音楽メディア・フリーマガジン

ネクライトーキー / 『ONE!』

人は孤独だ。創作もきっとそうだ。
でもこれは別に悲愴な心持ちだとか、暗い部屋での慟哭だとか、そういった類の話ではない。
当たり前の話だ。人の夢想や妄想に他人を入れることがそもそもできないのだ。
夜、寝床に入り目を瞑る。視界が闇に覆われると今日出くわしたこと、話したこと、食べたもの、それらを反芻して咀嚼する。嫌だったことも多分にあるだろう。そういうことを考え始めると僕はよく眠れなくなる。
その中でも過去の楽しかった出来事、将来の良くない想像、これらがまずい。非常にマズイ。
「あの頃は良かったナァ」だの「来月の家賃がな…」だの、そんなことを考え始めるとますます夜は更けていくばかりだ。でも紛らわしようもない、それもまた事実なのだ。
僕はそれから息切れしながら逃げ惑う。逃げながらその合間に何かを作る。
創作はただの妄想だ、でもその妄想に正しい手足をつけてやると少しだけ僕が歩くのを手伝ってくれる。だから僕はこの先も何かを作り続けるのだと思う。
このアルバムはそのひとつ目の人形になれば、と願うばかりだった。

G.朝日

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