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ケミカルピクチャーズ

今の時代に生まれ、今の時代を生きる彼らの生々しい“音”を体感せよ。

 昨年ミニアルバム1枚とシングル2枚をリリースし、全国各地のライブハウスでソリッドかつ熱いステージを繰り広げてきたケミカルピクチャーズ。

彼らが完成させた待望の1stフルアルバム『Goodbye to my old avarice』は、バンドが内包する多様な音楽性はもちろん、5人の人間性や体温を感じ取ることができる、多面的な魅力を持ったロックアルバム。最強のライブバンドたらんとして突き進んできた彼らが、初ライブから3年の時を経て、何の迷いもなく音楽を楽しむことだけを目的としたワンマンツアーをスタートさせる。

今の時代に生まれ、今の時代を生きるケミカルピクチャーズの生々しい“音”を体感せよ。

Interview

「本心では"無理だ"と思うような辛いことやキツいことであっても、ちゃんと正面から受け止めることがようやくできるようになった」

「この5人で好きな曲をその場で一生懸命やりたい。ステージングがどうだとかそういうことではなくて、ストイックに音楽を楽しみたい」

●アルバム『Goodbye to my old avarice』を1/25にリリースして、3/14にベストアルバム『世界を撃った男』のリリースが控えているこのタイミングですが、ケミカルピクチャーズの2011年を振り返ってみると、作品のリリースも多かったし、バンドとしても変化していくタイミングだったし、端から見ていても慌ただしい1年だったと想像するんですが。

平:2011年はひと言で言うと…苦行でしたね。

●苦行だったのか(笑)。

平:振り返ってみると、今まで本当に生ぬるいところでやっていたなっていう気づきもあって、本当に2011年はいい経験になったというか。

野中:2011年はやることも多かったんですよ。レコーディングだったりツアーだったり。だからすごく早かったです。

●平井さんはどうでした?

平井:今までのバンド人生の中でも辛い時期なんてあったんですけど、2011年は今までよりも上回るくらい辛い1年でした(笑)。今だからこそ笑って言えますけど…でも未だにちょっと泣きが入りそうになる(苦笑)。

一同:(爆笑)。

●辛かったんだ(笑)。

西條:拓(野中)は「早かった」と言ってましたけど、やるべきことが多すぎて1日1日をすごく長く感じた1年でもあったなと思います。濃かったですね。

田畑:本当に過酷な1年でした。以前のインタビューでも少し話しましたけど、ツアー中に毎晩ホテルで一部屋に集まってリズム練習とかしていたんです。そういうときに「他のメンバーをどうにかしなきゃ」という意識になりがちだったので、俺は自分のことをあまりできなかったような感じがしていて。なんか上から目線の発言になっちゃいますけど。

●ああ~。

田畑:ただ、誰か1人だけがキツい状況だったわけじゃなくて、5人全員が過酷なことをやっていたので「キツいけどがんばっていこうよ」って励まし合ったりして。それが救いでしたね。

●なるほど。1/25にリリースしたアルバム『Goodbye to my old avarice』も当然2011年に制作したわけですよね?

西條:そうですね。曲作りは去年の春からちょこちょこやってて、10月にリリースしたシングル『トガリムネエソ』のレコーディングの辺りからアルバムも録り始めて。

●今まで何度か取材をさせていただいてきた中で、「歌詞を大切にしたい」「ライブバンドとして勝負したい」という話が何度かあったと思うんです。それは"バンドとしての意志"と言ってもいいと思うんですが、それが『Goodbye to my old avarice』で形になっているという印象があって。今作は一貫してメッセージ性が強いし、サウンド面はライブを意識した部分が多いですよね。今作で、ケミカルピクチャーズというバンドの"芯"みたいなものが見えた気がするんです。

田畑:おそらくそれは「こういうアルバムを作ろう」みたいなコンセプトを決めずに作ったからだと思うんです。コンセプトを決めてやるとアルバムのイメージが付いちゃうと思うんですけど、イメージせずに作ったので、バンドのそのままがアルバムになっているような気がします。

