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ROACH

琉球リアルアイデンティティを込めた渾身の一撃がオーバーグラウンドへと今、放たれる

沖縄県に生まれ米軍基地に囲まれて育ったROACHが、そのアイデンティティを追求したニューミニアルバム『OKINAMERICA』を完成させた。前作の2ndミニアルバム『No Reason in the Pit』までは、ライブやロックに対する想いと衝動をアグレッシヴに表現してきた彼ら。その先にあるものが何なのか自問自答した結果、今作のテーマに沖縄を選んだ。誇れる島でありながら矛盾にも溢れた場所である故郷。そこで育んだバックボーンを素直に出したという今作は、いまだかつてないほどに自然体でオーバーグラウンドへと開けた作品となっている。

「日本とアメリカの狭間にいる僕らが作るものだから。沖縄の文化と米軍基地というものがあって、ROACHが生まれているという感覚を表現したかった」

●今年2月に2ndミニアルバム『No Reason in the Pit』をリリース以降、ツアーに出ていたんですよね。

taama:過酷でした…。本数的には今までとそんなに変わらなかったんですけど、今回は日程が一番詰まっている気がして。2ヶ月間丸々ツアーというのは、初めてだったんです。とにかく、ものすごく濃厚でしたね。

●各地で良い感触もあったんじゃないですか?

taama:都心部ではもう何の心配もなく楽しくやれるし、地方に行っても温かく迎えてもらえるようになって。どこに行ってもROACHを知ってくれていることを感じられたので、少しずつ届いている実感はありました。

●バンドとしての進化も感じているのでは?

taama:何かがちょっとずつステップアップしていて、それはお客さんとも共有できている気がするんですよ。地道なんですけど、すごく積み上がってきているのは感じますね。

勝也:方法論をよく考えるようになったんじゃないかな。セットリストについても考えるようになったし、もっとライブを良くするために試行錯誤する中で、今までやっていなかったところも見るようになったと思います。

●そんなツアーを経て、新作に取り組み始めたと。

くぼっち:実際に取り掛かったのは4月頃でしたね。

taama:曲を作り始めたのは、ツアーが終わってからだったと思います。1曲だけ再録があって、M-3「耳ヲ澄マセバ」は2年前にアメリカで一度レコーディングしたものを今回は歌詞も少し変えて録り直したんです。

●この曲を再録した理由は?

taama:今作は沖縄のことを歌っているんですけど、「耳ヲ澄マセバ」で歌っている“目に見えないあなた”というのは幽霊やご先祖様に向けたようなニュアンスで書いていて。だから、今作にも入れたいなという想いがありました。

●沖縄のことを歌おうと思ったのはなぜ?

taama:過去2作はツアーに出られなかったり音源を出せなかったりした時期へのフラストレーションから始まっているので、“ツアーってこういうものだ!”とか“ロックってこんなものだ!”っていう前のめりなことばかりを歌ってきたんです。でもその2作を作り終えてみて、自分の中が空っぽになってしまった感覚があって。“もっとその先を歌わなきゃ”と思った時に、何を歌えばいいのかわからなくなっちゃったんですよね。

●歌いたいことが自分でわからなくなってしまった。

taama:その時、MUCCのミヤさんに相談して。MUCCは何十枚もCDを出しているけど、俺らはまだ2枚しかCDを出していない。「お前らはまだ何もやっていないじゃん。良い意味で、まだまだ全然だよ」と言われた時に肩の力が抜けて、前のめりになろうとしていた自分を思い止められたんですよ。そこで考えてみたら俺は今まで未来のことを歌ってばかりで、今の自分や沖縄のことを歌えていないなと気付いたんです。

●そこから沖縄をテーマに書き始めたわけですね。

taama:自分のバックボーンやアイデンティティを確認したくなって、沖縄というものへ焦点を当てて考えていきました。だから今回は沖縄の先輩バンドのオマージュみたいなものも、エッセンスとして入れてあって。考えてみれば、自分の音楽は沖縄から始まっているんですよね。いったい何に影響を受けてきたのかを自分でもはっきりさせようと思って、作っていったんです。曲にも歌詞にも、自分の感じている“沖縄”が入っていますね。

●M-6「ウィシュガー」に出てくる“アマミキヨ シネリキヨ クチャーヌウムイ”というのは沖縄の方言?

taama:“アマミキヨ”と“シネリキヨ”はどちらも沖縄の大地を司る神様の名前なんですよ。“クチャーヌウムイ”は、“土の想い”という意味の方言ですね。これは神様やご先祖様の幽霊みたいな、自分たちを見守ってくれている神様に向けた歌なんです。最近は異常気象も多いし、そろそろ神様も限界なのかなって。でも「俺らも頑張っているから、もうちょっと待ってね」という感じで歌っています(笑)。

●沖縄というテーマが最も象徴的に出ているのは、M-1「LINE -小さな島の国境線-」かなと。

taama:沖縄というテーマに立ち返った時、自分の歌いたいことを訴えていこうという想いがすごくあって。この曲で歌っていることは沖縄県民である以上、避けて通れない問題だと思うんですよ。すごく難しい問題だから“歌っていいのかな?”という気持ちもあったけど、それでも“歌わないと、自分が先に進めないな”という想いがあったから。

●“矛盾に溢れる島(ばしょ)”という歌詞にも、その難しさが表れています。

taama:「みんなで楽しくやろうぜ!」とかライブで言いながら、そことは向き合えていないことがずっと引っかかっていたんです。だから歌ったんですけど、別に政治的なことが歌いたかったわけじゃなくて。ただ沖縄に生まれた1人のミュージシャンとして、自分の目線で言えることがあればいいなと。「音楽に国境はない」っていうことが目の前でリアルに繰り広げられてきたし、ライブは宗教や文化も関係なく人と人とがつながっていく場所だと思うんですよ。大きな問題はあるけど、そういう場で偏見や差別が生まれないでほしいという願いや想いを込めたというか。

