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ケミカルピクチャーズ

精力的に活動を重ねながら進化していく5人が待望のシングルを完成させた

 2010年12月に現体制となり、歌とメッセージを大切にしながら精力的にライブを重ねてきたケミカルピクチャーズ。

彼らは、今年7月にシングル『地球という名の乗り物』(2010年7月)をリリースしてツアーで全国を駆け巡った夏を経て、より本心を剥き出しにしたインパクトのあるシングル『トガリムネエソ』を完成させた。10/21の渋谷La.mamaのワンマン、そして来年1月にリリースが決定した1stフルアルバム『Goodbye to My old avarice』へと向け、一瞬も立ち止まることなく疾駆する5人。

今月号では、実り多きツアー“-Hello to the Last Dawn Mylife 2011-”での成長、そしてニューシングル『トガリムネエソ』についてじっくりと話を訊いた。

Interview

実り多きツアー"-Hello to the Last Dawn Mylife 2011-"
「お客さんが多いか少ないかは関係なく"表現としてのライブのレベル"を上げたいんです」

●8/1からツアー"-Hello to the Last Dawn Mylife 2011-"が始まって今も真っ最中ですね(取材は9月上旬に実施)。前回のインタビューで平さんが「まだまだ課題は多いけど、個性の塊みたいな5人の力が合わさったときの瞬発力に大きな可能性を感じている」と言っていましたけど、8/5の下北沢SHELTERのライブを観てその発言がすごく納得できたんです。ステージでは5人が5人とも荒くれ者っていう感じですけど(笑)、ベクトルが同じ方向になったときのエネルギーがものすごいライブをするなと。

平:まだまだ改善の余地がたくさんあります…本当にすみません(笑)。

●なんで謝ってるんですか(笑)。ツアーは折り返し地点を過ぎましたけど、手応えはどうですか?

平:長い時間メンバーと一緒にいるということもあって、人間的にも気づくことがあり、もちろん音楽面でも気づくことが多いです。このメンバーになって9ヶ月くらい経ちますけど、最近は寝る間を惜しんで…ライブ後に朝方までホテルの一室に集まってみんなでリズム練習とかしたりしているんです。

●え? すごい!

平:気づくのが遅いっていう話なんですけどね(笑)。

田畑:単純に、もっと前からやっとけばよかったっていう話なんですよ。ひとりの遅れがバンドの遅れにつながったりするじゃないですか。でもひとりの遅れっていうのはそいつだけのせいじゃなくてバンド全体の責任でもある。そういう意味で、今まではメンバー間の意見交換が少なかったなっていう反省があって、今回のツアーではそういうところから改善しようと。

●なるほど。

田畑:何か意味のあるツアーにしたかったんです。ライブやってインストアやって…というだけでは終わらせたくないと思ったし、だったらホテルに帰ってから練習しようと。バンドとして成長して帰ってこないとツアーをまわった意味もないし。

平:これだけ本数の多いツアーだと、中にはアウェイというか、ノリ一発だけで勢いを作ることができない場所も当然あったりするんです。どんな状況のライブでもそうですけど、そういうアウェイなときこそ歌と演奏をしっかり届けないと何も伝わらないんだなっていうことを痛感したんです。そのことに気づいた時点で、逆に"今まで俺はちゃんと歌えてたのか?"って怖くなったりもしたんですよね。

●なるほど。すごく緊張感のあるツアーなんですね。

平:だからまだ終わってないですけど、今回のツアーはすごく自信にもつながっています。
野中:ライブをしに行くのがツアーですけど、バンドとしてはそれだけじゃなくて、一歩二歩成長したいという意識を持って色々と考えながらやれているので、次に都内でやる10/21の渋谷La.mamaでは今までと印象がかなり変わっているような気がしています。まだまだガッチリとした手応えがあるっていうわけじゃないですけど、ひとつひとつ地道に進めているような気がしますね。

