音楽メディア・フリーマガジン

ザ50回転ズ

ロックンロールがいつまでも色褪せないのは 少年の心に灯った火が今も燃え続けているからさ

コンセプトミニアルバム3部作でバンドとしての強度とロックンロールの純度を更に高めた我らがザ50回転ズ。普遍的な想いを鳴らしながら痛快にステージで暴れる3人が、前作『ロックンロール・ラブレター』を経て発表する新作は、2004年の結成以来走り続けてきた彼らだからこそ辿り着いた境地。ザ50回転ズのニューミニアルバム『Do You Remember?』は、飾らないが故に心を震わせる歌の浸透力、偉大なロックの先人たちから受け継いだ痛快なアイロニー、豊富な経験に裏付けられた音楽的遊び心、そして彼らの真骨頂であるライブが同時に味わえる、全国1億3千万のロックンロールファン必聴の名盤。ザ50回転ズのロックンロールがいつまでも色褪せずに輝き続けるのは、少年の心に灯った火が今も3人の中でメラメラと燃え続けているからに他ならない。

 

 

 

INTERVIEW #1

「金ピカのホーン隊に入ってもらったら俺らもテンションが上がるし、一緒にパーン! パパッパーン! とか鳴ってたら俺らもギャーン! ってなるからええんちゃうん! って」

●今年の夏、うちがJ:COMでやっている音楽番組『MUSIC JUNGLE TV』に出演していただきましたけど、あのトークすごくおもしろかったです。自分たちのルーツを掘り下げるという。

ダニー:はいはいはいはい! ありましたね!

●今日も声デカいな…。最近の若い人たちはルーツをさかのぼって聴いたりしないらしいので、ああいう話は新鮮だと思うし。

ダニー:俺たちが影響を受けたレコードを紹介するっていう企画ですね! いや〜、ありがとうございます!

●でも思ったんですけど、3人は学生の頃同世代の友達と音楽の話が全然合わなかったんじゃないですか?

ドリー:はい。全然友達が居なかったです。

●あ、友達が居なかったのか。

ドリー:メンバーは初めてできた友達くらいの勢いです。

ダニー:そうです。初めてできた友達とバンドやっています。

●ハハハハ(笑)。

ドリー:音楽の話をできる人は周りに居なかったですね。

ダニー:今は携帯とかダウンロードで音楽を取得するのが主流の時代ですけど、ハードというか手に取れるものに対して想い入れがない人たちと音楽の話をしても気が合わんかもな。

ボギー:うん。

ダニー:「ラモーンズいいで!」とか言ってもデータでしか持ってなかったりしたらもうそこで終わりますよね。酒を飲みながら音楽の話はできても、一緒にレコード屋やライブハウスに行ったりする友達は居なかったです。そんな歯痒さを感じてここまで生きてきました(舌をペロリと出しながら)。

●2月にリリースしたコンセプトミニアルバム3部作完結編『ロックンロール・ラブレター』以来の取材となりますが、春にツアーをやって、今年の夏は忙しくしていたんですか?

ドリー:全然夏らしいことしていませんね。ずっとレコーディングでした。

●あ、そうなんだ。

ダニー:曲作りをして、そこからスタジオに入るから地下作業に入るでしょ? それが終わって扉を開けたらもう夏が終わっていました。

●確かに3人とも肌の色が白いな。

ダニー:とは言っても、夏に負けないくらい熱い制作をやっておりましたよ!

●今回のミニアルバム『Do You Remember?』はどういう感じで制作が進んでいったんですか?

