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ヒダリ

ジャパニーズギターテクノポップの最終進化系、天才ヒダリからのラブレター

 大槻ケンヂをはじめ、くるりやキセル、ワタナベイビーもトモフスキーも絶賛している神戸が生んだ最後の大物、ヒダリがニューアルバム『ヒダリのラブレター』をリリースする。

普遍的でキャッチーなメロディーに、いびつな恋愛観を唄う歌詞と、8bitサウンドを思わせるピコピコサウンドやアコースティック、アーバンな雰囲気まで臭わせる幅広いアレンジが施されていて、早くも名盤との呼び声が高い今作。

シチュエーションを選ばず、飽きることなく何度も聴けるサウンドは、知らぬ間に癖になること間違いなしだ。

Interview

●今作『ヒダリのラブレター』は、自主レーベルであるzousan recordsを立ち上げてのリリースですね。

太田:古巣であるBad News RecordsがもうCDを作らないということになって、配信だけになると聞かされた時にはレコーディングをぼちぼちやっていたんです。やっぱりCDとして形にしたいし、USTREAMの反応から僕らのファンもそこは同じ想いだってことが解ったんです。

●レーベルを立ち上げるって、エネルギーも必要じゃないですか? 音楽活動以外にもやらなくてはいけないことも発生してくるわけで。

達川:レーベルに任せてしまうと、つい依存してしまう傾向があって…。でも自分たちで作ったレーベルやったら自分らで動かなあかんので、しんどいのはしんどいです。でもその分好きなだけ売り込めるという自由度が高くて、面白いっていう気持ちの方が大きいです。

太田: zousan recordsでは何組か他のアーティストの音源も販売しているんですが、流通って形で出すのは『ヒダリのラブレター』が初めてなので、とてもワクワクしています。

●ホームページを拝見させて頂いたんですが、ヒダリはUSTREAMやTwitterを有効利用していますよね。

太田:M-9「ヘイ! たっぷり」っていう曲があるんですけど、「ヘイたっぷりだぜ!」というかけ声をTwitterで募集して、応募してもらった音声データを使っています。自分が音楽をやり始めた時代には考えもしないアイディアで録音が出来て、面白かったですね。

●それも含め、ヒダリの音楽はすごく振り幅があるんですよ。懐かしさの中にすごく前衛的な部分がある。

達川:実は10月に"無音ストリートライブ"というものをやってみたんです。まずストリートライブの準備をするんですが、騒音の苦情が出ると困るので、スピーカーを使わずに音をパソコン上に集めてUSTREAMで配信するんです。現地にいる人には、こちらで用意したQRコードにアクセスすると音声が聞こえる仕組みで。

●斬新過ぎる!

太田:打ち込みでやっているのがひとつの強みなんですよ。スピーカーを使ったとしても音量はいくらでも下げられるし、他とは違った形でできると思って企画しました。現地にいる人にはスマートフォン越しに音を聴いてもらったんですが、実際の演奏と5~10秒のけっこう大きなタイムラグがあったみたいで(苦笑)。ネット上だけで見ていた人には、普通にライブとして楽しんでもらえたみたいです。

●打ち込みは直接パソコンに取り込めますが、ボーカルはどうしたんですか?

太田:歌は普通にマイクを立てて歌いました。端から見たら、ペラペラのギターを弾きながらアカペラで歌ってるみたいな。

達川:ヘッドホンしながら演奏して、お客さんもイヤホンしながら聴いて。

●なんてシュールな図(笑)。

達川:オンライン配信とスマートフォンがより普及して、当たり前に連携してくれたら、もっともっと新しい遊び方を模索できると思うんです。便利な決済システムがスマートフォンに内蔵されて身近なものになれば、USTREAMでアーティストが資金を得られるのになと思います。

●ふたりとも発想が面白いし、本当にいろんなことができそうですよね。今作にはいろんな音が細かく入っていて聴く度に発見がありました。メカ担当の達川さんは2009年に加入されたんですよね?

達川:そうですね。加入前は純粋にファンとしてずっと観ていたんです。言ってくださった"音が細かく入ってる"というのも、加入して自分がどんなことをやればいいのかぼんやりとは頭にあったので、制作にもすんなり取りかかれました。

●現在メンバーは2人だけですよね?

達川:前メンバーが抜けた後、周りからも"ヒダリはもう終わりや"っていう反応が少なからずあったので、逆に2人とも火が点いたんです。自分たちではいいアルバムが出来たと思ってます。

太田:今回はせっかくだから自分たちが納得できるまでとことんやろうと思って、ミックスも初めて自分たちでやってヒダリ的に納得したものが出来ました。

●ヘッドホンを着けた瞬間、思わずニヤリとしてしまうほど細部にまで音が散りばめられているし、打ち込みだけでなく生楽器の音も気になります。

達川:M-1「金木犀」はアコギの音を二重に重ねているんです。ヒダリのアルバムは前作まで1曲目からガツンとメカで始まる感じだったんですが、今回はアコースティックな始まり方で今までのヒダリを聴いてきた人を驚かせたかった。そのままいくかと思いきや、徐々に音が増えていって全体像が見えてくるので、いろんな楽しみ方があると思いますよ。

●M-2「マーガレット」、M-4「ヒダリのラブレター」はヒダリらしさがよく出ているビートポップなナンバー。

達川:僕は「マーガレット」が凄く気に入っていて、フレーズははっきりさせつつも、印象操作をするような細かい音もたくさん入っているので、いいヘッドホンでじっくり楽しんでほしいです(笑)。

太田:「ヒダリのラブレター」はギターリフに尽きます! 気持ちよくギターが弾けました。

達川:終わり方にもヒダリの捻くれた部分が表れていると思いますね(笑)。

●今作はドライブでも聴きたいし、ヘッドホンでもじっくり聴きたくなる不思議な引力がありますよね。

太田:ベースの脱退もあり、お世話になっていたBad News Recordsを離れたこともあり、僕らにとってターニングポイントとなる作品が出来たと思うんです。今までの3作では、1枚目はメカに青木ヨーマがいて、2枚目はジャスティン、今回の3枚目は達川くんになっているんです。だからその音の違いを聴き比べて楽しんでもらえたら嬉しいですね。僕個人としては、本当にお客さんの反応が楽しみで仕方ないんです。

達川:今までのヒダリはギターテクノポップバンドとしての印象が強かったと思うんですけど、ジャンル依存して聴くのではなく、楽曲自体が本当にいいので先入観なしで楽曲を楽しんでもらえると嬉しいです。1月8日には新宿のタワーレコードでインストアイベントがあったり、1月14日に東京でレコ発イベントもあったりしますので、ぜひライブにも遊びにきてもらいたいです!

Interview:上田雄一朗
Assistant:Hirase.M

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