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ザ50回転ズ

コンセプトミニアルバムシリーズ第3弾(完結編) これがザ50回転ズによるぶぶぶぶぶぶぶっちぎりのラブソングだ!!

2010年11月にリリースされたミニアルバム『ロックンロール・マジック』から始まった、我らがザ50回転ズのコンセプトミニアルバムシリーズ。

第1弾『ロックンロール・マジック』ではロックンロールに魅了されたピュアな心を描き、そして2011年7月にリリースした第2弾『ロックンロール世界旅行』では自ら道化を演じて魂を削りながら人々を幸せにした。

そんな彼らによるコンセプトミニアルバムシリーズ第3弾は、ザ50回転ズが2012年の音楽シーンに向けて送った6通のロックンロール・ラブレター。これがザ50回転ズによるぶっちぎりのラブソングなのだ。

「だからせめぎ合いとは言いながらも、好きな曲を書いて監督とやりとりしただけっていう」

Interview

●あけましておめでとうございます! (※取材は1月中旬)
3人:おめでとうございます!

●今年のお正月はそれぞれ故郷…徳島(ダニー)と出雲(ドリー)と浪花(ボギー)でゆっくりできたんですか?

ダニー:そうですね。仕事納めが大晦日で、今年は珍しく正月から1週間ごっそり休めたんですよね。
ドリー&
ボギー:うん。

ダニー:2011年は夏にリリースが1枚(ミニアルバム『ロックンロール世界旅行』)あって、そのリリースツアーが10月頭まであって。そこからすぐに今作のレコーディングに入ったので、結構ね、駆け抜けた下半期だったんですよ。

ドリー:そうだね。

ダニー:だから1週間の休みは…ありがたかった!

●今年も声デカいな。

ダニー:俺の故郷は徳島の漁村なので、毎日海に行ってね。海を眺め、船に乗り、島に渡り、釣りをし、そして帰ってくると。

●このクソ寒い季節に。

ダニー:そうそう、寒風吹きすさぶ中で。でも徳島は黒潮なんでね、海に出ると結構暖かいんですよ。

●勉強になるなあ。

ダニー:…って、そんな話どーでもえーわい!

一同:アハハハハハハ(笑)。

ダニー:今年もこんな感じで行きます。

●ところで今回、コンセプトミニアルバム3部作の第3弾がリリースとなりますね。1枚ずつ振り返ってみると、第1弾『ロックンロール・マジック』(2010年11月)のテーマは"四次元ツアー"でしたね。

ダニー:そうそう。でもコンセプトを"四次元ツアー"にしたというよりも、"四次元ツアー"を元にしたストーリーに対しての曲たち、という感じですね。

●で、第2弾『ロックンロール世界旅行』(2011年7月)のテーマは"世界旅行"と。

ダニー:これはもう完全にコンセプトの考え方も変え、曲のイメージを世界の音楽からお借りしようと。ザ50回転ズがそれをロックンロールで鳴らしてみましょうかっていう、完璧に現実に引き戻すいいレコードだったと思うんですけどね。

●で、今回は第3弾となるわけですが、第1弾、第2弾と、"旅"がコンセプトの核になっているじゃないですか。

ダニー:確かに。

●だから"次はどういう旅をするのかな?"と思っていたんですよ、こっちは。

ダニー:ああ~、なるほど。

●ちょっと上手く言えば、"今度は僕たちをどんな旅に連れて行ってくれるのかな?"と。

ダニー:うう~ん、なるほどなるほど。

●第3弾はどうくるのか? と。

ダニー:第3弾は…心の旅(by チューリップ)でした!

●それこじつけですよね?

ダニー:はい。今考えました。

一同:(苦笑)。

●コンセプトミニアルバム第3弾は『ロックンロール・ラブレター』ということで。

ダニー:そうです! テーマは"ラブレター"です!