ダニー:色んなアイディアがあったんですけど“さて今回はどうしようか?”とまず考えたんです。

ドリー:アイディアがいっぱいありましてですね。

●今まで色んなアイディアから作品を作ってきたけど、まだまだアイディアは湧き出る泉のごとくあると。

ダニー:まあ「泉のごとく」とまでは言わないですけど、手法的なコンセプトとして“今何がやりたいのかな?”と。コンセプトミニアルバム3部作を作ってるとき「お客さんの前で普通にライブをやっているライブ盤もいいね」という話が出ていたんです。そういうアイディアがまずあって、今回「スタジオライブがいいんじゃないか?」という話になったんです。

●なるほど。

ダニー:だからライブ同様のモニターとかも用意してもらって。で、3人でライブ録音するのもいいなと思ったんだけど、よく考えたらそれって1stアルバムでやったなと。

●ハハハハ(笑)。

ダニー:今の50回転ズは色んなミュージシャンとレコードを作った経験もあるし、その時点ではキラキラしたM-1「あの日のロックンロール」という曲もできていたから、だったら金ピカのホーン隊に入ってもらったら俺らもテンションが上がるし、一緒にパーン! パパッパーン! とか鳴ってたら俺らもギャーン! ってなるからええんちゃうん! って。

●発言の後半ほとんど擬音ですね。

ダニー:そんな感じで方法論が決まって、でもその方法論を無駄にしたくはなくて。単に、むやみにホーンが入っている作品にはしたくなかったんですよ。だから候補曲の中から、ホーンが入るに相応しい曲を選んで作っていこうと。

●ホーン有りきで最終的に曲を仕上げようと。

ドリー:そうです。

ダニー:だから曲作りの段階としては何の縛りもない感じで作ったデモの中で、ホーンが入るということで6曲に絞ったんです。そこからアレンジを練り上げていったという経緯ですね。

●スタジオライブ録音というのは、普段のレコーディングとはまったく感覚が違うんですか?

ダニー:違いますね。最近のレコーディングは、ドラムを録ってベースを録ってギターを録って、というダビング的な手法でやっていて。コーラスも理論的には無限に重ねられるトラック数で。でも今回は、マルチテープといういわゆる昔の手法に立ち戻って、ダビングもほぼなく。

●ということは、単にレコーディングの方法だけが変わるわけではなく、アレンジも違ってきますね。

ダニー:もちろんもちろん。だからわかりやすく言えば、3本重ねるギターを1本にしなければならなくて、更にギターを弾きながら歌えなければならないっていうね。歌いながら弾けないフレーズってやっぱりどうしてもあるし。あと、ホーンが入るということは、隙間を作らなければいけないわけですよ。だからアレンジの段階から「ここにホーンセクションを入れよう」みたいなやり取りもあったりして。

●なるほど。

ダニー:曲作りの早い段階からホーンを意識してやっていたし、ギター1本で表現するにはどうするかという意識でやっていたのでかなり新鮮でした。

●重ねることができないということは、逆に言えば1つ1つのフレーズを吟味する必要があるというか、強度のあるものにしないといけないですよね。

ダニー:そうですね。パンチだけを選ぶわけにもいかないし、部分によっては歌を出すアレンジにしなければいけない箇所もある。だからなかなかロジカルに考えなければいけないことも多くて、おもしろい曲作りではありました。

INTERVIEW #2

「今まではもうちょっと着込んでいたんです。でもこの曲は1枚1枚脱いでいってこの歌詞になったという感じです」

●「あの日のロックンロール」が作品作りの1つのきっかけになったということですが、これめちゃくちゃいい曲だと思うんです。MUSIC VIDEOなんて今どきのオシャレなアーティストがやらないようなスタンダードな作りで、逆に50回転ズがやったから新鮮だったという。

ダニー:そうそう(笑)。「あの日のロックンロール」はもともとアイディアとしてあった曲なんです。サビメロもあったし、歌詞も作ってたものがあって。それを今回の制作であーだこーだと“50回転ズが今歌うべき題材”という感じで練り上げたんです。計算ずくでもないんですけど、感情に任せて“こういうことが歌いたい”というところの向こう側の、“こういうことを歌うべきなんじゃないか”というちょっと大人びた視点で書いたんです。アレンジに関しては50回転ズの引き出しの中で完璧に帰結しましたね。

