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矢沢洋子&THE PLASMARS

信頼する仲間を引き連れ、彼女は新たな道を行く

矢沢洋子が2ndアルバム『Give Me!!!』をリリースしたのは、昨年8月のこと。そこからライブの本数をそれまで以上に増やし、ライブハウスシーンでその名を見かけることも頻繁になってきた。さらには台湾や中国大陸でのライブも行うなど、ライブの場を求めて積極的に活動範囲を広げてきたこの1年。彼女の中ではライブというもの自体への意識に変化が生まれ、それが活動形態の刷新にもつながっていった。そして前作から1年以上の時間を経て生み出された新作は、“矢沢洋子&THE PLASMARS”という新たな名義でリリースされることとなる。信頼できる仲間たちと共に磨き上げたライブ感を詰め込んだ今作から、彼女はまた新たな道へと一歩踏み出していく。

「私たち矢沢洋子&THE PLASMARSはメチャクチャ楽しみながらやるだけなので、お客さんも負けないくらい楽しんでほしい」

●前作の2ndアルバム『Give Me!!!』リリース後、この1年でライブの数がものすごく増えましたよね。

洋子:本当にライブばかりやっていた印象がありますね。特に2012年に入ってからはGacharic Spinとのカップリングツアーがあったり、オズともツアーをまわったりして、かなり濃かったなと思います。自分の中でのライブに対する想いも、ちょっと変わってきたというか。

●それはどういったところで?

洋子:今までは特定のバンドとカップリングツアーをガッツリまわるということ自体、あまりなかったんですよ。それをGacharic Spinやオズと一緒にやったことで、“イベント全体を楽しんでもらうにはどうすればいいんだろう?”ということをより考えるようになったんです。対バンのお客さんをこっちに引き込んで、逆に自分のお客さんにも一緒にまわっている仲間を好きになってもらうということの大切さを知りましたね。

●今年8/1に出て頂いた“JUNGLE STREAM 3”では洋子さんのお客さんもモッシュやダイブに加わって、すごいことに…。

洋子:あの日は本当にすごく良いイベントだったなと思います。私のお客さんは年齢層が高い人もいるので(笑)、モッシュやダイブというものをそれまであまりやっていないはずなんです。でもGacharic Spinとツアーをやった時にファン同士が仲良くなって、そこからすごいことになったんですよ(笑)。

●年輩の方のダイブ姿を初めて見ました(笑)。そうやってファン同士が交流することで、世代も上手く混ざり合うというか。

洋子:以前はイベントに来ても矢沢洋子のライブしか観ないファンが多かったと思うんですけど、最近ではみんなが最初から最後まで楽しんでくれている感じがして。ライブハウスの楽しみ方というのはそういうものなんだということを、私自身も教えてもらえた気がします。

●台湾や中国大陸でのライブ経験も大きかったのでは?

洋子:去年の12月に初めて台湾に行かせて頂いたんですけど、色々とありましたね。まず日本語が通じないじゃないですか(笑)。どうやってお客さんとコミュニケーションをとるのか、すごく考えました。中国語の自己紹介を覚えたり、英語でMCしたり、これはかなり精神的に強くなったと思います。日本では絶対にないような機材トラブルとかも起きるんですよ。日本に帰って来た時に、普通にライブができるって、こんなにありがたいことなんだと実感しました(笑)。あとは、台湾最大級ロックフェスのメインステージで歌ったりもして。台湾の人たちが、すごく盛り上がってくれたのはありがたかったですね。アメリカやヨーロッパから移住してきた方たちがモッシュしてくれたり、ライブ後にアンコールを求められたりしたのはうれしかったですね。

●中国大陸はどうでしたか?

洋子:台湾がそういう感じだったので中国大陸でも余裕かなと思っていたら、大陸はまた全然違っていて(笑)。大陸の人たちは私が曲を歌っている最中はずっと静かに見ていて、最初はやりづらいなと思ったんです。でも1曲1曲が終わる度に大歓声を挙げてくれて、それが中国大陸と台湾の違いなんだなと勉強になりましたね。でも大陸の都市によって、ノリ方が全然違うらしいんですよ。

●中国大陸と台湾の違いも実感したと。

洋子:でも、どちらも楽しかったですね。台湾ではスクールバスみたいな車で先輩・後輩も関係なく、みんなで移動したりして。そういうことって日本ではなかなかないことなので面白かったです。同じバスにSA先輩、THE STAR CLUB先輩も乗っていたので、興奮しちゃいました(笑)。

●そういう大先輩と一緒にライブをできたのも、良い経験になったのでは?