●あの~、それについてちょっと言いたかったんですけど…何でもかんでも"ロックンロール"付けたらいいっていうもんじゃないと思うんですよ。

一同:アハハハハハハハハ(笑)。

ダニー:そりゃあ俺らも考えましたよ。『ロックンロール・マジック』、『ロックンロール世界旅行』、しかも俺らの今までの曲にも"ロックンロール"と付く曲が山のようにある!

●ありますね。

ダニー:だからもう"ロックンロール"は打ち止めでいいんじゃないか…そういう意見は一切出ませんでした。

●アハハハハ(笑)。

ダニー:むしろ「またやろうよ!」と。それがザ50回転ズのらしいところというか。

ドリー:「ロックンロール…何にする?」みたいなこと言ってたよな(笑)。

●そこはもう決まってたのか(笑)。

ダニー:"ロックンロールなんとか"までは決まってて、コンセプトが決まっていなくて。「何にする?」という話し合いの中で、「ラブソング集っておもしろいんじゃない?」というアイディアが出てきたんです。

●はい。

ダニー:今作の1曲目に「涙のスターダスト・トレイン」という胸キュンの曲があるじゃないですか。タイアップの話が先に決まったんです。

●「涙のスターダスト・トレイン」は映画『荒川アンダー ザ ブリッジ』の主題歌らしいですが、ミニアルバムのコンセプトを決める前にその話が決まったんですね。

ダニー:そうなんですよ。ありがたい話なんですけど、『荒川アンダー ザ ブリッジ』の監督さんは「自分の好きなバンドに歌を書いて欲しい」とおっしゃっていたらしくて。そこでなんとザ50回転ズに白羽の矢が当たったんです。

●大人の力とか使わずに?

ダニー:使わずにです。現場から現場へ…ラブレターが届いちゃったよと。

ボギー:おっ!

●あ、うまい!

ダニー:ここ使ってくださいね?

●えー、どうしようかな。

ダニー:今の発言は今日イチですよ! これ使わなかったらもう出ないですよ!

●アハハハ(笑)。出して下さい(笑)。

ダニー:その監督さんからのラブレターが届いたのは第2弾『ロックンロール世界旅行』のツアー"50回転ズのロックンロール世界旅行ツアー"が始まる直前で、去年の夏くらいのことだったんですけど、ツアーと並行して俺がちょこちょこ抜け出して曲作りに励んでいたんです。要するに移動日とかにちょっと隔離されるというか、軟禁されて。

●軟禁されていたのか。

ダニー:でもひとりの世界に没入すると、集中して作業もはかどりますけどね。ただツアー中だとライブのことを考えなくちゃいけないから、なかなか頭のスイッチを切り替えにくくて。

●ツアーの合間合間で作っていったと。

ダニー:だからバンドのメンバーとは音を合せられないけどドラムやベースのプレイも考えたり、曲の構成や歌詞も、ツアーと並行して考えていたんです。

●「涙のスターダスト・トレイン」は映画『荒川アンダー ザ ブリッジ』の内容を観てから書いた曲なんですか?

ダニー:そうです。この映画のイメージで"胸キュンで甘酸っぱいものがザ50回転ズに求められているんやろうな"と思って。というのは、編集段階で仮の音楽をつけるらしいんですが、そこで監督は「I can not be a good boy」(コンセプトミニアルバム第1弾『ロックンロール・マジック』収録)をつけてくださっていたらしいんです。そういう前後関係もあり、お話をいただいたときにその話も聞いていたので、"「I can not be a good boy」みたいな雰囲気を求められているんやろうな"と薄々感じつつ。

●なるほど。

ダニー:でも元気がよくて、映画の内容ともリンクし過ぎず、しなさ過ぎずというイメージで抜き差ししながら歌詞も詰めていって。結構真面目に作ったんです。

●そういう作り方は作り易かった? それとも難しかった?