平井:前に進んでいるような感覚があるんです。1本1本のライブで得たものをもっともっと伸ばすためにはどうしたらいいんだろう? ということを考えながらやっていて、ファイナルまではもうあまり時間がないですけど、時間がないからこそより考えながらツアーの残りを次につなげていきたいですね。

●うんうん。

平:さっき「今まではメンバー間の意見交換が少なかった」という話がありましたけど、その壁をだいぶん崩せたかなと思います。ツアーに行って、それぞれが思ったことを言ってイヤな空気になって終わりっていうわけじゃなくて、ちゃんと進んでいるという実感があって。真剣にやっているからこそ、これからももっともっと言い合っていければいいと思っています。まあ俺はヴォーカルだから喉のことを考えて睡眠を取らせてもらうことが多いんですけど、そこは田畑くんが中心になってやってくれていて。

●常に向上心を持ってやれていると。

平:でもJUNGLE★LIFEだからこそ濁さずに言いますけど(笑)、演奏面がひどいっていうところがあったんですよ。箇所によっては歌うのも大変なくらいの曲もあったり。そういうところもちゃんとしたいっていう。

●今までは悪い意味で粗かった?

一同:粗かったですね(笑)。

●ハハハ(笑)。
野中:粗かったというか、あやふやにしていた部分が結構多くて。

平:うん、そうだね。

田畑:単純に下手なんですよ。個々のレベルが低いんだけど、でも楽曲はクオリティの高いものをしたいっていう。要するに、自分の許容範囲以上のものをしようとするからライブで粗が出ていたんでしょうね。

●ああ~、なるほど。

田畑:レコーディングで何回も何回も弾いてやっと弾けたフレーズを、ライブでステージング込みでできるわけがないんですよね。だから自分のできる範囲のものをやりつつ、リズムをちゃんと取ってやるっていう、基本的なところから見直したツアーなんです。

●ファイナルの渋谷La.mamaワンマンや、来年に控えているアルバムリリースとか…きっとメンバー全員が高い意識で目標を共有できているからこそ"危機感"くらいのレベルで緊張感を持ってツアーに取り組めているんでしょうね。

平:そうですね。俺たちが今まで主に活動していたヴィジュアル系を悪く言うわけじゃないですけど、"勢いがあればいい"っていう考えがずっと無意識的にあったのかなって。もちろん今はLa.mamaのワンマンを目標にしていて、当日はソールドアウトさせるつもりでやっていますけど、お客さんが多いか少ないかは関係なく"表現としてのライブのレベル"を上げたいんです。そう考えたら、やっぱり演奏や生で歌うことのクオリティを高くしたいと思うのは自然なことで。

●それはライブを観ればよくわかります。ケミカルピクチャーズは"ライブバンド"としての指向性が強いですよね。アンサンブルやリフの強さやグルーヴ、楽曲が持つ力でライブを作り上げているというか。ヴィジュアル系のライブはエンターテインメント性が高いという印象がありますけど、そういう感じではなかった。

平:例えば1000人キャパの会場でやったとして、最前から5列目くらいまでは勢いだけで盛り上げることはできると思うんですけど、そこから先はちゃんとした歌や演奏がないとノるわけがないと思うし。やっぱりみんなわざわざお金を払って生演奏を観に来ているわけですからね。

●そういう危機感ってなんかいいですね。すごくライブバンド的だと思う。

平:機材的なトラブルも多かったんですけど、このツアーでかなり慣れてきたし。

田畑:最善を尽くした上でのトラブルは仕方がないと思うんですよ。その対処の仕方や精神的に動じないことが大切っていうか。

待望のニューシングル『トガリムネエソ』
「本心を出した曲をライブでできるということは、俺にとっては嬉しいことなんです」

●10/19にシングル『トガリムネエソ』がリリースとなりますが、7月にリリースしたシングル『地球という名の乗り物』とはガラッと雰囲気が違いますよね。前作は歌モノが中心でしたけど、今回の「トガリムネエソ」はホーンもフィーチャーされているし、今までにないグルーヴィーな曲ですよね。

