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それでも世界が続くなら

“夢”や“希望”で生きていけなかった全ての人たちへ贈る

 千葉を中心に活動を続けていた彼らは、メンバーチェンジを経て、2011年にバンド名を“それでも世界が続くなら”に改名し再スタートした。

悲しみや苦しみ、様々な葛藤を泣きのメロディーにのせた、エモーショナルな楽曲は、心の奥深くまで直球で投げかけ、聴く者を震わす。そんな彼らの渾身の1st アルバム『彼女の歌はきっと死なない』がついにリリース。

全ての楽曲を生み出している、Vo./G.篠塚の心の中を探ってみた。

Interview

●2011年にバンド名を変えたキッカケって、何かあったんですか?

篠塚:メンバーが全員辞めたことかな。その時に自分の中でバンド人生が終わった様な気がしたんだ。でも、ある人に「しのくんはバンドがやりたいの? 音楽がやりたいの?」って訊かれて。すごい悩んだけど、俺はバンドがやりたいと思ったんだよね。1回は俺のバンド人生は終わったけど、それでも世界が続くなら、やっぱりバンドをやりたいと思ったんだ。

●辞めようか、続けようか悩む時って絶対来ますからね。人生の選択的な。

篠塚:そうなんだよね。自分がすごく夢見がちだった部分も減らせていたはずなんだけど、音楽に対してちょっとがっかりしちゃったこともあったから。自分が信じてた音楽の世界と、現実とのギャップが埋められなかったんだと思う。それでも、またバンドをやろうって思った時に、過去の自分が置いていけなかった音楽を、ちゃんともう1回置いていこうって思ったんだ。いつかは100%終わっちゃうんだけど、もう1回、"俺はこういうことをやっていたんだよ"っていうのをちゃんと置いてから死にたいなっていう気持ちがあったから。

●なるほど。だから「それでも世界が続くなら、俺はバンドをやる」っていうことですね。

篠塚:そうそう(笑)。

●"それでも世界が続くなら"って、文章みたいに後に言葉が続く感じがしますよね。

篠塚:それが良いなと思っていて。その後に続く言葉っていうのはCDを聴いた人によって違うと思うし。それぞれが持っていてほしいなと。

●聴いている人によってこの名前の意味合いがどんどん変化していくんじゃないかと思うんです。

篠塚:確かに。俺自身も最初は、バンド名に対して、ネガティブな意味で捉えていたけど、今はポジティブに考えられてる。一度はバンドが無くなって、音楽にがっかりしたけど、まだ光みたいな物がちゃんと残っていたんだなって思う。

●1月に、M-1「シーソーと消えない歌」のMVがWEBで公開されましたけど、内容がストーリー仕立てで、とても深い作品になりましたよね。

篠塚:でも、あのMVを発表するのが実はすごく怖かったんだ。きっと誰かを傷つけちゃうと思ったし…。音楽の力ってすごくあると思うけど、最終的には受け取る人のものだと思うから。

●でも蓋を開けてみれば、良い反響というか。胸を打たれたっていう人が多かったですよね。

篠塚:そうなんだよね。それはすごく良かったと思った。

●アルバムを聴いて思ったのは、すごくメッセージ色が強い歌詞で、メロディーも良いし、普通に考えたらただの歌ものバンドになり得そうなんだけど…。

篠塚:わかるわかる。

●だけど、ものすごいノイズギターが歌をかき消すようにグワーンと入ってきたりするのは、意図的にというか、アレンジとして単純な歌ものにしないように……。まあそこまで考えてないと思いますけど(笑)。

篠塚:うんそうそう、よくわかるね(笑)。

●世界観を作る材料として、ノイズを鳴らしていたりするのかなと。

篠塚:それはあるね。日本の音楽だと、いわゆるパンクロックと言われてるものが好きで。俺にもすごくなりたい自分が居たし、音楽に対して憧れもあったし。でも、全部1回無しにして俺は俺で居ようと思って。それで自分で曲を作ってみたら、すごい歌ものだったんだよね(笑)。

●いざ作ってみたら(笑)。

篠塚:俺は頑張れば、激しい曲もきっと作れると思うんだけど、素直に何も考えずに作るとすごくテンポも遅くて(笑)。自分の性格だと思うんだけど、持っているリズムというか。"俺ってこんなに元気ないんだ"って思ったし、これが俺なんだって自分で曲を作って気付いたし。心の中を広げてるみたいでそれがすごく嫌なんだよね。

●そんな自分をかき消す為のノイズだと…ちょっと恥ずかしい?

篠塚:そう、恥ずかしいの(笑)。すごくメッセージ性の強そうな歌ものバンドに見えると思うし、そう言われたりもするんだけど。でも実際、俺の中身はそうではなくて。だから、どうしても自分の歌をたまに壊さないと…。ノイズを出しているのは全部俺のギターだから。

●恥ずかしくてしょうがない感じ?

篠塚:照れ隠しだよね(笑)。すごく単純なんだよ。

●曲の中で歌詞にできない感情みたいなものをノイズで出しているような、そんな感じもするんですけど。

篠塚:するする。言われないとわからなかったけど、そうだよ!(笑)。 意識的にはやっていないけど、無意識のうちにそうしてる。ノイズのところでエフェクターを踏まない時もあるのよ。ごく稀にだけど。だからその時の気持ちが出ているんだろうなって思う。

●なるほど。今作のタイトルもすごく気になっていたんですけど、『彼女の歌はきっと死なない』というのはどういうイメージなんですか?

篠塚:さっき少し話に出た、音楽は受け取った人のものじゃないかっていう話なんだけど。俺も、俺の歌もいつか死ぬでしょ? それでも、俺の歌を受け取った人が日常の中で口ずさんでいるというか、鼻歌で歌っているっていう、そんなイメージがまずあって。

●なるほどなるほど。そういうことか。

篠塚:全然そういう歌じゃないんだけど、洗濯とかしながら口ずさんでるみたいな。

●その人の心には残っているわけだ。

篠塚:そう。だから、そうやって歌った彼女の歌は消えないでほしいなって。何処かで誰かが口ずさんでくれていたら、その人の中では歌が生きているから。

●なるほど今のですごくわかった。良いタイトルですね!

篠塚:でしょ?(笑)。

●アハハハ(笑)。

篠塚:でも言い切らないと絶対死ぬから言い切ったんだよね、「死なない」って。

●またバンド名からのこのアルバムタイトルが良いですよね。

篠塚:そうそう、文章になるんだよね。タイトルを考えていた時に、文章になる様なのが良いなと思っていて。

●それでも世界が続くなら『彼女の歌はきっと死なない』。映画みたいですよね(笑)。

篠塚:それは俺も思った(笑)。

Interview:HiGUMA