●今だからこそ歌えるというか、曲が持つ雰囲気に合わせたというか。

ダニー:そうですね。この曲はすごくメロディがロマンチックやし、ギターをガーン! と鳴らすだけでもホーン隊が聴こえてきそうな感じがあるというか。だからその辺を大事にしたくて、それに合わせて歌詞を書いていった…頭を使ってというより、心を使って。

●あ、名言出た。心を使って。

ダニー:吟味して、時間をかけて書いたんです。

●前作『ロックンロール・ラブレター』(2012年2月)収録の「涙のスターダスト・トレイン」という曲は湿度を感じさせる名曲だったと思うんです。あの曲が持っている湿度というか哀愁感を「あの日のロックンロール」は受け継いでいると感じたんですよね。

ダニー:そこがちょっと強く出ましたね。サビの“今夜も歌うんだ”というフレーズが最初にパッと出て、サビ全体の大まかなイメージができたんですけど、そこから丸裸に作っていった感じあるんです。

●丸裸?

ダニー:今まではもうちょっと着込んでいたんです。でもこの曲は1枚1枚脱いでいってこの歌詞になったという感じです。

●なるほど。全裸のダニーだと。

ダニー:でも局部だけは隠しています。シモは入っていません(笑)。

●「あの日のロックンロール」に込められた感情みたいなものは、他の曲にも共通しているとも感じたんですよ。特にドリーさん作詞/作曲のM-4「Young Believer」なんて、「あの日のロックンロール」と同じ感情を別の視点から歌っている。

ドリー:そうなんですよ。別に話を合わせて作ったわけではないんですけど、きっと気持ちの方向がそういう風になってきていたんでしょうね。

ダニー:バンドってそういうもんなんでしょうね。

●さすが唯一の友達で組んだバンド!

ダニー:歌うことのコンセプトまでを決め込まなくても、集まってきた曲を聴いてみたらこういう感じになったんです。アルバムタイトル“Do You Remember?”はいちばん最後に決めたので、アルバムタイトルがこういう曲を呼んだわけでもなく。図らずもっていう感じでした。

●コンセプトミニアルバム3部作の取材で、毎回「歌詞に投影する素の想いや感情が少しずつ多くなってきている」という話をしてきましたけど、その延長で今回裸になったんですね。

ダニー:そうですね。でも作っているときはそういう自覚がなかったんですよ。出来上がって、こういう取材とかで話しながら気づくんです。

●あ、そうなのか。

ダニー:言葉で理解しながら作るわけではないので。出来上がった後でこういう場で話してみて、自分でしゃべってて気づくんです。

ドリー:たいてい気づくのはインタビュー中やもんな。

ダニー:そうそう。インタビューやらんかったら一生気づかないんです。

●アハハハ(笑)。

ダニー:インタビュー屋さんに訊かれて初めて考える。

ドリー:自分たちが自分たちのことを考えるっていうね。

ダニー:言語で考えるっていうか。心にはずっとあった感覚なんでしょうけど、口に出して人に伝えようとすると「あっ! そうやったかも!」って自分も再認識できるんです。

●なるほど。その「Young Believer」はどういう経緯でできた曲なんですか?

ドリー:単純にドライビンな感じのロックンロールをやりたかったんです。特に歌詞とかコンセプトを決めていたわけではなくて。で、ちょうど歌詞を作り始めたくらいに「これはダニーに歌ってもらってはどうだろう?」というアイディアが出てきて、その時点でできていた歌詞をダニーと相談しながら作っていったんです。ダニーと「俺だったらこう言う」みたいなやり取りをして言い回しとかを変えて。内容がこうなったのは…なんでかは自分ではわからないですね。そのときにそう思ったんです。

●「あの日のロックンロール」に通じる感情は「Young Believer」もそうだしM-6「さよならヒーロー」もそうだし…。

ドリー:繋がっていますよね。

●そうそう。1つの現象というか気持ちを、色んな時代や角度から見ているという。ザ50回転ズは2004年結成だから今年で8年目になりますけど、今だからこそ歌える心境というか。