洋子:貴重でしたね。音楽を始めた頃からマネージャーと「この人といつか一緒にやってみたいよね」と話していた人たちと、やっと去年くらいからやれる機会が増えてきたんです。そういう大先輩とやる時は気合も入るけど、ビビる部分もあって(笑)。でも、やる以上は“死んでも自分が持って行かなきゃいけない!”という想いがあるから。勝ち負けの問題じゃないけど、そこに来たお客さんに「矢沢洋子、ボロ負けじゃん」とは言わせたくない。そういう機会があるのは、とても大切なことだなと思いました。

●そういう経験をする中で、ご自身のライブも進化している実感はある?

洋子:自分で言うのも何ですけど、1年前の自分と最近の自分はすごく違うなと思いますね。特に最近は名義も“矢沢洋子&THE PLASMARS”に変えたのもあって、本当に変わったんじゃないかな。

●今回の名義変更は、バンドとしての意識が高まってきたから?

洋子:以前からライブハウスの店長さんや先輩から「バンド名にしたほうがいいんじゃない?」と言われていて、自分でも確かにそうだなとは思っていたんです。でも“矢沢洋子”名義に変えてから何年か経って、ようやく浸透してきていたところでまた変えるというのはやっぱり怖くて。事務所から許可が降りるかどうかの不安もあったし、なかなか踏み切れずにいたんですよ。

●そこから、この名前になった経緯というのは?

洋子:8月に古河Spiderでギターウルフと初めて対バンした時に、ライブが終わった後でG./Vo.セイジさんが「バンドでやったほうがいいよ! 俺が名前を考えてやる!」と言って下さって。そこで“矢沢洋子&THE PLASMARS! これだ!”と言われて決まりそうになったんですけど、その場は「検討します」ということで持ち帰らせて頂いたんです(笑)。

●そこでもすぐには決断できなかった。

洋子:その後で“RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO”へ出た時に、怒髪天の増子さんからも「矢沢洋子&THE PLASMARSって、いいじゃん!」と言われて、どんどん引き下がれなくなっていき…(笑)。そのまま今作をリリースするタイミングまで来てしまったので、どうせ名前を変えるならジャケットにもドカンと新しい名前を入れたいと。レコ発ツアーも“矢沢洋子&THE PLASMARS”でやらなきゃということでいよいよ腹を括って事務所に相談してみたら、意外にあっさりとOKが出たんです。そこからはすぐ動いて、次のライブから早速この名前でやっていましたね。

●命名したのはセイジさんだったんですね。

洋子:そうなんですよ。今年の“ロッケンロー☆サミット2012”でセイジさんに報告したら、すごく喜んでくださって。たぶんセイジさんが言わんとしていることは、プラズマがバババババ!っと出ているイメージで、それが“プラズマーズ!”っていう感じなんだろうなと。メンバーとは、せっかくセイジさんが付けてくれた名前なので「プラズマーズのテーマ」を作ろうという話をしています(笑)。

●今作を作り始める段階では、名前を変えると決まっていたわけではない?

洋子:制作に入る段階では決まっていなかったですね。今までどおり、“矢沢洋子”名義でミニアルバムを出す予定でした。

●作品のイメージはあったんですか?

洋子:常に思っていることなんですけど、“ライブでみんながより楽しめて、一緒に盛り上がれるように”ということを考えながら今回も作りました。だから、ずっとライブでやっていたM-5「THE WILD ONE」(Suzi Quatro)も、今回は入れちゃおうということになって。この曲をやり始めてからライブが良くなってきたと自分では思っているので、そういう意味でも大切な曲ですね。

●Suzi Quatroが理想とするヴォーカリストだったりもする?

洋子:女がロックをやるというのは、男がロックをやるのとはやっぱりどこか違うと思うんですよ。カッコ良くなきゃいけないという点では同じかもしれないんですけど、やっぱり女には女の打ち出し方があるから。どこかキュートな部分やセクシーな部分がありつつも、それを出しすぎて男に媚びている感じになったら終わりだと私は思っていて。男には絶対に出せない部分を出せているという点で言うと、Suzi QuatroやJoan Jettはカッコ良さもありつつ“女”という面も非常にバランスよく出せているアーティストだなと。だから、すごく憧れていますね。

●目指すところはカッコ良い女というか。

洋子:そもそも「かわいい」ってあんまり言われないんですけど(笑)、やっぱりライブが終わった後に「カッコ良かった」と言われるほうがうれしいかな。自分としては30歳も近付いてきたところで、今後は“番長”的なムードも出していこうと思っています(笑)。

