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山人音楽祭 2016

2016/9/24(土)、山人音楽祭 2016 開催!!茂木洋晃(G-FREAK FACTORY)インタビュー

PHOTO_茂木2012年から3年間、群馬県のヤマダグリーンドーム前橋を舞台に開催されたきた“GUNMA ROCK FESTIVAL”。数々の名場面を生み出し、群馬の音楽シーンの代名詞となった同フェスが休催となった2015年を経て、“山人音楽祭”と名前を変えて開催することが発表された。今月号では、全身の血が沸騰する熱い一日を前に、主催者である茂木洋晃にその想いを訊いた。

 

 

 

 

「だからこそやりがいがあるんです。染まっていないから。あり過ぎるわけじゃなくて、足りない場所で、何色にも着色されていないんだったら、“山人音楽祭”のイメージにしちゃえばいい」

●2012年から2014年まで3年間続けた“GUNMA ROCK FESTIVAL”ですが、今年“山人音楽祭 2016”という名前になって開催することを発表されましたよね。改めてお聞きしたいんですが、昨年の休催は残念でしたね。

茂木:でもすごくポジティブな休催だったんです。“できない”と思ったときはさすがにショックでしたけど、そこから“今までできなかったことをやれるじゃないか?”と考えて。あれだけのことをやるには1年のほとんどを突っ込んじゃうわけなので、こういう機会がないと改めて見直せないというか。自分たちの未熟さもそうですけど、1回ちゃんとしっかり考えて、いろいろと固めてからじゃないとやっちゃいけないんだなというのを痛感しています(笑)。

●今になって(笑)。

茂木:今になって(笑)。“無茶”や“無防備”という形容詞が当てはまると思うんですけど、運営していたのはみんな素人だったんです。

●近隣のライブハウスの人たちとかが現場で動いていらっしゃいましたよね。

茂木:そうです。みんなで束になってやったんですけど、素人ばかりだからもちろん問題がなかったわけじゃないし、あれがなかったら壊れなかった関係もたくさんあったと思うし(笑)。

●そうなんですか。

茂木:ああいう無茶をやったからこそ、もっと凝縮されて仲良くなる人も居るけど、距離感を置かなければいけなくなった人も出てきたりとか。“だったらあんなことやらなければよかったじゃないか”という想いもよぎったりしたんです。そういった意味でも「やってよかったね」と満場一致で思えるイベントをやるためには、お休みが絶対に必要だった。

●どこかで無理が生じていた?

茂木:無理はかなり生じていました。イベントって一度データベースを作ったら、それに則ってより良くしていくというものだと思うんですけど、そのデータベースの引き継ぎがあまり上手くできていなかったんですよ。毎年担当が代わったというところもあって、“このままじゃ無理だな”と。0に戻ってしまう…いや、あの光景を観た人からすれば、もはや0じゃなくてマイナスになっているんですよね。

●なるほど。

茂木:だから0にすることが精一杯で、このままだとどんどん首が締まっていっちゃうなと思ったんです。

●去年休もうと決断したのは、いつ頃のタイミングだったんですか?

茂木:去年の1~2月頃ですね。色々と座組が変わることになって、その時点で2月になっていて、今からブッキングするのも難しいと判断して、1年休もうかと。

●そうだったんですね。

茂木:で、立ち上がる際に装いを新たに、座組も今までの無理な部分を精査して、もう1回立ち上がったという。

●なるほど。名前は変わりましたけど、群馬の地でああいう大型のフェスをやるということ自体が、なくてはならないものになっていると思うんです。当然お客さんもそうだと思いますし、茂木さんにとっても。

茂木:そうですね。もっともっとなっていってほしいですし、もっとそういう場所にならなきゃいけないと思っているんです。群馬でやる意味があるからこそ、いろんな人たちが一歩突っ込んで見てくれている部分があると思うんですよ。その人たちに対して“群馬っぽさ”というのをどうやって入れるかが勝負だと思っているんですけど、なかなかこれが難しくて。

●“群馬っぽさ”ですか。

茂木:まず、群馬の形容詞って無いんですよ。例えばそこに海があったら、海にちなむ理由が生まれますよね。地元の人も当然のごとく、ブラジル人がサッカーボールを持つかのように海というものを愛するし。そういうのが根底にあると思うんですけど、群馬は本当に何もないので。

●はいとは言えないけど、はい(笑)。

茂木:無いんですよ(笑)。例えば“GUNMA ROCK FESTIVAL”という名前で勝手に群馬を背負ってやっていましたけど、群馬を形容するグッズのデザインとか何があるんだろう? って考えたら、何もないんです。ネギをプリントして売るわけにはいかないでしょ。

