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10-FEET “京都大作戦2017” & 8th Album『Fin』 TAKUMA、NAOKI、KOUICHIインタビュー

ずっと全力で、一生懸命突っ走ってきた。きっとこれからも。

2017年、結成20周年を迎えた10-FEET。もはや日本のライブハウスシーンの象徴的存在と言っても過言ではない彼らが、約5年ぶりとなる待望のフルアルバム『Fin』を完成させた。10周年を迎えて今年は3日間開催となった“京都大作戦2017”の最終日、マキシマム ザ ホルモンのライブ中に雷のために一時中断となり、2万人の観客が避難。太陽が丘が雨と雷鳴で不安に包まれる中、約140分後にライブ再開。マキシマム ザ ホルモン、ROTTENGRAFFTY、10-FEET、SHANK、G-FREAK FACTORYと共に最後までやり切ったこと。約5年ぶり、3枚のシングルを経て完成した15曲という超絶ボリュームのアルバム『Fin』に込められた想いや彼らの心境。アルバムリリースまで1ヶ月をきった今月号では、10-FEETメンバーの3人にじっくりと話を訊いた。

 

INTERVIEW #1

「本当に時間がなかったから、ROTTENGRAFFTYが終わって俺ら3人出ていって挨拶だけして終幕…その覚悟はしていたんです」

●まずは“京都大作戦2017”のことを訊きたいんです。毎年参戦させていただいていますが、今年3日間行けて本当によかったなと思っていまして。

TAKUMA:マジっすか。

●はい。あまりにもよすぎて、人と“京都大作戦”のことをあまりしゃべりたくない(笑)。

一同:ハハハ(笑)。

TAKUMA:言葉にもしたくないくらい(笑)。

●そうそう。観たまま、体験したままを持っておきたいというか。言葉にすると自分の中で結論を出すような感じがするから。

TAKUMA:今年の“京都大作戦”はなんでしょうね…。やっぱり、みんながメイクしてくれたっていう印象が強いですけどね。ラッキーというか、そういう人たちが周りに居たことが恵まれているなって。雷の接近で中断した事はアンラッキーな出来事なんやけど、そういう仲間たちが居てくれたことっていうのは幸運な事ですね。

NAOKI:人に言われて僕も“ほんまやな”と思ったんですけど、3日目のマキシマム ザ ホルモンの出番中に雷が来て、マキシマム ザ ホルモンもROTTENGRAFFTYも協力的というか“成功させるために”ということを第一に考えてくれて。

●はい。

NAOKI:でもそれはたまたまあの並びだったからというか。源氏ノ舞台の最後3組は、まだ僕らが上京してた頃に出会ったマキシマム ザ ホルモンと、昔から仲間というか幼馴染みのようなROTTENGRAFFTY…そういう並びで。

●牛若ノ舞台も、繋がりが深いSHANKとG-FREAK FACTORYで。

NAOKI:そういう、昔からずーっと一緒にやってきたバンドじゃないと、ああいう空気感には絶対にならなかったと思うんです。マキシマム ザ ホルモンは4曲でROTTENGRAFFTYは3曲で…ああいうライブなんか他で観たことないですもんね。そういう部分もそうだし、お客さんやスタッフさんの協力もそうだし、本当にみんなに助けられてやりきることができたという気がしますね。

●KOUICHIくんは?

KOUICHI:10周年やし3日間やると最初に決めて、“ちゃんと出来んのかな?”という不安もあったんですけど、実際蓋を開けてみたら…まあ色々ありましたけど…なんとか出来て。みんなのお陰、それに尽きると思います。自分らだけではああいう3日間は出来ひんかったなって。毎年そう思いますけど、今年は更に強く思いましたね。

●今回のアルバム『Fin』の完全生産限定盤と初回生産限定盤には“京都大作戦”の中断になっていた140分間の様子が収録されたDVDが付くらしいですが、中断していた間の心境はどういうものだったんですか?