●声もハスキーで、迫力がありますからね(笑)。対バンとかに対する、負けん気もすごく強いのかなと。

洋子:対バンに対してはすごくあります。先輩に対しても“絶対に負けない!”という気持ちでやっているし、それをあえて口に出すようにもしているんです。それって、“私が一番!”ということを念じているんでしょうね。良いバンドはみんな、絶対そう思っていると思うんですよ。私を目当てに来ていないお客さんも含めて、“全員持って行ってやる!”という気持ちでいつもやっています。

●自分のファン以外にも向けているからこそ、巻き込めるんですよね。

洋子:そうじゃないと、ただの自己満足で終わっちゃいますからね。ファンの人は愛があるから何をしても「良かったよ」と言ってくれるんでしょうけど、もっと上に行くためには初めて観た人が「えっ!? なにこれ!? すげぇじゃん!!」と思うくらいじゃないとダメなんです。1回ライブを観ただけですぐファンになるというのは難しいだろうけど、そこを何とかしたいという気持ちでやっています。

●そういうライブで巻き込んでいく感じが、特にM-1「ROSY」にはよく出ている気がします。

洋子:この曲はニューロティカのBa.KATARUさんに書いて頂いたんです。私のラジオ番組にゲストで出て頂いた時、一緒に飲みに行って。その時に話の流れでKATARUさんが「今度、曲を書かせてよ」と言ってくれて、本当にその後すぐに曲を作って送ってきてくれたのが「ROSY」だったんです。結果的にリード曲になって、PVもこの曲で撮ったことを伝えたら、KATARUさんもすごく喜んでくれていました。

●PVもこの曲で撮影したんですね。

洋子:「ROSY」は今までの楽曲にはなかったファニー感が上手く出せたなと思っていて。だからPVの雰囲気も今までのクールな感じとは違って、あえてギャグっぽいシーンも入れたりしたんです。

●歌詞はどんなイメージなんですか?

洋子:この曲の歌詞に関してはすごく深い意味があるというよりも、みんなにすぐ覚えて口ずさんでもらえるようなサビがあって、楽しい雰囲気が伝わればいいかなと。“ROSY”には“バラ色の”という意味があるので、“色々あるけど、無理矢理にでも自分の人生をバラ色にして楽しんじゃえ!”っていう意味でタイトルを付けました。

●曲中の掛け声っぽいコーラスもライブで盛り上がりそうですね。

洋子:今回の曲はライブでガンガンやりたいから、メンバーにも声を出してもらうようにお願いして。みんなノリノリでやっていましたね(笑)。

●そのあたりもバンド感として出ているのでは?

洋子:今のメンバーと一緒にやり始めて、もう4〜5年は経っているんですよ。“矢沢洋子”名義でライブをやっている時から、“サポートはサポート”という感じになっちゃうのが私はイヤで。メンバー本人にも言ったんですけど、自分のバンドのヴォーカルが矢沢洋子だという感覚で一緒にやってほしいという想いがあったから。

●単なるサポートではなく、正式なメンバーという意識でやってほしかった。

洋子:「あなたたちはもうメンバーだから」っていう気持ちがここ1年でより強くなってきていたので、そういう意味でも“THE PLASMARS"という名前が付いたのはすごく良いタイミングだったと思います。名前が付いたことによって、“これからはTHE PLASMARSとしてやっていくぞ”という感じにもなったし、突然決まったことではあるけど、良い感じにまとまったんじゃないかな。

●運命的なタイミングだったと。続くM-2「バイバイBOY」も、ライブで盛り上がりそうな曲ですが。

洋子:実は自分的には、今作の中で「バイバイBOY」が一番気に入っていて。歌詞が思い浮かばなくて色々と考えていた時に、色んな男の子に口説かれるんだけど、同性には嫌われちゃうような女の子のイメージが浮かんだんです。現代というよりは、ちょっと古い感じのバーを舞台に設定しているんですけど。

●昭和っぽい感じですよね。

洋子:昭和っぽい感じがすごく好きなんです(笑)。そういうイメージを歌詞とメロディで上手く出せたなと思うので、個人的には一番気に入っていますね。

●M-3「メリーゴーランド」のメロディも昭和っぽいですよね。

洋子:私の曲ってなぜか毎回、“昭和臭”が出てくるんですよね(笑)。マンガとかでもそういう時代設定のものが好きだし、理由はよくわからないけど、気に入るのはそういう曲が多いです。

●この曲も含めて今作では5曲中3曲が古城康行さんの作曲ですが、そういう要素が強かったから選んだ?