平:これはもともと俺がメロとコード進行を作っていて、その時点でシャッフルのリズムだったんですけど、アレンジを詰める段階で「どうせやるんだったら思いっきりノリのいい曲にしようよ」っていう感じになって。"すげぇかっこいい!"と思った反面、さっきの話じゃないですけど"ライブは大丈夫か?"っていう(笑)。
4人:(苦笑)。

平:最初の段階ではサビがもう少し落ち着いた雰囲気だったんですけど、最終的には全体的にバンド感があるノリのいい仕上がりになって。そういった曲をシングルにして、バンドとしてガツンといきたいなと。今作は全体的にバンド感があるというか、M-2「不幸のナイフ」もパンクテイストな曲調じゃないですか。前作『地球という名の乗り物』は歌モノだったけど今回はガチャガチャしたような作品にして、次に出すアルバムではもっともっと幅を出せていけたらなと思っていて。バンドとして芯は持ちつつ、常に変わっていきたいという意識が強いので。

●「トガリムネエソ」はノリがポイントとなる楽曲ですけど、レコーディングはどうだったんですか?
西條:全然上手くできなくて、めちゃくちゃヘコまされました。

●え? 西條さんだけが苦労したんですか?

田畑:いや、西條はまだましな方です。全員苦労したんですけど、特に…。
(全員が平井を見る)。

●あ、平井さんか…(笑)。

平:目も当てられないくらいだったね(笑)。

平井:苦労したというか、"苦労"というレベルですらなかった。本当にボロボロでした(笑)。

田畑:今のままじゃあ絶対にライブできないよね。

●もうすぐシングル出ますけどね(笑)。

平井:リリースまでにはキチンとものにします!

平:バッチリやれて当たり前ですけど、それがいい意味で自分自身に課すハードルになればいいなと。さっきライブに関して「自分のできる範囲のものを」という話がありましたけど、中にはステップアップできるものもないといけないと思うし。危機感を感じながらも必死でがんばればいいと思ってます。

●ところで"トガリムネエソ"って何なのかな? と思って調べてみたんですけど、深海魚の名前なんですね。歌詞では、心境を例える象徴として"トガリムネエソ"という言葉を使っていますが、そもそもどこから出てきたんですか?

平:歌詞を書いているとき"この曲で歌っている気持ちを象徴するのは深海魚だな"と思って、深海魚の種類を調べようと思ったんですよ。そこにたまたま暇そうにしていた平井がいたので、「ちょっと深海魚の名前調べてよ」と頼んだんです。平井はWikipediaの達人なので。

●Wikipediaの達人なんですか(笑)。

平:ギターは下手くそなんですけど、検索は得意なんです。

一同:(笑)。

平:そしたら次から次へと深海魚の名前が出てきて、その中に"トガリムネエソ"があって。この魚の気持ち悪い外見もなんかいいなと思ったし、メロディにもハマったし、何より言葉としてのインパクトがあるし、これはいいなと。

●他の2曲はどういう経緯で今作に入れようと?

平:M-3「電子機器」は結構前からあった曲なんです。シンプルに歌を聴かせたいなと思って作った曲で。「トガリムネエソ」と「不幸のナイフ」は両方とも勢いのある曲ですからね。

