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黒岩あすか

黎明の薄闇に射し込んだ光が、誰にも見つからない当たり前の日常を照らす。

多くの人の気持ちを惹き付けた1stアルバム『晩安』から2年を経て、黒岩あすかが2ndアルバムを2枚同時リリースする。弾き語りによるソロ名義のアルバム『光与影』では、アコースティックギターが中心だった前作とは打って変わり、ピアノをフィーチャー。もう一方の“黒岩あすかと夜”名義によるアルバム『黎明』はヘヴィかつサイケデリックなバンドサウンドが、彼女の中に隠された感情を増幅して垣間見せるような作品だ。“誰にも見つからない、当たり前の日常を過ごす”中で生まれた比類なき2つの傑作を、誰かに見つけて欲しいと願う。
 


 
「毎回、全然違うんですよ。“何これ?”っていう日もあれば、良い日もあったりして、波が激しくて…。本当に“毎回どうなるのかわからない”という感じですね」


 
 
●2017年9月に初の全国流通盤となる前作の1stアルバム『晩安』をリリースされたわけですが、それによって何か心境に変化はありましたか?
 
黒岩:あれを出してから色んな意味で自信が付いたと同時に…、めちゃくちゃ自分にガッカリしたんですよ。
 
●自信が付いたのに、ガッカリした…?
 
黒岩:アルバムを出したい気持ちはあったので、それをできたという達成感はあって。そこで自信が付いたのと同時に“私って全然ダメだな…”と思って、めちゃくちゃ落ち込んでしまったんです。
 
●落ち込んだ理由とは?
 
黒岩:音楽をやっている人がたくさんいる中で、“私なんて石ころみたいなものだ”というふうに思ってしまって。みんなが“良い”と言う音楽…わかりやすく言えばテレビに出ているアーティストとかを見てしまうと、“自分と何が違うんだろう?”と思うんです。
 
●いわゆる“売れている人”との違いというか。
 
黒岩:たとえばテレビに出ている人の歌を聴いて、“良くないな”と自分が思ったとするじゃないですか。でもみんなは、そっちのほうが“良い”と言ったりする。そういうことに対してだったり、他にもたくさん思うことがありましたね。
 
●かといって、そういう人たちのようになりたいわけではないですよね?
 
黒岩:別に“人気が出て欲しい”とかではないんです。自分のCDがめちゃくちゃ売れたり、たくさんラジオで流れたり、そういう状況になったらなったで“嫌だ!”ってなると思います。私は相当なひねくれ者だから…(笑)。
 
●ひねくれている自覚がある(笑)。
 
黒岩:本当に手の付けようがない、ひねくれ方をしていて…。人に何を言われても、“うるさい!”ってなるんです(笑)。
 
●前作を聴いた人からの反響が自信につながったりはしなかった?
 
黒岩:反響があるにはあったんですけど、自分の中ではちょっとモヤモヤしていて。逆に“良くなかったよ”と言ってきた人もいましたし…、“うるさい!”と思いましたけど(笑)。
 
●ハハハ(笑)。ただ、前作のレコ発ワンマンライブでは“生きていて良かったと初めて思えた”そうですが。
 
黒岩:前作をリリースしてから、人生で初めてのワンマンライブを自分で企画して難波ベアーズでやったんです。いつも私はマイナス思考なので、プラスなことを考えたり、“幸せだ”と思えたりすることがあまりなくて。だからそのワンマンにも、人が全然来ないんじゃないかと思っていたんですよ。“20人も来ないんじゃないか…?”と思っていたら、実際にはその倍以上の人が来てくれて嬉しかったんですよね。
 
●想像以上の人が集まってくれたと。
 
黒岩:それで“頑張ろう”と思って演奏して。その時は私1人の弾き語りとバンド編成との2つに分けてやったんですけど、ソロの最後の曲でボロボロ泣いてしまったんですよ。“嬉しい”のと“悔しい”のと、色んな感情が入り混じった感じというか…。そんな気持ちのまま、バンドで大きな音を出した瞬間にすごく“あ、生きていて良かった”と思えたんです。
 
●バンド編成のほうでは、人と一緒にやる楽しさも実感できたのでは?
 
黒岩:やっぱり1人で出す音とは全然違うので、“不思議だな”とか“面白いな”と思うところはありますね。私は叫んだり大きな声を出したりできないんですけど、バンドでは大きな音を出せるじゃないですか。それによって1人では表せない感情を、みんなが協力して出してくれている気がして。自分の中に隠れている感情というか…“怒り”や“悲しみ”みたいなものをドンと(大きな音で)出せる感じがします。
 
●今回バンド編成で録音したアルバム『黎明』について、録音が終わった後に“わたしはこの3人とじゃないとバンドはできないと強く思った”とツイートされていましたね。
 
黒岩:こんなことを言ったら怒られるかもしれないけど、その3人がみんなマイペースでちょっと呑気なんですよね(笑)。それが何か合うんですよ。(一緒に)演奏しやすいというか。“何となく”でそれぞれが自分なりの音を出してくれるので、私はみんなにお任せしている感じです。
 
●特にイメージを伝えているわけではない?
 