KOUICHI:“このまま終わったらどうなるんやろう?”と思ったり、“なんとか(雷が)逸れてくれ!”と思ったり。そういうことを思いながらみんなで話してました。

TAKUMA:中断していた時、心のどこかで“なんとかなるはずや”と思っていたんですけど、自分の長い経験の中で“なんとかならん時もある”ということはわかっていたんです。人生ってそういうもんじゃないですか。

●実際1回目の“京都大作戦”はなんとかならなかったですよね。

TAKUMA:そうそう。実際1回目は楽勝で中止になったし。だから「あかん時はあかん」となったとき、例えばその日しか来れなかった人は中止になったらどんな気持ちになるんやろう? と考えただけで落ち込んでしまうというか、暗い気持ちになりそうだったんです。

●はい。

TAKUMA:とにかくどうなろうとも、今考え得るいちばんいい着地点というか、色々と制限があるやろうけどその中でのいちばんのハッピーエンドに向かって、どれだけ全力を出せるかやと思ったんです。出来るかどうかは運でしかないし、雷雲はぐるぐるまわって逸れて行きましたけど、ちょっとでも時間がズレていたら少なくとも僕らはライブが出来なかった。

●うんうん。

TAKUMA:本当にわからなかったですね。でもとにかく、あかんようになったらあかんようになった時に一生懸命謝って、下手したら半年やそれ以上なんや言われるかも知れへんけどそれも覚悟して、とにかく今は全力でやろうと思ってやってました。あんなに無心になったのは数年なかったかな。

●そうだったんですね。

TAKUMA:いつもあれくらい無心にならなあかんのやろうけど、やっぱり非常時だったから、普段入らへんようなスイッチが入ってたと思います。“とにかくみんなに示しがつかない頑張り具合や立ち振舞いをしたらいけないぞ”と自分に言い聞かせて走り回っていたんです。出演者の人たちに対しても、お客さんに対しても。いい格好とか計算をする隙間がないし、そういうことをした時点で大失敗になるんやろうなって。そういうことを自分に言い聞かせてました。

●NAOKIくんはどうだったんですか?

NAOKI:ずーっと頭の中がテンパっていたというか。でもみんなで冷静に話し合わなければいけなかったし、どのタイミングで再開できるかもわからなかったし。で、“これくらいのタイミングで再開出来るかも”という兆しが見えた時があったんですけど、正直なところ10-FEETのライブが出来なくてもこれは仕方がない、という覚悟はしていたんです。

●そうだったのか…。

NAOKI:やっぱりマキシマム ザ ホルモンとROTTENGRAFFTYには予定通りのセットリストでライブしてほしかったし、そういう時にマキシマム ザ ホルモンのメンバーが「再開したら1曲だけでいいから。それで全部出すから」と言ってくれたし、ROTTENGRAFFTYも「俺ら3曲で大丈夫」と言ってくれて。

●ああ…。

NAOKI:そこまで考えてくれていて。「例え1曲でもいいから、最後は10-FEETが締めなあかんで」と言ってくれて。覚悟はしていたんですよ。本当に時間がなかったから、ROTTENGRAFFTYが終わって俺ら3人出ていって挨拶だけして終幕…その覚悟はしていたんです。

 

 

INTERVIEW #2

「あの時に計算せず、みんなが反射で動いて、そういう気持ちを言葉で伝えることが出来たのはすごく良かったんじゃないかなと思います」

●再開した後、転換の時にステージのスタッフさんに向かって客席から「がんばれ!」「がんばれ!」というコールが起きたじゃないですか。“この人たち全員なんやねん!”ってめちゃくちゃ感動したんです。

TAKUMA:全員かっこよかったですね。お客さんもスタッフさんも、会社やセクションが違う人たちがお互いを支え合って。全員かっこよかった。

●それと終わった後、バックヤードでTAKUMAくんが出演者やスタッフに挨拶している時、牛若ノ舞台からG-FREAK FACTORYの茂木くんがずぶ濡れで帰ってきて、TAKUMAくんが「茂木、どうやった?」と声をかけたら「何が?」と答えていて。あの、まったく意に介さない感じもすごくかっこよかった。

TAKUMA:さっきNAOKIが言ってましたけど、ROTTENGRAFFTYが曲を削ってくれた時も、残りの時間を計算して一緒に話をしていて、とりあえず最初は「3曲でいい」と言ってくれて、そこから転換とかで時間が経っていくウチに、時計を見たら誰でも残り時間を計算出来るようになってきて。僕の横にNOBUYAとKAZUOMIが居て、「これ2曲にしよう。10-FEET出来ひんようになるし、それだけはあかん」と言ってくれて、3曲から更に2曲にしようとしてくれていたんです。