ダニー:あのね、作る段階で監督ともお話しできましたし、「こんな曲調とこんな歌詞でいこうと思いますがどないでっか?」というものを最初にこちらからお出しして、監督が「いや、これね、ちょっとロマンチック過ぎるかな。もうちょっと元気がいいザ50回転ズの側面が欲しいな」みたいなやり取りを重ねた上で曲が形作られていったんです。だからなんか職業ミュージシャンじゃないですけど、自分たちがイイと思うものをバーン! とやってポーン! とレコードに入れてピューン! と売る、みたいな感じじゃなくて。意見交換しながらお互いが"かっこええ"と思えるものを作る。そういう作業は新鮮でしたね。むしろ作り易くもあったし。

●新鮮だったんですね。

ダニー:答えはもちろんないんですけど、お互い向かっているところは話し合えばわかるじゃないですか。それを研ぎ澄ませていくと到達点に近づいていくというか。その作業を、曲作りでやりきって、後はザ50回転ズが元気よくドカッとやるだけですから。それで決まっていきましたね。

●案外そういう作り方もできるんですね。

ダニー:そうですね。好きでいてくれる人がおって、ザ50回転ズに「好きな曲を作って欲しい」と言ってくれて、その人の好きな側面を前面に出す。その中で映画に関わりを持たせるという縛りがあって。もちろんザ50回転ズは自分らの好きなことやらんとアカン。だからせめぎ合いとは言いながらも、好きな曲を書いて監督とやりとりしただけっていう、そうやって色んな物事は作られていくわけですからね。

●うんうん。

ダニー:バンドの中でも、例えば「ベースはこういう感じで」と言ったとして、ドリーが「いや、ベースはこっちの方がいいと思う」みたいな、そういうやり取りはあるわけじゃないですか。それがたまたま映画監督の方とのやり取りだったという。

「今までは二歩くらい下がって書いてたんです。だから今までよりはちょっと踏み込んでるんです」

●さっきおっしゃっていましたが「涙のスターダスト・トレイン」を作った時点では第3弾のコンセプトは決まっていなかったんですよね。どの時点で"ラブレター"というコンセプトが出てきたんですか?

ダニー:"50回転ズのロックンロール世界旅行ツアー"のとある打ち上げの場でした。

●打ち上げ?

ダニー:打ち上げで飲んで、ベロベロで「よし! これでいこう!」って。

●なにそれ?

ダニー:その通りですよ。今言った通りです。

●は?

ドリー:打ち上げで「第3弾のコンセプトどうしよっか?」って言ってたんです。

ダニー:そこでまあ脳がほぐれていたんでしょうね。いいのが出ましたよ。「"ロックンロールなんとか"だけ決めてたらなんとか片が付くと思ってたけど、"ロックンロール・ラブレター"! これでいこう!」って。

ドリー:「決まり!」って。

ダニー:「本家のベイ・シティ・ローラーズ(※)のことは忘れよう!」って(※ベイ・シティ・ローラーズが75年にリリースしたアルバム『Rock N'Roll Love Letter』)。

●アハハハハ(笑)。

ダニー:それでタイトルが決まり、"ロックンロール・ラブレター"と言えばラブソング集でしょ! と。「涙のスターダスト・トレイン」以外にラブソング5曲を書いちゃおうよ!と。

●ひどいな。酒の席で決まったのか。

ダニー:照れずに愛を伝えるんだ!

一同:アハハハ(笑)。

●最近ちょこちょこ心情を綴った曲も増えてきましたが、基本的にはパーソナルな部分が見えにくい音楽を鳴らしていますよね。

ダニー:うんうん。

●それは恋愛に関しても同じ印象で、ザ50回転ズというバンドはある意味"恋愛"とは対極の位置にいるような印象があって。自分の恋愛経験とかを絶対に表に出さないというか。

ダニー:恋愛のことを歌にするっていうのは心情の吐露ですからね。自分の気持ちをドドッとぶちまけるのがラブソングですよね。

●そうそう。だから今回のテーマが"ラブレター"だと知ったとき、そういった"心情の吐露"が見れるのかな? と期待したところがあったんです。下世話な話ですけど"3人は今までどんな恋愛してきたのかな?"という好奇心というか。

ダニー:なるほどね。でも仕上がったレコードを見るとね、やっぱりザ50回転ズやなと思うでしょ?