ダニー:そうですね。組んだばかりのバンドが背伸びして歌うようなことでもないですし。

●そうそう。「さよならヒーロー」はどういうきっかけでできたんですか? …というか、これめっちゃいい曲ですよね。

ダニー:ですよね。俺プライベートでこの曲聴きまくってますからね。「めっちゃええ曲やな〜、これ誰の曲や? …あっ! 俺の曲や!」って。

一同:アハハハハハハ(爆笑)。

ダニー:別に長くやってるわけじゃないですけど、バンドをやっていると、ずっと一緒にやっている仲間たちの中でもカタギの道を選ぶ人も出てくるわけじゃないですか。

●そうですね。

ボギー:最近そういうことも多くなってきているし。

●実家に帰るとか結婚するとか就職するとか。

ダニー:そうそう。それはそれで、その人にとってはロックンロールより大事なことだったと思うので全然否定はしないんですけど、俺たちはずっとここにおって変わらずやっていて、そういう人たちに対して“お前元気でやってるのか? たまにはライブハウスに遊びに来いよ”という気持ちもあるし、一方で“お前が居なくなって寂しいわ”という気持ちもある。そういうことを綴った曲ですよね。

●“いつでも遊びにおいでよ”と歌えるところがいいですよね。男の子ですね。

ダニー:泣けるでしょ?

●うん、泣ける。

ダニー:意外に男っぽい曲ですよ。

●働いている大多数の人は、子供の頃から抱いていた夢を諦めた経験が少なからずあると思うんですよね。そういう歌を今も夢の渦中に居る50回転ズが歌うからこそグッとくる。

ダニー:くぅ〜〜〜っ!

●あっ、泣いてる。

ボギー:このめっちゃいい曲は誰が歌ってるん?

ダニー:「さよならヒーロー」ってめっちゃええな〜。誰が歌ってるんやろう? …あっ! 俺や!

●ハハハハ(笑)。

ドリー:でもやりたかったことがやれてるってめっちゃ幸せやな。

ダニー:そうやな。いつもそういう話をしてますよ。「恵まれとんな〜」って。

●50回転ズの素っ裸な心境が音楽に溢れていると。

ダニー:局部は隠してますけどね(笑)。

INTERVIEW #3

「シリアスに物事を考えすぎるバンドでもないし、むしろそういうことを避けたがるバンドやと思うんですよ。これまでも、これからも」

●先ほど「ホーンが入ることを前提にアレンジを詰めていった」とおっしゃいましたよね。今作は全曲ホーンが入ってますけど、すごく自然なんですよね。わざとらしくなくて、気づいたらホーンが入っていたという感じ。

ダニー:無理矢理感がないでしょ? それはさっきも言いましたけど、制作の最初の段階でホーンを入れるに相応しい6曲を選んだというところが大きいと思うんです。

●うんうん。

ダニー:それができたからこそ、自然な感じになったと思います。曲が出来上がって「よし! これ全曲ホーンを入れよう!」だとしたらどこかで無理矢理な感じが出てしまうと思うんですよ。

●ホーンに相応しい曲って何なんですか? メロディ?

ダニー:メロディとかリズムとか、曲によって違うと思います。俺たちが好きな音楽の中で、サックスやトランペットが入っている音楽のジャンルを選んだっていうところもちょっとあって。

●あ、なるほど。

ダニー:そうじゃなくて、一見ホーンが入らないような曲でも、かっこよくなる方法が絶対にあるはずや! という感じで作ったものもあって。ホーンを入れるというコンセプトに沿って曲を選んだけど、そこから更にもう一段曲を育てていくとハマるという。

●ということは、今作で50回転ズはホーンを掴んだということですね。

ダニー:いやいやいやいや! まだまだですよ(笑)。

●ガシッとホーンを掴んだんですね。

ダニー:…掴みました!