●うわ。

TAKUMA:そこにはNAOKIも居たんですけど、ウチは出来ひんかったとしてもマキシマム ザ ホルモンとROTTENGRAFFTYにはやってほしいという気持ちは中断した時からあったし、でもその時の残り時間を見て“最悪10-FEETは1曲出来るな”と思っていたんです。よほどのトラブルが無い限り。1曲出来たら俺らやったらちゃんと示しを付けることが出来ると思ったから、ROTTENGRAFFTYには絶対に納得がいく形で終わってもらわなあかんと。そこにポーズとか社交辞令とか遠慮とか、そういう類のものはなくて、“こういう時はこうするもんでしょ”っていう経験で動いているわけでもなくて、気持ちで「いや、3曲演って。それが終わった時点で俺ら考えるから」と言ったんです。

●はい。

TAKUMA:ROTTENGRAFFTYも本気なんですよね。KAZUOMIが「NOBUYA、2曲にしよう」と言って、NOBUYAは「俺は1曲でもいい」と言っていて。それが全然ポーズじゃないんです。マジで言ってる。「10-FEETは少しでも多く曲をやって締めなあかん」「ROTTENGRAFFTYには納得した形でやってもらわんとあかん」とお互い真剣に言っていたんです。

●そうだったのか。

TAKUMA:でも“ポルノ超特急”でそういうことが万が一あったら、絶対同じことをしよるなと思うんですよ、今から考えたら。主催者やから、もちろん最後にライブしてビシっと締めなあかんけど、それ以前にお客さんも出演者ももてなすっていうか。例えばライブハウスの対バンやったら、トリより前のバンドの時間を削ると思うんです。でもフェスやイベントになったら変わるんやなと思って。対バンでもあり、対バンでないところもあるんですよね。お願いしてお願いして出てもらって、お客さんも出演者ももてなすという気持ちが根底にあるから迷いがないというか。

●うんうん。

TAKUMA:あの時に計算せず、みんなが反射的に動いて、そういう気持ちを言葉で伝えることが出来たのはすごく良かったんじゃないかなと思います。

●10-FEETは3曲演りましたけど、「DO YOU LIKE...?」は短い曲だし、「その向こうへ」はROTTENGRAFFTYと一緒に出来るからですよね?

TAKUMA:そうですね。スタッフからは「2曲しか無理かも」と言われたんですよ。「まあでも『DO YOU LIKE...?』やったら短いから3曲いけるんちゃう?」と言ったら「今からすぐやればいけます」と言われて「あ、じゃあそれでお願いします」ってアーティストの紹介映像といつものSEをカットして急いでステージに出て(笑)。

●ハハハハ(笑)。

TAKUMA:でも実際、あれでも間に合うかどうかわからなかったですもんね。ライブが終わった時、十数秒しか残っていなかったと思います。

 

 

INTERVIEW #3

「“もうこれで最後”っていう気持ちにならないと出てこないフレーズとか、こういう言葉は使わへんかったなって思うこともいっぱいありました」

●11/1に約5年ぶりとなるアルバム『Fin』がリリースとなりますが、読みは“フィン”でいいんですか? “ファン”?

TAKUMA:“フィン”ですね。

●『Fin』というアルバムタイトルが発表になって、ちょっとザワッとしてましたよね。

TAKUMA:してましたよね(笑)。「20周年のキリのいいところで辞めんのかい!」って(笑)。

●「Fin」の意味は“魚のひれ”ですか?