●そうなんですよ。見えないんです。

一同:アハハハハハハ(笑)。

●今作を聴いて明確に見えるのは、ザ50回転ズの音楽への愛情のみ。女性に対してというより、ロックンロールに対する愛情を歌っている曲ばかり。

ダニー:その通ーり!

●もっと吐露しろよ!

ダニー:でも今作を改めて見ると、私生活が見えるような、リアルというか現実味を帯びすぎたりするようなところから半歩くらい距離をおいて曲を書いてるんですけど、今までは二歩くらい下がって書いてたんです。だから今までよりはちょっと踏み込んでるんです。

●そうだったのか。

ダニー:まあラブソングですからね、そういうところはありますよ。

●ちなみにラブレターを貰ったことはあるんですか?

ダニー:そこは貰ったことがあるということにしときましょうよ!

●3人とも?
ドリー&
ボギー:も、も、貰ったことあることにしときましょう!

●なんか動揺している。

ダニー:というか、今回は貰ったラブレターというより、送るラブレターなんですけどね。

●自分で書いたことはあるんですか?

ダニー:だ、だから今回初めて、ろ、6通のラブレターを書いたんですよ!

●なんかうまく言えてないですけど。

ダニー:ちょっとまだ自分の中で設定を消化しきれてないところがある(笑)。

●アハハハハハハハ(爆笑)。

ドリー:でもラブソングって、世の中にものっすごい溢れてるじゃないですか。

ダニー:死ぬほどあるな。

ドリー:しかも同じような内容のものが。

●はい、確かに。

ドリー:だからダニーが「ラブソング集にしよう!」と言ったとき、俺たち流にやるんだったら今までにないラブソング集になるなっていう光が見えたので「いいね!」って。

●ああ~、なるほど。

ダニー:下世話な部分をひた隠しにするわけではなく、かといって誰も共感できないようなラブソングを書いても仕方がないので、その辺はちょっとザ50回転ズ的にせめぎ合ったつもりではおるんです。

●今作は3人とも曲を作っていますが、"ラブレター"というキーワードを元に曲を作っていった?

ダニー:それと"ロマンチック"だったり"キラキラ"、"グラム感"とか。そういうロックンロールの奥にある、胸キュンでキラキラしたところに焦点を当ててみようぜっていうのがスッと決まって、各々が書いていったんです。

●なるほど。で、アルバムタイトルにもなっているM-3「ロックンロール・ラブレター」という曲がありますけど、これめちゃくちゃいい曲ですね。

ダニー:でしょ?

●びっくりしました。歌い方もちょっと違うし。

ダニー:これなんかはちゃんと心情出してますよ。恥ずかしいくらいのナンバーですけどね。これは私小説みたいなもんです。

●こういうことをこういう曲調で歌うのは、恥ずかしくなかったんですか?

ダニー:だから今まで二歩遠ざけていたんじゃないですかね。

●ああ~。

ダニー:それに"こういうのをザ50回転ズがやるべきなんか?"と俺ら自身が気にしていたり。

●うんうん。

ダニー:でもいい機会やし、「ラブソングは書いたことないから書きやすいんちゃうか!」と。今まで手を出したことがない内容だったので。

●サウンド的には、ドラムとベースの淡々とした絡みが、淡々としているからこそ味があるというか。グッときますよね。

ダニー:ダビングもコーラスも一切なく。

ボギー:すっごいシンプルやもんな。

ドリー:いちばんシンプルやな。

ダニー:そういう自分の想い出に則した内容なので、シンプルに歌った方がいいなと思ったんですよ。ミュージシャンシップでね。最初はもっとキラキラしたものになるかなと想像していたんですけど、ヴォーカルを録ってみたらコーラスとか余分なものは必要ない! という結論になって。でも逆にそのお陰でキラキラ感が増したのかなって。

●それはすごくわかります。で、ボギーさん久々の作詞/作曲がM-2「エイトビートがとまらない」ですが…これラブソングなんでしょうか?