●要するに"今のケミカルピクチャーズ"が自然に出ていると。例えばPVになっているM-10「悪天候異常気象な時代」からは、"ケミカルピクチャーズがなぜ音楽をやっているのか"というバンドの意志というか覚悟みたいなものを感じるんです。

平:この曲はアルバムの推し曲なんですが、もともとは「霞に千鳥」(初回限定B盤のボーナストラックとして収録)を推し曲にするつもりだったんですよ。でも「悪天候異常気象な時代」は、初めてスタジオで合わせたときの感触がすごくよかったというか。

田畑:「悪天候異常気象な時代」はデモの段階で「ポップ過ぎてバンドのカラーにちょっと合ってないんじゃないか」という話になっていたんです。でも初めてスタジオで合わせたとき、ロック色が強く出る雰囲気でやれたのでバンド的にもしっくりときて。

平:スタジオで合わせたときに感情のグルーヴが生まれたというか。5人のグルーヴがよかった。

野中:でも平くん、あのときギター弾いてませんでしたっけ?

平:弾いてた。というか平井がいなかったんだ。

平井:ちょっと体調を崩してて。

●え? なのに「5人のグルーヴがよかった」って…。

一同:(爆笑)。

平:合わせたらすごく気持よくて、俺が「やっぱりこの曲をアルバムの推し曲にしない?」と言ったら他のメンバーも「俺もそう思った」って。

野中:確かにすごく気持よかった。

西條:すごくバンド感があって、いいなと。

●「悪天候異常気象な時代」はアルバムの中でもすごくエモーショナルな部類ですよね。サウンドもそうですけど、歌詞もむき出しというか。

平:この歌詞は…さっき言っていた、過酷な状況の中ですごく大変な時期に書いたんです。世界は異常気象だけど俺も異常気象だったというか(笑)。

●ハハハ(笑)。なんだそれ(笑)。

平:要するに精神的に落ちていた時期だったんですけど、この曲はどうしても前向きにしたかったんです。というのは、他の曲も結構暗い内容が多いので…。

●まあ暗いのは前からですけどね。

一同:(笑)。

平:だから"他の曲が枝だとしたら「悪天候異常気象な時代」は根っこにならなきゃいけない"という気持ちで書いて。アルバムの最後に入れることで、作品全体が成り立つような曲にできたかなと思います。

●「悪天候異常気象な時代」に"問題はどう堕ちるか?違う、どう飛ぶかなんです。"という歌詞があるじゃないですか。こういう姿勢がいいなと思って。

平:ここは色んな意味がありますけどね(笑)。単純なポジティブ思考とも受け取れるけど、"どうせ死ぬんだったら最後に飛んでやろう"という気持ちとも受け取れる。

●音楽活動は決して華やかなものだけではないし、むしろ一般の社会から外れているという見方をされることも多いじゃないですか。そう考えると、「悪天候異常気象な時代」はケミカルピクチャーズのミュージシャンとしての本音や心の姿勢が浮き彫りになっている感じがあるんですよね。

平:最初に言いましたけど、今までの音楽活動でも辛いこととかキツいことはいっぱいあったのでわかっていたつもりだったけど、俺はどこか逃げ腰だったんです。でも、本心では"無理だ"と思うような辛いことやキツいことであっても、ちゃんと正面から受け止めることがようやくできるようになったのかなと思います。この曲は"そうありたいな"という歌詞です。

●今までの発言から想像するに、このアルバムを作っている過程で"なぜバンドをやっているんだろう?"みたいなところまで見つめ直したこともあったんでしょうか?