TAKUMA:そうです。終わりの場合の“Fin”はフランス語で、読みとしては“ファン”なんですよね。

●らしいですね。

TAKUMA:ひれがなかったら進めなかったり方向決めれなかったりするし、スキューバでは人間がフィンを付けるだけですげぇ泳げたり曲がれたりするので、“自身の力を後押しをしてくれる”という意味でもいいなと思ったし。それに、“Fin”という文字を見て“終わり”という意味に受け取る人も居ると思うんですが、それは意味合い的には間違ってはいるけど、もはや日本語英語に近いくらいの認識のされ方をしているじゃないですか。

●映画とかでも最後に“Fin”と出てきたり。

TAKUMA:そうなんですよ。だから“FinってTHE ENDでしょ?”と思う人もいるだろうし、僕もそのうちの1人やったんです。そこに関しては、この作品が最後になってもいいというくらいで作らなあかんという想いが、今回はめちゃくちゃ強かったんですよ。

●はい。

TAKUMA:いつも作品に対してはそう思っているし、ライブも“これが最後のライブや”と思うくらいのライブにせなあかんと思ってずっとやっているんですけど、なかなか出来ないし、それはすごく難しいなと思って。みんな1日1日に対する向き合い方としてよくそういうことを口にしますけど、すごく難しいし、言えば言うほどまた出来なくなっていくし。そういうことで、めちゃくちゃ気持ちを込めていましたね。

●そこに関しては、最近の10-FEETを見ていて思うところがあって。

TAKUMA:はい。

●最近のライブ、最初だったり1曲終わった時点で「次が最後の曲です」と言うことがよくあるじゃないですか。

TAKUMA:はい。

●それにシングル『ヒトリセカイ×ヒトリズム』のツアーのZepp Tokyo公演のとき、アンコール無しと宣言してライブをしましたよね。

TAKUMA:あ、そうでしたっけ。

●はい。それってすごく納得したというか、ライブを演る側の心の姿勢としてすごくあるべき形だと感じたんです。“これが最後だ”と思わないと出せない力とか、気持ちとか。ここ最近の10-FEETはそういうものをずっと追い求めていて、その気持ちは今作の歌詞にも表れているのかなと感じたんです。

TAKUMA:“もうこれで最後”っていう気持ちにならないと出てこないフレーズとか、こういう言葉は使わへんかったなって思うこともいっぱいありました。“こういう言葉を歌詞にするの、俺はほんまに嫌がってたし避けてたな”って思うようなことも、“最後やしこの言葉を使わなければ伝わらへんのやったら…”と考えたら、スッと使えた。

●“ち◯こ”とかですか?(※註:歌詞には使っていません)

TAKUMA:そうですね。“○◯”とか“○○○”もです(※註:歌詞には使っていません)。

一同:ハハハハ(笑)。

TAKUMA:もちろんすごく考えて、いちばん納得がいく言葉を選ぶのは今までと変わらないですけど、前やったら選ばなかったなという言葉はちょこちょこありますね。

●「Fin」をアルバムタイトルにしたのは、そういう想いもあってですか?

TAKUMA:そういう想いからもきているし、アルバムタイトルの候補は10個くらいあったんですよ。“最後のつもりで”ということと、“魚のように”みたいな言葉も今回の曲にはちょこちょこ出てきていたし、人生を泳ぐ、時間を泳ぐ、世の中を泳ぐ、色んな間をすり抜けて生きていくというか…その辺から共通してフワッと出てきたんですよね。

●そうだったんですね。

TAKUMA:あとは、「『Fin』というタイトルは誤解されるかもしれない」ということに関しても、そういう気持ちとか心意気を音楽に乗せて表現する時に、誤解されることを気にし過ぎて避けていたら、誰がそれをするねんと。「多少誤解される恐れがあっても勇気をもって伝える」ということこそ自分が言ってきたことなんじゃないかと思ったし。この『Fin』にどういう意味があるかということは、作品の中やライブで答えていくのがいちばんやらなあかんことやと思ったんです。

●でも15曲というのはかなりのボリュームですよね。曲はずっと作っていたんですか?

