです。MCで何を喋ろうがどんなプレイをしようが恥ずかしさはあんまりないんですけど、顔を見られるのは恥ずかしいです。

●たとえば女の子にまじまじと顔を見られたりするのは?

イコマ:見てくれるのは嬉しいんですけど、恥ずかしいですね。

●でも喋っているときはちゃんと目を見てくれるじゃないですか。恥ずかしがり屋の人って、あんまり目を見ない人が多いですよ。

イコマ:得意じゃないわけではないと思うんです。MVとかは特にそうで、できるだけ顔を隠したいんです。

●イコマくんの秘密がわかりましたね。やっぱりカッコいいんですよ。華があるし、ライブを初めて見たときからいちばん気になって仕方がなかったんです。

イコマ:先輩にも「プレイはよくわからんけど、立ち姿はええな」って言われるんですよね。

●人の目を引くと思います。読者のみなさんには「今後、イコマくんの顔をバンバン見ていきましょう!」と。

イコマ:じゃあ、より隠していきます(笑)。

interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:森下恭子

 
 
 
 

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