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BACKDRAFT SMITHS

第2ステージへと突入した4人の新しい旅がここから始まっていく

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BACKDRAFT SMITHSが放つ2枚目のアルバムは、彼らの進化を明白に感じさせるものとなった。その象徴とも言えるノスタルジックなミドルテンポの名曲「All things must end」から、幕を開ける今作。表現の幅を広げたことで生まれたスケール感に加え、数々のライブで鍛え上げてきた強固なロックサウンドはダイナミズムに満ち溢れている。『新劇場版 頭文字D』シリーズでも複数採用された楽曲を含む全7曲は、いずれ劣らぬ渾身の仕上がりだ。第2ステージへと突入した4人の新しい旅がここから始まっていく。

 

「変化と新しさを出すためには、前作と全く同じことをやっていてはダメですからね。やっぱり常に新しいことにチャレンジしないと、変化も自分たちの中での発見も生まれないから」

 

●前作の1stアルバム『Static Chronicle』を2015年5月にリリースして以降は精力的にツアーやライブ活動をしてきたようですが、その間に楽曲制作もしていたんでしょうか?

優:ツアーを2周まわった後にも、ライブはずっと続けていて。その間に今作の制作もやっていたという感じですね。

祐弥:前作をリリースして1周目のツアーをまわった後、その年の冬頃にはもう制作を始めていて。でもそれと同時期に2周目のツアーが始まったので、大変でしたね…。

●ツアーも含めて、ライブはかなりの場数が踏めたのでは?

コニたん:月によって偏りはあるんですけど、年間50〜60本くらいはやりましたね。

祐弥:1stアルバムを出した後だったので、そこに入っている曲でどういう流れを作れるのか試してみたかったんですよ。基本的にライブの流れは、優が作っていて。

優:特にツアーでは、僕らのことを知らない人たちの前でやる場合が多くて。そういう人たちがいきなり知らない曲を聴いた時にも、なるべく楽しめるようなものをやらなきゃいけないなとは思っていました。その時々でもちろんハマるハマらないというのはあるので毎回全く同じライブをするわけではないんですけど、そういうところで空気を読む力はついたかなとは思いますね。

●会場ごとに空気を読んで、お客さんを盛り上げられるライブの流れが作れるようになった。

優:それぞれのライブには毎回、僕らなりのテーマがあります。会場ごとに空気を読むということではなくて、僕らの想いをその時の雰囲気で表現できるようになってきたということですね。でもそれは本当に難しくて、毎回試行錯誤しています(笑)。

●そういう経験が今回のアルバム制作にも活かされていたりする?

優:曲は基本的に祐弥が作るんですけど、今回は新しい挑戦的な曲があって。M-1「All things must end」を既に聴いてくれた方からは「今までにない感じの曲だね」と言ってもらえているので、そういう経験も織り込めているのかなと思います。

コニたん:『Static Chronicle』には勢いのある11曲が並んでいたので、今回の2ndで1曲目の「All things must end」を聴いてもらえたら“おっ!? 変わってきたな”と思ってもらえるんじゃないかなって。

●いきなりミドルテンポの楽曲から始まるので、確かに変化は感じました。

コニたん:ミドルテンポの曲をやることでまた違った雰囲気やニュアンスも出せるから、この曲はやっていてすごく楽しいですね。

祐弥:僕らはミドルテンポの曲があまり多くないんですよ。前作は1stということもあって勢いをすごく大事にしていたんですけど、2枚目で“また同じことをやってもな…”っていう気持ちがあって。今回のアルバムはもっと“濃厚”にしたかったんです。だから、ミドルテンポの曲をやろうというのは考えていて。その時点では「All things must end」をリード曲にしようとまでは思っていなかったんですけど、曲ができあがっていくうちに必然的に“これしかないな”って全員が思うようになっていったんですよね。“濃厚”にするために必要なことをやっていった結果、ものすごく“濃厚”な作品になりました。

●“濃厚”というのはどんなイメージ?