●あっ、2回訊いたら言った。

ダニー:実際今まで2作ほどホーンをお願いした経験もあったし、ライブでも一緒にプレイしたこともあって、ホーンが俺たちにどのような効果をもたらせてくれるか? っていうのはなんとなくですけどふんわりとわかってきたところがあって。“意外に50回転ズはそういうことにも強いぞ”という自負もあったんです。

●うんうん。

ダニー:で、アレンジ面はかなり50回転ズ流になっているので、ホーン隊のみなさんからしたら吹きにくいキーとか絶対にあるはずやけど、いわゆるロックっぽいキーで吹いてくださって。「ジャズ屋に頼んだらこんなの断るでー!」とか言われながら。

●そんなことも言われたんですか(笑)。

ダニー:ジャズ屋さんってすごく嫌なキーは吹かないらしいです。

●ハハハハ(笑)。

ダニー:「そんなのジャズのキーにしてくれなきゃさ〜」「Eなんか吹けるかよ」みたいなことを言わないような人たちに今回お願いしたんです。俺たちこんな感じで変わられへんから、ホーン隊はすごく柔軟な方たちにやってもらったんです。懐の広い方たちでした。

●アハハハハハハ(笑)。

ドリー:大変だったみたいですけどね。

ダニー:「アドリブ吹けねぇよ!」とか言われながらも。すごく楽しかったですよ。俺たちは何も変わらずに口だけ出して。だから柔軟に対応してくださるホーンの方たちとは今後もどういった形でも一緒にやらせていただく自信はあるんですけど、ジャズ屋さんとは多分無理やな(笑)。

ボギー:そうやな。

ドリー:それはホーンだけじゃなくて、俺たちみたいなやつらの意見に耳を傾けてくれない人とは無理やな。

ダニー:実力もあるし心が広い方がいいよな。俺たちは怖いもの知らずやから結構無茶苦茶言うんですよ。それを飲み込みながら自分が出せる方にこれからもお願いしようねって。そういうバンドとしての方法論が導き出されたところは今回あります。

●ということは、別にホーンを掴んだわけではないと。

ダニー:全然掴んでません。楽譜も書けません(舌をペロリと出しながら)。

ドリー:口で伝えるだけやもんな。

ダニー:「ここでパパッパーン! と吹いてください」とか「スタン・ハンセンの入場曲みたいなスペクトラムな感じでお願いします!」みたいな伝え方をしていました。

●すごいな(笑)。

ドリー:でもそれでわかっていただけるんですよね。

ダニー:後は俺たちが好きなホーンが入ったレコードとかの具体例を出して伝えたりして。すごく柔軟に対応していただきました。

●今作はメッセージが強い曲もありますよね。M-2「ディスコビートじゃ踊れない」は50回転ズらしいドタバタ感がありつつ、“今時はやりの ディスコビートじゃ踊れない”というバンドとしての強いメッセージを歌った曲で。

ダニー:それに加えてもうちょっと深いメッセージも込めているんですよ。歌詞に“法律は関係ない”とあるでしょ?

●ありますね。…あっ、そういうことか。

ダニー:条例がうるさいじゃないですか。今ね、ディスコがね、風営法の問題でね。

ボギー:そういうことも引っ掛けてるんですね。

●なるほど!

ダニー:意外とエスプリ効いてるでしょ?

●効いてますね。スパイスがピリリと効いてますね。

ダニー:麻婆豆腐も山椒がないと駄目ですからね。「ディスコビートじゃ踊れない」は一聴したら1つのジャンルに対するアンチテーゼっぽく思えますけど、ディスコだけに限定している話ではなくて、実際に俺たちはみんなが楽しんでくれたらなんでもいいんです。でも、そういう場所を潰そうとしているピントの外れた奴が居るから、ちょっとそういうこと書いたろと。

●この曲で“ドチドチドチッチ”という歌詞が出てきますけど、これはドラムンベースのことなんですか?