●確かに(笑)。下仁田ネギのTシャツはちょっと…。

茂木:嫌でしょ(笑)。音楽では大先輩をたくさん輩出していたりするとんでもない土壌のはずなんですけど、地元を離れて成功した人たちばかりなんですよね。あの土地にしがみついて苔のようにやるっていうのは、実はずっと弊害があったんですけど、でもそのこと自体が理由になるのかなと。そういう意地みたいな感じはありますね。

●今まで“GUNMA ROCK FESTIVAL”を経験している立場からすると、“今年は何か変わるのかな?”というところが気になっていると思うんですが。

茂木:今年はもっと良くなるはずです。でも具体的に大きく変わるところはたぶんないですね。

●会場が同じだし。

茂木:やりようがないですからね。例えばレイアウトは、今まで大きな問題は無かったんですけど、明らかに失敗の部分もたくさんあるんです。

●そうなんですか? 特にわからなかったですが…。

茂木:あったんですよね。そういう部分…基本的に運営面なんですけど…おそらくどのフェスもあるんでしょうけど、“このままだとパンクするな”というところはありましたね。

●ということは今回の刷新は、今年だけではなくて、来年以降も続けることを考えて組み直したということですね。

茂木:もちろんです。そのためにも、今年は絶対に成功しなきゃいけないんです(笑)。来年以降のために。

●出演者はもうすぐ発表になると聞いているんですけど、どんな感じになりそうですか?

茂木:おもしろいものになると思います。ブッキングは結構早めから動いていたんですよ。僕らが憧れている人だとか、僕らの本当に強い仲間とか、あとはライブを観て感化された人だとか。基本的には、そういう人たちを第一にお願いするという希望で。なかなかブッキングは難しいものですけど、ただやっぱり、1年経って名前が変わって開催するということは、より良くなくちゃダメだと思うんですよね。僕らも含めて全部が“あぁ~、なるほどな”とならないとダメだなと思って。

●確かに。期待が高まりますね。

茂木:言うだけ言っておきます(笑)。これから毎日プレッシャーを感じるように(笑)。

●ハハハ(笑)。去年やらないと発表したとき、ファンの人からの声はありましたか?

茂木:ありました。それがいちばんキツかったですね。というか、「やらない」と発表をする前がいちばんキツかった。

●発表する前?

茂木:「今年こそは何が何でも行きます!」と言ってくれる人が全国にたくさん居たんですよ…ライブなどで行く先々で毎回言われていたんです。

●それはめっちゃキツいですね。

茂木:めちゃくちゃキツかったです。でもそれって、3回やれたことで何かがその人に届いたということで。

●そうでしょうね。来なかった人にも届いているということですから。

茂木:バンドもそうだけど、俺らは20年近くやっているじゃないですか。最近思うのは、これってある意味才能なのかな? と。

●続けることが出来るのは才能だと。

茂木:今よりもっとヘコんでいる時期があったりしたけど、その間も続けられたのって、あまり考えてなかったからかなと思ったりするんですよ。だから、あまり考えてないことも才能なんじゃないかな? とか。

●確かに。

茂木:やっぱり辞めちゃったやつは例えすごくテクニックがあっても、続ける才能がないということは、たぶん才能がないんですよ。

●なるほど!

茂木:低空飛行でも続けられていることが、才能のひとつなんだなと。こういうイベントもきっとそうで、0から1にすることがいちばん大変なんですけど、今回は0からじゃないので。0.6くらい…なんだったら1年休んで0.2くらいまでにヘコんだとしても、あとは少し足せば一昨年の形にはなりますよね。もっと言うと、ここに1を足せば1.2になる。そういう日にしたいですね。

●「続けることは才能じゃないか」とおっしゃいましたけど、なぜそういう風に思ったんですか?

茂木:続けることで、フレッシュさはどんどんなくなっていくと思うんですよ。例えばほとんどがイメージじゃないですか。群馬のイメージだったり、“GUNMA ROCK FESTIVAL”のイメージだったり、“山人音楽祭”のイメージだったり、G-FREAK FACTORYというバンドのイメージだったり。

●そうですね。「◯◯ってこういう感じだよな」と漠然とですが、イメージで認識していますよね。

茂木:だから俺らは一回バンド名を変えた方がもしかしたら違う位置に居たかもしれない。そのイメージを作ることも難しいんですけど、取っ払うことはもっと難しくて。だからこれからもう一回新しく“山人音楽祭”というもののイメージを付けることができると考えたら、それはやりがいがあることだと思うんです。