●作品としてのバランスを考えたと。

平:そうですね。それに、俺が暗い性格だっていうのは前回のインタビューでわかってもらったと思うんですけど(笑)、今回も最後は暗く終わろうかなと。

●というか、前作に引き続き今回も3曲とも歌詞は暗いですよね。

田畑:基本的に、平は明るい歌詞が書けないんでしょうね(笑)。

●前作は平さんが「大失恋したときに歌詞を書いた」と言っていたから暗くなったのはなんとなく理解できたんですけど。

平:「電子機器」は「結構前からあった」と言いましたけど、その大失恋の直後に書いたんです。

●そういうことか(笑)。

平:もうその失恋は消化できてるんですけど、今見たらすごく照れくさいですね。いい意味で恥ずかしい曲です。

●素のリアルな感情を綴った歌モノなんですね。パンク調の「不幸のナイフ」はどういう経緯でできたんですか?
西條:これは僕が作ってきた曲なんです。シングルを作るということは決まっていたからサビとかはキャッチーさを少し意識したんですけど、イメージ的にはケミカルピクチャーズというバンドの真ん中というか、ライブでやって画が見えるようなテンション感や勢いが頭にありました。

●この曲は結構尺が長いですよね。展開に起伏があるというか。
野中:パンクだからといって単調な曲ではないですよね。
西條:うん。

●この曲の歌詞もかなりディープですよね。平さんはややネガティブな感情を歌詞にすることが多いですけど、歌詞にすることによって何かが変わったりするんですか?

平:歌詞は本心というか、普段あまり口に出さないようなことを書くことが多くて。だからこういうインタビューとかでも、歌詞のことを説明するのは照れくさいんですよ。

●はい。

平:でもライブでは絶対に嘘はつきたくない。だから本心を出した曲をライブでできるということは、俺にとっては嬉しいことなんです。自分を出せる場所というか。

●ああ~。

平:例えばライブの直前まで楽しいことがあって笑っていたとしても、ライブが始まれば悲しい曲では泣きたいんです。テレビとか、最近特に嘘臭いことが多いじゃないですか。政治家もそうだし、バラエティでもやらせが多かったり。

●そうですね。

平:そういうものが蔓延している世の中だからこそ、リアルなものしか伝わらないと思うんです。さっき演奏面の話でも言いましたけど、お金を払ってわざわざ足を運んで来る人たちって、そういった嘘臭いものが観たいわけじゃなくて、リアルな生の姿が観たいわけじゃないですか。だから俺たちは本心を出したライブをやりたいんです。

●そういうライブってジャンルとか関係なくいいですよね。グッと伝わるものがある。

平:そういうことを大事にしてきたいんですよね。

●ツアーで切磋琢磨がありつつ新作もできあがって、10/21の渋谷La.mamaワンマンは楽しみですね。今日のインタビューで「現時点では新曲の演奏ができない」というまさかの衝撃発言がありましたけど…。

一同:(笑)。

平:課題は多いですけど、しっかりとひとつひとつ乗り越えたいです。La.mamaは憧れのライブハウスなんですよ。俺はTHE YELLOW MONKEYが大好きでバンドを始めたようなものなんですけど、La.mamaはTHE YELLOW MONKEYゆかりのライブハウスじゃないですか。だから10/21はより等身大でやりたいなと思っています。俺たちはやる側ですけど、心はキッズのままでいたい。"吉井さんがここでやっていたんだ"というような気持ちを噛み締めながらやりたいです。
西條:シングル『トガリムネエソ』のリリース直後のワンマンですけど、その先にはアルバムも控えているから、その片鱗も見え隠れするようなライブにしたいですね。そうするとまた今までとは違ったワンマンになるだろうし。

平:そうだね。ある意味、このワンマンはスタート的な位置づけだと思っていて。今まで俺たちは化粧もしていましたけど、今回のツアーはほとんど化粧をせずにやったところもあって。

●あ、そうなんですね。

平:色々と試したりもしていたんです。そういった中で、バンドとしてこういう風になっていきたいっていう目標が見えてきて。現時点ではまだ具体的なことは言えないですけど、メンバーの間でもバンドの芯に関わるような話をすることも多くなってきたし。そういう意味で10/21のワンマンを新たなスタート地点にできればいいなと思ってます。

interview:Takeshi.Yamanaka