ダニー:ドラムンベースに限定したわけじゃないんですけど、何もかもが四つ打ちの時代ってちょっと前にあったじゃないですか。今も安易に使う人が居ますけど、“そういうのちょっと我慢ならんな!”という想いもありまして。

●ロックが四つ打ちを一斉に採り入れたことがありましたね。5〜6年前かな。

ダニー:当時“あれ? なんでみんな同じことやるんかな?”と疑問に思ったんですけど、その想いが沸々と再燃して曲になったんです。

●怒りを沸々と感じていたんですね。

ダニー:怒りっていうか、人によって色んなロックがあって全然いいんですよ。ただ、俺は気に入らねぇよ! っていう。すごくパーソナルな意見です。

ドリー:みんな同じことしてつまんないですよね。

ダニー:でもM-3「キャプテン・オブ・アメリカ」も四つ打ちなんですけどね。

ボギー:まあそうやけどね。

●ハハハ(笑)。

ダニー:でも「キャプテン・オブ・アメリカ」は俺たちの大好きなネオスカに対するオマージュだから全然違和感がないんです。でも、あの何とも言えない四つ感ってあるじゃないですか。ステイブル過ぎるっていうか。あれにどうしても馴染めないんですよね。当時は雨後の筍じゃないですけどかなりの数のバンドがやっていて、ホンマに辟易していたんです。

ドリー:最初に出てきたときは「おっ! おもしろい!」と思ったんですけどね。

ダニー:そうそう。それが流行りになったんやろうな。最初にやり始めた人はかっこいいと思うよ。でもそこから別に一色にならんでもええやん! みんながみんなドチドチドチドチやってて。

●要するに、50回転ズは不器用な人たちということですね。

ダニー:ごもっとも!

一同:ワハハハハハハハハハハ(笑)。

●それと話に出た「キャプテン・オブ・アメリカ」も皮肉というか風刺というか、強いメッセージのある曲ですよね。

ダニー:この曲は某大国のマッチョバカについて書いたんですよ。暴走気味のマッチョバカ。

●ここで言う“マッチョバカ”というのは某大国のメタファーですよね?

ダニー:そうです。あいつらマッチョバカじゃないですか。最近だと×××とかもそうやし、×××もそうやし、×××もそうやし、×××のこととかも。

●うんうん。

ダニー:ニュースで色々と聞いているわけじゃないですか。実際の詳しいところは知らないですけど、なんでこの人たちは何も考えずに暴走できるんやろう? って思うんです。

●はいはい。

ダニー:ひるがえって、アメリカの文化を見ると暴走文化なんですよね。ヘルズ・エンジェルズも、アメコミも全員暴走しまくっているんですよ。

●確かに。

ダニー:だから“キャプテン・オブ・アメリカ”という架空のヒーローに罪を着せてですね、ダブルミーニングじゃないですけどメタファー的に褒めて褒めて褒めまくって、実は強烈に皮肉りたいなと。そういうコンセプトから書いた歌詞を書いていったんです。

●ミニアルバム『ロックンロール世界旅行』(2011年7月)に「KILLER」というポリティカルなメッセージを込めた楽曲がありましたけど、やっぱりそういった強い気持ちは曲にしたいんですか?

ダニー:そうですね。政治的なことを直接的に歌うのはバンドのカラーとしても今回の作品的にも相応しくないと思ったので、遊び感覚を入れた歌詞にしたんですけどね。狂ったヒーローというキャラクターを立てて、いわゆるアイロニカルな歌を歌ってやろうと。直接的に男が女に捧げるラブソングばかりやるバンドがおってもええし、ソウル・ミュージックやR&Bなんてもともとそういうもんやけど、俯瞰した色んな視点から歌うっていうのが50回転ズは好きやし得意やと思うんです。

●そうですね。得意ですね。

ダニー:だからこの曲もその路線ですよね。メタファーで人に罪を着せるっていうね(笑)。

ドリー:アメリカの音楽はいいんだけどな〜。

ボギー:うん。

ドリー:映画もいいもんな。たぶん、マッチョバカがカルチャーではいい方向に働いているんでしょうね。爆発がいい方に爆発している。

ダニー:その爆発が別の方向にいってしまったらもう誰も止められへんもんな。地球の大統領になれるのに、暴走癖があるが故に白い目で見られるっていうね。

●あと、M-5「香港ブーガルー」は『ロックンロール世界旅行』にも通じる音楽的な趣のある曲ですけど、なぜこういう曲ができたんですか?

