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奥野 涼(KIDS)× 金廣 真悟(グッドモーニングアメリカ)

“痛み”を表現する2人のヴォーカリスト

KIDSGMA01メロコアシーンで活動をスタートし、その後日本語詞メインへと方向転換していわゆる“ギターロック”のシーンで活動を重ねているグッドモーニングアメリカとKIDS。先輩であるグッドモーニングアメリカはKIDSを対バン相手に何度も誘い、そしてKIDSはグッドモーニングアメリカの背中を見て育ってきた。今月号のJUNGLE☆LIFEでは、その2バンドのヴォーカリスト、奥野 涼(KIDS)と金廣 真悟(グッドモーニングアメリカ)を招いてスペシャル対談を行った。“痛み”を音楽で表現するという共通点を持つ2人は、どのようにして音楽を作っているのだろうか?

 

 

「こぼれるなり、にじみ出たものが本物だと思うので、やっぱり悩むことは必要なのかな。喜びを歌にする必要はない」(金廣)

KANEHIRO02●この2バンドは、もともとはメロコアをやっていて、途中から日本語のいわゆるギターロックサウンドになったという共通点があって。

金廣:あ、そうですね。

●それともう1つ、金廣くんは以前のインタビューで「痛みのない音楽は作りたくない」と言っていて、一方で奥野くんは「痛みを感じるメロディがある」と言っていて。だからこの2人にはどこか共通点があるというか、同じような価値観を持っているのかなという気がするんです。いつからの付き合いなんですか?

奥野:4年前ですね。KIDSはメロコアから変わりつつある時期で、それこそ僕は毎日のようにfor better, for worse(グッドモーニングアメリカの前身バンド)を聴いていて。

金廣:そうだ。おっくん(奥野)はそっちから入ったんだ。

奥野:そうです。当時から僕らはTOTALFATのDr.Buntaくんに良くしてもらっていたんですけど、ある日のライブの打ち上げで、僕はfor better, for worseのTシャツを着ていて。

●めっちゃファンですね。

奥野:めっちゃファンですよ。

金廣:for better, for worseのTシャツの話をするのはMAKKIN(GOOD4NOTHING)かおっくんかくらいですね(笑)。

奥野:その打ち上げでBuntaくんが「for better, for worseのベース(たなしん)と一緒に住んでるよ」って教えてくれて、その場でたなしんくんに電話してくれたんです。

金廣:そうだそうだ。

奥野:そこで「Buntaくんに音源渡すんで聴いてください」って。そういう間接的な出会いがあったんですけど、その後、グッドモーニングアメリカのライブが大阪であったんです。で、僕は生まれて1回しかしたことがないんですけど、バンドのホームページからチケット予約をして観に行ったんです。

金廣:そうだったの?

●超ファンだな。

奥野:そこでご挨拶して。それは4年前の8月だったんですけど、その場で「10月に結成3周年のライブがあるので出てください」と言ったら、たなしんくんと幸一くん(グッドモーニングアメリカ G.渡邊 幸一)が「全然いいよ」って。でも金廣くんは僕にとっては神のような存在だったので、全然しゃべれなかったんですよ。たなしんくんに何度も「金廣くんとしゃべりたいんですけど…」とか言って、たなしんくんは「全然キャッチーな奴だよ」って。楽曲の世界観とかから、勝手にすごく繊細な人だと思ってしまっていたんですよね。

●なるほど。

金廣:その後、何度も奈良のライブをお世話してもらってるんです。ツアーする度に奈良の対バンはお願いしていますし、アコギでもお世話になったし。おっくんの家にも1回泊まらせてもらったよね。

奥野:でもそのとき僕はドキドキしすぎて別の部屋で寝たんですよ(笑)。

●ハハハ(笑)。

奥野:まだ飲みに行ったりしたことはないんですけどね。

金廣:そう言えばそうだね。今日も1年ぶりくらいに会ったもんね。

奥野:そうなんですよね。最初に対バンしたとき、金廣くんからアドバイスをもらったこともあって。

金廣:全然覚えてないな。偉そうなこと言ってた?

●何を言われたんですか?