●そうですね。そして続けることでそれが更に濃くなっていく。

茂木:基本的に、7割くらいの人が実際をわかっていなくて大概イメージだと思うんです。特にバンドやイベント、フェスに対しては。

●ハッキリ言えないですけど、イメージは持っていますね。

茂木:“楽しそう”とか“楽しかった”とか。

●僕も既に、群馬は“GUNMA ROCK FESTIVAL”のイメージが付いてますよ。

茂木:でも地元の人もそうなのかもしれないです。メリットという面でいえば、群馬の人の動員が半分を占めていたので、それは大きいかなと思うんです。東京に行かなくても行けるフェスだとか、日帰りができるとかいろんな理由があると思うんですけど。あとライブハウスには行き難いけど、ああいう場所だったらお祭りっぽくて行けるとか。要するに、音楽に対してグレーな人たちが遊びに来てくれるんです。だからハイヒールで来ちゃったりっていう人も居たりするんですけど(笑)。

●なるほど。普段ライブハウスに行かないからわからないんですね。

茂木:「すごいんだね、人が人の上を歩いたよ!」とか言われたり(笑)。でも実際あれは、ライブハウスではアリなことを、風通しをよくした公の場所で、“僕らはこういうことをやってます”というのを見せているわけですよね。「来て楽しかったな」と言ってくれた人が、本当はライブハウスに来るようになってくれればいいんですけど、なかなかその壁もあって。でもフェスのリピーターになってくれるんだったら、それはすごく嬉しいなと。

●今年が“山人音楽祭”の1回目じゃないですか。目標ってあるんですか?

茂木:いつか野外でやりたいです。

●土地はいっぱいありますもんね。

茂木:土地しかない(笑)。ちゃんと成功を続けながら自分たちが成長して、いわゆる全部の筋がバシッとハマらないと、その冒険はできないと思うんです。まだグリーンドームでやらなきゃいけないことがあるし、まず有り余る成功があってからじゃないと。まず順番的に、“山人音楽祭”のチケットがソールドしてほしいですね。

●名前だけでお客さんが行きたいと思えるようなフェス、ということですね。

茂木:もしくはそこが見えるところまでちゃんといけるのであれば、野外でいつかやりたいです。

●なるほど。先ほど「群馬を形容するものがない」という話がありましたけど、群馬はどういう土地だと思いますか? 確か以前、いちばん最初の“GUNMA ROCK FESTIVAL”のインタビューで、「群馬の人たちの誇りになるような場所にしたい」とおっしゃっていましたよね。何もないからこそ、そういう場所を作りたいと。

茂木:それは今も変わっていないですね。“山”と“人”が自分たちの宝物だということでイベント名を“山人音楽祭”にしたんですけど、やっぱりそういうことになると思うんです。

●はい。

茂木:ほとんど毎日探しているんですよ、“群馬で何かないかな?”って。群馬の人に会ったときにも県外の人にも「群馬ってどういうイメージがある?」と訊いたり。そうやってリサーチしたりもするんですけど、みんな群馬に対してあまりイメージを持ってくれてないんですよね。

●そういうことか。

茂木:でも、だからこそやりがいがあるんです。染まっていないから。あり過ぎるわけじゃなくて、足りない場所で、何色にも着色されていないんだったら、“山人音楽祭”のイメージにしちゃえばいいだけじゃんっていう。

●本当にそうだと思います。

茂木:それは誇りというか、やっていきながら変わっていったんですけど、俺は“ヤンキーがここまで来れる”っていうのを群馬の人に見てもらえたら、火がつくんじゃないのかなと思っているんです。ただ、俺もそうなんですけど、群馬の人はあまり徒党を組むことをしないので(笑)、「一緒にやろうぜ」と言うやつは全然いないんですね。“あいつがこれをやったなら、俺は違う場所でこれをやってやろう”という。

●それ、なんとなくわかる(笑)。

茂木:でも古くはBOØWYやBUCK-TICKから降りてきた、音楽を生み出す土壌っていうところはあるみたいなので、火をつけたらおもしろいことになるような気がしていて。

●“山人音楽祭”がいろんなきっかけになって、群馬がおもしろくなる可能性はいろいろありそうですね。

茂木:そうですね。そういうやつらにも「立ってみないか?」と。それで一緒に立ってボッコボコにするという(笑)。

●さすがヤンキーだ(笑)。

interview:Takeshi.Yamanaka
Assistant:森下恭子


 

“山人音楽祭 2016”
9/24(土)ヤマダグリーンドーム前橋
http://yamabito-ongakusai.com/