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ヰタ・セクスアリス

関西アングラ・サイケの老舗バンドが10年ぶりの最高傑作で帰還を果たす!!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA1990年に結成された関西アングラ・サイケの老舗バンド、ヰタ・セクスアリス(うぃた・せくすありす)が10年の沈黙を破り新作『Vita』をリリース! 新たにPf.AYAタジマとDr.Emmy☆Kunocovicという女性2人も加わった今作は従来の王道サイケデリック路線だけでなく、オルタナティヴな周囲の動きも取り入れた作品となっている。20年以上の活動を経ても未だ音楽と無邪気に向き合い続ける彼らにしか生み出し得ない最高傑作。

 

 

●今作『Vita』は10年ぶりの新作になりますが、前作の3rdアルバム『モダン・デカメロン』(2003年)を出した後に活動休止していた期間もあったんですよね。

無礼人:そうなんですよ。須原さんの健康状態があんまり良くなくて、メンバーも定着しない時期があったので。その少し前には、早川義夫さんと一緒にやらせてもらったりもしたんですけどね。結成当時に「どんなバンドになりたいか?」というところで挙げていたのがジャックスで、(その中心人物だった)早川さんをすごく意識していたので、共演できたことで1つ到達した感もあって。それでしばらく活動が止まっていたんです。

須原:連絡が来なくなって、最後に会ってからは6年くらい経っちゃいましたね(笑)。

●そんなに長い間、須原さんとは連絡がなかったと。

須原:別れ際に「また連絡します」て言われたんで待ってたんですよ。

無礼人:一度、死んだように大阪から消えてみようかなと(笑)。その間もG.奇島残月はソロで活動を続けながら、僕に手紙を送ってくれたりして「いずれまたやりましょう」と言い続けてくれたんです。それで2011年に奇島の活動25周年記念ということで、なんばベアーズでライブをやることになって。ちょうど浅川マキさんが亡くなられた時期でもあったので、自分の中で思うところがあって「やるか!」となりました。

●浅川マキさんとはどういうつながりなんですか?

無礼人:1stアルバム『夢観通りのマリー』を出した時に、浅川マキさんのライブを観に行った奇島残月が本人にCDを渡したんですよ。そこから時々、僕のところに浅川さんから電話がかかってくるようになって。2ndアルバム『日時計のたもとで』を出した時も電話がかかってきて、色々と…。

須原:電話口で「歌ってみなさい」って言われたとか?

●どういう話ですか、それ?

無礼人:「日時計のたもとで」について「あなた、この曲はすごいのよ!」と言って頂いたので「そんなことないですよ」と返したら、「あなたにはこの曲のすごさがわからないの!」と叱られてしまって…。「ちょっと歌ってみなさいよ!」「えっ、ここでですか!?」っていう(笑)。

●その浅川さんから「あなたたちをスターにしてあげる」と言われたそうですが。

無礼人:それは1stを聴いて頂いた時のことですね。「あなたたちをスターにしてあげる」と言われたまま亡くなられてしまったので、そこから「やっぱり浅川さんにスターにしてもらおう」ということで僕はこの話を公言するようになったんですよ。

須原:一切言ってなかったもんね、僕も聞くの初めての話もあるな…。

●そこから今作を作るまでに至った経緯とは?

須原:ドラムと鍵盤のメンバーも変わったというのもあって、僕から「アルバムをレコーディングしよう」と持ちかけたんです。

無礼人:実際、バンドもちょうど新しいアンサンブルが最高に良い時期を迎えているなという感覚があって。「これはきっと上手くいくだろう」というところで、制作が始まりました。

●良いものができるという確信があった。

須原:僕の中ではM-8「風のダンデライオン」が、今作のキモになる曲やと思っていて。まだ4〜5曲くらいしかない状態でレコーディングしている時にも、「この曲があるから大丈夫」みたいな気持ちがあったんです。

●それだけ強い曲だったというか。

須原:最も“らしい”曲というか。今作でヰタ・セクスアリスとして「これです」というものを1曲出すとしたら、僕はこの曲やなと思いますね。

●核になる曲はありつつ、最初は曲が足りなかった?

無礼人:最初に須原さんからレコーディングしようという話をもらった時点では、まだ今作の半分くらいしかなくて。あとの半分はそこから新たに書いたんですよ。

須原:楽曲自体は大量にあったんやけど、今のヰタセクのコンセプトに合致するものを入れたかったんです。生々しい、スケベな感じというか(笑)。

●今回は歌詞がすごくエロティックですよね。

須原:普通は隠すところもそのまま出してるから(笑)。

無礼人:おかげで放送できないかもしれないと怒られています(笑)。前からこういう曲もあったんですけど、コンセプトとして前面に押し出したのは今回が初めてかもしれない。エロを前面に出しているけど、実は“生きる”ということに焦点を当てていて。「それがヰタ・セクスアリスの原点なんだ」という意味も込めて、『Vita(=ラテン語で“生命”という意味)』というタイトルにしたんです。

●原点回帰的な意味合いもあったと。

須原:今回のボーカル録りはバンドがベーシックを録っているスタジオの外にマイクを立てて、ライブ本番と変わらない感じで絶叫したりしながら歌ったものをそのまま採用しているんです。奇島さんもギターソロまで同時録音だし、そういうライブ感が出ているところは、結成した当時のガレージとかフリークビートの感じに近いかもしれない。1st〜2ndにあったダークなバラードみたいなのは少ないんですけどね。

●確かに今回は明るい曲が多いと思いました。

無礼人:たくさん曲を書いた中から新しいメンバーでベストな演奏ができる曲を選んだら、たまたま明るめの曲が多くなったんですよ。ヰタ・セクスアリスは曲を奇島と無礼人が書いてきて、みんなでアレンジしていくバンドで。今のメンバーはアイデアも豊富な人たちなので、そこが今作の聴きどころにもなっていると思います。

●新メンバーの要素も良い刺激になっている?

須原:僕もPf.AYA(タジマ)ちゃんもDr.Emmy(☆Kunocovic)も、それぞれに色んな活動をしているんですよ。僕は歳が自分の半分くらいの子と一緒にバンドをやっていたりもして。そういう感覚を全部持ち込めているので、変わらない部分もありつつ、新しい側面を見せていけるんじゃないかなと。

無礼人:そういうものがバンドに新しいパワーを与えてくれている気がします。上手いこと老若男女が入り交じっていることも、良い刺激を与えてくれていて。

●だから結成から20年以上経った今でも、新鮮な気持ちでやれているんでしょうね。

無礼人:若い時から年上のバンドを観て、僕らは絶対にルーチンワークな感じではやりたくないと思っていたんです。それを今はちゃんとやれているのかなって。

須原:このバンドはルーチンワークになりようがないよ。僕なんていくつになっても飽き性だし、無礼人と奇島残月も年齢超えて「少年」だし、もうちょっと落ち着けよっていう(笑)。

無礼人:いつまでもフレッシュで良いじゃないですか! …死ぬまで落ち着かへんやろうなって思います(笑)。

Interview:IMAI

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