祐弥:たとえば歌詞の内容もそうですし、音がすごくきれいだけどパワフルだったり、全部の曲にストーリーがあって1本の映画のようになっていたり…といったところですね。特に「All things must end」をアルバムのオープニングにすることですごく濃厚で、勢いだけではなくなった感覚があります。

●「All things must end」はスケール感もあって、1本の長編映画のような壮大な感じがしますね。

祐弥:そうなんですよ。「All things must end」が今作のリード曲になった決め手は曲のスケール感もあるし、詞の内容もあって。この曲の歌詞は今回初めて優が書いたんですけど、僕とはまた違ったニュアンスがあったんです。“自分には書けないかな”っていう感覚があったので、曲を作った僕自身もすごく新鮮な感じがしますね。それもあって、全部がしっかりしている曲になったんじゃないかなと。

●優くんが歌詞を書くのは初めてだった?

祐弥:以前に1回書いてきたことはあったんですけど、その時は“うーん…”っていう内容だったので却下になりました(笑)。今回は「All things must end」だけ先にある程度できていた中で、僕は他の曲も作らないといけないし、歌詞やアレンジも考えなきゃいけなくて、もういっぱいいっぱいで…。そこで優にも“チャレンジしたい”っていう気持ちがあるのはわかっていたので、この曲の歌詞を書いてもらうことにしたんです。そしたら優はそんなに時間もかからずに、この歌詞を書いてきたっていう。

優:これは元々ブログに書いた内容から作ったので、速かったんですよ。2016年の4月〜5月頃にふと公園の小道を通った時に桜が散ってピンク色の道が広がっているのを見て、すごくきれいだなと思って。その時に思ったことを書いたブログを元に、自分なりに改良して歌詞にしていったんです。

●この歌詞ではどういうことを歌っているんでしょうか?

優:桜が散ってまた来年咲いて…っていうのを繰り返していく様子を見て、終わってしまう儚さみたいなものに美しさを感じたところから始まって。そこから自分の人生に置き換えた時に、“良いことも悪いこともあるよな”と。「All things must end」という言葉だけを見るとちょっとネガティブな感じに聞こえちゃうかもしれないですけど、“きっと桜が散っていくように、良いことにも悪いことにも終わりは来る。でもまた来年も桜が咲くように、僕らの人生もまた何かとの出会いを繰り返していくんだろうな”ということを書きましたね。

●散る桜から感じた儚さを人生に置き換えたと。

優:そこでもう1つ思い浮かんだのが、親のことで。僕は自分の親がすごく大好きなんですよ。いつだって見守ってくれている存在がいるからこそ、自分で好きな道に進んだり、選んだ道を勇気を持って歩んでいけるのかなと思って。そういう“無償の愛”みたいなものに支えられて生きているんだというのも、桜の散った小道を見た時に僕が思ったことだったんです。

●“無償の愛”も1つのテーマになっている。

優:あと、四季を感じる感覚って日本人独特のものかなという想いもあって。僕らはほとんど英詞でやっていますけど、そこに日本人としての感覚や感情を入れても良いんじゃないかなと思ったんです。やっぱり僕らは日本人だし、本物の洋楽とは感覚的な部分で違うところがあるわけだから。

●日本人ならではの感性も取り入れたわけですね。

優:そういったものをまとめた結果が、この曲になって。できあがっていく過程で本当に今までとは違う感じの曲になっていったので、リードトラックとしてもすごく良いんじゃないかと思ったんですよね。だから今作のジャケットも、完全にこの曲をイメージしたものにしているんです。空や自然の風景といったポジティブなものと廃棄された車を一緒に写すことで、“終わりはあるけど、また始まっていく”ということを対比的に表現しています。

●ジャケットのイメージにもつながったと。歌詞で言うと、M-7「Carry on -We sail at dusk-」は今作で唯一の日本語詞ですが。

優:「Carry on -We sail at dusk-」は映画『新劇場版 頭文字D Legend2 -闘走-』の挿入歌なんですけど、元々は英詞だったんですよ。それを今回のアルバムに入れるとなって、日本語詞を組み込んだんです。これも苦労しましたね…。

祐弥:プリプロの段階では、まだ歌詞が完成していなくて。途中まで優に歌ってもらって、“そこからどうしようかな…?”って考えたりしていました(笑)。

●どういうところで苦労したんですか?

