音楽メディア・フリーマガジン

BP. / THE NEW BP.

90年代中頃から千鳥足で活動開始。ZKレコードより7インチ・シングルとミニアルバムをリリースするも、21世紀を待たずに冬眠。昨年何を思ったのか、急遽復活し、イチマキ(ex. COALTAR OF THE DEEPERS)、ハジメガネ(ex. Space Kung-Fu Man/On Button Down)、テッちゃん(ex. Soak)、ヒピコの4人でライブをスタートさせ、今年なんと新作をリリースする運びとなりました。

コンバンワ(ワンバンコ!)
北は東京〜南は静岡を胯にかけて活動するバンドの“BP.”です。この度、丸くて裏がキラキラしている5曲入りのCD(コンパクトディスク)をリリースさせていただく運びとなりました。すっごく丸いです。すっごく裏がキラキラしています。僕は昨日も聴きましたが、自分で演奏しているとは思えない完成度でびっくりします。びっくりして椅子から落ちる所で夢から覚めるのです。夢から覚めると今日も仕事に行かなければなりません。ビーチサンダルに鼻緒をつける機械を8時間見守り続ける仕事です。妻は息子を連れて3年前に出て行きました。仕事が終わり、すえた匂いの煎餅布団と最早楽しげなプログラムを映す事は永久にないブラウン管のアナログテレビのみが待ち受ける四畳半に帰るのは仕事以上に苦痛で、面白くもない赤提灯に吸い込まれくだをまき、なけなしの日当を散財し、より深い罪悪感を携えて目を覚ます日々を繰り返しています。自分はこんなはずじゃなかった、自分はこんなはずじゃなかった、なぜあのとき…なぜあのとき…と、そんな後悔ばかりが頭をよぎります。窓の外で赤く揺れる山査子の実が涙でにじむと、脳裏に浮かぶのはまだ恋人であった頃の妻と、冬のデュクサンブール公園でマロニエの実を拾いあったあの日々の事です。彼女は美しく、私は若かった。おそらく2人、共に光り輝くほどに。私がボタンの掛け違いに気づかぬうちに流れていった季節を思うと、足下でささくれ立った畳に、一つ、また一つと小さなシミがまるで絶望のように広がって行くのです。そんな負け犬の暮らしをセカンドハウスである六本木ヒルズの最上階からバカラのグラスに注いだロマネコンティを片手に、素肌にサンローランのガウンのみを羽織り、下界をながめつつ夢想する時のBGM(バック・グラウンド・ミュージック)にはやや不向きな音楽ではありますが、機会がございましたら御一聴いただければ幸いに存じます。敬具

G.ハジメガネ

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