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ラックライフ

不器用すぎるほどまっすぐ に紡がれた歌は、たくさんの人の心と心を繋いでいく

2011年8月、アルバム『World is you』をリリースし、60本を超える全国ツアーをファイナルの大阪BIGCATで締めくくり、大成功させたラックライフ。

Vo./G.PONが作詞/作曲を担当する楽曲はすべて、誰かに対するリアルな感情や想い、そして自らの成長の跡を書き記したもの。不器用すぎるほどまっすぐに紡がれたその歌は、繊細で純粋であるが故に、たくさんの人の心と心を繋いでいく。
そんな彼らの2ndアルバム『キミノコト』は、まるでライブハウスのような存在になりたいと言う彼らの新たな一歩だ。

Interview

●前身バンドを現メンバーで結成したのが2005年の5月ということですが。

PON:高校で初めて組んだバンドがこのメンバーだったんですよ。メロコアとかスカとか、けっこう色んな曲を何でもコピーしていました。4年半くらい前に、オリジナルをやるようになってバンド名を変えたんです。

●2011年8月に『World is you』をリリースし、今回2ndミニアルバム『キミノコト』をリリースするわけですが、どういう作品にしようと思っていたんですか?

PON:テーマはまさに"キミノコト"みたいな。『World is you』のツアーで、やっぱり人と人やなと改めて思ったんですよ。結局、僕と誰か、誰かと誰かで。僕から見えるいろんな人のことを書いてみようと思って作った作品なんです。手紙を書いたような感じ。

●そういうのがPONさんの基本的な音楽のスタンスなんでしょうか?

PON:多分そうですね。想像で曲を書けないんです。曲はバラバラにできていって、自然と"これはこの人の曲"というのがポンポンと出てきたんですけど、その中の1曲が、たまたま曲のイメージを見たときに「君のこと」になっただけです。だから、アルバムタイトルと曲のタイトルの表記が違うんです。

●基本的には歌が中心のロックですが、今作の中ではM-5「パペット」がリズムも含めて肌触りがやや違いますよね。

PON:こういう曲はバンドサウンドからできたものが多いですね。コード進行があるけど、メロディも歌いたいテーマも決まっていなくて、とりあえず先にコードをバッキングギターで弾いたものをメンバーに聴かせて、「こんなのをやろうや」っていう感じでバンドで合わせてできた曲です。

●「いろんな人のことを書いた」ということですが、例えばM-2「泣きべそライダー」やM-7「いくつもの背に」とかには、けっこうネガティブな感情が分かりやすく出ていますよね。

PON:そうなんですよね。基本的に僕自身が、ネガティブからのポジティブ志向なんです。素直にポジティブなだけの曲はあまりなくて、一度つまずいて、それでもこうやっていきたいという曲が多いです。何かに気付くときって、基本的に自分がダメになったときなんです。でも周りに助けられて。「いくつもの背に」とかは地震のあったときに、いろいろ言われるじゃないですか。

●「こんなときにバンドなんかやってて」みたいな?

PON:そうそう。「別になんにもならへんのに、電気を使うな」とか。そういうことがいっぱいあったじゃないですか。ライブハウスもダメになったし。この曲は前作のツアー中にできたんです。音楽は形にもならないし、お腹が膨れるわけじゃないし、電気を起こせるわけでもないけど、やっぱり音楽をやりたいし、音楽でみんなが幸せになってほしいと思うし、もちろん僕も幸せになりたい。そういう曲ですね。

●つまり、生きていく中での気付きを曲にすることが多いんですね。自分自身の成長の跡というか。

PON:まさにそうです。気付いたこと、忘れたくないことを曲にする。曲になります。

●人生のメモみたいですね(笑)。

PON:まさにそんな感じだと思います(笑)。

●生活の中で何かしら心が大きく動いたら楽曲になるんですね。あと、この7曲はそれぞれの曲の歌い方もぜんぜん違うと感じたんです。

PON:レコーディングでも、どんな顔をして歌っているのかが分かればいいなと思っていて。歌うときはいつも表情が伝わるように歌っています。

●ライブと近い感覚なんですか?

PON:そうですね。できるだけライブと近い感覚でできたらいいなと思っています。できるだけいろんなことを思い出しながら。

●思い出しながら?

PON:全部の曲が何らかの出来事があって作ったので、その思い出とかを。

●ああ、なるほど。

PON:そういういろんなこととか、いろんな人の顔を思い出しながら歌っています。

●ライブのときはどういう感覚なんですか?

PON:ライブはなんでも言えちゃう場所…ですかね。普段言えないようなことも、ライブだったら恥ずかしくならずに言えるというか。あんなにおっぴろげにできる場所は、他にないかもしれないですね。

●さっき言っていたように、友達と居酒屋にいる感じ?

PON:そうです。普通に会話をしている感じですよ。

●話していて感じるんですけど、PONさんは普段から人見知りせずにガンガン話すようなタイプではないですよね。

PON:そうですね。そういうタイプではないと思います。

●でもステージの上ではなんでも言える。

PON:そうなんです。不思議ですよね。恥ずかしいのに(笑)。

●意図的にやっているんじゃなくて、自然に自分がそうなっているということ?

PON:そうですね。そうなっていきました。だからもう辞められないんです。辞めたいと思うときはいっぱいあるんですけどね。

●今までも辞めたいと思うことはあったんですか?

PON:はい。全然ありますよ。自信をすべて失ったときとか「もう無理!」ってなります。

●なぜ自信を失ったんですか?

