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新生・鴉、第二章の幕がここから開いていく

今年3月にドラマーのメンバーチェンジを経た新生・鴉が、現編成での第一弾となる音源を8/17にリリースする。昨年12月に発表した1stフルアルバム『未知標』以来のリリースとなる今作『感傷形成気分はいかが』は、彼らにとって通算2枚目のミニアルバムだ。“鴉”という名を強烈にシーンへと刻みつけた、インディーズ時代の1stミニアルバム『影なる道背に光あればこそ』(2009年)。その衝撃の出会いをフラッシュバックさせるような、インパクトが今作にも備わっている。
ささやくような歌声での始まりにいきなりハッとさせられるM-1「幻想蝶」から、そのインパクトは強力だ。耳に残る独特のコーラスワークには斬新さも感じる。そしてフック十分のメロディをエモーショナルに歌い上げるサビでは、真骨頂とも言えるヘヴィなサウンドが炸裂! Vo./G.近野の歌声とも合わさってエロティックな響きすらある歌詞に含まれた毒に、いつの間にか侵されているような戦慄的キラーチューンだ。
今作のタイトルにもなっている“感傷形成気分はいかが”という印象的な歌い出しから始まるのは、M-2「居場所」だ。歌謡曲的な匂いのする物憂げなメロディは心地よく響いてくるようで、耳を澄まして聴いてみれば歌詞にはこれまた強力な毒を秘めている。次のM-3「春」は冒頭から疾走感溢れる展開に、ライブで盛り上がること必至の1曲。中盤のヘヴィさを増す瞬間と、そこでの絶叫が彼ららしい。ヘヴィなイントロのリフから一気に突き進んでいく、M-4「ココニアル」への流れも絶妙だ。アマチュア時代からの代表曲ということで、時折見せるメタリックなリフや展開が彼らのヘヴィメタル・ルーツを思い起こさせるのは当然か。
ピアノを導入したM-5「曇りなき私」は、じっくりと聴き入りたい美しいバラードナンバー。中盤からはバイオリンも加わり、壮大なサウンドスケープを描き出していく。泣きのギターとバイオリンが合わさることで、より一層の情緒が漂う新たな名曲だ。そこから一転してラストのM-6「列車」は、爽快感すら覚える軽快な1曲。彼らが今まで世に送り出してきた作品の中でも、ここまで突き抜けたポップさはかつてなかったのではないだろうか。闇の中にある光というよりはもっと開けた場所に射す光を想像させる、新境地とも言えそうな楽曲で今作は幕を閉じる。
6曲全てが強力な個性とフックを持った今作は今までと変わらない魅力を芯に持ちながらも、その先へ行こうとする彼らの意志を感じさせる。メンバーチェンジがあったこともプラスに変えて、彼らは前へ前へと突き進んでいく。「時計気にして降りるべきか トンネルの向こうを願おうか」(「列車」)という迷いにブチ当たったなら、鴉というバンドは必ずトンネルの向こうを願うのだろう。そして、突き抜けていくはずだ。近野が『未知標』のインタビュー時に話していた通り“未知”を繰り返しながら歩んでいく音楽人生だからこそ、その先には確かな進化があるのだと思う。
10月には東名阪で、MERRYとの対バンツアーを行うことも発表。今作を機に新たなフェーズへと突入しようとしている彼らが今、どんな想いで動いているのか。次号でのインタビューを楽しみにしていて欲しい。

文責・今井