ダニー:まあ曲を持ってきたときに「うーん、これラブ………ソングなの?」みたいな空気は感じてましたけどね(笑)。

●ハハハハ(笑)。

ダニー:そのときに歌詞はまだ乗ってなかったんですけど、曲自体が結構ハードだから「歌詞を選ばないとラブソングとは言いづらい曲になる可能性があるから、みんなでがんばろうぜ」っていうスタートだったんです。

●ふむふむ。

ダニー:ドリーと俺が一聴したときに「これちょっとハードすぎねぇか?」「もうちょっととろんとしたものが来るかと思ってた」みたいな反応だったんです。

ボギー:作り始めたときはもうちょいロマンチックになる予定やったんですけど、やっていったら意外に楽しくなってきて「あ、もうこのメロディでええわ!」って。

一同:(笑)。

ダニー:彼にはメロウな曲を書く才能がなかったんです。残念ですけど。(笑)

●アハハハ(笑)。

ボギー:ドリーも個人的に「ほんまにボギーはカラッとした曲書くよな」と言ってきました。「え? "キラッと"じゃなくて?」と思って。

●アハハハハハハハハハ(爆笑)。

ダニー:でも8ビートに対するストレートなラブソングには仕上がりましたよね。

ボギー:半分かっこつけて、半分は笑かしにかかっているみたいな。そういう感じで書きました。

●一方でドリーさんが作詞/作曲したのはM-4「おねがい R・A・D・I・O」ですが、この曲はもうドリー節炸裂という感じですね。

ダニー:まさに!

ドリー:これはもうタイトルでそのまま言っちゃってますよね。ラジオで色んな音楽を教えてもらった想い出とかがあるから、一発ここでラジオに対するラブソングを書いてみようかなと。

●うんうん。

ドリー:これはひょっとしたらラモーンズを通ってる俺たちだからこそそう思うのかもしれないですけど、ラジオが持つロマンチック感ってあると思うんですよ。

ダニー:うん、ある。(腕を組んで頷きながら)

ボギー:ある。(腕を組んで頷きながら)

●確かにね。

ドリー:現場が見えないけど想像できる感じとか、自分が知らない国の音楽が届いてくる感じとか、すごくロマンチックだなと思っていて。だからいつか曲にしたいなと思っていたんですよ。で、今回テーマが"ラブレター"ということでラジオを選んだんです。

●なるほど。

ダニー:当初、「涙のスターダスト・トレイン」以外の5曲のラブソングを書こうとなったとき、「女の子に対するラブソングとか、特定のものに対するラブソングを書くんだったら、俺たちっぽい対象を見つけようぜ」っていう話にはなりましたわ。

●ああ~、なるほど。

ダニー:だからロックンロールと受け取れる要素…ドリーだったらラジオ、ボギーはエイトビート。俺も今回は入りませんでしたけど、レコードに対するラブソングやツアーに対するラブソングとか、色々と候補を揚げたんです。そういう経緯はありましたね。

●なるほど。それとM-5「Baby, I Love You」なんですけど、この曲はもうなんていうか、めちゃくちゃ振り切ってますね。

ダニー:でしょ? 俺はニック・ロウがやっていたロックパイルというバンドが好きなんですけど、"あのバンドが持つキラキラ感をミドルテンポの曲に乗せたいな"と思ってたんですよ。

●この曲は音楽的なアイディアから落とし込んだんですね。

ダニー:そうですそうです。そしたらこれがまたできましたね。やろうと思えばできる子たちなんですよ!

