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山中さわお

心が選ばせた答えは眩い輝きを放つ新たな名曲へと結実した

mainthe pillowsのVo./G.山中さわおが、ソロとしては初のシングル『Answer』を1/16にリリースする。昨年の1月号でthe pillowsのアルバム『トライアル』発売に合わせて、JUNGLE☆LIFEの表紙を飾ってもらってからちょうど1年。その間にもGLAYのBa.JIRO、Scars Borough/ELLEGARDENのDr.高橋宏貴との3ピースバンド、THE PREDATORSでアルバム『Monster in my head』を発表するなど、その活動は止まることを知らない。そして2013年の幕開け早々に発表される今作は、創作活動の充実ぶりと前進を続ける強い意志を象徴しているかのようだ。“行けるとこまで行こう/その場所で人知れず終わりたいな”という歌い出しから始まる表題曲「Answer」はソロでは初となる日本語詞であり、the pillows以上にthe pillowsらしい楽曲と言えるだろう。そこには今もなお新たな音楽との出会いから刺激を受けつつ消化・吸収を続けている、“山中さわお”というアーティストの意志とオリジナリティがはっきりとにじみ出ている。2月には3枚目のソロアルバム『破壊的イノベーション』リリースを控えている中で今、山中さわおが感じていることに迫る巻頭ロングインタビュー。

 

 

●2012年は1月にthe pillows(以下、ピロウズ)のアルバム『トライアル』をリリースして、8月にはTHE PREDATORSとしてもアルバム『Monster in my head』、そして2013年早々に今回のソロシングル発表とすごく多作な印象があります。新しい楽曲をどんどん作っていきたい気持ちが、いつにも増してある感じなんでしょうか?

山中:作っていきたい気持ちは常にあるんだけど、気持ちがあってもできる時とできない時があって。でも2012年は自分の音楽人生の中でも、相当に多作な年だったと思います。1999年に(ピロウズは)『RUNNERS HIGH』と『HAPPY BIVOUAC』という2枚のアルバムを出しているんですけど、その時の感覚に近いというか。すごい短期間に、気に入った曲も詞もどんどんできるっていう感じでしたね。“こういう感じは久々だな”っていう感覚はありました。

●今回はいつ頃からそういう感覚に?

山中:2012年の前半…というか、1月と2月で全てを作ったかもしれないです。シングル曲のM-1「Answer」は、元旦に“作るぞ!”と決めて作ったんですよ。ピロウズの“TRIAL TOUR”前には、次のソロアルバム収録曲を全て作っていた気がします。

●ではリリースの1年前くらいには全曲できていたと。

山中:それに関しては、僕の中で珍しいことではなくて。僕はものすごく前倒しで、どんどん曲を作っていくんです。でもそれが10曲まとまってあるというのは珍しかったかな。3〜4曲くらいというのはよくあることで。

●その頃にはソロアルバムを制作するという考えもあったわけですね。

山中:ありました。ピロウズを休憩しようという話し合いをしたのは2月だったんですけど、(自分の中では)この“TRIAL TOUR”が終わったら一旦休んだほうがいいなというのはわかっていたので。

●そもそも元旦に曲を作ろうと思ったキッカケは何だったんですか?

山中:その寸前に、noodlesの『Funtime』というアルバムをまだデモ段階の状態だけど聴かせてもらって。その中でリード曲の「Beautiful Dreamer」が、8分の6拍子のすごく良い曲だったんです。いわゆる“ハチロク”というオールディーズによくあるリズムなんですけど、それを聴いて(自分も)“ハチロクの良い曲を作りたいな”と思ったというのはあったかな。

●それが創作意欲を掻き立てる1つのキッカケにもなった。

山中:でもそれだけじゃなくて、“元旦に良い曲を作る!”っていう意志がすごくあったんです。普段はそういうのが全くなくて、大体はいつもギターを触っている中で何となく作曲モードにフェードインして、平均点を超えないメロディたちが何となく通り過ぎてそのままフェードアウトして終了する…っていう日々を送っていて。そういう中でたまに自分を納得させたり喜ばせたりするものが急に出てきたら、記録するっていう感じなんですよ。

●普段は特別に“曲を作る”という意識を持って、作っているわけではない。

山中:でも2012年の元旦ははっきりと強い意志を持って、“絶対に自分の中でも後々まで残るようなポジションの名曲を元旦から完成させるぞ!”っていう命令を自分にした上で作ったんです。それは僕にはとても珍しいことで。普段はもっとフワッと作曲活動をスタートさせるから。

●自分に課題を与える感じというか。

山中:そんなことをやってみても、いつもはだいたい失敗するんですよ(笑)。プレッシャーでダメになるというか、色気が出ちゃってダメなんです。でも今回はそれが珍しく、上手くいったんですよね。

●それほど時間もかからず、スムーズに完成したんでしょうか?

