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テツコ

普遍的な輝きに満ちた名曲たちが心のモヤモヤを解き放つ

188_テツコテツコが約1年半ぶりとなる1stミニアルバム『キャンディーギター』を、今年10周年を迎えるサザナミレーベルよりリリースした。1stフルアルバム『君の好きな歌』を発表した2011年には東日本大震災も経験し、“音楽にできること”と深く向き合うことになった彼女たち。スランプも乗り越えて遂に完成した今作は、音楽にしか与えられない“ささやかだけど大事なこと”に満ちている。普遍的な輝きを放つ、新たな名曲集の誕生だ。

 

 

●前作『君の好きな歌』が初の全国発売フルアルバムだったんですよね。

玲子:前作はその当時の最新曲もあれば結成当初の曲もあって、色んな時期に作ったものの中からすごく気に入っている曲ばかりを集めたアルバムでした。なおかつ“瞬発力”というテーマに合っている曲を選んでいて。ほとんどがコンパクトで、すごくわかりやすい曲というか。あっという間に終わって、スカッとするようなアルバムを1枚作ってみたかったんです。

●そこから約1年半ぶりとなる今作『キャンディーギター』は、どんなテーマで作ったんでしょうか?

玲子:前作はパッと聴いて「なるほど」とわかる感じにしたかったんですけど、今回は1回聴いただけじゃわからない感じというか。何回も聴く内にわかってくることがあったりして、前よりも落ち着いて聴けるものにしたかった。

●最初からミニアルバムのつもりだった?

玲子:最初は4曲入りのつもりだったんですけど、レコーディングに時間がかかっている内に色んな曲ができてきたのでそれも入れたくなって。新たにできたのが、M-2「MOODY SONG」とM-3「どこか遠い国みたいな青」でした。

●以前からあった曲も入っているんですか?

玲子:M-4「ろっこつ」は、結成して2番目くらいに作った曲ですね。もう長く活動してきているので、曲自体はたくさんあって。「そういえばこんな曲があったな」みたいな感じでふと思い出して、ライブでやってみたりするんですよ。「ろっこつ」は最近のライブでよくやっていて、お客さんの評判も良かったので入れようかなと。あと、M-5「黄昏」も10年前くらいに作った曲ですね。

●これも随分古くからあるんですね。

玲子:テツコは1回解散したことがあって、活動していなかった時期があるんですよ。1年後に再結成したんですけど、そこから一番最初に作った曲が「黄昏」ですね。M-6「哲学の果て」も、大学を卒業してすぐくらいの時期に書いたので、結構古いです。

●「哲学の果て」の“ルーセー・ルセ・ルセ”というサビが印象的でした。

玲子:これはイタリア語ですね。イタリア語やスペイン語とか、英語じゃない外国語の響きが面白くて歌いたかったから、そういうのだけで曲を作ろうと思って。最初は全編外国語にしようと思ったんですけど、途中で挫折して日本語も混ざっちゃいました(笑)。

●言葉遊び的な感じなんですね。

玲子:そういう言葉を言いたかっただけというところから始まったけど、響きだけじゃなくて意味もちゃんと面白いものにしたかったんです。全くその国の言葉を喋れないので辞書をいっぱい見て、…すごく大変だった。この曲もそうなんですけど、今回はタイトルが『キャンディーギター』なので、特にギターが目立つ曲を選んでいて。打ち込みの曲(「どこか遠い国みたいな青」)はちょっと違うんですけど(笑)。

●「どこか遠い国みたいな青」は元センチメンタルバスの鈴木秋則さんとのコラボ曲だそうですが。

玲子:これはギターと歌だけが入ったデモテープを鈴木秋則さんに渡して、構成とイメージだけは伝えたんですけど、あとはほぼお任せでした。

●打ち込みになったことに驚かなかった?

玲子:打ち込みでっていうのは最初からあったんやけど、元々これは自分が思ってもみない感じになって驚いてみたいということで頼んだんですよ。やっぱり自分じゃ絶対に思い付かない感じになっていたからすごくビックリしたし、すごく良かったです。

●期待通りの仕上がりだったと。

玲子:もう期待以上だったので、「さすがやな」と思いました(笑)。テツコを元々好きな人の意表もつきたかったし、ビックリがあったほうが面白いかなと。

●タイトル曲のM-1「キャンディーギター」は、いつ頃にできたんですか?

玲子:前作を録り終わったくらいの時期から、ライブではやっていたかな。この曲を作った後に「もうこの他に言いたいことはないな」と思って、歌詞を書くのが特に難しくなったんです。そこからなかなか曲ができなくなっちゃって…。

●歌詞で悩むようになった?

玲子:ちょうど東日本大震災が起きた時期で、世の中がすごく大変なことになって。元から世の中には大変なことがいっぱいあったんやけど、震災をキッカケにより強く実感したんです。そこからメッセージ的な歌詞を書く時に、色んな立場の人が気になるようになって…。たとえば自分がすごく楽しい気分で「楽しいな」っていう歌詞を書いたとして、それを大変な目にあって落ち込んでいる人が聴いたらイヤな気分になるんじゃないかといったことまで考えるようになっちゃったんですよ。

●深刻に考えすぎてしまったんですね。

玲子:「音楽や歌詞で人を元気付けるなんて、無理なんじゃないかな?」とまで思ってしまって。「キャンディーギター」は一応そういうものも踏まえて書いたんですけど、その後も散々考えまくっていた時にフッと「そんなに考えてもしょうがないやろ」っていう頭になってできたのが「MOODY SONG」だったんです。

●この曲が葛藤から抜け出すキッカケになった?

玲子:この曲ができた時に、「大変な目にあっている人たちを何とかしてあげよう」とか大層なことが音楽にできるなんて思わなくてもいいと思って。メッセージで勇気づけるわけじゃなくても、曲を聴いて「何となく良いな」っていう気持ちになってもらう。それでちょっと気分が良くなったりするっていう、そのくらいしか音楽にできることってないのかなと。それはすごくささやかだけど大事なことで、それが実は世の中を良くしているんじゃないかなと思ったんですよ。

●一聴しただけではそういった心の葛藤を感じさせない、突き抜けたサウンドになっているのがテツコの魅力かなと思います。

玲子:考えすぎちゃう性格なんやけど、作品はスカッとしたものにしたいっていうのがすごくあって。でもモヤモヤを踏まえた上でのスカッとした曲だから、元々スカッとしている人が作ったものとは違う何かがあると思うんです。モヤモヤしがちっていうのは短所ではあるけれど、長所でもあるのかなと今は思えるようになりましたね。

Interview:IMAI

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