平:ありました。"なんで俺は音楽をやっているんだろう?"って。俺はすごく負けず嫌いな性格なんですけど、"どうせ俺なんかより世の中に必要とされているミュージシャンはたくさんいるだろう"という気持ちになってしまったというか。

●ああ~。

平:最近は少し変わってきたと思うんですけど、ちょっと前のテレビや雑誌なんて…こんなこと言ったら失礼ですけど…ありふれた音楽ばかりピックアップしていたじゃないですか。だから自分で好きなモノを探さなくなった途端に、すごくつまんなくなってしまったんです。日本にはすごい人がいない、と思っちゃったというか。"なんでこれが売れるのかわかんない"と理解できなくなった途端、自分が腑抜けみたいになっちゃって。

●あら!

平:こんなことを言っちゃいけないのかもしれないですけど、適当というか、心の中では"当たり障りのないことをやっていればいいや"みたいな、そんな感じになってしまったんです。去年の一時期なんですけど。

●あらららら!

一同:(笑)。

平:でも、最近は色んなバンドやミュージシャンを観たり聴いたりしてハマってるんですけど、すげぇ人はたくさん居るんだなということに改めて気づくことができた。"今まで世の中に出れなかったけど、こういう人たちはがんばってるんだな"って自分に重ね合わせたりして。

●うんうん。

平:腑抜けになっていたときは自分が作った作品も聴けなかったんですよ。でも改めて今作を聴いてみると、ちゃんと言いたいことも言えてるし、ミュージシャンとしてちゃんと発信できてるなと思えて。自分を受け入れることができたというか、見つめ直すことができた作品でもありました。

●なるほど。

平:さっき平井が「辛かった」と言ってましたけど、俺もそれは同じで。別にお金を稼げているわけでもないし。実家に帰って普通に就職しようかなって、一瞬本気で考えたこともあったんです。

田畑:でもそれは全員そうじゃない? みんな一緒だと思うよ。

平:そうなんですよね。そういう時期を経たときに、そういった悩みや葛藤も含めての前向きさを見つけることができた気がするんです。

●めちゃくちゃいい話じゃないですか。ドラマがあったんですね。

平:ありましたね~(しみじみと)。

一同:(笑)。

●3/14にはベストアルバム『世界を撃った男』がリリースとなりますが、このベストは"オールタイムベスト"というわけではないんですよね?

西條:そうですね。2010年に僕たちは5ヶ月連続でシングルをリリースしたんです。『世界を撃った男 case1』から『case5』までの"世界を撃った男シリーズ"なんですけど、その5枚のシングルに収録した合計15曲に、未発表曲「Stand by me」を加えた作品で。3/14は初ライブからちょうど3周年ということもあるし、"世界を撃った男シリーズ"はケミカルピクチャーズの基盤にもなっているので、このタイミングでリマスタリングして1枚としてリリースしようと。

●なるほど。そのベストの発売日であり、初ライブから3周年となる3/14からいよいよワンマンツアーが始まりますよね。フルアルバムを出したあとのワンマンツアーだし、ライブも変わってくると思うんですが。

平:そうですね。このツアーでは初めてのことに挑戦しようと思っていて。

●初めてのこと?

平:俺もギターを持って、トリプルギターでやろうと思っているんです。

●お!

平:それと、今日のインタビューのどこで言おうかなと思っていたんですけど…ツアーファイナルの6/22でライブ活動を休止するんです。

●え?

平:ちょっとお休みしようと。

●ええっ!? もしかしてそれはネガティブな話ですか?

5人:いやいやいや(笑)。

●なぜライブ活動を休止するんですか?

野中:今までもたくさん作品を作ってきて、今回アルバムを制作して…現時点の自分たちでこのアルバム以上のものができないと思ったんですよ。だから1回基礎から固め直そうと。

田畑:簡単に言えば、1回ライブ活動を休止して個人個人のレベルを上げようっていう話です。

●あぁ~。

田畑:ただ少しの間ライブをしないっていうだけです。

平:色んなことをやり尽くしたというか、スケジュール的にも詰め込んだ中でガーッ! とやってきたので、充電期間も必要じゃないかなと。

●なるほど。ちょっとびっくりした(笑)。

平:だから今回のツアーは、トリプルギターでインストの曲をやったりとか、自分たちがやりたかったことを思いっ切りワガママにやってみようかなと。媚びる感じじゃなくて、もちろん観に来ているお客さんに向けて最高のモノを提供するということは大前提にあるんですけど、まず自分たちがいちばんに本気で楽しもうと。だからライブはすごく変わってくるだろうし、今まで観ていたお客さんもびっくりするでしょうね。