奥野:「歌い方に力が入ってるな」って。

金廣:人のこと言えないですよね(笑)。

●ハハハハハ(笑)。

奥野:あのひと言は忘れないな。

金廣:思い出した。最初に観たとき、“俺は昔こんなだったような気がするな”と思ったんです。自分が昔やっていたスタンスというか、ちょっとしゃべって、歌で感情を出すというか。俺、今はわりと“無”の状態でライブをやっているんですけど、おっくんは自分の昔のように、“音楽を伝えよう”っていう気持ちが見て取れて、それがちょっと力が入り過ぎているような感じで。それからかなり成長していると思うんですけど。

●これは個人的な印象かもしれないんですけど、KIDSのライブはグッドモーニングアメリカとイメージが重なる部分があるんです。音楽性とか表現方法とかは違うけど、4人全員で身体を動かして会場全体の雰囲気を作っていくというか。最近のKIDSのライブはよりそういう感じになってきている気がするんです。

金廣:やっぱりメロコア上がりだからかな?

奥野:そうだと思います。そういうノリは自分たちがいちばん楽しめるっていうことがわかっているので。逆に言えば、1年くらい前まではすごく我慢していたんですよ。ガーッと動いたら世界観が壊れたりとか、何がしたいかわからなくなると思って、基本的には僕は動かないというスタンスだったんです。

金廣:そうなんだ。

奥野:でも去年のあるライブをきっかけに、“こっちの方がいいんちゃうかな”と気づいたことがあって、それが今のライブにも繋がっているんです。楽しいのを我慢するのは良くないなと思って、それをだんだん自分の中で消化できていっている感じはあります。

●奥野くんから観たグッドモーニングアメリカのライブはどういう印象なんですか?

奥野:1年くらいは観れていなくて、いちばん最近観たのは去年の3/2、心斎橋JANUSの“「あっ、良い音楽ここにあります。その弐」〜レコ発〜”なんですけど、知り合った4年前とかに比べたら変わりましたよね?

金廣:うん、全然違うと思う。

奥野:でも初めて観たときも僕の中ではもう死ぬほどかっこよくて。

金廣:って前から言ってくれるよね。

奥野:変わったけど、どっちも好きですね。今の方がグッドモーニングアメリカっぽさが出ていると思うんですけど、4年前に観たときはfor better, for worseの匂いも感じたので、どっちも好きなんです。

金廣:俺らがCDデビューする前の、まだまだ迷いに迷っていた時期だ(笑)。

●グッドモーニングアメリカのどういうところが好きなんですか?

奥野:今のグッドモーニングアメリカはライブが本当に楽しくて。僕もバンドマンのくせに、去年の3/2のライブの日は客席の真ん中まで行って手を挙げてしまっていたんです。

金廣:アハハ(笑)。そうだったね(笑)。

奥野:心から“楽しいな”と思えるのが今のグッドモーニングアメリカで。で、前のときは、本当に痛みがあるというか、グーッとくるというか。

金廣:盛り上げようとしていなかったもんね。

奥野:そうですね。たなしんくんもわりと静かで、金廣くんがポロッとしゃべって、いい歌を歌って。それを聴いて僕は“ああ〜っ”となって。どっちも好きなんですよね。

●最初にも言いましたが、この2人は曲を作る上で“痛み”がキーワードになっていると思うんです。

2人:はい。

●それぞれがイメージする“痛み”とはどういうものですか?

金廣:最近、レコーディングのギリギリまで歌詞を書かないんですよ。ドラム以外のアレンジを考えているので、レコーディングでは“アレンジどうしよう?”っていうことでまず頭がいっぱいで。そのときのフラストレーションとか抑圧だったりがコップに貯まって、それがピュッとこぼれたのが“痛み”みたいな。

奥野:へぇ〜。

金廣:それくらいまで溢れないと、たとえ痛みを歌詞に書こうとしても“作られた痛み”みたいな感じになっちゃう気がして。胡散臭いというか、よくある言葉というか。だから最近はギリギリまで書かないようにしています。

●こぼれるものにリアリティがあるというか。

金廣:うん。こぼれ落ちるっていうことはよっぽどだと思うんです。別にそれが解決しなくても、それが本物になるからいいのかなって。「だけど不安です」(3rdミニアルバム『輝く方へ』収録/2012年5月リリース)はそういう風な作り方でできたんですけど、“これは結構正解な作り方だな”と自分の中では思って、今はそういう感じで曲を作っているんです。

●ということは、金廣くんの“痛み”は歌詞の割合が大きいんですか?

