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LIVE REPORT:Nothing’s Carved In Stone “Live at 野音2021” 2021/9/19@日比谷野外大音楽堂

LIVE REPORT:Nothing's Carved In Stone “Live at 野音2021” 2021/9/19@日比谷野外大音楽堂

 台風一過の青空の下、日比谷の森にたくさんの観客が集う。もはや恒例となりつつあるNothing's Carved In Stoneの野音ワンマン。彼らが初めてここでワンマン公演を行ったのは2016年。2回目は2017年、そして3回目はコロナ禍に入る前の2019年。過去3回とも、緑に包まれた空の下で彼らが放つ音を全身で浴びる快感に酔いしれた記憶がずっと残っている。久しぶりのライブ、そして久しぶりの野外。期待に胸を膨らませて席につく。すり鉢状になった日比谷野外大音楽堂の客席を観客が埋めていく光景を目にするだけでも胸を打つものがある。
 
 
 
 

 
 
 
 SEが鳴り響いた瞬間にオーディエンスが立ち上がり、大きな大きな拍手が沸き起こる。ゆっくりとステージに登場するDr.大喜多、Ba.日向、G.生形、Vo./G.村松。拍手は鳴り止まない。みんながこの瞬間を待っていたのだ。
 大喜多が叩くドラムと生形が鳴らすギターの旋律が絡み合う。久しぶりのライブだからなのか、想像していたよりも何倍もの爆音に衝撃を受ける。そうだ、ライブとはこういうものだった。リズムやメロディ、言葉としてではなく、空気の振動としての“音楽”を体感する。
 
 
 
 

 
 
 
 「Assassin」で幕を開けたこの日のステージは、最初からずっと圧倒的だった。その場の空気を塗り変えるかのような強烈な音の存在感。ずっと閉じていた心の扉を強烈にこじ開けるような迫力。「You're in Motion」「Spirit Inspiration」と曲を重ねるにつれ、4人それぞれのテンションが浮き彫りになっていく。この日の彼らはお互い攻め合っていた。強烈な緊張感と高揚感を帯びながら、音をぶつけ合ってライブを楽しんでいた。
 
 
 
 

 
 
 
 「ずっと、ずっとずっと。ずっとずっと待っていました」と村松が喜びをあらわにする。
 
 だんだん空が夜に染まっていく中、「Who Is」「Words That Bind Us」と4人の熱が高まっていく。「Wonderer」ではハンドマイクの村松がクラップの海を泳ぐように歌う。洗練されたメロディとリリック、凶暴なアンサンブル。Nothing's Carved In Stoneの真骨頂を味わい尽くす。そして巨大な一体感を作り出す「きらめきの花」では、メロディが開く瞬間に照明が客席に向けられ、光に照らされた観客たちの笑顔で会場が埋め尽くされる。4人にはいったいどのような景色が見えているのだろうか。暗闇に包まれる中、この光と音に照らされているこの場所がこの世の全てと錯覚する。
 日向が凶暴な音で我々の意識を覚醒させた「Prisoner Music」。ひたすら攻め立てる村松と生形が歌のコントラストで魅せる。そして生形が弦の上で指を踊らせ、胸を焦がす旋律を鳴らしてスタートした「Red Light」。メロディに身を包まれ、多幸感が会場を埋め尽くした至福のひととき。たくさんの腕が振り上げられ、4人が向かい合って曲を終えた瞬間に大きな拍手が沸き起こったのはこの日のハイライトのひとつ。
 
 
 
 

 
 
 
 情熱的なサウンドでオーディエンスの気持ちを更に盛り上げた「Milestone」。ライブ冒頭のヒリヒリとした緊張感はだんだんと無くなり、4人の演奏は熱をぐんぐんと上げていく。
 
 
 
 

 
 
 
 「何を話しても今の時代はあまりおもしろくないことばかりなので…」と村松が言い、「…この演奏で、今日だけは全部解放してください」と言葉少なに想いを告げる。
 
 
 
 
 「TRANS.A.M」はグラマラスで骨太なロックサウンドで突っ走り、「In Future」では再びハンドマイクになった村松が咆哮する。ステージの上も下もどんどんと熱が上昇し、「Out of Control」でオーディエンスを踊り狂わせる。激しくありつつも研ぎ澄まされた極上のアンサンブル。
 
 
 
 

 
 
 
 そして村松が「みんなの名前を呼ぶような気持ちで歌えたら」と言った「Beautiful Life」。大喜多がスティックを高く振り上げ、日向が拳を振り、オーディエンスがその想いの丈を振り絞って手を挙げる。最高の光景で本編は幕を閉じた。
 
 
 
 

 
 
 
 アンコールではメンバー、スタッフ、そしてこの場に集まったオーディエンスに感謝の気持ちを告げ、唯一無二のバンドのことを綴った「November 15th」と「Perfect Sound」で終演。村松は「また会いましょう」と言った後、ひときわ大きな声で「くよくよすんなよ!」と叫んでステージを去った。
 
 
 
 

TEXT:Takeshi.Yamanaka
PHOTO:RYOTARO KAWASHIMA

 
 
 
 

Nothing's Carved In Stone 2009年〜2019年の全作品に関するインタビューまとめ

一切妥協することなくストイックに、そしてエゴイスティックに音を練り上げてきた唯一無二のバンド・Nothing's Carved In Stone。2009年の結成以来、年1枚のペースでアルバムをリリースし、2018年には日本武道館でのワンマンライブがソールドアウト、2019年には自主レーベル"Silver Sun Records"を設立し、10枚目のアルバム『By Your Side』を完成させた。今まで全作品についてインタビューを行ってきたJUNGLE LIFEの記事を以下にズラーッとまとめました。

 
 
 
 

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