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真空ホロウ

“Slow and steady”の精神で前進を続ける3人が放つ待望のニューシングル!

ファンからの要望に応じて今年4月に開催したワンマン公演を大盛況に終えた、真空ホロウ。

その場でも発表されたとおり、ニューシングル『Slow and steady』がタワーレコード限定・生産限定盤としてリリースされた。前作の5曲入りアルバム『ストレンジャー』以来、約1年ぶりとなる新作はまさに待望の1枚と言えるだろう。

昨年には“ROCK IN JAPAN FES.2011”や “ARABAKI ROCK FEST.11″などの大型フェスにも多数出演し、ロックファンの間で注目を集めている彼ら。

自分たちの歩幅で進化を続ける3人の“今”を感じられる1枚だ。

#Interview

「僕も"変な夢"を見ている中の1人なんです。演奏している側の僕自身もお客さまから"夢"を見させて頂いているし、僕らも"夢"を見せている」

●4/8にあった新宿LOFTでのワンマンも観させて頂いたんですが、ライブでの(松本)明人くんはちょっと怖いくらいの雰囲気がありますよね。

松本:(先月号のライブレポートに掲載したライブ写真の自分を指さしながら)…この人、怖いですよね。

●別人になっているような感覚なんですか?

松本:そうかもしれない。僕は…この人とはきっと友達になれないです(笑)。

●ハハハ(笑)。普段は内面に秘めている狂気的な部分をライブや音源では出しているんでしょうか?

松本:きっとセーブをかけていないだけなんだと思います。ワンマンのタイトルを"また変な夢見ちゃった…(15歳・女 茨城県)"にしましたけど、僕も"変な夢"を見ている中の1人なんです。演奏している側の僕自身もお客さまから"夢"を見させて頂いているし、僕らも"夢"を見せている。

●逆に言えば、普段は自分にセーブをかけている。

松本:そうですね。だから最近、歌いたくて仕方がない。でもそこで考えてしまう自分にも腹が立つんですよ。自分で楽しくないことをやるべきではないと思うし、それで…吹き出物ができます(笑)。

●年頃の乙女か! (笑)。聴き手を想像して、自分の表現にブレーキをかけてしまう?

松本:僕の歌で伝えたいことは、誰かに強要したり同意を求めたりするものではないと思うんです。聴き手がどう受け取るかは自由だし、今の僕が出したいものや歌いたいことを、今の僕らが出したい音で表現しているだけなので。でもメンバーに持っていく時点では、メンバーの目を気にしちゃうんですけど…。

●メンバーがどう受け取るかも気にしちゃうんだ。

松本:作詞クレジットに"松本明人"と書いてある時点で責任は僕が負いますけど、"真空ホロウ"の作品として出す以上は3人全員の言葉になってしまう。そこの責任を僕はメンバーに見せる時点で負うわけです。

●では、メンバーの意見で歌詞を変えることもあるんですか?

松本:あります。もし「ここをこんなふうに歌われると僕なら傷付く」と誰かが言ったとしたら、変えますね。

●3人全員が納得できる歌詞や曲じゃないと、形にしないと。

松本:そうですね。CD化もしないです。

●今回のシングル『Slow and steady』だけじゃなく過去の作品もそうですが、どれがリード曲になってもおかしくないほどクオリティが高いのは、そういう姿勢があるからこそだと思います。それによって、ハードルも高くなるわけですから。

松本:まさにそうだと思います。原曲とは全然違う形になっているものもたくさんあるんですよ。だからこそ、作曲クレジットは"真空ホロウ"なんです。Dr.大貫くんが言っていたんですけど、僕らは3人が勝負し合っているんですよね。(ボーカルも含めた)4つの楽器が全部主役で、でも引くところはちゃんと引く。…そう考えると、全員ナイーブなのかもしれない(笑)。

●(笑)。お互いに気を遣いながらも、せめぎあいの中で制作している。

松本:スタジオは、すごく殺伐としています…。

●ライブで(村田)智史くんがMCしている時のような、ほんわかした空気はない?

松本:ほんわかとした空気を作ってくれるのも彼ですけど、逆にピンッと張り詰めている部分もあって。ずっと張り詰めているからこそ、たまに出る彼のおちゃらけた感じが冴え渡る。それはもしかしたらステージと一緒かもしれないです。

●そんな環境の中で今回の『Slow and steady』は制作されたわけですが、収録しているのはどれもここ最近で作った曲なんですか?

松本:今作には、この3年くらいの間で作った曲が入っていて。偶然なんですが、1曲目から3曲目へとどんどん遡っていく形になるんですよ。

●ということは1曲目の「%(パーセンテージ)」が一番最近に作った曲?

松本:そうです。まさに今の真空ホロウが表されていると言ってもいい曲ですね。"これから自分たちはどうやって音楽をやっていくんだろうか?"と考えた時に、この歌詞ができました。

●歌詞の言葉としては結構、アイロニックな印象を受けますが…。

松本:やっぱり内にたまっているものは吐き出さないと、吹き出物になっちゃいますから(笑)。聴く人によっては、すごくアイロニーが詰まった作品だと受け取ってもらえるんじゃないでしょうか。

●でも最終的には、前向きな方向に向かっている?