黒岩:ないですね。“後半はうるさくして欲しい”くらいの、雑な言い方はしますけど(笑)。“ここの間奏は長いほうが良いです”とか言って、やってもらっています。
 
●『黎明』のM-3「季節」は、まさに途中からサウンドが激しくなっていきますよね。
 
黒岩:そうなんです。『黎明』の「季節」は約13分あるんですけど、そんなはずじゃなかったんですよ…。
 
●最初からあの形をイメージしていたわけではないと。
 
黒岩:みんな入り込んでいたのか、気が付けば13分だった…みたいな。“ここからうるさく”とか“ここで終わり”とかも、私からは特に伝えていないんです。本当にあの空気の中でたまたまできた演奏なので、何か不思議ですね。
 
●何も言わずとも、そういうことが一緒にできるメンバーなんでしょうね。
 
黒岩:私は、あの3人の音が好きなんです。何か変テコなのに、何か変テコじゃないというか…。もっともっと深いところまで探せば、何か意味があるのかなと思ったりもします。たとえば何も思わず感情もなく演奏している人と、ちゃんと意味があって演奏している人って、音が全然違うじゃないですか。上手く言えないんですけど、そういう感じですね。
 
●今のメンバー3人はちゃんと一音一音の意味を考えて、鳴らしてくれている。
 
黒岩:そうですね。本当に何か意味を持って、やってくれている感じがします。
 
●今回はそのバンド編成での『黎明』とソロでの『光与影』を同時リリースするわけですが、こうなった経緯とは?
 
黒岩:元々は須原さん(※須原敬三/ギューンカセット)が“バンドで録音しようか?”と言って下さって。それでバンドのほうを先に録ったんですけど、私が“ソロの作品を作りたい”と言って『光与影』も録らせてもらった感じです。
 
●『黎明』のほうを先に録ったんですね。前作はギターの弾き語りだったところから、今回の『光与影』では1曲目からピアノだったので驚きました。
 
黒岩:今回はあえてピアノを多くしました。単純に自分がピアノにハマったことで、ギターに触る回数が減ってしまって…(笑)。あとは前作からの変化も付けたかったので、ピアノをメインにしようと思いました。
 
●ピアノを始めたのは最近だそうですが。
 
黒岩:はい。2018年の春から始めました。『光与影』に入っているピアノの曲は全部、それ以降に作ったものですね。
 
●元々、ピアノを弾いていたわけではない?
 
黒岩:弾いていなかったです。小さい頃からピアノの音が好きで“習いたい”とは思っていたんですけど、実際に習ったことはなくて。だから(正式な)弾き方はわからないけど、無理やり弾けば何とか弾けるんじゃないかと思って(笑)、遊びで弾き始めました。
 
●ギターと同様に、ピアノも独学なんですね。
 
黒岩:そうです。たまたま指で押さえた時に“良い感じだ!”と思った音をつなげていく感じですね。
 
●遊びで弾いている中で、自然に曲が生まれてくる感じでしょうか?
 
黒岩:“作ろう”と思うと全くできないんですけど、(ピアノを)弾くのが楽しくて。ずっと弾いていると、気付いたら5時間くらい経っていたりするんですよ。そういう中で“あ、曲ができてた”みたいなことがちょいちょいありました。
 
●『光与影』のM-6「風花」はTwitterに“スタジオで急にできた曲”として、先にアップされていましたね。てっきり楽曲の一部かと思いきや、今作のバージョンと長さがほぼ同じという…。
 
黒岩:そうなんですよ。“未完成かと思いきや…”っていう(笑)。
 
●自分の中では、あの時点で完成していたということ?
 
黒岩:“歌も何も入れたくないな”という想いがあって。温かい日差しに照らされていて、風が吹いているようなイメージがあったんです。耳に自然と入ってくるような感じの音として録りたかったので、短いままにしてみました。
 
●同じくインスト曲のM-4「洞窟」は、どういうイメージから?
 
黒岩:どこかジメッとした暗いイメージがあって。これが実はピアノで初めて作った曲なんですよ。その時に何となく洞窟の中のイメージがあったので、そのまま(曲名に)付けました。
 
●洞窟というとRPGのダンジョン的なイメージもありますが、そういう不気味さはないですよね。
 
黒岩:不気味ではないですね。人が全然いないところに、ぽつんとある洞窟という感じのイメージです。
 
●なるほど。アルバムタイトルの『光与影』は、M-10「光」とM-8「影」の2曲が由来になっているんでしょうか?
 
黒岩:いや、そういうつもりではなくて。今回の『光与影』について、自分の中でのイメージが“日常”だったんです。M-5「日常」という曲とは関係ないんですけど、人それぞれに生活があるじゃないですか。そういう当たり前の“日常”のことを表したかったというところがあります。
 
●“日常”と『光与影』のつながりとは?
 
