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04 Limited Sazabys

光射す未来へと向かう推進力に満ちた4つのキラーチューン

AP_04LSここ最近の04 Limited Sazabysのライブを観た人は、誰もがその勢いを感じているだろう。前作の3rdミニアルバム『monolith』リリース以降、大型フェスにも出演を果たすなど加速度的に人気と認知度を高めている彼ら。初めて観る人をも巻き込んで、大きな盛り上がりの渦を生み出していくライブはまさに今の勢いを象徴しているようだ。そんな中でリリースされるニューシングル『YON』は、いずれも色は違いながらも全てに“らしさ”も感じられるキラーチューン4曲を収録。もがきながらも、光の射す未来へと確実に進んでいく4人の推進力を実感できる1枚だ。

 

「自分自身の発信力というのが、前よりも数倍増していると思うんです。ある程度の自信があるので、迷わずに言い切れるようになりましたね」

●最近のライブはどこも大盛況で、バンドとして良い状態にあるように感じます。

RYU-TA:やっぱりお客さんが増えたのがデカいですね。最近はどこに行ってもお客さんが迎えてくれる感じがあって。

KOUHEI:『monolith』を出してからは、行く先々のライブハウスが満員になっているような印象で。自分でも「こんなに増えるんだ!」と思うくらい、すごく環境が変わったことを実感しています。

●前作の3rdミニアルバム『monolith』をリリースしたことが大きかった?

GEN:大きかったですね。その前に『sonor』(2ndミニアルバム)を出して「良い感じになってきたな」と思っていたところから、さらに広がった感じがして。

HIROKAZ:『sonor』を出した後は「ちょっとずつ増えてきたな」という感じだったんですけど、『monolith』リリース後は一気にお客さんが増えた感じがします。お客さんの層も広がって、色んな人が来てくれるようになりましたね。

●客層も広がっている。

HIROKAZ:高校生の男子とかも来てくれるようになって。前は女の子が多い印象だったんですけど、最近は男の子も増えた感じがします。

GEN:地元では「名古屋の誇りです!」みたいなことを言ってくれる人もいたりして。特に男子は「(自分も)ああいうふうになりたい」という憧れを持ってくれているんじゃないかな。今は自分の想像を超えるスピードで広がっている感覚があります。

●そういった反響が自信にもつながっている?

KOUHEI:前より不安はなくなってきたんですけど、今度はプレッシャーのほうが強くなってきたというか。もっと良い曲を書いて、ライブも進化していかなきゃいけないわけで。先に人気だけ出ても、それに見合うライブができなかったら意味がない。そこのプレッシャーが一番大きいですね。でもそれも超えていかないといけないなと、今は思っています。

GEN:戦う相手が強くなってきた感じというか。一緒にやるバンドがみんな上手くてカッコ良いので、「このままじゃダメだな」という気持ちはありますね。

●かつて自分が憧れていたようなバンドと同じステージに立てることも増えたのでは?

GEN:そこは本当に夢が叶っている感じがしますね。でもせっかく先輩にライブを観てもらっても、このままじゃ認めさせられないというか。ハードルがどんどん上がってきているので、それを超えていきたい。周りからも「すごくキているね」と言われるんですけど、そのスピードに僕ら自身の成長が全然追いつけていないんです。

●自分たちの成長に満足していない。そういう意識もある中で今回の新作『YON』をリリースするわけですが、どういうイメージで作り始めたんですか?

GEN:毎回「前の作品よりも良いものを作らなきゃ」「みんなの予想を超えていかなきゃ」という気持ちはあるんですけど、今回はシングルだったので感覚的にちょっと違ったというか。この4曲で『monolith』に勝とうというよりは、「良いジャブを打とう」みたいな感覚でしたね。

●あ、ジャブなんですね。

KOUHEI:でも別に手を抜いているわけではなくて。最初にメンバーと話し合った時に一致したのが、一番の推し曲は2ビートじゃないものにしようということで。2ビートではないんですけど、疾走感も損なわれていない感じを意識して作ったのが今回は良かったと思います。

●今までとは違うタイプのリード曲にしたかった?

GEN:そうですね。また1ステップ上がったところでの変化を見せたかったというのはあります。今までミニアルバム3枚と会場限定のシングル1枚を作ってきた中で、リズムパターンや曲構成もある程度は出し尽くした感じがあって。今までと全然違う新しいことをやろうというつもりはないんですけど、アプローチの仕方を試行錯誤した感じですね。

●それはM-1「swim」について?

GEN:それもあるんですけど、全体についてというか。

HIROKAZ:今回は4曲全てが推し曲だと思っているんです。

●どれもがリード曲のつもりで作っていったというか。

GEN:シングルなので、全て良い曲じゃないとダメだとは思っていましたね。今は(自分たちの認知が)すごく広がっていて、今作で新たに触れてくれる人も多いと思うんですよ。だからこそ、聴いた人がすぐ「良い」と思えるものを作りたかったんです。4曲全部を聴いた時に全体的な統一感があって、すぐにもう1回聴いてみようと思えるようなものにしたかったですね。

●今作に向けた曲作りは『monolith』リリース以降?

GEN:ほとんどはそうですね。M-4「No way」だけは欠片が前からあったけど、形になったのは『monolith』以降だから。今回は初めて曲作りの合宿をしたんですけど、そこでできた10曲くらいの候補の中から選んだ感じです。

●初めて曲作り合宿をしたと。

GEN:山中湖の近くなんですけど、山奥にあるスタジオでロッジみたいな建物だったんですよ。

●そこで4人一緒に作っていった感じ?