優:これはそもそも英語で作っていたので、そこにあえて日本語をはめ込むっていうのが非常に難しくて。やっぱり日本語が合うメロディと、英語が合うメロディっていうのがあるんですよね。言葉のセレクトから語尾のちょっとした部分まで、実際に歌ってみて合うか合わないかを確認する作業を重ねました。
祐弥:ちょっと遠回りしましたね。

●元々あった歌詞の内容は活かしている?

優:活かしています。あまりにも変えたりはできないという制約もありつつ、ダサいフレーズは入れたくないというところで、今までにやったことがない形の作詞方法になりましたね。

祐弥:実は最初、僕の中では原曲とは全く違う歌詞を書く予定だったんですよ。時間をもらって何度も書いたんですけど、どうしてもできなくて…。その時にやっぱり元の歌詞からブレちゃダメなんだなと思ったんです。元々の歌詞には“新しいところへ向かう船出だ”ということと、“終りがあるけど僕たちは行くんだ”っていうストーリー性があったので、それを活かして最終的に書き上げました。

●新しい挑戦をしている分、苦労したところも多かったんでしょうね。

ナリ:M-3「Crazy Song」もわりと苦労しましたね。明るくてすごくノリノリな感じのサウンドなんですけど、自分は元々こういう曲が苦手だったんです。でも新しいことをしていくにあたっては、自分になかったレパートリーを取り入れていかないといけないなと思って。

●苦手な部分を克服するために、新しい手法も取り入れていった。

ナリ:今作を作ってみて、“自分はこういうものが苦手なんだ”という発見があったんです。苦労はしたけど、色々と気付かされたところもあったので新鮮で楽しかったですね。

祐弥:変化と新しさを出すためには、前作と全く同じことをやっていてはダメですからね。やっぱり常に新しいことにチャレンジしないと、変化も自分たちの中での発見も生まれないから。

●優くんは何か発見がありましたか?

優:自分で書いた歌詞をレコーディングするっていうのも、初めての経験だったんですよ。今までは祐弥が書いた歌詞を一度飲み込んでから、自分の想いとして歌うような感覚でやってきて。でも今回いざ自分で歌詞を書くとなった時に、0から1を生み出す作業の大変さを知ったんです。メンバーの1人がその作業をずっとやっていたということに対して尊敬の念を覚えたし、祐弥が作る曲に対してのアプローチでも今後は今までよりもっと深く考えてやらないと本意は伝わらないんだろうなと思いました。

●作詞を経験したことで、祐弥くんが作る曲との向き合い方も変わったんですね。

優:自分はボーカルなので言葉や歌で伝えるということに関しては、レコーディングの時に“マイクに想いをぶつけなきゃ”っていうのを今まで以上に感じることができました。「All things must end」を筆頭に今の僕に表現できる一番の想いを伝えているつもりなので、そこを受け取ってもらえたら嬉しいですね。

●リリース後のツアーはそういう想いを伝える場所でもありますが、今の意気込みは?

コニたん:今回の新しい曲がセットリストに加わって、初のツアーになるんですよね。より多くの人に観てもらいたいし、そこでまた新しいBACKDRAFT SMITHSを観て、好きになってもらいたいです。

ナリ:新たな旅立ちということで、今までと違う側面を見せられたら良いなって思います。勢いだけじゃなく雰囲気も新しく進化していっているので、そういうところを最大限見せていきたいですね。

優:僕らから、みなさんに会いに行くことはできないんですよね。ただ、その近くまでは行くことができる。それがツアーだと思うんですよ。東京でライブしていると普段はなかなか来れない人たちが全国にいると思うので、近くまで行くから会いに来て欲しいなって思います。新しい想いがこもったアルバムを持って、新しいBACKDRAFT SMITHSがそこに行くので、ぜひ会いに来て下さい!

Interview:IMAI
Assistant:Fukushima Tetsuya

 

 

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