●それ楽しみですね。どうなるんだろう。

平井:たぶん、今までよりも空気感が出たりすると思います。色濃いものだったり。昨日ちょっとスタジオに入ってインストの曲を合わせたりしてみたんですけど、それがあるだけでかなり空気感が変わるなという実感があって。

平:そのインストの曲は西條が作ってきたんですけど、ガチガチに固めてライブで演奏するつもりもなくて、変な話ですけどライブもスタジオ感覚というかセッションみたいなノリで、その場で色々と感じながらやっていきたいなと。

●音楽的に自由にやっていこうと。

平:そうですね。それに、今回のツアーは6/22のファイナルまでは一切MCをしないでおこうと思っていて。俺は口下手だし、何より俺たちは音楽をやるためにツアーをするわけだから、もちろんその場で思ったことは口に出すけど、基本的にはMCをまったくせずにやろうと思ってます。

●ああ~。

平:そうやって貯めて貯めて、ファイナルのO-WESTでいっぱいしゃべろうかなと。それまでは、この5人で好きな曲をその場で一生懸命やりたい。ステージングがどうだとかそういうことではなくて、ストイックに音楽を楽しみたいと思ってます。

●その話を聞いてツアーが更に楽しみになりました。ちなみに6/22以降はどうするんですか?

平:いつ復活するとかもまったく決めてないんです。

田畑:とりあえずは地下作業だよね。「活動休止します」と言うと「解散?」と誤解されることもあると思うので、「ライブ活動休止」と言っているんですよ。ただ、自分たちの中でもいつ再開するのかはまだ決めていなくて。

平井:とりあえず俺はスキルアップですね。

野中:僕は個人的に少し余裕を持ちたいとも思っていて。

●とりあえずはメンバーそれぞれの時間を持とうと。

田畑:そうですね。あまりにも走り続けてきたので(笑)。

西條:ちょっと空っぽになっちゃったところがあるかもね(笑)。

●なるほど。ちなみにケミカルピクチャーズはもともとヴィジュアル系のシーンで活動していたわけですけど、徐々にヴィジュアル色を少なくしてきましたよね。時にはメイクをせずにライブをしたりして。今回のツアーではどうするんですか?

西條:全員がメイクをすることで何かを表現するようなことは、今のウチらにはもうないと思います。

平:そこも含めて好きにやろうっていう感じなので、もしかしたら俺が突然白塗りでステージに出てくるかもしれない。

田畑:遊び心でそういうのはあると思うんですけど、バンドで決めてメイクをすることはないでしょうね。だから今まで通りといえば今まで通りなんですけど。

西條:各自がその日の気分でメイクしたりしなかったりなんですよ。

野中:だからメイクも自己表現のひとつという感じです。

●ということは「もうメイクしないぞ」とバンドで決めているわけでもないと。自由なんですね。

平:自由です。だからたまに危なっかしいときもあるんですけど(笑)。

●危なっかしいとき?

平:西條が「この服よくない?」と言って見せたものが「それは絶対にダメ!」というときがたまにあるんです。

一同:アハハハハ(笑)。

平:西條はセンスが斬新すぎて「それはちょっとおかしくないか?」というときがごくたまにある(笑)。でも今回のツアーは服装も自由にやろうと思っているので、彼の斬新なセンスが見れるかもしれないですね。あのYシャツ着たら?

西條:袖がなくて背中に"ROCK"と書いてあるYシャツのこと?

平:そうそう(笑)。

一同:アハハハハハハハハ(爆笑)。

●ロックを背負っているんですね。

西條:違います(笑)。

interview:Takeshi.Yamanaka

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