山中:1日で歌詞まで全部仕上げたので、ある程度時間はかかったと思います。でも曲にはそんなに時間がかからず、完成形に近いものがすぐできて。そこから時間をかけて歌詞を書いて、それに合わせてメロディも少し直したりとか寄り添う作業をして…という感じですね。曲はできる時にはスッと作れるので20〜30分くらいでできることもあるんですけど、歌詞は全く一言も出てこないと何日待っても出てこないんですよ。そう考えると、曲を作った日に歌詞まで全て乗るというのは速いのかな。

●歌いたいテーマみたいなものが明確にあった?

山中:そういうのは、僕はいつもないんですよ。メロディに乗ると心地いい言葉を、自分の口が言うのを待っている感じで。先に“これ”というものを決めて、作り始めるのはものすごく苦手ですね。たとえば「クリスマスソングを作って」と頼まれたら1曲は作れると思うんですけど、「2曲作って」と言われたら難しいなって。作家の人なら書けると思うんですけど、僕には相当難しい。

●職業作家の方はクライアントの要望に合わせて作るプロなわけで、そういう作り方じゃないところが“山中さわお”がロックミュージシャンたる所以というか…。

山中:そうですね…、放し飼いにしてもらっているっていう(笑)。

●でも放し飼いにしておいても、これだけのペースで作品を作り続けているわけですから(笑)。

山中:多作は多作だと思います。ミュージシャン友だちにもよく「多作だよね〜」って言われる(笑)。…それは自分に対するハードルの問題でもあるんですけどね。自分に対するハードルが高すぎる人はどうしても大変だし、低すぎると周りに人が集まって来ませんから。

●ハードルが高すぎても、低すぎてもいけない。

山中:僕はほどよく自分に厳しく、ほどよく甘いんだと思います。

●「Answer」に関しては(歌詞を乗せる以前の)曲ができてきた時点で、そのハードルを軽く超えるような良い曲になる予感があったのでは?

山中:それはありました。良いのができたなとは思いましたね。だから、この曲にふさわしい歌詞を乗せなきゃなと思って。

●歌詞に関して、いつもとは違う面もあったりした?

山中:自分の家から普段はあまり行かない方向の道を歩いている時に、坂道の上で“建物の条件(並び)が揃うと、空って三角形に見えるんだな”と思って。そこで“坂の上で、空が三角形で”というのをいつか歌詞に使う日が来るかなと思ったら、すぐ使ったっていうのが自分的にはクスっと笑える感じだったかな。

●“振り向いた坂の上/キミのいない街は/三角形の空に星を並べ始めた”という歌詞のことですよね。

山中:普段は(歌詞の書き方は)頭の中で風景を思い描いたり、そこで主人公を動かして物語を進めていく感じがほとんどなんですよ。実際に目で見て思ったことがすぐ歌詞になるということもすごく若い時にはあったけど、最近はあまりないので“日記みたいだな”と(笑)。

●元旦に“作ろう”と決意して作った曲の歌い出しが“行けるとこまで行こう”というところに、何か強い意志のようなものを感じたのですが…。

山中:意志はあったと思います。普通なら酒を呑んでTVでも見てりゃいいものを、元旦から“曲を書くぞ”なんていうんだからもちろん意志はすごくあって。だけど本人の中ではそれとは別のものとして、歌詞を書き進めるんですよ。結果的にはすごく意志を持った歌詞が乗ったんですけど、そこは僕にとって一緒のようで一緒じゃない。そこを意識したら僕は書けないし、“結果的にこうなったよね”っていう感じなんです。