KOUHEI:やっぱりメロディと歌詞は1人の時にしか考えられないので、GENは森の中に消えて行くんですよ。でも戻ってきた時にはちゃんと何かを持ってくるので、それも良いのかなと思って放っておいて…。その間に僕らはコードを考えたり、リズムパターンや曲構成とかアレンジを個人個人で詰めていく感じでしたね。それぞれが部屋にこもって考えたことを、GENが戻ってきたら集まって一緒にやってみたりして話し合いながら、曲を作っていきました。

●そういう中で今作の曲もできていった。

KOUHEI:M-2「labyrinth」とM-3「ghost」は完全に合宿で作った曲です。「swim」と「No way」は元からネタがあったものを合宿で固めていきました。

●ちなみにGENくんは森の中で得たイメージを曲に反映していたりもするんでしょうか?

GEN:どうだろう? メロディは室内で考えたものが多いかな…。でも森で作ったことにしてもらって構わないです(笑)。

●嘘じゃないですか(笑)。「ghost」なんかは、森の中でお化けに会って…みたいな。

GEN:これは前に住んでいた家の話ですね。その家には幽霊がいたんですよ。

●えっ、本当に…? 霊が見えるんですか?

GEN:見えるわけじゃないんですけど、たまに何か嫌な感じがするんですよ。前の家には(幽霊が)確実にいましたね。

●家自体の空気が悪いと、精神面にも影響があったりするんですよね。

GEN:すごくあると思います。だから環境を変えたいという気持ちがすごくあったんですよ。でも当時はお金もないし、時間もなくて…。そういう中で『monolith』を出した結果、引っ越せるくらいの収入が入ったのは大きかったですね。バイトも減らして時間の余裕もできたことで、心に余裕ができた感じなんです。

●今回は環境も変わったことで、制作している時も精神的に追い詰められたりすることはなかった?

GEN:なかったですね。元々、制作中は精神的に追い詰められて体調を崩したりすることも多かったんですけど、今回は今までで一番良い状態でレコーディングできた気がします。

●良い状態で、気持ちにも余裕がある中で制作できたと。

GEN:でも歌詞はいつもギリギリなんですけどね(笑)。

●「swim」の歌詞は今までの自分を振り返って、歌詞を書いているのかなと思いました。

GEN:そうですね。苦しんでいた頃の自分に向けて書いた歌詞になっています。

●やっぱりそうだったんですね。今回は“未来”を歌った歌詞が多い気がしていて、それは今の良い状態を反映しているのでは?

GEN:そのとおりです。夢を見れるようになったので、前向きなことも考えられるようになりましたね。最近はそんなに葛藤ばかりしているわけではないんですけど、『monolith』を作っている時は迷いがいっぱいあったんですよ。バンドの方向性だったり、人生だったり…。でも今はわりとパリっとしていますね。

●それは夢が見れるようになって、目標がハッキリしたから?

GEN:現実味を帯びてきたという感じですね。たとえば昔だったら「武道館でやる」と言っても、「ハハハ(笑)」みたいな反応だったと思うんですよ。でも今言ったら、わりとガチな感じもして。元々は自分たちでも本当に出られるようになるとは思っていなかったものが、現実的になってきたなと。

●夢を語っても、ただの絵空事ではなくなってきた。

GEN:自分たちがどうこうというよりも、実際に武道館でやっているような人たちと話したり関わったりすることが増えてきたのも大きくて。そういう人たちが「良いね」と言って認めてくれるたりすることで、自分たちも目指せるのかなと考えるようになりましたね。

●歌詞についても以前はもっと抽象的だったものが、今回はすごく伝わりやすくなった気がします。

GEN:自分自身の発信力というのが、前よりも数倍増していると思うんです。ある程度の自信があるので、迷わずに言い切れるようになりましたね。歌詞全体に対して「こう伝えたい」というものがあるわけではないんですけど、「このフレーズのここだけはニュアンスが伝わってほしいな」というところは結構あって。だから部分的にわかりやすいところはあると思います。

●そういう歌詞のほうが広がりもあるというか。

GEN:広げたいという気持ちはすごくあると思います。

●今回はシングルということもあって、初めて手に取る人たちにも伝わりやすいものを意識したりもした?

GEN:自然とこうなったという感じなので、そこはそんなに考えていないかな。僕らは初期の頃に比べてだいぶ変わってきたと思うんですけど、力づくで「こっちに行こう!」というよりは本当に自然と良い方向に変わってきている気がするんです。だから、次の作品でもまたちょっと変わっているんだろうなと。今回のシングルのマスタリングが終わって、家で聴いた時に自分でも「こういう感じか! …良いな」と思ったんです(笑)。

●完成したものを聴いてから、自分でも気付いた良さがある。

KOUHEI:曲を作っている段階では漠然としたイメージしかなかったんですけど、良い意味で全曲フォーリミらしさも出たし、わかりやすい部分も取り入れられたし、今までと違う部分も出せたなって。できあがったものを聴いた時に、そう感じましたね。4曲通じて、本当に良い作品になったなと思います。

●全曲良いと思える作品ができた。

RYU-TA:オーバーグラウンドもアンダーグラウンドも含めて全体の人たちに伝わる曲ができたなっていうか。特に「ghost」はアンダーグラウンド寄りな曲だと思うんですよ。あと、4曲目に2ビートの「No way」が入っているのも、「ちゃんとパンクも忘れていないよ」っていうのが表現できている感じが良いなと思います。

HIROKAZ:できあがって、自信がついたというか。作っている時は不安が多かったんですけど、完成したものを聴いてみたら「すごく良いな」と思って。違う色の曲ばかりなのでみんながどう聴いて、ライブでどう暴れてくれるかがすごく楽しみですね。

Interview:IMAI

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