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ゴマアブラ ダディー直樹 x THE TON-UP MOTORS 上杉周大 対談

ゴマアブラ x THE TON-UP MOTORS

エンターテインメントに特化した肉食アーバン系ソウルバンド・ゴマアブラと、札幌が生んだ男臭さ全開のダイナマイトでソウルフルなバンド・THE TON-UP MOTORS。

そんな2バンドが赤い糸で結ばれるかのように昨年ツアー先で急接近し、お互いの音楽に対する情熱がシンクロして魂の共作が見事に完成した。
今月号では、両バンドのフロントマンにしてエンターテイナーの2人、ダディー直樹と上杉周大の魂に触れるSPECIAL TALK SUMMITを開催した。

Interview

「内面はすごく熱いんですけど、あまり表に出さないというか。そういう表現に憧れている部分もあるんです」(ダディー直樹)

「だんだん“もっと脱いで”という風に。誰にも言いたくないようなことも歌詞にしてみんなに言おうという今のスタンスになりました」(上杉周大)

●2バンドの出会いは1年ほど前の名古屋ということですが。

上杉:そうです。たまたまツアー先が一緒になって。同世代のバンドでこんなに着飾った衣装のバンドを見たのは僕ら以外では初めてだったんです。ヴォーカルが白でラメっていて、僕もシルバーじゃないですか。他のメンバーは赤で揃えているんですけど、ゴマアブラもまったく同じ配色で。親近感を感じましたね。

ダディー:俺はソウル好きなんですけど、リハを観ているときから好きな音楽が一緒だなと思ったし。

上杉:僕もゴマアブラのルーツはソウルやダンスミュージックなんだと一目で見て取れたので、リハの段階からメンバーと「おもしろいバンドがいるね」と話していたんです。初見だったけど「やっと会えたね!」っていうくらいの感覚がありました。だから急速に仲良くなって「何か一緒にやりたいね!」って、今回の『SOUL Summit!!!!』の話が急速に進んでいきました。

●そのスプリットシングル『SOUL Summit!!!!』ですが、表題曲「SOUL Summit!!!!」は作詞/作曲まで2人の共作なんですよね。共通点があったとは言え、いきなり人と曲を作るのは難しいと思うんですが。

ダディー:作る前に一緒に飯を食いに行ったんです。そこで2人のiPodを見たら「あ、これは意外!」という音楽もけっこう入ってて。上杉くんのイメージってけっこう泥臭い感じじゃないですか。でもiPodにはお洒落な曲もいっぱい入っていて「こういうのも聴くんですか!」って(笑)。逆に俺の場合も「ゴマアブラはダンスミュージック寄りなのに、こんな泥臭い曲も聴くんだね」と。そこで「じゃあ間を取ってこういう系の曲をやろう」って、楽器を持たずにいろいろ話し合ったんです。

上杉:それからは本当に速かったよね。食事に行ってしゃべったときに、ゴマアブラの楽曲とかダディーの持っている要素の中で"ここを引き出したいな"と思ったんです。そういう話をしたら、ダディーはダディーで僕らの"こういう部分を出せたらいいな"と思っていたみたいで。だから"自分のここを出すぞ"と自我を持ち寄って共作したというより、"相手のここを引っ張り出そう"と思って作った感じ。だからこそ迷わずにトントンと進んでいけたんだと思います。

●歌詞はどうやって書いたんですか?

ダディー:曲ができた後にもう1回飲みに行って「歌詞はどういうテーマにしようか?」と話し合ったんです。そこで「せっかく一緒にやるんだからバンド単体ではできないことをやろう」ということになって、「じゃあ"みんなで楽しもう"ということをテーマにしよう」と。歌詞は最初にサビを2人で決めましたよね。

上杉:そうだったね。

ダディー:そこで、サビの"1人じゃ出来ない"という歌詞に向かうAメロをお互いに考えて持ち寄って、「上杉くんがそのフレーズを使うなら俺はこっちを使います」っていう感じでBメロは一緒に作ったんです。サビで"楽しみたいから"というひと言があるんですけど「"から"じゃ嫌だ」みたいな、けっこう細かいぶつかり合いもあったんですよ(笑)。

●喧々諤々だったと。

上杉:お互い傷付き合いながら(笑)。でも最後は「いいパンチだったよ」と握手してスタジオを出ました。

●演奏は全員でやっているんですか?