金廣:最近は特に大きいですね。もちろん音楽なので、いちばん適切な場所にキーとなるワードをポンと置くことが大切だと思っているんですけど、そこで“痛み”を表現している感じです。

奥野:僕はどっちかと言うとメロディ重視なんですよ。耳に残るっていうか。たぶんそれもfor better, for worseからの影響なんです。

金廣:確かにそうかも(笑)。

奥野:for better, for worseは英語詞だし、歌詞の内容は明確にはわかんないじゃないですか。でも痛かった…「痛かった」というか、僕の中では“こんな音楽があっていいんや”って衝撃を受けたんです。

金廣:アハハハハハ(笑)。

奥野:for better, for worseを聴いてるって先輩とかに言ったら、「こういうジャンルはエモといって、洋楽とかではこういうバンドもいるんやで」ってCDを聴かせてもらったりしたんですけど、ちょっと聴いて「あ、もういいです」ってなっちゃうんです。for better, for worseの方がすごいと思っちゃうから。それが僕のバックボーンになっていて、メロディを作るという部分ですごく大きな影響を受けていると思います。一生超えることはできないと思っているんですけど、でも“このレベルにいけないかな”と思って3〜4年やってきたんです。

「今は“生きたい”と思っていて、ハッピーじゃなくても“生きている”っていうことがすごく大きなテーマになっている」(奥野)

OKUNO01

●すごく影響を与えている!

金廣:恐縮ですね(笑)。

●奥野くんは「痛みを感じるメロディがある」と言っていたじゃないですか。あれはどういう感覚なんですか?

奥野:言葉で説明するのは本当に難しいんですよ。“悲しい”でも“切ない”でもないし。その間なのかな〜? なんて言っていいのかわかんないんですよね。

●金廣くんはその感覚わかります?

金廣:最近そういうことを自分も考えるんですけど、音程の12度と13度が入ると、なんかいいんですよね。

奥野:おおー! はいはいはいはい!

金廣:そこを中心にメロディを動かすと、なんかいいっていうか。それまでは普通に流れていて、急にそれがクンッと入ると、“おっ!”ってなる。

奥野:へぇ〜。

金廣:自分でも“何なんだろうな?”と思うんだけど、おっくんが言うメロディの“痛み”みたいな感覚は僕もあって、自分が今まで作ってきた曲だったらここかな? と思いながら色々と調べてみたら、そういうのがあるなと。

●あ、意識して使っているわけではなくて、今までの曲を調べてみたら12度と13度を使っていたと。

金廣:そうなんですよ。今まではそれをメロディでやっていたんですけど、最近はメロディ自体をよりキャッチーに作っているので、その12度と13度をコーラスのギターで入れてみるとか。

奥野:ああ〜。

金廣:そこ推しで入れるっていう。最近はそういうことが多いですね。主メロでも意識するところはありますけど、でも自分の歌メロとかだとCメロとかで使ったりします。そうするとおもしろいんですよ。急に「ハッ!」となるから。

奥野:僕は完全に感覚なんですよね。

金廣:でもできないときというか悩んだ時に理論があると乗り越えられると思うんだよね。何度も乗り越えて、バンドを長く続けないと辿り着きたい場所にも辿り着けないなって。だから最近は勉強しようと思っていて。曲ができないとか悩んでいるときとかでもAメロとかってわりとすぐにできるじゃん。

奥野:そうですね。

金廣:サビのグッとくるメロディとか、どうやったら自分が大事にしているもの…“痛み”とかを表現できるのか。そういう理論がちょっとでもわかっていればいいかなって。

奥野:なるほど。ありがたい話ですね。

●奥野くんはどういう風にメロディを作るんですか?

奥野:アコギを持って鼻歌で作ります。気持ちを投影するのはできた後なんですよ。メロディに合うストーリーを考えるというか。だから後付けですね。

●ということは、メロディを作っているときは何も思わないんですか?

奥野:何も思わないです。“次にこう行こう”とも思わないんです。

金廣:へぇ〜、いいね。

奥野:だから曲ができるのが遅いんですけどね。もうちょっと頭を使うことができれば…それこそさっきの12度13度の話じゃないですけど、そういう理論があればもうちょっと早く作ることができると思うんですけど、僕はまだ理論がぐちゃぐちゃなのでそういう作り方はできなくて。だからいつもは、何回も何回もメロディを流しながら、最初は同じで終わりだけ変えてみるとか、ずーっと“痛み”を探していく感じなんです。ある程度できたらMTRに放り込んで、また作って…を繰り返して3〜4パターンくらい作って、それをメンバーに聴かせてっていう。

●しんどくないんですか?

奥野:しんどいです。

金廣:アハハハ(笑)。

奥野:1曲作るのに結構のカロリーというかストレスが溜まりますよね?