●以前のインタビューで『トライアル』に関して、“年を取っても才能が枯れても、生きていく。都合の良い最終回は来ない。そこをどう生きていくか?”がテーマだとおっしゃられていて。「Answer」の“行けるとこまで行こう”というのは、そのテーマにもつながる意志表明のように思えたんです。

山中:まあ、同じ人間が1年前に作った作品なわけですからね。40歳を過ぎると、1年くらいじゃ(テーマも)そんなに変わらないですよ(笑)。

●ハハハ(笑)。2ndソロアルバム『退屈な男』(2011年10月)ではネガティブ・ワールドがすごく前面に出ていたところから、『トライアル』では少しポジティブに向かっているということも以前におっしゃられていました。そこから今は、よりポジティブな方向に来ているんでしょうか?

山中:ポジティブに向かっていますけど、それは歌詞のことではないんです。気に入ったCDを作ったり、納得のいくライブをするというような“音楽を作る”ということに対してのモチベーションはより強くなっていると思うし、そこはポジティブと言えばポジティブなのかな。でも単純に歌詞の明暗から、そこを汲み取ってもらうのはまた違うわけで。ただ、“音楽と自分”というテーマで考えると、僕は『トライアル』の時よりも元気だと思います。何かパワーを持っているというか。

●歌詞云々というよりも、自分自身の内面が元気になっている。

山中:要するに、心が元気なんだと思います。何か大きな状況の変化があったわけではなくて、僕の心が変化しただけというか…苦悩はないです。どちらかというと今が普通で、“あの時はなんであんなにくたびれていたんだろう?”っていう感覚ですね。“これがいつもの自分”っていう感じかな。

●今はそういう心境だからこそ、多作にもなった?

山中:う〜ん…そこはよくわかんないな(笑)。

●そこを意識してやっているわけではないし、単純に曲ができる時はできるというか。

山中:そうですね。あと、すごくカッコ良いバンドやCDと新たに出会うとうれしくて、何度も何度も聴くんです。そこで“自分の心を惹きつけるこの音楽みたいなことを、今まで自分がやったことのない手法をやってみよう”となったりもして。強い憧れがあると、単純にそれを自分でもやりたくなるんですよ。僕を夢中にさせる音楽がたくさんある時とそうじゃない時があるので、それも自分にとっては大きいんじゃないかな。

●他のアーティストの音楽から受けた刺激が、曲作りにも影響する?

山中:“うわ〜、悔しいな!”って思うような、カッコ良い後輩とかが毎年出てくるんです。そういうバンドがいればいるほど僕は曲を書けるだろうし、“最近は良いバンドが全然いないな”という時は曲を作るのがたぶん大変だと思う。僕はすごく影響を受けやすいので、何かライバルや憧れがあったほうがそこで影響を受けたり吸収したりしてやれるのかな。

●刺激を受ける相手が多い時のほうが、作曲の機運も盛り上がるんですね。

山中:僕が自分でも“どうかしてるぜ”と思うくらい曲を書いていた98〜99年頃は、元々はUKロック/UKギターポップと言われるものばかりを聴いていて、ずっと聴いてこなかったUSオルタナ系というものに初めて出会った時期で。すごく遅ればせながらピクシーズやブリーダーズを聴いたり、ウィーザーやThat Dogやリズ・フェアも聴いて…。そのあたりのロックアイドルたちが今まで見たこともないような新しいオモチャを提供してくれたような感覚で、僕の中で一気に色んな憧れがその時代にやってきたんです。

●その時はUSオルタナ系との出会いが刺激になった。

山中:そうするとやはり“憧れに近付きたい”みたいな気持ちで曲を作ったり、アレンジを考えたりするから。“もっともっと作りたい! まだまだこんなに楽しいオモチャがあったんだ”っていう感覚があったんだけど、今はあれほどの感覚ではないかな。あの感じが色々と僕に曲を作らせたなと思う。

●程度の違いこそあれ、その頃に近い感覚が2012年もあった?

山中:“あの時以来だな”というくらいの曲数を書いたけど、あの時のように新しいオモチャとたくさん出会ったわけではないですね。曲数とクオリティは、あの時に近いかなと思います。

●年齢を取ると色々と知識も増えて、新たな出会いに興奮できることも減っていきませんか?