●政治と音楽は別問題ですからね。

taama:最後の“目の前のあなたさえ愛せない世の中なら 文化や思想なんて壊れてしまえばいい”という歌詞が出てきた時に、“俺ってこんなことを思っていたんだ”って自分でもビックリしたんです。そこから改めて考えて、この曲から広げていこうということになりました。この曲があったから、できたアルバムだと思っています。

●M-2「HIGH FIVE!!!」でも“NO MORE WAR”と歌いながら、最終的にはライブにつながるメッセージになっている。

taama:「LINE-小さな島の国境線-」でも戦争のことを歌ってはいますけど、結局はライブハウスの真実を歌っているだけなんですよ。「HIGH FIVE!!!」もそこからできあがった曲で、人が笑顔で生きるための方法というか、笑顔でいなきゃいけないし楽しくなきゃいけないという根本を改めて思い返した感じです。まずはそばにいる人たちと自分が幸せに生きていこうと考えることが、色んなことにつながっていくんだなと。

●いつものヘヴィな感じだけではない、リラックスした空気感もある曲だなと思いました。

くぼっち:最初は「ブレイクダウンしない曲を作ろう」っていうことで作り始めたんですよ。それでできあがってみたら、「意外と良いじゃん!」って。こういう引き出しもあったんだなと。

taama:“こんな曲が作れたんだ”って思いました(笑)。

●曲作りはスムーズにできたんですか?

くぼっち:合宿がツアーの後半にあったんですけど、そこで大どんでん返しがあって…。そこまでに作っていた曲を全部作り直すことになったんです。

Daisuke:くぼっちはそれで半日ヘコんでいました(笑)。

●ハハハ(笑)。でもそこで一気に詰めたと。

くぼっち:そこからは早かったですね。本当に辛かったですけど…。

taama:エナジードリンクの消費量がヤバかったですよ(笑)。1日に4本くらい飲んでいました。

Daisuke:俺なんて、風邪を引きながらでしたからね。合宿は3日間だったんですけど、2日目から風邪で…。病院に行って注射を打って、エナジードリンクも飲んで、無理矢理治しました(笑)。

勝也:でもそういうキツい経験があったから、一周してフラットな作品になったと思うんですよ。今までの作品の要素も詰まっているし、自分でもリラックスして聴ける作品なので、リスナーにもすごく届きやすいんじゃないかという気がします。

●ラストのM-7「Don’t U Remember」でも、今までにないような優しい歌声が印象的でした。

taama:優しく歌うように意識はしましたね。簡単に言うと、この曲では“生まれた時は、望まれて生まれてきているんだぜ”っていうことを歌っていて。誰もが1人で生まれてはこられなかったし、きっと生まれた時は周りのみんなに喜ばれて生まれてきていると思うんですよ。だからもっと自分を肯定して、頑張って生きていこうっていう気持ちを込めて書きました。

くぼっち:レコーディングの時に初めて内容を知ったんですけど、歌を聴いて泣いちゃったんですよね。温かい気持ちになったんです。今までもそうだったんですけど、背中を押してもらえる曲というのが自分の中ですごく重要だったんですよ。そういう曲で締めたかったので、“この曲は絶対に最後だ!”って思いました。

●そんな1曲で締めた今作を『OKINAMERICA』というタイトルにした理由とは?

taama:自分たちを表す言葉というか、日本とアメリカの狭間にいる僕らが作るものだから。沖縄の文化と米軍基地というものがあって、このROACHが生まれているという感覚なので、それを表現したかったんです。

くぼっち:タイトルを聴いた時に、“きた!!”と思いましたね。ぴったりハマったというか。等身大の作品になっているし、墓場まで持っていけるアルバムだと思います。

●それだけ満足できる作品ができたと。

勝也:今までは自分たちのアルバムってそんなに聴かなかったんですけど、今回はよく聴いているんですよね。わかりやすさも増したと思うし、すごく良いアルバムだなと思います。

taama:自分としてはアンダーグラウンドな方向へのアプローチじゃなくて、オーバーグラウンドな人たちに向けたアルバムだと思っているんです。それでも自分たちが自然に聴ける作品になっているのは、素直にバックボーンをさらけ出したこととつながっているのかなって。本当に今までで一番自然ですね。

●今作を引っさげてのツアーも予定されています。

くぼっち:可能性に期待していると言うと変ですが、“何かが起こるんじゃないか?”っていう予感がしています。

勝也:今作にはみんなで歌えるようなコーラスの部分が多いので、一緒に歌ってもらえたら嬉しいですね。

Daisuke:ツアーでは今作の曲が中心になっていくと思うので、覚えてきてもらえると嬉しいなと。みんなで踊れる曲をたくさん盛り込んでいくので、楽しみにしていてください!

●今まで以上にお客さんと一体になって、みんなで盛り上がれるライブになりそうですね。

taama:自分は1人で先頭に立つよりも、みんなと同じ場所から一緒に登って行きたいと思うんですよ。それを意識していきたいし、来る人たちにも“(ROACHが)みんなと一緒にある”ということを実感してもらいたいなと思います。ロックってやっぱり衝動だと思うから、抑圧する感じじゃなくて開放して、思いっきり楽しんでほしいし、高ぶってほしい。その中で一握りの愛情や思いやりを持っていてくれたら、それでいいかなって。その日のイベントを丸ごと楽しんでもらえるように心がけていきたいし、みんなが一緒になってライブを作っていけたらいいなと思うので、よろしくお願いします!!

Interview:IMAI
Assistant:Hirase.M

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