ダディー:全員です。ちょうどドラムがTHE TON-UP MOTORSにはいなかったので、ドラムはウチのおにぎり(仮)が担当して。ベースは俺がイントロとソロでベースっぽくない音で弾いたくらいにして、THE TON-UP MOTORSの長谷川さんが弾いて。だからちょうど全員が演奏できました。

●今作にはそれぞれの新曲も1曲ずつ収録されていますよね。THE TON-UP MOTORSはM-2「ユーに捧ぐ!!」で、ゴマアブラはM-3「上へ上へ」ですが。

上杉:今作の1つのテーマとして、僕らはツアーバンドじゃないですか。その2バンドがツアー先の名古屋という場所で偶然出会った。やっぱりいろんな所へツアーで行っていると、しばらく行けていない街もあるわけですよ。そういう所のお客さんたちに届けたくて作った曲なんです。だから、"あなたの住む街へ 届くように"と歌っている。"元気でやっているか?"という意味もある曲なんですよね。

ダディー:すごくいいこと言いますよね。俺たちの「上へ上へ」なんて"上へまいります"とか言ってて、単なるエレベーターの曲だしな…。

上杉:(小声で)曲を作った理由は後からでも作ればいいんだよ。

●聞こえていますよ!

ダディー:実は俺もツアー先で…。

●「上へ上へ」はそういう曲ではないでしょ!

ダディー:ツアー先です! ツアー先のエレベーターです!

上杉:アハハハハハハ(笑)。

●でも真面目な話、この2曲の対比がすごくおもしろかったんです。上杉さんが言われたように、THE TON-UP MOTORSの「ユーに捧ぐ!!」は届ける先が明確なメッセージソングだと思うんですよね。一方で、ゴマアブラの「上へ上へ」は一見エレベーターのことを歌っていて中身が無いように思いますけど、実はすごくブルースというか。エレベーターという比喩で自分の生き方を宣言している。

ダディー:よくぞ言ってくれました! ありがとうございます! すごくいい人です!

上杉:ものすごく助けてもらっている(笑)。

●ゴマアブラは真面目なことをそのまま歌うのではなく、捻って音楽的な楽しさも含めて表現しているんですね。

ダディー:ゴマアブラはそういう曲が多いんです。俺は本来「ユーに捧ぐ!!」みたいな曲が大好きなんですよ。聴くのも好きだし、カラオケで歌うのも大好きなんです。でも自分で作って歌うとなると、ちょっと照れちゃうところがあって。歌詞を書いている時点で顔が真っ赤になっちゃうんです。だから別のことに言い換えているような曲ばかりなんです。

上杉:共通する部分は他のバンドと比べてたくさんあるんですけど、表現のコアな部分になるとまるで違うんですよね。それは「SOUL Summit!!!!」の歌詞の中でも大いに感じたことで。僕はとにかくストレート。逆に捻った歌詞は書けないんです。

●あ、上杉さんは捻った歌詞を書けないんですか。

上杉:書けないですね。そのときに自分が思っている気持ち…楽しいとか嬉しいとか悲しいとか、感じている挫折とかも含めて…を100%歌詞にぶつけないと気が済まないんです。仮にそれが稚拙な文章だったとしても。例えば、まだ一度も出会ったことのない人がCD屋さんで僕らのCDを買うこともあるじゃないですか。

●はい。

上杉:お会いしたことのない人の気持ちにすべて責任を持てるかというと、無理かもしれない。でもそこに100%をぶつけることで、10年経っても「俺はあのときああだったし」と、自分の中でちゃんとけじめを付けられると思うんですよね。だからずっとそういう歌詞の書き方をしてきていて、これからもそうしていきたいと思っているんです。だから「SOUL Summit!!!!」も楽曲はグルーヴィーですけど、そういう気持ちを持って歌詞を書いたんです。