洋子:意図的に選んだわけじゃなくて、作曲者名を見ずに選んだものが全て古城さんの曲だったんですよ。だから自分のどストライクの、気持ち良いところを突いてくれているということなんでしょうね。

●好みが合うんでしょうね。「メリーゴーランド」は、裏打ちが使われているのも特徴かなと。

洋子:裏打ちの部分が気に入ったので、この曲を歌いたいと思ったんですよ。でもどういう歌い方をするかで悩んで、歌入れは大変でしたね。声を張る感じで思いっきりロックっぽく歌うと合わなくて、録り直しもしたんです。柔らかく歌いすぎても違うし、何度か録り直して今のバランスになりました。

●この曲の歌詞はどんなイメージで?

洋子:今回はこの曲に限らず、サビにハマった言葉から歌詞を書くというやり方だったんですよ。前作では自分の中で色々とストーリーを組み立ててから歌詞の言葉を埋めていったのに対して、今回はサビにハマる言葉が浮かんでからAメロやBメロの歌詞を書いていったんです。ストーリーは後付けで考えていった感じでしたね。この曲に関しても“メリーゴーランド”という言葉がまず出てきて。メリーゴーランドは本来は同じところをぐるぐる回っているんですけど、この歌詞の中では“ある日、木馬がそこから抜け出して知らない世界へ旅に行く”というストーリーを作りました。

●M-4「moon light shadow」もそういう方法で歌詞を書いたんですか?

洋子:この曲の歌詞は、もう死にたくなるくらい書けなくて(笑)。最初にサビの“ムーンライトシャドウ”というフレーズが浮かんでから、自分の中で絶対に譲れなくなっちゃったんですよ。他の言葉にすればすぐ書けたかもしれないけど、どうしてもサビにそのフレーズを入れたかった。この曲が仕上がるまでには、1ヶ月以上かかりましたね。

●そこまで苦しんだ原因は何だったんでしょう?

洋子:今作で唯一のバラードなので、大事にしたかったというのもあったかな。“ムーンライトシャドウ”という言葉には温かいイメージがあったんですけど、それだけじゃつまらないなと。最終的に“人魚姫”のイメージが浮かんだので、最後の方に“照らされれば 泡になって消えてしまうから”という歌詞を入れたんです。でも、そこまで行くのにすごく時間がかかって大変でした。前回はすごく速かったんですけど、今回はどの曲も歌詞を書くのにすごく時間がかかりましたね。

●今までよりも、作品へのこだわりが強くなったというのもあるんじゃないですか?

洋子:前作まではプロデューサーの意向が割と反映されていたんですけど、今回は本当に自分の意志が強く出せていて。ギターもベースもドラムもコーラスも全部“みんなで一緒に作ろうぜ!”という感じだったので、今までにないくらい自分の意見を出しましたね。

●アーティストとしての自我が目覚めたというか。

洋子:歌も自分で聴いて“ここは直したいな”と思った部分を録り直したりしているんですけど、ここまでやったのは今回が初めてでしたね。色んなことが重なってのことだとは思うんですけど、自分の中で“もっともっともっと!”みたいな部分がより出てきていて。

●それが今回は形になったと。曲数としては5曲入りのミニアルバムになりましたが、これは最初から決まっていたんですか?

洋子:今回は前作から1年以上も空いてしまったので、今後はもっとコンスタントに作品を出していきたいなと思ったんです。フルアルバムを作るとどうしても息切れしてしまって、また間が空いてしまうことにもなりかねないから。だったら今回はあえて収録曲を少なくしようと。本当は、もっと曲数があるんですけどね。

●リリースのスパンを短くするために、ミニアルバムにしたと。

洋子:それでどんどん新しい曲をライブでやっていけば、マンネリ化もしないですからね。

●タイトルの『ROUTE405』の“405”は“洋子”のことなんですよね。

洋子:昔、ロサンゼルスに住んでいたんですけど、“405 Freeway”というものすごく渋滞することで有名な名物道路があったんですよ。中学生くらいの頃から、その“405”って“洋子”のことだなと勝手に思っていて。自分の名前であり、ルーツでもあるというか。『ROUTE405』というタイトルは、“私はこの道で、こういう感じでやっております”というのがすごくわかりやすくていいんじゃないかなと。

●自分の生きざまを示している感じですね。今作はライブ感もより増しているので、ツアーが楽しみなんじゃないですか?

洋子:すごく楽しみですね。私たち矢沢洋子&THE PLASMARSはメチャクチャ楽しみながらやるだけなので、お客さんも負けないくらい楽しんでほしい。私のお客さんには今まで知らなかった対バンの良さも知ってほしいし、逆に他のバンドのお客さんで初めて私のライブを観るという人には“楽しみにしておいてね!”という感じです。

Interview:IMAI

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