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グッドモーニングアメリカ企画フェス“あっ、良いライブここにあります。2012”

グッドモーニングアメリカ金廣、渡邊、たなしんによるフェスに向けた座談会

 グサグサと突き刺さる歌とサウンド、規格外のステージング、V.A.『あっ、良い音楽ここにあります。』シリーズの主催などで、ギターロックシーンの常識を打ち破ってきたグッドモーニングアメリカ。

CDデビューからまだ1年半にも関わらず、日を重ねるごとにその存在を大きくし、今やシーン最重要バンドとして注目を集めている彼らが、遂に企画フェスを開催する。キャリアもルーツも拠点も違う18バンドが一同に集って2/4に開催される“あっ、良いライブここにあります。2012”。

今回は、グッドモーニングアメリカの金廣、渡邊、たなしんの3人にじっくりと話を効いた。

Interview

「フェスの企画は大変になるということはわかっていたんです。でもやったら絶対におもしろくなるという確信があった」

「スペシャルなことやります! だってこのフェスの話をしているだけでテンションが激アガりなんですよ!」

●2/4に企画フェスが開催されますが、こういったバンド主催イベントやV.A.って、自分たちの作品を作るときとはまた別のエネルギーを使うというか、めちゃくちゃパワーが要ることだと思うんです。

渡邊:そうですね。パワー要りますね、本当に。でも絶対に楽しいのは間違いないんですよ。第一弾のV.A.を企画したとき…あれは20バンド20曲収録だったんですけど…"こういう企画は大変なんだな"ということは経験していたので、フェスの企画は大変になるということはわかっていたんです。でもやったら絶対におもしろくなるという確信があったので。

●会場をO-EASTに選んだのは?

渡邊:渋谷でやりたかったんですよね。今までずっと渋谷O-Crestでやってきて、自分たちのホームは渋谷だという意識があって。自分たちがフェスをやるんだったら渋谷だなと。

●なるほど。ちなみに前号のV.A.『あっ、良い音楽ここにあります。その弐』の取材のときに驚愕の事実が発覚しましたけど、メンバーはほぼO-EASTに行ったことがないらしいですね(笑)。

渡邊:そうです。あ、でも金廣は行ったことあるんだよね? 誰か外タレのライブを観に行ったって言ってなかったっけ?

金廣:うーん、でも全然覚えてないんだよね。本当に行ったっけ? たなしんとペギは行ったことあるって言ってたよね。O-Crestのスタッフに見学させてもらっただけですけど(笑)。

渡邊:俺もこないだ入口まで行ったんですよ。でもフェス当日まで楽しみは置いておこうと思って、入りませんでした。

●どんな会場かも把握していないままフェスを企画するって…自分らすごいな!

2人:アハハハハ(笑)。

●この号が出る1月1日の時点でも発表されていない出演者もいますが、全18組ってすごい数ですよね。

渡邊:集まってくれて本当に嬉しいです。"あっ、良いライブここにあります。2012"が昔からあるイベントだったら検討の余地もあると思うんですけど、いきなりグッドモーニングアメリカが「フェスやりますから出てください」と言って、それでもOKしてくれるというのはすごく嬉しいです。

●ちなみに、イベントタイトルに"2012"と入っているということは、今後も定期的にやる?

渡邊:現時点では何も決まってないですけど、やりたいですね。毎年定期的にこういうイベントがあると自分たちの活動の軸にもなるし。話していてふと思いつきましたけど、ゆくゆくは、俺たちの地元の八王子とかでもやれたらいいですよね。野外とかで。どんどん大きくしていって、八王子の野外でできたら夢のようですね。
(※ここでたなしんが遅れて参加)

たなしん:遅れてすみませーん! 今日の取材もはりきっていきましょー! 3! 2! 1!

●ではたなしんが揃ったところで、出演が発表されている16バンドについて訊いていきたいと思います。

金廣&渡邊:わかりました。

たなしん:…ファイヤー!