PON:ライブが思うようにできないというか。僕は嘘をつきたくないんです。でも、嘘じゃないんだけど、そう言わないといけないときがあったりして。悲しい気持ちなのに、楽しい顔をしないといけないときとか、悲しい曲を歌ってすごく悲しい気持ちになったのに、次は楽しい曲だから無理やり明るくして、めっちゃ楽しい顔をしないといけないときとか。僕、ライブをやっていると曲に呑み込まれるんですよ。

●情緒不安定になるという(笑)。

PON:そうなんですよね。だからライブではやらない曲とかもありますし。悲しすぎるから、帰ってこられなくなっちゃうんですよね。

「ここに行けば誰かに会えるし、ここに行けばいつも励ましてもらえたり、一緒に泣いてもらえる。そんな場所になりたい」

●それアカンやん。

PON:そうなんですよ(笑)。

●曲に対して真剣に取り組んで作っているからこそ入り込み過ぎるんでしょうけど、自分でコントロールできなくなるという。

PON:持っていかれるときがあって。悲しい思い出とか、悔しい想いで歌った曲をやると、全然気分が上がらなくなって、何もしたくなくなるんですよ。

●ライブ中なのに?

PON:ライブ中に(苦笑)。ダメなんです…。

●それで自己嫌悪に陥るのか。

PON:そう。"なんでそこを楽しまれへんねん!"って自分で思うんです。"曲に呑み込まれやがって、情けない"みたいな。

●すごく一人相撲だ!

PON:そうなんですよね(笑)。基本的にそういうことが多いです。負のサイクルに陥ると"もう無理や"とまで思っちゃうんですよね。

●すごく落ち込んでしまう曲というのは、前作に入っていたんですか?

PON:はい、前作に入っていました。「君と世界を」という歌なんですけど、友達が亡くなってしまって、それに続いておばあちゃんも亡くなって。

●ああ…。

PON:それを忘れていくのが嫌だったんです。"俺はなんで普通に生活できてんねん!"と思って作った曲です。

●その気持ちはすごく分かります。

PON:その曲は、ダメでしたね、とても。忘れていくのが嫌で書いた曲だったんですけど、歌ったときに思い出すということは、それまで一旦忘れていたということで、薄れていたっていう事実に"悲しい"と思うんです。

●なるほど。

PON:でも、その曲はだいぶ優しく歌えるようになってきたんです。前回はその曲と一緒にツアーをまわって、あまり回数は多くなかったんですけど、箇所箇所でやって歌っているうちにちょっとずつ"やっぱり忘れるわけがないし、ずっと覚えているし残っているから大丈夫だ"と思えるよういなって。

●実感することができたんですね。

PON:そうなんです。別に何も変わらないけど、何も変わらないということはちゃんと覚えているから何も変わらないんだと。そう思って書いた曲が今作のM-1「この空の下で」なんです。

●繋がっているんですね。

PON:そうなんですよ。"形はないけど、ちゃんと残っているよ"という。

●それも1つの気付きですよね。

PON:今までは悲しい、悔しいで「ウワーッ!」となりながら歌っていたけど、受け入れた瞬間に、ちょっと曲中に微笑むくらいまでになれて。だからその曲は"もうやる意味がなくなってしまったな"と思ったんです。忘れなかったから。だから今度は"大丈夫です"っていう意味の曲を作ったんです。"ちゃんと覚えているよ"っていう曲になりました。曲が成長したんです。

●まさにPONさんの人生の歩みが曲になっているんですね。そしてもうすぐツアーが始まりますが、どんなツアーにしたいですか?

PON:ちゃんと繋がるツアーになったらいいなと思います。前回のツアーで繋がった人ともまた会えて、もっとお互いを知っていけたらいいなと思います。

●自分にとって、お客さんはどういう存在なんですか?

PON:本当に助けてもらいっぱなしですね。助けたいのに、助けてもらいっぱなしだなと思います。

●支えられている?

PON:かなり。"めちゃくちゃ返ってきているやん!"みたいな。"僕はちゃんとその分を返せているのかな?"と思うときもあるんですけど、このツアーではいっぱいの人の顔を見られたらいいなと思っています。

●人間には見栄とか欲みたいな感情があるじゃないですか。無意識的に"かっこよく見られたい"みたいな。そういう感情はないんですか?

PON:本当はかっこよく思われたいんです。でも、かっこいいって思われたいんですけど、ステージに立つと全部出てしまう。かっこいいところを見せてやりたいんですけどね(笑)。

●アハハハハ(笑)。

PON:でも、実際ステージに立つとそんなことを考えていられないんですよ。何もかも忘れちゃうというか。だから、後から"なんであそこでもっとかっこつけなかったんだろう?"と自分で思います。曲中に爆笑とかしてしまうんです。

●え? 曲中に爆笑?

PON:笑いすぎて歌えなくなることもあるんです。声を出して笑ってしまって。

●それはアカンやろ(笑)。

PON:なんか面白くて。例えばお客さんと目が合ったとき、その表情を見たらめっちゃいい顔をしてくれていたりして、嬉しくなって。とにかくキラキラしていて、そういう顔を見るとなんか笑ってしまうんですよね(笑)。

●思ったことを隠せないんですね。

PON:そうかもしれないです。僕らはいっぱいの人が繋がる場所になりたいんですよ。安心できる場所になりたい。自分がそうだったんですよ。ライブを観に行っているときに、ライブハウスという場所で仲間もいて、すごく安心できた。ここに行けば誰かに会えるし、ここに行けばいつも励ましてもらえたり、一緒に泣いてもらえる。そんな場所になりたい。

●拠り所というか。

PON:悲しいことでも楽しいことでも、何かあったら言いに来てほしいなと思います。

Interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:Hirase.M