松本:はい。よく「欝っぽい」とか言われるんですけど、自分の中ではけっこう前向きなんですよね…。

●(笑)。M-2「シンデレラコンプレックス」の歌詞もアイロニックな感じがします。

松本:これはライブハウスでステージ上のアーティストの目を身動きもせずにじっと見つめているような女性の表情を思い浮かべながら、「闇に踊れ」の主人公になった気持ちで書いてみました。

●前作の『ストレンジャー』に入っていた「闇に踊れ」とつながっている。

松本:僕はそう解釈しています。「闇に踊れ」は、自称プロサーファーと元アイドルのレイヴパーティーをイメージしていたんですけど(笑)。

●そこだけ聞くとすごく軽薄なイメージですが…(笑)。続くM-3「perfect circle」は、普遍的なテーマを歌っている気がします。

松本:一番気を遣っていない歌詞ですね。「perfect circle」というタイトルなんですが、歌詞の内容は"perfect circle"ではないんですよ。答えを求めているのはそこにいて、この曲を聴いているあなたなので…。だから、(答えを求める相手を)"神さま"という実態のないものに置き換えているのかな。

●この曲もある意味ではアイロニックというか。

松本:そうですよ。自分を含め、みんな他人のせいにするじゃないですか。逃げ方としては一番簡単で楽なんですけど、(そうしてしまうことに)自分の中でも納得がいかなくて。

●ちなみに歌詞の"口でイカせて?"というのは…下ネタ?

松本:まあ、色んなことがありますから…(苦笑)。この曲は、ちょっと陰ってきている太陽の下で舟に乗っているような気持ちで聴いてもらえたらなと。オレンジがかった空の水平線まで見えるような広い場所で、波の揺れに身を任せているような感じです。

●あ、ちょっとロマンティックな方向に無理やり引き戻しましたね(笑)。まあ、真空ホロウは"夢"を見せる立場なわけですからね。

松本:でも"夢"って、"逃げ"ですからね。過去も未来も見れてしまう。

●"こうだったら良かったな"とか"こうなれば良いのに"っていうことですよね。でも真空ホロウが見せる"夢"はそういう自己満足的な空想じゃなくて、今この瞬間にしかない非現実的な場所へ連れ去ってくれる"夢"というか。

松本:今から起きることって、今から作るわけじゃないですか。それが自由で、面白いんですよね。だから、ライブが好きなんです。自分たちはすごく夢みたいなことをやっているなと、ずっと思っていて。

●その"夢みたい"というのは?

松本:僕たち3人が今一緒にいて、そこにすごく大勢の方が集まって下さっているということ自体、ありえないことじゃないですか。きっと運命を信じてしまえば、運命なんだろうなって。4/8のワンマンだって、リリースもなくただ単に久しぶりのワンマンをやるというだけなのに、あれだけの人が集まってくださった。本当に夢を見ているようだったし、僕らも"これからも見せてあげたいな"って素直に思えたんです。色んな想いがグワッと込み上げてきて、智史さんがMCで泣いちゃいました。

●あれはそういう想いからだったんですね。

松本:すごく人間的なんです。横で見ていて、どうしようかと思いましたけどね。今では彼と接している時間が一番長いんですけど、もし真空ホロウを組まなければ彼とは一生話さなかったと思います(笑)。

●確かにタイプが全然違う…(笑)。

松本:一緒にバンドを組むまで、話したこともなかったですから。なぜこのメンバーで結成したのかと訊かれると、自分でも"どうしてだろう?"と思いますね。本当に偶然なんです。仲良しバンドじゃないですけど、メンバー間には良い距離感があって。

●だからこそ続いているというのはありますよね。そして今回ようやく久々のリリースが実現したわけで、この『Slow and steady』というタイトルにも今の想いが込められているのでは?

松本:自分たちがこの作品で何を表現したいか、どんな気持ちで作ったかを総称しているのはまさにこの言葉だなと。ご共演させて頂いて仲良くなった真空メロウのVo./G.今井勝彦さんにも「勢いを出さなきゃいけない状況にあるバンドが、slowとsteadyっていう勢いのない単語を使うにはすごく勇気がいる」と言われましたけど。

●"ゆっくりと着実に(急がば回れ)"という意味ですからね。確かに勢いはない(笑)。

松本:アイロニーも含まれていますし、"こういう精神ですみません"という意味もあって(笑)。でも、3人の根底に置く気持ちとしてはきっと変わらないんだろうなと。少しでもこういう気持ちがないと、やっていけないから。

●そんな想いを込めた今作に、この3曲を選んだ理由とは?

松本:タイミングというか、"時間"ですね。ジャケットが時計の絵なんですけど、3曲とも時間が関係していて。まず「%」は、"今"を歌っているんです。「シンデレラコンプレックス」は"COUNTDOWN JAPAN 11/12"に出演させて頂いた時から既にやっていて、みんなも聴き慣れている曲だから今出すべきじゃないかと。「perfect circle」に関しても昔よくライブでやっていた曲なので、今出さないともう出せなくなってしまうかもしれない。そんな今じゃなきゃ出せない曲を今回は集めました。

●リリース自体もまさに"待望の"という感じですよね。

松本:僕たちが"Slow and steady"という精神だから、きっと色んな方が待ってくれているんだろうなと思うんです。今作には色んな"待つ"の意味が込められてあって。「%」の歌詞は昔話の『うさぎとかめ』に例えると、先にゴールして待っているかめの立場なんですよ。「シンデレラコンプレックス」は、シンデレラが王子様を待っているイメージで。「perfect circle」に関しては昔から知っている人だけじゃなく、僕らもCD化を待っていた曲で。そして今はCDがお店に並んで、お客さんが手に取ってくれるのを待っている…という感じですね。

Interview:IMAI
Assistant:Hirase.M