黒岩:“光を与える影”と書いて『光与影』というタイトルなんですけど、“光を与える影”ってすごくキレイだなと思って。みんな日常で生活をしている中で人と関わっている時は明るく見えても、1人になって家にいる時は暗かったりするじゃないですか。そういうふうに人間1人1人が“光”も“影”も持っているという意味を込めて、このタイトルを付けました。
 
●それは黒岩さん自身にも当てはまることなんですよね?
 
黒岩:自分の気持ちも出ていますね。たとえば“しんどいな…”と感じていた時にできた曲もあれば、ちょっとポジティブな気持ちの時にできた曲もあると思うんです。それも“日常”じゃないですか。そんな日常の中で作ったので、アルバム自体が“日記”みたいなものになっているなと思います。
 
●前作を作った時のように落ち込んだり、“悔しさ”を感じたりはしていない?
 
黒岩:“悔しさ”とかはないですね。もう完全に“自分は自分だから、周りのことはもういいや”という気持ちに近いかもしれない。今回は本当に自分の中のものを全部詰め込めた気がしていて。1stアルバムの時は全く聴けなかったんですけど、自分の今まで書いた日記を読み返して“面白いな”という感じで色々思い出したりするような感覚で(今作は)聴いています。
 
●そういう作品が作れたことで、また次の作品を作りたいという意欲も湧いてくるのでは?
 
黒岩:実は1stアルバムを作った時は“もう二度と作らない”と思っていたんですよ。“もうできない”と思ったんです。“曲なんて、どうやって作ったら良いかわからない”みたいな感覚があって。そんな中で今回出させて頂けることになった時に“わ〜奇跡だ!”となったんです。でも最近はまた“この2ndアルバムが出たら、もう出せない。出さない”と思っています(笑)。
 
●ひねくれていますね〜(笑)。
 
黒岩:もう最悪ですよ(笑)。
 
●そんなことを言っておきながら、1〜2年後にまた新作が出たりして…。
 
黒岩:またアルバムを出して、インタビューをお願いするかもしれないです(笑)。
 
●ハハハ(笑)。7/19には難波ベアーズでレコ発ワンマンが予定されていますが、バンドと弾き語りの両方をやる?
 
黒岩:両方やります。
 
●バンドセットは気が付いたら3時間くらいになっていたりは…?
 
黒岩:それは演奏が当日どのくらい伸びるかわからないので、その時によりますね(笑)。
 
●Twitterを見ていると、ライブが終わった後によく落ち込んでいる印象があって。
 
黒岩:落ち込みますよ…。私はライブを録音しておいて、帰り道や次の日とかに自分で反省会的に聴くんです。そこで“ああ…もっと頑張らなきゃな”とか“私には才能なんかないんだ…”と思って、落ち込んでいます(笑)。
 
●その反省会は、どういう目的でやっているんですか?
 
黒岩:自分のライブを後になってから聴くのが苦痛だとか嫌だとか言う人もいるじゃないですか。私はそれをあえてやっているんですけど、何故かと言うと本当に良い音を出したいからなんです。周りがどれだけ“良かった”と言ってくれても、自分が一番、自分に厳しいというか。自分のことを自分で認めたくないという想いがあって。だから嫌だった演奏でも聴いて、“もっともっと頑張らなきゃ”と思ったりしています。
 
●逆に“良いライブができた”と思うのは、どんな時なんでしょうか?
 
黒岩:“今日は良かったな”と思う日って、たとえば間違っていたとしても自分の“そのまま”を出せた気がした日というか。ちょっと(演奏が)下手で歌詞を間違えたりしていても、自分がありのままで自然に演奏できていると感じられた時は“何か良かったな”と思えるんです。
 
●1stアルバムのレコ発もそういう感じだった?
 
黒岩:1stのレコ発ではめっちゃ間違えていたんですけど、演奏中に自分の“素(す)”でいられた瞬間があって。その時は、さっき話した“自分らしさ”が出せていたのかなっていう気がしますね。何故かは…謎ですけど(笑)。
 
●1本1本のライブをやってみるまで、どうなるかわからないところがあるのかなと。
 
黒岩:そうなんです。だから毎回、全然違うんですよ。“何これ?”っていう日もあれば、良い日もあったりして、波が激しくて…。それによって、観てくれているお客さんも振り回してしまっている気がします(笑)。本当に“毎回どうなるのかわからない”という感じですね。
 
Interview:IMAI
 
 
 
■黒岩あすか - 影 (MV)

 
 
 
 
 

2nd Album
『光与影』

ギューンカセット
CD9579
¥1,600+税
2019/7/25 Release

2nd Album
『黎明』

ギューンカセット
CD9580
¥1,600+税
2019/7/25 Release

発売記念ワンマンライブ
2019/7/19(金) 難波ベアーズ
 
 
 
 
 
 
 
Official Site
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