ダニー:“ブーガルー”という言葉の響きがちょっとジャジーな雰囲気にマッチすると思ったんです。「香港ブーガルー」は音楽的には全然ブーガルーではないんですよ。ブーガルーってR&Bの先祖みたいなところの音楽ですけど、この曲はそんな歴史とはまったく関係なく、インチキジャズ歌謡みたいな感じで。だから響きで決めました! すみません!

●ハハハ(笑)。そもそも香港ってブーガルーと関係ないですよね?

ダニー:でもね、香港のナイトクラブはなんでもやるんですよ。俺が香港に行ったとき、ナイトクラブに行ったら西城秀樹を歌っている女性歌手が居ましたからね。「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」を広東語で歌ってました。

●そうなんだ。

ダニー:“こりゃ駄目だな”と思って、香港のことは一度歌にしなきゃということで今回形になったんです。だからこの曲のミーニングは何もないです! 遊ばせていただきました!

●でもそういうスタンスも50回転ズには大切ですよね。

ダニー:そうですね。シリアスに物事を考えすぎるバンドでもないし、むしろそういうことを避けたがるバンドやと思うんですよ。これまでも、これからも。

●はい。

ダニー:そこを避けることで、切ない歌を歌ってもカラッとしたものになり、そういうスタンスに居心地の良さも感じていて。だから「香港ブーガルー」を入れることでグッと作品が軽くなりますよね。でもパッと聴いて本当に軽く思われるのが心配なので、音楽的にはジャズ的なコードを使ったり、音選びにもこだわったりして。そこまで適当だったらほんまに軽い作品になってしまいますから、ミュージシャンとしてはがんばって作ったんです。

INTERVIEW #4

「昔と比べるとスケジュールの密度は楽になってきているんですよ。でも1本1本で出す量は極限まで多くなっていると思います」

●今作の初回限定盤のDVDにはスタジオライブのレコーディング風景が収録されていますが、印象に残っているのはダニーさんのテンションの高さなんですよね。

ダニー:やっぱりね、いいテイクが録れるとテンション上がってああなっちゃいますよね。

●スタジオはいつもあんな感じなんですか?

ダニー:そうですね。レコーディングも動きまくってます。

●そうなんですね。

ダニー:じっと立って弾いてもいいプレイはできないと信じてるので。気持ちが重要というか。不思議とそうなんですよ。

ドリー:そういうもんなんですよね。

●ロックンロールのマジックだと。

ダニー:そう信じているんですけど、ギターって力を入れてガーンと弾いたらいい音が全然鳴らないんですよね。

●アハハハハハ(笑)。

ダニー:色んなギタリストと同じ話をするんですけど、ちまちま弾いていい音を出すことが重要ではなくて、ガーン! と弾かんと駄目だって。チューニングが少々シャープしてもいっちゃうんだぜ! っていう気持ちが常にあって、今作も出来上がって聴いたら案の定シャープしてた。

ドリー:1stなんて尋常じゃないくらいシャープしてたからな。

一同:ハハハハ(笑)。

●実際のスタジオライブ録音は楽しくできたんですか?

3人:そうですね〜。

ドリー:緊張感はもちろんありますけどね。大きなミスをしたら録り直しですから。

ダニー:2度と戻れないからやり直しをするしかないでしょ。しかも失敗したらテープも無駄にするわけですからね。だから毎テイク崖っぷちというか、死ぬ想いでした。

●死ぬ想いだったのか(笑)。

ダニー:出る音はめちゃくちゃいいから、リハーサルがいちばん楽しかったです。録るときはプレッシャーがバーッとかかって、頭がチッカチカになってるし、終わったらしんどすぎて睡魔に襲われるんです。

ドリー:夜の8時くらいに寝てました。

●ハハハ(笑)。ものすごいプレッシャーと集中力だったんですね。

ダニー:でもレコーディングって本来これくらい緊張感をもってやるべきなんかなと思いました。一生残るもんやし、金出して買うてくれるもんやし。

ドリー&ボギー:うんうん。

ダニー:今までクリックを聴いてやり直しができるProToolsレコーディングもしてきたけど、完成像が見えやす過ぎて、マジックが起こりにくくなる気もするし。それによって整然としたレコードができるのは事実で、どっちがいいかと決めるのは難しい選択なんですけどね。でも今回はスタジオライブ録音で、テープで一発録りという良さを詰め込むことができたと思います。

●その緊張感は、ライブと比べてどうなんですか?

