音楽メディア・フリーマガジン

BRAIN D HEROZ

パンクロックに魅せられた不器用だけど愛すべき3人

2009年7月に活動を開始した3ピースパンクロックバンド・BRAIN D HEROZ。2011年9月に現体制となった彼らは、今年3枚のミニアルバムをリリースし、合計3本の全国ツアーを敢行。短期間で濃密な経験を重ね、バンドとして大きく成長を遂げた彼ら。現在も3rdミニアルバム『HEY! WE ARE SINGING!!』のツアー真っ最中という3人に、今年1年の成長と変化、3rdミニアルバム『HEY! WE ARE SINGING!!』について訊いた。

 

 

●もともとどういうきっかけで始まったバンドなんですか?

猪原:ドラムのともやとギターロックっぽいバンドをやっていたんです。でも「なんかちょっと違うな」と思って僕が抜けて、別のバンドを立ち上げようとしたときにともやを誘ったんです。Green Dayとかblink182からの影響が強くて、ポップなパンクバンドをやりたかったんですよ。で、1年くらいやっていたら前のベースが抜けて、去年の9月にまるが入って。

丸山:過去にやっていたバンドで対バンしたことがあって、ライブも観に行っていたんです。その後、僕はバンドを辞めて働いていたんですけど、何も変わらない毎日で“このまま普通の人生で終わるのかな”と思っていたらゆういちに誘われて。即決でした。

粕谷:僕はもともとL'Arc〜en〜Cielとかが好きで、blink182とかあまり知らなかったんですよ。でもゆういちが好きだから聴かせてもらったらめちゃくちゃハマって。ドラムにのめり込んで自分の好きなように思い切り叩くトラヴィスが本当に好きになったんです。だから前のバンドを辞めてこっちに来たんです。

●今年ミニアルバムを3枚リリースし、現在今年3本目のツアー中ですけど、今年1年は大変だったんじゃないですか?

猪原:大変でした。でも今年1年の経験でBRAIN D HEROZというバンドのスタイルに関して、3人のイメージが統一されてきたような感じがあるんです。以前は、そのイメージはできていても実際に表現として出せていなかったというか。1本目と2本目のツアーで、僕らはお客さんと一体感を作り出すバンドなんだということを実感したんです。

●自分たちがいちばん得意なところは一体感を作り出すライブだと。

猪原:それが徐々にお客さんにも拡がってきたというか。

粕谷:まるが入る前とかは、ポップパンクと言っても実際に何をやればいいのかわからなくて、色々と試行錯誤をしていたんです。でも最近はツアーを通して“うちらってこういうバンドだな”ということが肌でわかってきたというか。

猪原:だから今は結構自由にやってるよね。

●今年のツアーの経験で、自分たちが作る楽曲は変わったんですか?

猪原:変わりました。11月にリリースしたミニアルバム『HEY! WE ARE SINGING!!』のM-2「SING!!」とかは、今年のツアーで経験したことが大きく影響しています。“もっと僕らがお客さんと一体感を出すには?”という感じで作ったんです。もともと頭の中にメロディはあったんですけど、このタイミングだなと思って書き上げたんです。当初のイメージよりもっとパーティー感が出るようにアレンジも考えて。ツアーの経験、ライブの情景を思い浮かべながら作りました。

●この「SING!!」は、この1年間で自分たちがやりたいことを経験の中から見つけて、それを形にした曲なんですね。現時点のBRAIN D HEROZの象徴というか。

3人:そうですね。

●ゆういちさんの作る曲はすごく特徴的だと思うんです。さっき言っていたように、サウンド感はポップパンクですけど、譜割りが独特で、詰め込んだと思ったら敢えて言葉をこぼしたりして。

猪原:そうですね。実は作詞はめちゃくちゃ時間がかかるんです。言いたいことが浮かばなかったり、母音が違うだけでメロディの邪魔をしているような気がして、言葉を選び直したりして。その繰り返しです。

●ポップなサウンド感、独特な譜割り、そして毒のある歌詞というのがバンドの個性になってると思うんですよね。

猪原:歌詞の毒は…性格ですね(笑)。思ったことはやっぱりストレートに表現したいし、比喩とかにはあまり興味がなくて。

●そういう曲も多いですよね。M-4「Emo Killed the Punk Star」とか結構な毒だし(笑)。

猪原:これはどうにか書きたいと前から思っていて。つまらんなと思って。メロディックパンクがすごくエモ化していくのが嫌だなと思って。時代を新しく築くはずのパンクが時代に同調していくのが…。

●愛すべき不器用さだな(笑)。

一同:アハハハハハハ(笑)。

●「SING!!」も歌詞を読むと全然ハッピーじゃないし。

猪原:そうなんですよ。結構お客さんからも「ポジティブだね」と言われたりするんですけど、実際は全然ハッピーじゃないんです。かと言ってネガティブだけで終わらせたくはなくて、パンクバンドである以上は、そういう精神性を出していたいなと思っていて。曲がハッピーで内容もハッピーな音楽には興味がないんです。

●音楽に対して真摯に接しているんですね。純粋なものと考えているというか。

猪原:そうですね。パンクというものに対して歌詞の部分でちゃんと表現したいなと思っています。

●ツアーは12/16まで続きますが、ファイナルは今年1年の集大成になりそうですね。

猪原:今回のツアーは始まったばかりですけど、最初の数本ですごくいい経験をして。関西で色んなジャンルのバンドと対バンしたんですけど、違うシーンでやっている人たちのライブを観て“自分たちはもっともっと自由にやっていいんだ”と思えたというか。だからこのツアーで自分たちはどんどん変われると思うし、おもしろいことをしたいなと思っています。楽しみですね。

Interview:Takeshi.Yamanaka

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