TAKUMA:シングル『アンテナラスト』(2016年7月リリース)を作っていた時期にM-2「Fin」とM-7「HONE SKA feat. 東京スカパラダイスオーケストラ」、M-11「way out way out」を作っていたんです。M-9「夢の泥舟」に関してはアルバム『thread』(2012年9月リリース)を作っていた時ですね。

●かなり前ですね。

TAKUMA:それ以外の曲は今年の夏前くらいかな。

●アルバム書き下ろしの新曲は、振り切れたものが多いという印象だったんです。エモーショナルな方向に振り切れているか、もしくは思い切り楽しんでいるか。

TAKUMA:アルバムの全体像は特に何も考えていなかったんですけど、例えば「HONE SKA feat. 東京スカパラダイスオーケストラ」とかは、「NHK『みんなのうた』にエントリーされるような曲をスカパラさんとやりたい」って、めちゃくちゃ前から言ってたんですよ。

●あ、そうなんですか。

TAKUMA:「子供も歌えるような曲をスカパラさんとやったらすごく楽しい曲になると思うんです。いつか完成させるので、その時はコラボしてください」って、プリプロを録る前の段階のデモから聴いてもらってお願いしていたんです。その頃は東京スカパラダイスオーケストラの皆さんは南米に行ったりしてずっと忙しくされていたので、前フリをずっとしとかんと叶うものも叶わへんなと思ってて。

●そんなに前から。

TAKUMA:シングルのカップリング曲はおいといて、M-5「ヒトリセカイ」、M-12「アンテナラスト」、M-14「太陽4号」のような切なる想いを歌った曲がポンポンときていたので、「HONE SKA feat. 東京スカパラダイスオーケストラ」とかM-6「十二支」みたいな曲がいい仕事をしてくれるのは間違いないと思っていて。

●確かにシングル曲は、このアルバムに1本の筋を通している感じがある。

TAKUMA:でもそればかりになっても作品としておもしろくないから、M-13「STANDin」もそうですけど、くだけていて「音楽として楽しい。音楽としてかっこいい。ただそれだけ」と言えるような曲があった方がいいなと思っていたんです。

●アルバムの湿度が高くなりすぎる?

TAKUMA:そうとも言えますし、そうしないと「アンテナラスト」や「太陽4号」も引き立ってこないというか。今作のコントラストはバランスが取れていると思うんですが、僕らのライブもそうですけど、全部がお互いを照らし合うような感じになったらいいなと思って。

 

 

INTERVIEW #4

「好きなものだけで表現して、でもその代わり響きがめっちゃええでっていう…それは音楽としてすごく大事なことのひとつやと思ったんです」

●例えばM-1「1 size FITS ALL」は10-FEETらしい、展開が目まぐるしく変わっていくパワーのある曲ですが、想像するにライブではかなり難しそうですね。

KOUICHI:でもまだ合わせてないんですよ。だからやってみないとわからないですね。

●あっ、そうか。新曲はまだライブで演ってないからわからない。

NAOKI:でも難しいでしょうね。今回は全部難しいかな。

●ビート的には速い曲が多いじゃないですか。だからドラムとかは一生懸命やっておけばいいんじゃないですか?

TAKUMA:一生懸命やっておけばいいって(笑)。

NAOKI:例えば「太陽4号」は難しいですね。

KOUICHI:もうライブで演ってるやん。

NAOKI:演ってるけど難しい。ずっと吐きそうになりながら弾いてる。

●何が難しいんですか?

NAOKI:ゆっくりなのが難しいです。

●パンク系のバンドでよくありがちな話ですね(笑)。

TAKUMA:ライブアレンジが大事ですね。自分が演奏しているところと歌のグルーヴだったり、音源では歌ってないけど「ここ歌ってや」みたいなやり取りをツアー前のリハで毎回やるんですけど、そういうところの馴染みというか。

●ほう。

TAKUMA:音源は、演奏と歌の録りは別じゃないですか。だからそういう部分の馴染みとかやり取りをすればライブアレンジは問題ないと思い込んでいる部分が僕らにはあるんです。音源では同期とか鍵盤を入れたりしているアレンジがありますけど、それが無くてもライブではいいなと思ってもらえるようなものを作り上げること自体が楽しみやし。

●なるほど。ちょっと話が変わるかもしれないですけど、そういえば「十二支」のメインヴォーカルは誰が歌っているかわからなかったんですよね。ライブが想像出来なかったというか。

TAKUMA:あ、これわからんのや。

●え? 誰が歌ってるんですか?

