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チナスキーランチボックス

時代や世代に関わりなく響く、普遍的ロックンロールの名盤が誕生

1999年に結成されたチナスキーランチボックスが、6/25に7年振りとなるニューアルバム『Sheeno & The Takekku』をリリースした。

ベース兼プロデューサーに須原敬三(埋火・他力本願寺・ノイズわかめ)を迎えた今作は、飄々とした優しさの漂う人懐っこいロックンロール。

世代を問わず届くオープンさと、時代に流されることのない普遍性を兼ね備えた名盤がここに誕生した。

Interview

●チナスキーランチボックスは、しのやんさんがたけくさんを誘って結成されたそうですね。

しのやん:僕が前のバンドを辞めた時、"暇だし歌でも唄ってみようかな"と思って。でもギターと歌だけだとイマイチだったので、たまたまその場にいたたけくを誘ったんです。

●たまたまって(笑)。プロフィールによると、当初たけくさんは全くの初心者だったそうですが。
たけく:ライブハウスに観に行くのは好きだったんですけど、楽器経験はゼロだったんですよ。だからまず"楽器は何をしよう"ってところから始まって、"ドラムならライブハウスにもスタジオにも置いているから、スティックだけ買えばすぐに出来る"と思ってドラムにしました。

●そういう発想だったんですか(笑)。
たけく:"お店が道具を全部揃えてくれてるから、ラッキーだなあ"と。本当に便利です。

●確かにそうかも(笑)。今作の『Sheeno & The Takekku』ですが、アルバムのテーマはありますか?

しのやん:特に無いですね。せーので合わせて、そのまんまジャンって鳴らしただけ。中には歌詞カードと歌っている歌詞が違っている場所もあるし、本当にその時のままを録った感じです。「サロンの個展は午後9時まで」の歌詞で"きみを驚かす"っていう部分があるんですけど、ライブでもずっと"ぼくを驚かす"って歌ってますからね。

●全曲一発録りなので、すごくライブ感がありますね。

須原:スタジオの空気感まで拾う感じの、ナマな音にしたかったから、しのやんがマイクに近付いて歌う時と、遠くで歌う時との声の違いにまでこだわりました。ダビングも直しも最少限、一体感が出たと思います。

しのやん:やっていて楽しかったですもんね。2時間くらいで終わったし、すごくスムーズでした。

●え!? 全9曲分が2時間で終わったんですか?

須原:そうなんです。何なら機材のメンテナンスにかかった時間の方が長いくらい(笑)。

●それはすごい(笑)。今作は"アナログオープンリール録音"を行ったそうですが、普通のレコーディングとどう違うんでしょうか?

須原:00年代の頭までは当たり前の方法だったんだけどね。。それにマスタリングでデジタルを通しているから、極端に違いがあるわけではないんですけど、低音が豊かになるんですよ。

しのやん:音がバキッとするよね。耳の真横で演奏しているんじゃないかってくらいパワーがあるんです。

●収録曲自体は前からあったものなんですか?

しのやん:ずっとライブでやっている曲ばかりです。この中で一番新しいのはM-7「ネコデンワ」かな。

●「ネコデンワ」の"何かいいこと思いついたら 今すぐみんなに電話しよう"っていう歌詞を聴いて、なんだか暖かい気持ちになりました。しのやんさんが書かれる歌詞や曲は、優しくて懐かしい感じがするから、すごく癒されるんですよね。

須原:「疲れた時に聴いたら気持ちが軽くなる」って喜んで聴いてる人がいましたよ。

しのやん:そう言えば僕の知り合いも「夕方の落ち着いた時間に聴くのが素晴らしい」って言ってました。
たけく:ライブでも「癒されて泣いちゃう」っていう人もいて。ヒーリング効果があるみたいです(笑)。

●そのお客さんの気持ち、わかるなぁ~。普段はどうやって曲を作っているんですか?

しのやん:最近は歌詞と曲が同時に出来ることもありますけど、昔は思いついた歌詞をチラシの裏に書き込んで、箱に貯めていました。そして曲が出来た時に、箱の中からピッタリな言葉を選んで歌詞にして、合わなければまた箱に戻す。

●じゃあ歌詞にならなかった言葉でも、他の曲で使われることがあるんですね。

しのやん:歌詞や文章のストックはいっぱいあります。書く時はいいんですけど、口に出して歌うと"ちょっと違うな"って思うことがあって。言葉にすると恥ずかしいというか"実際には使わないな"っていうものは、僕は歌詞に出来ないんです。
たけく:歌う時は大声を出すんだから、恥ずかしいことは言えないよね。

しのやん:メロディは、言葉を歌に乗せた時の間や単語のイントネーションから出来たりするんです。言葉でメロディを作る感じ。

●なるほど。たけくさんのドラムやボーカルはどのタイミングで入れるんですか?

しのやん:まず僕のギターと歌を作ってスタジオに持っていってから、ドラムを乗せるんです。だんだん歌詞を覚えてきたら、たけくも歌を歌い出したりして。最初から"ここに歌を入れよう"と決めてはないんですよね。

●面白い作り方ですね。

しのやん:M-2「緑ヶ丘」の歌も、最初は1番だけだったのにどんどん増えていって、終いには全部歌ってましたからね(笑)。須原さんも歌詞を覚えてきたら、自然とコーラスが入るようになりました。

須原:もともとないところで勝手に歌い出したり、しのやんとたけくが歌っているところで、語尾だけ僕も歌ってみたり。

●アドリブ能力が高い!

須原:でも、この2人についていくのは大変でした。チナスキーってシンプルなようでキメが細かかったり途中で展開が変わったり、意外とややこしいんですよね。
たけく:「2人は聴いている音楽が近いからこそ出来ることがいっぱいある」って言われたこともあるし、他の人にはわからない感覚でやっているんだと思います。感覚でやっちゃってるから、楽譜にも起こせないし。

須原:それがわかってくるようになるまで、少し時間がかかったかな。何度も演奏に参加させてもらったり、一緒に飲みに行ったりするうちに掴めて来ました。

●おふたりは須原さんとの演奏をどう感じてました?
たけく:完璧だなあと。キャッキャしてましたね(笑)。

●(笑)。そうやってアルバムが完成したわけですが、自分ではどんな作品になったと思いますか?

しのやん:"普遍的なロックの基本"が詰まっている作品になりました。風通しの良い音なので、時代や世代も関係なく楽しめると思います。

Interview:森下恭子