AJISAI

●AJISAIはVo./G.松本くんが「最近観た中ではグッドモーニングアメリカのライブがすごくよかった。悔しいくらいよかった」とJUNGLE LIFEの取材で言っていたんですよね。

金廣:嬉しいですね。もともとギターの須江は飲み友達なんですよ。バンドとしての絡みはこれまであまりなかったんですけど、2011年の夏のツアーで連チャンで対バンして他のメンバーとも話すようになって。

たなしん:ウチらは、だいたい俺が最初に対バン相手とかに切り込んでいくんですよ。リハ終わりとかに「相変わらず名曲ですね~!」とか言って。でもAJISAIはその"たなしん作戦"が通用しなかったんですよ。「ど~も~! いいっすね~!」とか言ってもあまり心を開いてくれなかった(笑)。

●そういうノリのバンドではないですよね(笑)。

たなしん:それでも出演をOKしてくれたっていうことは、きっと対バンしたときに何かを感じてくれたからっていうことなんでしょうね。嬉しいです。

another sunnyday

たなしん:俺が2010年の"ROCK IN JAPAN FES."に遊びに行ったんですけど、そのときバックステージに行ったらABSTRACT MASHのVo./G.村松拓さんがいて。拓さんはNothing's Carved In Stoneで出演されていたんですけど、Nothing's Carved In Stoneとanother sunnydayのみなさんが座って話していたんですよ。そこにいたメンツたるや、俺みたいなパンピーからしたら錚々たる人たちで。

●"パンピー"って久々に聞いた(笑)。

たなしん:そこで拓さんがみんなに紹介してくれて、そこで打ち解けたんです。

金廣:そうだったんだ。

たなしん:その後、another sunnydayと対バンする機会に恵まれて。Vo.伊藤くんは俺らが10代の頃からの知り合いという繋がりもありつつ、今回お誘いしたら快くOKしていただいたんです。

BYEE the ROUND

●BYEE the ROUNDはどういう繋がりなんですか?

たなしん:俺らがまだCDをリリースする前に1度対バンしたんですよ。そのときに"すげぇパンチあるバンドだな。これは勝てねぇな"っていう印象があって。

金廣&渡邊:そうだね。

たなしん:その後しばらくは対バンの機会がなかったんですけど、俺たちの1stミニアルバム『空ばかり見ていた』(2010年10月)のツアーで久々に対バンして。最初に対バンして"勝てねぇな"と思った記憶があったから、その日は"絶対に負けたくねぇ"という意気込みで挑んだんです。そしたらライブの後にVo./G. 松山くんが「前に対バンしたときとは全然違うバンドだね」と言ってくれて。

金廣:「衝撃的だった」と言ってくれたね。

chaqq

金廣:chaqqは今まで何回も対バンしてるんだよね。

たなしん:そうだね。で、実は2011年2月に俺たちが『空ばかり見ていた』のツアーファイナルを終えた後、その次の大きなライブとして3月にchaqqとの2マンが決まっていたんですよ。

●あ、そうなんですね。

たなしん:でもそれが震災の影響で流れてしまったんです。

金廣:その後も、Vo./G.星くんから別のライブに誘ってもらったんですけど、でもウチらもリリースとかツアーがあったから出れなかったんですよ。なかなかタイミングが合わなくて。

たなしん:要するに果たせていない約束があったんです。

GOOD ON THE REEL

渡邊:俺はずっとライバルだと思っていて。ジャンルもライブの見せ方も違うけど、前からすごいバンドだなと思っていて、だからこそ負けたくないという気持ちもすごく強いんです。GOOD ON THE REELとウチは、リリースやツアーの時期も同じようなペースで進んできたんですよ。

たなしん:GOOD ON THE REELも俺たちと同じく、O-Crestによくお世話になってるバンドなんです。で、2011年6月にO-CrestでGOOD ON THE REELのライブを観たんですけど、その後に幸一がスタジオでぼそっと「下手したら俺たちGOOD ON THE REELに食われるぜ」と言ってて。

渡邊:アハハハ(笑)。言ってたね(笑)。

たなしん:だから本当にいいライバルだよね。楽しみです。

ghostnote

渡邊:打ち上げで仲良くなったバンドですね(笑)。お互い名前は知ってたんですけど、去年のツアーでようやく対バンして、打ち上げでガッツリ仲良くなって。金廣とおーちゃん(Vo./G.大平)なんて2人で朝まで飲んでましたからね。