TAKUMA:KOUICHIです。

●あっ、やっぱりそうなんだ。TAKUMAくんでもないし、NAOKIくんでもないなと思って、消去法でKOUICHIくんかな? と思ったレベル。

NAOKI:僕、こんなに下手じゃないです。

一同:ハハハハ(笑)。

TAKUMA:下手さが違う(笑)。

●NAOKIくんはコーラスとかで高音のイメージがあったから、平で歌ってもあんな感じにはならないだろうし。

TAKUMA:あんな感じにはならないですよね。

●だから誰かわからないけど、新人バンドのヴォーカルが歌ってるのかなと。

TAKUMA:僕のバージョンも録ったんですけど、それはそれでラウドな感じで歌っていて“こういうのなんか10-FEETで聴いたことあるな”と思って。それでKOUICHIに歌ってもらったら、何も出来ひんくて終わると思っていたんですけど、結構やり切ったんです。裏返ったりしてるけどいいんちゃうと思って。

●これヤバいですね。悪い意味でヤバい。

TAKUMA:悪い意味でヤバいですよね(笑)。

●ライブでは叩きながら歌うんですか?

KOUICHI:そうなりますよね。

TAKUMA:叩きながら歌うか、対バンで叩ける人が居たら叩いてもらうか、ドラムだけCD流して歌うか、俺とNAOKIは楽器を置いて立ってるか。

●ハハハ(笑)。「HONE SKA feat. 東京スカパラダイスオーケストラ」もそうですけど、こういう曲が入っているアルバムっていいですね。20年もやっているバンドなのに、思い切り楽しんでいる感じ。

TAKUMA:楽しいと思うんですよ。真剣にやっているところはそれとして、スッと聴いてもらえる曲があるのは楽しい。どうでもいいことはすごく大事やと思うんです。

●音楽が持つ力を最大限活かしている曲というか。

TAKUMA:昔来てくれていたお客さんが「子供が出来て、今日は連れて来ました」って来てくれたりすることがちょこちょこあって、「ウチの子『RIVER』好きなんです」みたいな話を聞いたときに、「HONE SKA feat. 東京スカパラダイスオーケストラ」みたいな曲があったらみんなで楽しめるんじゃないかなと思って。あと、たぶんこの曲はホーンセクションが無くても全然成り立つんですよ。

●おっ、なるほど。

TAKUMA:いちばん最初はコラボありきで作った曲ではないんです。この曲のネタが生まれたときに「あっ、これはコラボしたらおもろいんちゃうかな」と閃いたんです。

●KOUICHIくんのお子さんは歌ってます?

KOUICHI:まだ聴かせてないんですよ。でも覚えやすいから、歌うと思います。

●お子さん、10-FEETよりWANIMAが好きなんですよね?

KOUICHI:WANIMAの「やってみよう」が大好きなんです。

TAKUMA:ハハハ(笑)。「やってみよう」歌いやすいからな(笑)。

KOUICHI:「HONE SKA feat. 東京スカパラダイスオーケストラ」もその部類に入ると思うので、好きになってくれると思います。

●好きになってくれたらいいですね。あと、「STANDin」という曲は野球をモチーフにした歌詞がおもしろいですが、何か理由があるんですか?

TAKUMA:洋楽とか、“フライドチキン大好き”ということを歌っている曲とか、巨乳のことをひたすら歌っていたりとか、“お前の妹の靴下欲しい”とか、そういう歌詞っていっぱいあるんですよ。でもめっちゃいいメロディだったりして。それで僕、野球も好きやから、好きなものだけで表現して、でもその代わり響きがめっちゃええでっていう…それは音楽としてすごく大事なことのひとつやと思ったんです。

●はい。

TAKUMA:他の曲でメッセージや歌詞を一生懸命作っているだけに、そういう表現も大切やと思って全開で好きなことだけを詰め込んだんです。

●そういえば、“京都大作戦”には阪神タイガースの榎田さんと藤原さんが過去に来たことがあるんですよね?

TAKUMA:はい。今年も藤原くんは来てくれていました。

●2人とも投手ですよね?