山中:減っていきます。経験値がどうしてもあるから、1回目と200回目はやっぱり違いますよね。

●2011年の“SAWAO VS. YOUNGSTER”で対バンツアーをまわった若手バンドたちというのは、やっぱり自分の中で刺激を受ける存在だった?

山中:そうですね。…でもそれは表現が固いというか、単純に“好き”っていうだけで(笑)。“好きだな”と思ったから、ちょっと後輩に「酒おごってやるよ」とか威張りながらツアーをまわろうかなっていう感じでした(笑)。

●後輩バンドに対して、素直に“好き”と言えるというのもすごいなと思います。

山中:そのことは他からもよく言われるし、“みんなはそう言わないな”って自分でもよく思う。でも本人にとっては普通のことなんです。好きなものを“好き”って言わないのはあんまり良くないと思うし、それって人生を損している感じがする。好きな人には“好き”って言ったほうがいいよ、っていうことです(笑)。

●アーティストが好きなバンドの名前を挙げたがらないのは、自分が何から影響を受けたのかバレるのが怖いというのはあるでしょうね。

山中:でも音楽に詳しい人にはどうせバレるので、だったら自分で言っちゃったほうが楽になる。…というか、影響を受けるのは当たり前だと僕は思っているのかな。“ビートルズとかサイモン&ガーファンクルが無人島で音楽を作ったと思うなよ”というか。偉大なロックンロールスターからの影響があって、その影響を受けてもなお損なわれないオリジナリティをにじみ出すことのできた人たちがいて。だから僕も影響を受けるのは恐れないし、それはリスナーに判断を委ねることだから。“影響を受けましたけど、何か?”っていう(笑)。

●(笑)。影響は受けつつも、ちゃんとオリジナルな音楽を作っている自負があるから言えることだと思います。

山中:それでもなお“山中さわお”らしさとか“ピロウズ”らしさに価値を見出してくれる人がいるはずだと思って、僕は音楽をやっていて。たとえば“この曲はザ・スミスの「〜」という曲に似ているから価値がない”という人には、“そっか、残念だな”と思うだけですね(笑)。

●別に丸々パクっているわけでもないし、影響を自分の中で消化して出しているわけですからね。

山中:丸々パクったら、単純に「訴えられますよ」っていう…(笑)。

●ハハハ(笑)。でも音を聴くと明らかに、“きっと〜のことが好きなんだろうな”というバンドもいますよね。

山中:そのへんもまた難しいんですよ…。“似ている”というのにも2種類あって。(好きなアーティストの曲と)同じコード進行を使って近いメロディをやっているのに本人たちのセンスがあまりに悪くて、世界観が違うから“似ている”と言われない人たちがいる。それとは逆にすごく音楽能力が長けているからこそ自分が憧れているミュージシャンの気分を掴んでいて、違うコード進行とメロディでやっているのに“すごく似ている”と言われてしまうパターンもあるんです。でも、これって意味が全然違っていて。

●オリジナリティのあるほうがなぜか“似ている”と言われてしまう…。

山中:似せようとして似せることができなかった人たちは叩かれずに、逆に譜面上の音符とかで見ればもし訴えられても裁判で勝てるような人たちのほうが気分を上手く反映できているから「似ている」って言われてしまうんですよ。影響を受けているから当然なんだけど、“それって違うんだよな…”っていう想いはあります。

●かといって、そこを意識しすぎても仕方がない。

山中:とりあえず影響は受けるし、そのことを何も恐れないっていうことですよね。判断は他人に任せるというか。とにかく自分の好きな音楽を何も悩むことなくやって、素直に自分の好きなCDを作るっていうことだけなんです。

●今回の作品はまさにそういうものになっていると思うんですが、ピロウズとの違いは意識したんでしょうか?

山中:前作(『退屈な男』)まではピロウズとソロは自分の中で振り分けてやっていたけど、今はピロウズを休憩しているのでその必要はないなと思って。ピロウズをやるのと同じように、自分が持っている曲の中で今一番好きなものを詰め込んだっていう。単純にそれだけです。

●ピロウズでやっていてもおかしくないような曲も多いですよね。今までのソロでは英語だった歌詞が、今回は日本語メインになったのも同じ理由から?