金廣:そうだね(笑)。波長が合っちゃって。

渡邊:V.A.の第二弾も俺らのコンセプトに賛同してくれて「絶対に参加したい!」と言ってくれたし。

たなしん:最初に対バンしたとき、俺らのライブ中におーちゃんが「うおー!」っていう表情で観てくれてたんですよ。俺はその顔がすごく印象的で"きっとこの人たちは波長が合うんだな"と思ったし、実際にバッチリ波長が合った。

金廣:ghostnoteは3人とも、気持ちがすごく純粋でまっすぐな人たちなんですよね。それがすごくいいし、大好きなバンドです。

Half-Life

たなしん:今回の出演者の中でも、最初の出会いは古い方なんですよ。俺たちがCDデビューする前、下北沢SHELTERで対バンさせてもらったのが最初なんですけど、その後、俺たちは無謀にも1ヶ月間毎週日曜日に八王子RIPSを借りきって企画イベントをやったんです。5週間連続で日曜日にイベントをやるという。

●すごいですね。

たなしん:ぶっちゃけると、その企画に出てくれるバンドがなかなか決まらなかったんですよ。そこで無理を承知でHalf-Lifeに声をかけたらOKしてくれて、初日に出てもらったんです。Half-Lifeがいなかったらあの企画は成立しなかったんじゃないかというくらい、すごくお世話になって。

●そうだったんですね。

たなしん:その後、機会があるごとに俺らのツアーとかに出てもらったり、Half-Lifeのツアーにも参加させてもらって。

渡邊:腹を割った話もできるし、刺激し合える仲なんですよね。

Jeepta

渡邊:今までイベントとかで何回か声をかけていたんですけど、なかなかタイミングが合わなくて。で、今回やっと実現したという。

●Jeeptaは前から知っていたんですか?

たなしん:2010年8月にO-Crestで初めて対バンしたのがきっかけです。

金廣:アルカラと同じタイミングだよね。

たなしん:そうそう。それ以来色々と絡むようになって。

渡邊:JeeptaのUstreamとかにも出させてもらったり。

たなしん:俺らのお客さんに「Jeeptaといつか対バンしてください!」と言われることも多かったんですよ。そういうのもあって、今回は満を持してという感じですね。

Liaroid Cinema

渡邊:Liaroid Cinemaは完全に昔からの腐れ縁ですね(笑)。本当に昔から仲がいいバンドだし、V.A.『あっ、良い音楽ここにあります。』の第一弾にも第二弾にも参加してもらったし、大阪と東京で共同企画のイベントをやった仲なんですよ。

●なるほど。

渡邊:俺らの中では絶対に外せないバンドのひとつだと思っていて、今回のフェスを誘わせてもらったんです。

たなしん:もしかしたらまだ知らない人が多いのかもしれないですけど、是非この機会に観てもらいたいバンドですね。

ラックライフ

●ラックライフはレーベルメイトですよね。

たなしん:いいバンドなんですよ。俺はすごい原石だと思う。まだ若いんですけど、演奏力、キャラクター、そしてVo./G.PONくんが発しているメッセージとか姿勢っていうのがすごくいいんです。

●将来のある若い芽は早い段階で摘んでおこうと(笑)。

たなしん:そうそう(笑)。まだみんなには知られていないかもしれないですけど、すごく大きくなるバンドだと思うんですよ。だから是非みなさんに観てほしいです。

plane

渡邊:俺らのお兄ちゃんですね。

たなしん:特に金廣は公私ともにお兄ちゃんだよね。

金廣:うん。Vo./G.菊池さんにはしょっちゅうご飯とかに連れて行ってもらったりして。今回のオファーもほぼ即答だったんですよ。「グドモがやるんだったら出るわ」って。

●先輩からそう言われたら嬉しいですね。

金廣:それに菊池さんは「2010年に出会った中で俺がいちばん好きなバンドはグッドモーニングアメリカだ」って色んなところで広めてくれたんです。

たなしん:菊池さんパワーで広がったところって多いよね。金廣だけじゃなくてバンドとしてすごくお世話になってます。

SAY MY NAME.

渡邊:SAY MY NAME.は2/17に渋谷O-WESTで自分たちのワンマンがあるんですよ。にも関わらず、声をかけたらノリさん(Ba.北島敬大)が食い気味に「出るっちゃ」って。

●すごい!

