音楽メディア・フリーマガジン

宇宙コンビニ

この音にもっと触れていたい。そう願わずにはいられない至上の音空間

195_conbini2014/1/17@下北沢BASEMENT BAR
“『染まる音を確認したら』リリースツアー@東京”

昨年10月にリリースした全国デビュー作『染まる音を確認したら』を契機にして、着実に注目を集め始めている京都発“プログレッシブ・ポップ”バンド、宇宙コンビニ。YouTube上に公開されているMVに対して海外からのコメントが驚くほど多いというところにも、そのサウンドのポピュラリティが国境や文化という壁を超える可能性を秘めていることを感じずにはいられない。この日、リリースツアーの会場となった下北沢BASEMENT BARに集まった大勢の観客もその一端を嗅ぎとったのだろう。

だいじろー(G.)がまずは1人でステージ上に現れ、ギターを爪弾き始めた。一見、リハーサルでもしているかのようなナチュラルさで、彼らのライブは幕を開ける。だが、一音目が鳴らされた瞬間にもう既に特別な空間は広がり始めているのだ。えみちょこ(Vo./Ba.)となずお(Dr.)の2人も順に現れて、3人の音がたおやかに重ねられたところから、フロアは宇宙コンビニの音色に染め上げられていく。

MVにもなっている「tobira」がゆったりと奏でられる瞬間は、何とも言えない格別さがある。美しいサウンドスケープを描き出すギターを軸にしたサウンドの上を、えみちょこの透き通った歌声が伸びやかに浮遊するさまはまさしく天上へと誘われるかのよう。優しい歌声に聴き入っていると、「全て君のせいなんだ」という歌詞がフッと耳に飛び込んできてドキッとさせられたりもする。

流れるようなタッピング奏法に息を呑む「8films」はライブならではのエモーショナルさで鳴らされ、観る者に高揚感をもたらしてくれた。ただ単にテクニカルな演奏だけでは決して生み出すことのできない、人間的な温かさが彼らの音には宿っている。だからこそ不思議なくらいの親しみやすさに心奪われ、会場中がいつの間にか心地よい音世界に包み込まれてしまうのだ。本編最後には新曲も披露し、アンコールの「Pyramid」を含めた全10曲で終演したこの日。まだまだ満ち足りないというオーディエンスの焦がれる想いは、次なる新作でさらに増してしまうかもしれない。

TEXT:IMAI

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