TAKUMA:はい。

●「STANDin」はバッターの歌ですやん。

一同:アハハハハハ(笑)。

TAKUMA:僕も作っていて思いました(笑)。仮にこの曲を「野球の歌作ったから、入場の時に使ってくれへん」とお願いしたとしても、“ライト レフトへ場外弾”と歌ってるからあかんやんと(笑)。「伊藤隼太くんに渡しといて」くらいしか言えへん(笑)。

 

INTERVIEW #5

「“闘い続けましょうね”とか“それでも前向きにがんばろうね”と言うんじゃなくて、“しんどいよね”って一緒に言えた方が楽になる」

●M-15「何度も咲きました」の歌詞に“枯れ落ちた 同じ所に/また何度も 咲きました”という一節がありますけど、同じような表現は他の曲にも出てきますよね。M-4「ウミガラスとアザラシ」の“同じ季節に同じ場所に咲く花の様に”だったり、「夢の泥舟」の“また元の場所に戻って”だったり。

TAKUMA:はい。

●“同じところに何度も咲く”という表現は、個人的には“京都大作戦”から受ける印象とすごく重なるところがあって。この曲の歌詞、今年の“京都大作戦”と関係あるんですか?

TAKUMA:関係ないです。

●ミュージシャンって、リスナーに想像を膨らませてもらうために曲の内容を限定する説明を避けたりしますけど、バッサリ否定されましたね。

TAKUMA:まったく関係ないです。

●そうですか。

TAKUMA:“同じところに何度も…”という表現があるのは、きっと僕がしんどいと思っているからじゃないですか。何度も繰り返して、何度やっても上手くいけへんなと思いつつ。それは大切やと思っているし、やらなあかんとも思ってるし、“やらなあかん”と思っている人は僕以外にもいっぱい居ると思うんです。そういうことを「しんどいよね」と言っているだけなんです。

●ほう。

TAKUMA:きっとみんなにもしんどいこといっぱいあるし、それでも一生懸命闘い続けなあかんということはみんなもうわかっているので、「闘い続けましょうね」とか「それでも前向きにがんばろうね」と言うんじゃなくて、「しんどいよね」って一緒に言えた方が楽になることってあるじゃないですか。

●はい。僕はそっちの方が楽です。

TAKUMA:それは愚痴とかネガティブの類に似ているようでちょっと違うというか。「しんどいよな」って言った時、その「しんどいよな」の中に「でもやらなしゃーないからやるんやけどな」という想いも全部含まれているし。歌ってそういう感じやなと思うんです。

●この曲がアルバムの最後に入っているのがすごくしっくりくるというか、マッチしてますよね。

KOUICHI:アルバム、長く感じました?

●全然。「長く感じたか?」とか愚問だと思います。

一同:アハハハハハハハ(笑)。

●アルバムが完成した時の満足度は高かった?

TAKUMA:うーん、満足感とか達成感とかじゃなくて、やり切った感はありますね。達成のないところに向かう作業みたいな感じやったから、ずっと全力のままゴールを迎えなあかんと思っていたんです。だからめちゃくちゃ苦しかったですね。

●レコーディングの期間?

TAKUMA:レコーディングも作っている時も、今まででいちばん悲惨だったかもしれない。

●あ、そんなにですか。

TAKUMA:でも目的というのが、最後までやり切る…脚がつっても走り続けて作業を終える…ということが自分の中で決まっていたから、めちゃくちゃしんどかったことは今まででいちばんたくさんあったけど、それが“いい”とか“悪い”とか、“嫌”とか“嫌じゃない”という話ではなかったというか。

●ほう。

TAKUMA:ほんまに苦痛でした。でもその苦痛がある分だけどこかで“間違ってない”と思えたんです。それは今まで何枚も音源作ってきてるから、そう思えたんでしょうけど。

●自分が全力にならなくてはいけないということがわかっている?

TAKUMA:わかっているし、名曲が出来る時でも別に感動とかしないし、めちゃくちゃ嫌やったという思い出はたくさんあるし。だから“もう京都帰りたい”という気持ちがいっぱいあった分、信用してもいいかなと思えたんです。

●すごいアルバムになりましたね。アルバムを聴いて“こんなアルバム作ってくれてありがとう”と思いました。

3人:どういたしまして!

PHOTO:アミタマリ
LIVE PHOTO:HayachiN、みやざきまゆみ
Interview:Takeshi.Yamanaka

 

 

 
 
 
 

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