●テンションが高い。

ダニー:それにR&Bってラブソングがめちゃくちゃ多いんですよ。"Baby"とか"Love"とか"I love you"とか"You love me"とか"Don't you love me"とかそんなんばっかりなんですよ。だからここまで振り切ったらドゥーワップに対する俺たちの愛も伝わるだろうと。

●そういうことか。

ダニー:ザ50回転ズが今歌えるいちばんメロウな曲をということで。最初に"チロリロリロリロン♪"っていうウィンドチャイムも入ってますから。あれも初めてやりましたけどね、もうクセになりそうですわ。

「彼らほどインテリジェンスなバンドは居ない! 彼らは自ら道化を演じてその姿を晒すことで、魂を削りながら人々を幸せにしているんだ!」

●ロマンチックなラブソングが詰まった今作ですが、最後に超弩級の曲がありますよね。

ダニー:そうなんですよ~。

●M-6「ぶっちぎりのラブソング」ですが、僕の解釈としては…世の中に溢れる恋愛をテーマにした中身のないラブソングばっかりお前ら歌いやがって。俺たちが本当のラブソングを教えてやるぜ…という、要するに多大なるアンチテーゼというか。

ダニー:おっしゃるとおり!

一同:ハハハ(笑)。

ダニー:この1曲で、それまで積み重ねてきたロマンチックな積み木をドカンと崩してるんです。まあ要するに最後の大どんでん返しですよね。今作は曲ごとに聴いたら本当にロマンチックな曲が1曲目から5曲目まで並んでいるからこそ、6曲目で「それ言っちゃうんだ!」っていうね。

ボギー:フフフフ(笑)。

ドリー:ここまでいってザ50回転ズだっていうね。

●そうですよね。確かに。

ダニー:ズッコケ感というかね、そういうのやっぱり必要だと思うんですよね。

●でも前作『ロックンロール世界旅行』にもそういう側面があったと思うんです。あるメッセージが込められた「KILLER」という曲がありましたが、作品としての表向きのテーマとは別に裏テーマがあるというんでしょうか。

ダニー:確かに確かに。

●昨年7月に出した『ロックンロール世界旅行』はダニーさん曰く「おバカなレコードができました。聴いてちょ!」と言ってらっしゃいましたけど、僕の解釈としては、あの時期の世の中を本気で明るくするために、ザ50回転ズは『ロックンロール世界旅行』で自ら道化を演じることを選んだ、ということなんですが。

ダニー:そうなんですよ! そう書いといてください! 「彼らほどインテリジェンスなバンドは居ない! 彼らは自ら道化を演じてその姿を晒すことで、魂を削りながら人々を幸せにしているんだ!」と大きく書いといてください。

●僕はそこまで言ってないですけどね。

ダニー:あ、すみません。

●何が言いたかったかというと、要するに今作も表のテーマと裏テーマが明確で、そういう意味では最近のザ50回転ズは本心を作品に出すようになったなと。

ダニー:確かに明確な曲が増えたかな。

ドリー:そうかもね。

ダニー:"この人はこう考えてこの曲を書いたんだな"というのがパチーン! とわかるというか。

●「ぶっちぎりのラブソング」は、"今作はこういう終わり方をしよう"という意図で作った曲なんですか?

ダニー:いえ、全然。

●あ、違うんだ。

ダニー:最初は、イントロのリフにヴォーカルがユニゾンしている断片のアイディアだけがあったんです。それをロックンロールに仕立てて作った曲なんです。で、歌詞は6曲の中でいちばん最後に付けたんですよ。歌う寸前くらいに書いて。だからいちばん最後にできたっていうのもちょっと意味ありげですよね。

●ああ~。

ダニー:他の曲の曲調と歌詞を鑑みて、「ここでやっぱりこういう曲が必要でしょう!」っていう何かが働いたのかもしれないです。意図せずに。

●うんうん。

ダニー:出来上がって6曲全部並べて聴いてみたら「明らかに意図してるでしょ!」と言われても仕方がないようなものになりましたね。

●こうやって本心を垣間見せるっていうのは、グッときますよね。美学を感じる。

ダニー:そうなんです! グッとくるんですよこれが!