ダニー:ライブの緊張感は…それよりも高いです。ワハハハ(笑)。

●え? そうなんですか。

ドリー:でもガチガチに緊張するっていうわけではないんですよ。

ダニー:ライブは自分たちの本職の場所ですから、だからこそ緊張するというか、しょうもないことができないっていうプレッシャーがあるんです。

ボギー:ブルブル震えるっていうわけではないんやけどね。

ダニー:だからレコーディングとは別ものかもしれないですけどね。ライブって1回で魔法をかけないといけないじゃないですか。俺たちもかかりたいし。でもレコードは、そのレコードを聴いたときにいつも魔法をかけないといけないわけで。普遍性というか。そういう違いですね。

●リリース後は年またぎでツアーが控えていますけど、今回のツアーも緊張するんですか?

ドリー:バキバキに緊張すると思います。

●ライブ前はどうなるんですか?

ダニー:しゃべらないです。楽屋がもし騒がしかったら、ちょっと違う部屋に行きますね。

●ライブハウスの楽屋って、本番前もよくわからない人たちがウロウロしてるじゃないですか。

ダニー:だから理想はワンマンの3人だけの楽屋がいちばん集中できるんですよ。

●シーンとしてるんですか?

ドリー:シーンとしてますね。

ダニー:アップしながら3人とも常になんか動いてます。で、みんな本番をイメージしているから、5分に1回くらい「あのキメはあれな」って誰かが言ったりして。

ボギー:その瞬間だけバーッと3人で集まって「OK」って。

●ハハハハ(笑)。

ドリー:たぶんね、その間にアドレナリンがタンクみたいなところにちょっとずつ貯まっていってるんです。で、SEが鳴った瞬間にブワーッと出る。

●そこで誰かに話しかけれたりしたら台無しですね。

ダニー:そうそう。ライブに関する業務連絡以外はシャットアウトしたいよね。「本番3分前です」みたいなことしか聞きたくない。

●本番の何分前から3人はおかしくなるんですか?

ダニー:結成当初は前日からおかしくなってました。

●ハハハ(笑)。

ダニー:でもそれはすごく人に迷惑をかけるなって。

ドリー:あとすごく疲れるんですよ。

ダニー:ライブの前の日は寝れない。

●そんなに大変な人たちだったのか(笑)。

ドリー:そう考えたらめっちゃコントロールできるようになったよな。

ダニー:最近はOPEN/STARTの1時間前でがんばれるようになりましたね。

ドリー:今までは対バンにも迷惑をかけたやろうな。

ダニー:今は対バンがいたら30分前くらいまでは無駄口聞けるくらいまでにはなりました。そういう持って行き方ができるようになりました。

ボギー:表面的にしゃべれるようになりました。

●アハハハハハハハハ(笑)。

ダニー:初期の頃、ライブ前にボギーがゲームをしててぶん殴ったことがあったんですけど、それからバンド全体がそういう感じになりましたね。今から考えたらぶん殴ってよかったと思います。ライブは真剣勝負ですから。

●いいことですけどね。でもそこまでだと、ツアーは大変ですね…。

ダニー:スケジュール見ただけで死にそうになりますもん。俺大丈夫か? って。

ドリー:昔と比べるとスケジュールの密度は楽になってきているんですよ。でも1本1本で出す量は極限まで多くなっていると思います。

ダニー:まあその量をどんどん増やしていかんとあかんよね。それがバンドやからね。

●か、かっこいい!

Interview:Takeshi.Yamanaka

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