●なるほど。

上杉:最初に僕が歌詞を書き上げたときに、ダディーの書いた歌詞と比べるとまるでカラーが違った。もちろんダディーも僕とは表現の仕方が違うだけで、自分の気持ちをぶつけているんだと思うんですけど、さっきおっしゃった2曲の対比もそうだし、「SOUL Summit!!!!」の中でも2人の対比があって。すごく楽しい発見でした。

ダディー:俺はかっこつけたがりなんですよね。でも15歳くらいのとき、高円寺の路上で弾き語りをしていたんです。思いっきり熱い歌詞で"大人なんて大嫌いだ"みたいなことを歌っていて。尾崎豊さんと浜田省吾さんが大好きだったんですよ。ソウルとかを好きになったのは18歳くらいからで…あ、こう見えてまだ28歳なんですけど。

上杉:信じられないですよね。どれだけのカルマを背負っているんだと。

●カルマって(笑)。

ダディー:あの頃はストレートにしか書けなかったんです。でもソウルやダンスミュージックを好きになり、軽いテンポに合う歌詞を考えるようになったんです。あと、自分が好きな浅田次郎さんの小説とかの主人公がみんなそういう感じなんですよ。内面はすごく熱いんですけど、あまり表に出さないというか。そういう表現に憧れている部分もあるんです。

●それはまさに美学ですよね。

上杉:僕の場合は逆で、バンドを始めた頃はかっこつけていたんです。斜に構えた歌詞ばかり書いていて、中途半端に英語を入れてみたり。でも僕の場合、それだと結局伝えることができなくて。当時は着飾れば着飾るほどかっこいいと思っていたんですけど、そうじゃないと思うようになって、だんだん"もっと脱いで"という風に。誰にも言いたくないようなことも歌詞にしてみんなに伝えようと今のスタンスになりました。

●お互い同じように熱さを持っているけれど、自分なりの表現方法を探した末に今のようなスタイルに辿り着いたんですね。今作の制作で散々やり取りがあったと思うんですけど、この機会に改めてお互いに訊いてみたいこととかありますか?

上杉:うーん、改めて訊くことはないかもしれないです。創作を一緒にするというのは、一夜を共にしたようなものなんですよ。裸になってぶつけ合ったようなものだし。気になったことは、他の人には訊けないようなことまでその都度訊いていたし。

●それくらいの仲なんですね。

上杉:僕はそう思っていますけど…。

ダディー:そんなことはないですよ。

上杉:おい!

●あっ! 照れ屋な部分が出た!

ダディー:ハハハ(笑)。スタジオでもけっこう一緒に作業して、周大くんの家まで俺が車で送って夜の環八を走ったし。そういうことが多かったので、曲に関係のないこともけっこう話しましたよ。

上杉:僕の家まで送ってくれて、そのまま家の前に車をつけて2~3時間話し込んだこともあります。

●まるで付き合いたてのカップルじゃないか!

ダディー:すごくいい話をしましたよね。

●普段はメンバーにも見せないようなところまで話したと。

上杉:そうですね。

ダディー:別に敢えてメンバーに隠しているというわけではないんですけど、そういう話をして傷を舐めあっていました(笑)。

上杉:そういうことって、同じようなタイプのバンドに出会ったからといって、そう簡単には話せないじゃないですか。言うなれば、それをすべて話すとダメな部分まで全部を見せることになるわけで。信頼関係というか、この先もずっと一緒にやっていこうという気持ちがないとできないですよ。だからお互いのダメなところもその日にはっきりと分かりましたし、いいところも分かりました。本当にいい時間だったよね。

●つまり2人は付き合っていると言っても過言ではないと。

上杉:そうですね。オフィシャルではないですけど(笑)。

Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:Hirase.M

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