●本人が言ったらダメだと思うんですけど。

ダニー:グッとこないんですよ!

ドリー&ボギー:そういう問題じゃない!

●ハハハ(笑)。

ダニー:でも「ぶっちぎりのラブソング」はちゃんとラブソングになってますからね。そういう意味でも作品としてまとまったかなと思います。

「やりたいことがなくなるなんておこがましいです。きっとなくならないです」

●コンセプトミニアルバム3部作を締め括るにふさわしい作品になりましたが、振り返ってみると、振り切れた曲がすごく多い3作ですよね。

ダニー:そうですね。フルアルバムを作ろうと思って曲を書くとこうはならなかったであろう曲がいっぱいありますね。それこそ第2弾『ロックンロール世界旅行』みたいな振り切れ方なんて普通だったらできないですよ。

●確かに。

ダニー:今回の「ロックンロール・ラブレター」や「Baby, I Love You」なんかも、ここまで切ないキラッとしたメロディは、ザ50回転ズのフルアルバムを作るときには確実に出づらいだろうと思いますし。

●そうですね。普通のフルアルバムにこういう曲が入ってたら「どうしたんですか?」と訊かれますよね。

ダニー:「気が狂ったんですか?」と言われてもおかしくない。

●気が狂ってはないと思うけど(笑)。

ダニー:でも今回自分たちで設けた枠組みの中に当てはめようとして出てきた歌詞やメロディやアレンジだったので、それも間違いなく今の俺らがやりたいことやし。

●うんうん。

ダニー:コンセプトミニアルバム3部作だからこそ出た曲っていうのもありますよね。

●それでバンドの幅は確実に拡がってますからね。

ダニー:確かに。鍵盤のDr.kyOnさんしかり、ホーンを入れたときのバンドの響き方とか、音楽的な勉強も多かったし。だから3作とも張り詰めた中にも楽しみのあるレコーディングになりましたね。

●ところでその次というか、コンセプトミニアルバム3部作を経たザ50回転ズはどうなっていくのかな? というところも気になるんですが。

ダニー:今までは運良く、その時々で好きな音楽が見つかって、そのたびにやりたい音楽を作り、歌詞を書いてきたんですよ。

●はい。

ダニー:それはたぶんね、これからも変わらないと思うんですよ。今、曲は全部出しちゃったからストックは無いんですよ。

●まったく?

ドリー:無いです。

●ということは、今のザ50回転ズは真っさらなんですね。

ダニー:漫画『あしたのジョー』の最後のページですよ。

ボギー:フハハハ(笑)。

ダニー:『あしたのジョー』には次のページはありませんけど、ザ50回転ズには次のページはありますから、そこにまた新しく絵を描き込んでいくしかないんですよ。…あかん、全然ラブレターと絡められへんかった。"ロックンロール・漫画"になってしまった。

一同:アハハハハハ(笑)。

●あまり無理しないで下さい。

ダニー:まあストックがゼロなだけに、次はそのときにやりたいことがバーン! と出ると思うんですよね。

●さっき「今までは運良くその時々で好きな音楽が見つかってやりたい音楽が出てきた」とおっしゃっていましたが、"やりたいことが出てこなくなるときが来るんじゃないか"という不安はないんですか?