金廣:そうだね。できるときはすぐできるんだけどね。

奥野:そうなんですよ。つるっとできた方が推し曲とかになりやすくて。例えば“ライブでこういう曲がほしいから作ろう”というのは、僕の中では不純な動機なんですよ。

金廣:ああ〜、うんうん(笑)。

奥野:だから時間かかって、ストレス溜まって、しかも思ったほどいい曲にならない場合が多くて。だからそういうことがないように、今は感覚的に作ってます。

●不器用なんですね。

奥野:不器用です(即答)。

●金廣くんも不器用というか…あ、金廣くんの場合は根本が不器用かもしれないけど、不器用な自分を飼い慣らすことができるようになったのか(笑)。

金廣:そうですね(笑)。もう30歳なので、そろそろ(笑)。でも生きていると“無”になった方が楽なことっていっぱいあるじゃないですか。あるけど、いいバランスを取り続けないと音楽を続けるのも難しいなって。悩みすぎてもダメだし、“無”になり過ぎてもいいものを作れなくなると思うし。

●感情の動きは、創作という部分では必要不可欠なものだと。

金廣:そう思います。全部理論でやっても何も響かないと思うので。こぼれるなり、にじみ出たものが本物だと思うので、やっぱり悩むことは必要なのかな。喜びを歌にする必要はないと思うので。

●その話に関連するかも知れないですが、奥野くんは若いころ“世の中が終わったらいいのに”と思っていたんですよね。

奥野:そうです。

金廣:アハハハハハ(笑)。

奥野:今から思えばすごく恵まれていた時期なんですよ。人間関係も上手くいっていたし、バンドも「やるぞ!」っていうモードになったころで。今から考えたら、何もやさぐれたりする理由がないんです。今から考えたら、自分は恵まれた環境にいる自分が嫌だったのかもしれないです。幸せなんですけど、もしゲームだったらすぐにリセットボタン押すのにって思ってました。

金廣:アハハハハ(笑)。

奥野:本当に色んなことに怒ってましたね。僕はあまり友達を作らないタイプなんですけど、仲の良い友達以外の奴全員に対して怒ってました。例えばそういう奴に「一緒に飯食いにいこうや」と言われたら、それだけでムカついて口論とかになっていました。

●最低ですね(笑)。

奥野:最低です。

金廣:理不尽な怒りだ(笑)。

奥野:そういう時期があったからこそ今があると思うんですけどね。

●そういう“陰”の部分が、KIDSの音楽に出ていると思います?

奥野:思いますね。特に歌詞の部分で。“生きる”ということをテーマに書いていることが多いんですよ。ライブをやっているときにいちばん“生かされている”と思うんですよ。自分が交通事故に遭って死にかけたこともあるし、仲の良い友達が亡くなったこととかもあって、自分が生かされているということをこの歳になって初めてわかって。だからあんな僕でも今は“生きたい”と思っていて、ハッピーじゃなくても“生きている”っていうことがすごく大きなテーマになっているんです。恋愛のことを歌った曲もあるけど、基本的に僕の書く歌詞は“生きていこう”という決意表明なのかなって。

金廣:おもしろいな(笑)。共感できるっていうか、同じようなことは誰にでもあるよね。人に対して理不尽に怒ることはなかったけど(笑)。

奥野:でも腹が立ったりイライラしたときはfor better, for worseを聴いて落ち着かせてました。だからすごく助けられたんです。

●for better, for worseが奥野くんに与えている影響はすごいですね。

金廣:そうですね(笑)。最初に「for better, for worseが好きだ」と聞いたとき、嬉しいけどちょっと複雑だったんですよ。「新しいこと始めてるのにな」って。でもここまで思ってくれると、純粋に嬉しいですね。やってて良かったなって。

interview:Takeshi.Yamanaka

 

【KIDS INFORMATION】

KIDS presents “Give and Take”
2/16(土)渋谷O-Crest

KIDSワンマンライブ“奇跡の軌跡”
3/07(木)心斎橋BIG CAT

OTHER LIVE
2/01(金)ESAKA MUSE
2/09(土)あべのROCK TOWN
2/21(木)KYOTO MUSE

http://www.kids-official.com/

 

【グッドモーニングアメリカ INFORMATION】

“スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2013”
2/21(木)札幌cube garden
2/23(土)仙台MA.CA.NA.
2/24(日)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2/28(木)名古屋CLUB QUATTRO
3/01(金)大阪BIGCAT
3/03(日)福岡DRUM Be-1
3/05(火)広島ナミキジャンクション
3/09(土)赤坂BLITZ

※V.A.『あっ、良い音楽ここにあります。その参』3/20リリース!! 詳しくはオフィシャルHPへ!!

http://goodmorningamerica.jp/

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