渡邊:グッドモーニングアメリカからの誘いは全部出ると決めてるっていう(笑)。だから俺らも四の五の言わずにいいイベントを作って、SAY MY NAME.の気持ちに応えたい。このフェスだけじゃなくて今まで色んなバンドに声をかけさせてもらってますけど、俺らも含めて即答するバンドなんていませんからね。そういうスタンスはやっぱりかっこいいです。

たなしん:武士だね。

serial TV drama

渡邊:Vo.鴇崎さんが前にやっていたバンドのころからの知り合いだったんですよ。serial TV dramaとは対バンしたことはなかったんですけど、CDはリリースするたびにチェックしてて。

たなしん:クオリティが高いんだよね。毎回「すげぇな」と言ってて。

渡邊:今回のフェスを企画して「serial TV drama誘いたいね」と言ってたんです。で、俺らが去年の9月に新宿タワーレコードでインストアイベントをやったんですけど、そのときにたまたま鴇崎さんがタワレコに来てたんです。「なにやってんの?」「俺ら今日インストアなんですよ」みたいな感じで話してて、そこで「俺らのフェスに出てもらいたいんですけど」って。

●すごい偶然から決まったんですね。

たなしん:ミラクルブッキングだったよね。早い段階でserial TV dramaがバシッと決まったから他のバンドを誘いやすくなったということもあった。

真空ホロウ

たなしん:前から名前は知ってたんですけど、対バンしたことがなくて。で、かっこいいから出てもらいたいなと思って、O-Crestのブッキングの人を介してオファーしてもらって、OKを貰ったんです。で、これは後から聞いた話なんですけど、OKを貰ったあとに智史くん(Ba.村田智史)と飲む機会があって「よくOKしてくれたね」と言ったら、「グッドモーニングアメリカとやりたいね」って真空ホロウチームでちょうど話してたタイミングだったらしいんですよ。だからオファーが来たときにすごく喜んでくれたらしいんです。

渡邊:え? マジで?

金廣:そうだったんだ。テンション上がる(笑)。

●嬉しい偶然ですね。

たなしん:それと、俺が出させてもらっているスペースシャワーTVの『爆裂エレキングダム!!』という番組に真空ホロウの智史くんも出てるんですけど、彼はまぁ~すごいんですよ。力技で場の空気を全部持っていくんです。もう絶対に勝てない。俺、収録の後とかちょっとヘコみますもん。
一同:ハハハ(笑)。

セカイイチ

たなしん:俺らがまだfor better,for worseとして活動していたころ、「日本語詞でやろうか」という話があったんです。そのときに勉強のためにギターロックのイベントを観に行こうということになって、たまたま行った新宿LOFTのイベントがセカイイチとNo Regret LifeとLOST IN TIMEの3マンだったんです。

●そうだったんですね。

たなしん:そのときのライブが衝撃的で。セカイイチを観て「ギターロックの人たちってすごく演奏が上手いんだな」って。「ちゃんと練習しなきゃいけない」と思ったきっかけのライブだったんですよね。だから俺にとって"ギターロックと言えば"という存在なんです。恐縮ながら誘わせていただきました。

●ギターロックシーンのバンドを集めたフェスですけど、先輩もいれば若い世代のバンドもいて、そういうのがなんか嬉しいし、個人的にも感慨深いです。

金廣:グッドモーニングアメリカでやっていく中で、だんだん先輩のバンドたちと知り合って、お互いのツアーに出たりするようになって。そういうのがすごくおもしろいし、嬉しいですね。やっぱり昔から名前を聞く人たちですから。

たなしん:俺らがそうだったように、俺らより下の世代のバンドもきっと先輩たちと共演することですごい刺激になると思うんですよ。

●ところでたなしんは当日、何かスペシャルなこと考えてるんですか?

たなしん:スペシャルなことやります! だって今もこのフェスの話をしているだけでテンションが激アガりなんですよ!

●声がデカい。

たなしん:2012年は自分を超えていきます! たなしんが何をするのか楽しみに(※長くなったのでカット)

interview:Takeshi.Yamanaka

“あっ、良いライブここにあります。2012” HP
グッドモーニングアメリカ公式HP

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