ダニー:色んな曲を聴きすぎて好きになって全部出し切ったら、そのときまでにやってきたもので"今できること"とか"今やりたいもの"が出てくると思うんですよ。

●ああ~。

ダニー:例え同じ枠組みに入れられる音楽だったとしても「今の俺たちならこうやった方がかっこいいし、こうやる方が好きやから、こうやりたい」というのが都度間違いなく出てくるんですよね。パブロック風なアレンジで、ゴリゴリのドクター・フィールグッドが好きで当初書いていたものも、「ちょっとグラハム・パーカーの匂い入れてみよう」とか「ニック・ロウのテイスト入れてみよう」という風になってくると思うんです。

●なるほど。

ダニー:それが周りからみたらちょっとトゲが抜けて逆に良かったり、勢いがなくなったように見えるかも知れないけど、たぶんその都度俺らは研ぎ澄まされていくと思うんですよ。音楽的には間違いなく成長するので。

●常に音楽から刺激を受け続けていると。

3人:そうですね~。

ダニー:だから幸せですよね。

●それ、本当に幸せですよね。

ダニー:だってほんまにね、聴いたことないレコードでガーン! と感動することありますもん。ザ50回転ズやってると。

●お。

ダニー:普通の仕事して、趣味でレコード買って来たりしていると、ある一定のところで聴くものがなくなる危惧ってあると思うんですよ。

●あると思います。「卒業した」的なね。

ダニー:そうそう。「俺パンク上がりでさ~」とか言う人ね。

●うんうん。

ダニー:(大声で)パンクは上がれないんだよ!

一同:アハハハハハハ(爆笑)。

●ここにきて今日いちばんの名言出た!

ダニー:「パンク上がりでさ、最近はサーフミュージックばかり聴いててさ」って、そんなのダメなんです。

●ダメなのか。

ダニー:(大声で)上がれないんです! 今でもピストルズの1st聴いたら最高やし、ラモーンズの1stで震えるんですから。

●いいことですね。

ダニー:まさにそうですよ。だから我々はこれからもやりたいことを都度見つけ出して、音楽を作っていくんでしょうね。今まで聴いてないだけで好きかもしれないジャンルもいっぱいあると思うし、それをザ50回転ズがどう汲み取って形にするかという方法も枝葉が山ほどあるわけで。そう考えたら、やりたいことがなくなるなんておこがましいです。きっとなくならないです。

●これからも楽しみにしてます。そして3月に"ロックンロール・ラブレターツアー"が控えていますが、今作の曲はセットリストの中でいろんな意味で肝になる曲が多い気がするんですが。

ダニー:ですね。このツアーでは今作の曲は間違いなく全部やると思うし、さあどんなアレンジで披露されるんでしょうか? っていうね。

●コンセプトアルバム3部作の曲を全部やったりとか。

ダニー:あっ、そういうのもいいですね。うんうん。

●あっ、ツアーで何やるかまだ決めてないんですね。

ダニー:だぁ~、バレた!(舌をペロリと出しながら)

●でもよく考えたら、3部作を全部絡めたセットリストは難しいですね。

ドリー:『ロックンロール世界旅行』はちょっと…。

ダニー:『ロックンロール世界旅行』の曲を入れたら全部のライブが世界旅行になりますからね。

●確かに(笑)。

ダニー:まあその辺も考えながら、実は考えていないのがバレたと。そういった感じでしょうか。

●まだ何も考えていないでしょうけど、ツアー楽しみにしています。

ダニー:是非。

●あと最後に触れておきたかったんですが、2/25より公開となる映画『ゾンビアス』にダニーさんが準主役で出演されるとか。

ダニー:ああ~、あれね。(笑)

●ザ50回転ズのオフィシャルHPにリンクが貼ってある予告編を観てその内容にびっくりしたんですけど、『ゾンビアス』は第1弾『ロックンロール・マジック』のときに制作されたショートムービーを手がけた井口昇監督による映画だとか。

ダニー:そうですね。『ロックンロール・マジック』のショートムービーを録っていただいた繋がりで、「画面に引きこもりみたいな画の人がいると安心する」という理由で今回オファーをいただいたんです。「"寄生虫マニアの草食系男子"っていう役なんだけどダニーちゃん出てくれない?」と言われて「やります!」と。

●アハハハハ(笑)。

ドリー:やるんかい(笑)。

ダニー:「おもしろそうだからやります!」「すぐやります!」と。

interview:Takeshi.Yamanaka