山中:そうですね。要するに何も考えず、ピロウズの新曲を作るのと同じ感覚でやったということなんですよ。以前は明らかに意識してソロとピロウズの世界観を分けていたんですけど、今回はそこも分けていない。やっている感覚としては、ピロウズをやっている時と全く変わらないです。

●よりピュアに、自分がやりたいことを出しているというか。

山中:過去のソロアルバム2枚は、ある意味で“遊び”だったと思います。どちらかというとソングライターとしてのウェイトよりも、ギタリストとしてのポジションを楽しむというテーマで作っていたから。あと、色んなアーティストとのセッションを楽しむというテーマもあって。でも今回は、普通に“山中さわお”を100%出すっていうことでしたね。

●「Answer」をまずシングルとしてリリースするのは、それをちゃんと形にできている曲だったから?

山中:いや、単純にシングルっぽかったからというか。僕はそこであんまり迷わないんですよ。何となく僕は、シングルはタイトルで決めたりもするんです。雑誌はやはり音が鳴らないので、“山中さわお『Answer』”と見た時にその言葉が力を持っていて、何かメッセージを感じられるというか。そういうもののほうが好きだなっていうことですね。

●カップリングの2曲は、どういう経緯で作ったものなんですか?

山中:M-2「Desert me」は最初からシングルのカップリングという想定で作った曲で、…すごくハードルが低い曲です。

●どういう意味ですか!? (笑)。

山中:弾き語りでやっても、何も良い曲じゃないなっていう(笑)。でもベースのジュン(鈴木淳)とドラムのシンヤくん(楠部真也)とセッションしていて楽しかったり、ライブでは意外と良い位置にくる曲にもなったりして。“ロックンロールを楽しむ”っていう感じの曲ですかね。

●確かにライブの1曲目でもおかしくない気がします。

山中:そうですね。でも僕の言う“名曲”というのは弾き語りでやっても良い曲のことなので、そうではないなっていう。これは“ロックンロールを楽しむ”っていうポジションの曲だから、カップリングだなと。

●M-3「moon×moon(ムーン・バイ・ムーン)」は?

山中:これは7〜8年前に作った曲で、元々はあるアーティストから作曲依頼を受けて作ったんです。その時は、Radioheadの「Black Star」みたいな曲を希望されていて。自分的にはその要素も取り入れつつ、その人の歌声も考慮に入れながら作ったんですけど、コンペに落ちちゃったんですよね。だから返してもらっていつかピロウズでやろうと思っていたら、この曲と同じ武器を持つようなミディアムテンポの曲が毎年できてきて、ついそっちのほうが気に入っちゃうんですよ(笑)。

●作品化のタイミングを逃し続けてきたと。

山中:出番が来ないまま、“あの曲はいつやるのかな”と思っていて。でも“(曲に)困った時には「moon×moon」がある!”という安心感もありつつ、時間が過ぎていった感じです。

●それを今作に収録したキッカケとは?

山中:今回は最初、2曲入りのシングルだと言われていたんですよ。それが無茶苦茶ギリギリになって、ディレクターから「3曲って無理かな?」と急に言われて「ええっ!」っていう。“急にそんなことを言われても…”と思っていたら、“(この曲が)あるわ!”って。「出番キター!」と思って(笑)、これを入れました。だから、アレンジもベース以外はほぼ当時のデモテープのままですかね。

●当時から良い曲だとは思っていたものがようやく世に出せた。

山中:作った曲はいつか絶対に発表したいと、僕は思っているんですよ。自分の中で“ボツ”というのは存在しなくて、“いつかは出す。でも今じゃない”という感じなんです。だから建前上は、“お蔵入りというのはない”という気持ちでやっていて。僕の中ではよくあることなんですけど、実際に1枚のアルバムの中でも7年前とか9年前とかに作った曲があるんですよ。バランスを見て、一番輝くタイミングでその席に座らせるっていう。

●2月にリリースされるアルバムにも、そういう曲がバランスよく収録されている?

山中:そうですね。アルバムというのは、やはり団体競技だと今は思っているから。昔は個人競技というか、シングルが10曲集まったものがアルバムだと思っていたんです。それによってガチャガチャしていようが何だろうが名曲が入っていればアルバムだろうという時期もあったんだけど、ここ何年かは違っていて。やはり名脇役がいて、主役を立てて、一番良いドラマを完成させるっていう感じなんですよ。

Interview:IMAI

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